観劇日記〜2007年03月〜
05日(月) 15:45 映画「ドリームガールズ〜DREAM GIRLS〜」 TOHOシネマズ 市川コルトンプラザ スクリーン7
06日(火) 12:30 松竹「阿 OKUNI 国」 新橋演舞場
09日(金) 18:30 新国立劇場オペラ研修所「ブリテン:アルバート・ヘリング」 新国立劇場中劇場
10日(土) 14:00 新国立劇場「ワーグナー:さまよえるオランダ人」 新国立劇場オペラ劇場
11日(日) 14:00 牧阿佐美バレヱ団「ロメオとジュリエット」 ゆうぽうと簡易保険ホール
13日(火) 11:00 三月大歌舞伎昼の部
「通し狂言 義経千本桜」
「序幕 鳥居前」「二幕目 渡海屋/大物浦」「三幕目 道行初音旅」
歌舞伎座
15日(木) 14:00 「TOMMY」 日生劇場
16日(金) 13:00 WAM企画 33期 1年生公演「PUCK」 四谷区民ホール
21日(水・祝) 14:00 新国立劇場「ヴェルディ:運命の力」 新国立劇場オペラ劇場
22日(木) 13:00 Masquerade「マイ・フェア・レディ」 スイングホール
23日(金) 19:00 新国立劇場バレエ団「オルフェオとエウリディーチェ」 新国立劇場中劇場
28日(火) 19:00 バーン・ザ・フロア・カンパニー「Floor Play 〜フロアプレイ〜」 オーチャードホール
30日(金) 18:00 SEIREN MUSICAL「ハウ・トゥ・サクシード」 早稲田大学学生会館 B203


2007年03月05日(月)15:45-18:05
映画「ドリームガールズ〜DREAM GIRLS〜」@TOHOシネマズ 市川コルトンプラザ スクリーン7

 前売一般 全席指定 1300円 K列-4番 (パンフレット:600円)

 監督:ビル・コンドン

 カーティス・テイラーJr.:ジェイミー・フォックス
 ディーナ・ジョーンズ:ビヨンセ・ノウルズ
 ジェームス・"サンダー"・アーリー:エディ・マーフィ
 マーティー・マディソン:ダニー・グローバー
 エフィー・ホワイト:ジェニファー・ハドソン
 ローレル・ロビンソン:アニカ・ノニ・ローズ
 C.C.ホワイト:キース・ロビンソン
 ミシェル・モリス:シャロン・リール
 ウェイン:ヒントン・バトル

 「コーラスライン」が新宿コマ劇場で、「フォーティー・セカンド・ストリート」がNHKホールで、そして昭和女子大学人見記念講堂&厚生年金で「ドリームガールズ」と、大規模かつそれぞれが一ヶ月公演という来日ミュージカルのピークを感じさせられた1986年。今だにこれ以上の来日ラッシュはありませぬ。ちなみに「コーラスライン」も「ドリームガールズ」もマイケル・ベネット演出です。劇団四季が一日にいくつも公演を打つ時代ではなく、劇団員総出演の「Cats」再演(今の新宿高島屋近くのテント小屋ね)をもって「最強の演目で来日公演を迎え撃つ!」と浅利慶太が息巻いていた記憶があります。
 ブロードウェイ公演ではミシェル・モリス役だったデボラ・バーレルがディーナに出世しての公演で、あまりの歌唱力に圧倒されたものです。(ちなみに、オリジナルのエフィー役はジェニファー・ホリデイ。もちろん、トニー賞で主演女優賞!)。シンプルなセット(ほとんど柱しかなかった!)の中、ひたすら歌唱力で勝負!という印象が残っています。その分、コンサート場面は芝居と現実がリンクして非常に興奮したものです。
 映画版はいきなり「色・色・色」の洪水。元々場面数の多いミュージカルですが、舞台上では照明の変化とセットのちょっとした動きによる、観客が想像力をかきたてられるものでしたが、映画版はリアリズムを追います。このリアリズムが映画版の最大の特徴で、一つのナンバーの中で時空の経緯を表現。ディーナ=ビヨンセが野暮ったい田舎娘→マリア・カラスのようなファッションに身を包む(たぶん、この部分「DIVA」にかけてるんだと思う)までの変遷が実に見事。衣装さんとメイクさん大活躍です。もちろん、ビヨンセも眼力がこれでもかって程強くなるのだから「格好良いお姉さんが大好き」な僕としてはしびれまくり。
 この作品はマイナーだったブラック・ミュージックが白人中心だったアメリカ音楽界に殴りこみをかけるのがメインストーリーなわけだけれど、それに伴い、音楽のアイデンティティや、ショー・ビジネスにおける化かし合いなどが絡んで、シンプルだけれど味わい深ものがあります。でもって、来日公演の時は主役=ディーナだったけれど、映画版だとかなりエフィーが大きな扱い。ま、トニー賞もエフィー役のジェニファー・ホリデイが獲ってるので、もしかしたら映画版が本来の姿なのかも。確固たる自分の信念と音楽を持ち、それゆえにプロデューサーと対立してしまうエフィーと、プロデューサーの指示のままにスター街道を突っ走るが行き詰まりを感じてしまうディーナ。1986年の来日公演版ではディーナ=ダイアナ・ロスのイメージが強いがゆえに、ディーナのヒロインぶりが特出していました。ダイアナ・ロスのイメージを追うことよりも、普遍的なテーマを浮かび上がらせるためか、ディーナとエフィーの生き様の相違が、映画ならではのリアリズムでくっきり浮かび上がるのが実に印象的でした。やはり、一人の人間を追うよりも、比較対照、それもライバル的存在がいた方が盛り上がるってもんです。もっとも、ディーナを主役に持ってきた映画版は、エフィー=ジェニファー・ハドソンがあまりに強烈で(トニー賞「助演」女優賞をゲット!)、せっかくの対立構造が弱かったのが惜しまれます。
 でも、何より残念だったのは「ドリームガールズ」を録音(映画だから当たり前なのですが)で聴かなければならなかったこと。最新の音響の映画館での鑑賞ですが、それだけに、生の声が空気を揺るがすライヴ感、息を切らしてシャウトする爆発力が皆無。これだけの大ナンバーがズラリの作品の場合、観客も一曲終わると同時に拍手してエネルギーを発散したくなるのですが、観客の呼吸をさておき、次から次へと場面が移ってしまう……舞台作品を映画化する難しさを感じました。


2007年03月06日(火)12:30-15:55
松竹「阿 OKUNI 国」@新橋演舞場

 三階B席 2520円 3階-右列-16番 (パンフレット:1300円)

 演出:栗山民也

 阿国:木の実ナナ
 三九郎:若松武史
 おあか:鷲尾真知子
 とっぱ:深沢敦
 お丹:大和田美帆
 一蔵:東山義久
 二蔵:西村直人
 一兵衛:駒田一
 左門:西川忠志
 乞食:中嶋しゅう、剛州、高橋耕次郎
 権蔵:原川浩明
 手下1・町衆:楠見尚己
 こふめ:松岡由利子
 原三郎左衛門:上條恒彦
 遊女かわかぜ・町衆:伊央里直加
 遊女やよい・町衆:野口かおる
 遊女このは・町衆:藤田記子
 遊女かんな・町衆:鳴海由子
 遊女くるぶし・町衆:春川さやか
 遊女つぐみ・町衆:藤田さくら
 遊女たけのこ・町衆:池谷京子
 遊女おすね・町衆:瞳ゆり
 遊女おひざ・町衆:ももさわゆうこ
 手下2:幸村吉也
 町衆:今井克己、中山常之、山村賢、中村潤、飯嶋啓介、原慎一郎
 富くじ・一 九・町衆:榊英訓
 松梅院:石井愃一
 備後・犬太夫:市川勇
 フランシスコ・作蔵・婆:花王おさむ
 阿国一座:上々颱風
 猪熊少将:池畑慎之介

 新橋演舞場といえば「なんで提灯の飾ってある小屋で、ファントムなのさ!」とかつて某評論家が絶叫したものですが、その後「グランドホテル」や「シークレットガーデン」の来日公演もあり、これらミュージカル公演の際は提灯は外してありました。その後、宮本亜門版「狸御殿」などがあったものの、しばらくミュージカル公演はご無沙汰。久しぶりに登場したのは「阿国」。元々、近鉄劇場やル テアトル銀座といった、横幅の狭い劇場での上演がメインの作品でしたが、堂々の大劇場デビューとなりました。東京公演に関しては、シアターコクーン→青山劇場→東京厚生年金会館→ル テアトル銀座を経て、ついに新橋演舞場に登場。「かぶき踊り」が中心となったミュージカルなので、まことにピッタリな劇場。提灯だって舞台美術の一部のよう。もっとも、新橋演舞場に続き、南座での上演もあるので、舞台装置も演出もほとんど今までと一緒。巨大な橋が上手〜下手にかかっているだけで、劇場の奥行きは生かさずじまい。ま、栗山民也に「快感!」と終演後に叫ばせるようなスケールの大きな演出を求めるのがいけないんだけど(ホンット、ダメなんです、生理的に、彼の演出は。。。)
 「阿国」も、昨日観た映画の「ドリームガールズ」じゃないけれど、ショービジネスに生きるスターの奮闘記です。木の実ナナ扮する阿国は、その自由奔放な踊りと言動で瞬く間にトップスター=天下一に上り詰めるけれど、その栄光もつかの間、お金はかかっているけれど、商業主義によってまったく色合いの違う芸風にゆがめられた「二代目阿国」によって蹴落とされる……って、エフィー・ホワイトみたいでしょ。売れるためには姑息な手段を用い、用なしとなったスターは簡単に見捨てられるのも、古今東西共通なんだなぁ、と興味深く観てました。さらに、新人スターがより若く美しいけれど、芸の力は及ばず、個性が弱い分、アッサリと口当たりが良いのも「ドリームガールズ」と共通。今回は、木の実ナナ(=阿国)と大和田美帆(=お丹=二代目阿国)のテクニックも濃さも年齢も比べ物にならないだけに、阿国の悲哀ぶりがよりクローズアップされた気がします。年代的な芸風の違いが作品にうまくマッチしたのかな。大和田美帆の方が派手な場面を与えられているのに、木の実ナナに太刀打ちできないんですから! 芸風に関しては、鳳蘭vs和央ようか位の濃度の差がありました。
 それにしても、木の実ナナのバイタリティ、パワーにはあらためて圧倒されました。最近の宝塚では珍しくなくなったけれど、着物にスパッツ、ハイヒールといったいでたちで、ロックから民謡までこなすさまは実にエネルギッシュ。ギョロリと客席を睨みます、見得を切りまくりながら踊り狂ってます、クライマックスでは延々と走り続けてます。新橋演舞場の広〜い空間を埋める存在感はサスガの一言。
 1990年初演の作品なので、木の実ナナや上條恒彦をはじめ、17年もこの作品に関わっているキャストも結構いて、元気に踊り狂っているのは、舞台人の底力と、舞台で化けるすごさには感服ですが、木の実ナナ、若松武史、上條恒彦と主要トリオが揃ってハスキー・ヴォイスで、年齢のせいか「聴きやすい台詞」にコントロールすることが出来なくなっているのが痛々しかったです。僕の席が舞台サイド、そして、メインのスピーカーよりも上に位置するという、座席の条件もあるのかもしれませんが。。。猪熊少将=池畑慎之介は華やかな衣装の着こなし、動きの美しさ、そして、以外にも見事な男っぷりで、キラキラ輝いていました。あまりの化けっぷりに「ピーターだよね!?」って邪念が振り払えなかったわぁ。
 ま、正直に言いますと、ミュージカルとしては荒削りな作品なんです。コレといって強烈な印象を残すナンバーはないし、主要キャストはほとんど歌わず、上々颱風の演奏に乗って芝居をしているような、そんな作りなので。でも「チッチャイこと、チッチャイこと、気にしない!」と歌い踊られちゃうと「そうだよね〜」と洗脳されてしまい、キャストと一緒にバンザイの振付を踊っちゃう始末www 僕の好みの作品じゃないけれど、中高年女性を中心に、その毒々しさにはまってる人、多いみたい(三階席、それもサイドなので、客席の反応も見れて、ちょっとトクした気分)。


2007年03月09日(金)18:30-21:20
新国立劇場オペラ研修所「ブリテン:アルバート・ヘリング」@新国立劇場中劇場

 全席指定 4000円 1階-17列-45番 (パンフレット:無料)

 指揮:アンドリュー・グリーンウッド
 演出:デイヴィッド・エドワーズ
 管弦楽:東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団

 レディ・ビロウズ:エレン・ファン・ハーレン(賛助出演)
 フローレンス・パイク:小林紗季子(第9期生)
 ミス・ワーズワース:田島千愛(第8期生)
 ゲッジ牧師:青山貴(第4期生・賛助出演)
 アップフォールド市長:河野知久(第7期生)
 バッド警察署長:森雅史(第8期生)
 シド:近藤圭(第9期生)
 アルバート・ヘリング:中川正崇(第8期生)
 ナンシー:マーサ・ブレディン(賛助出演)
 ヘリング夫人:増田弥生(第4期生・賛助出演)
 エミー:山口清子(第9期生)
 シス:鷲尾麻衣(第7期生)
 ハリー:前嶋のぞみ(第8期生)

 ブリテンのオペラは初めて、と思ってたら、実は観ていたようです。それも新国小劇場オペラで「ねじの回転」。う〜む、実はゼンッゼン記憶にございませぬ。指揮は松岡究、演出は平尾力哉。ちょうど、新国の仕事をしている時期なので、パンフを作ったのは…僕だ(汗) 今回は研修所による上演で、会場は中劇場ではありますが、これまたかなり小規模なオペラで、オケはたったの12人。舞台は芝生を彷彿とさせるグリーンの円形の回り舞台と、6軒のマンガのような家のセットが自在に動き回って舞台転換。「big」や「君はいい人、チャーリー・ブラウン」の舞台を思い出します。舞台のサイズや使い方としては、青山劇場で上演される、中規模プロダクションの公演といったものでしょうか。オケの響きといい、舞台美術といい、ちょっと摩訶不思議な音の流れといい、なんだかミュージカルを観に来た気分。パンフを読む限りは他愛のないコメディみたいだし。オペラ大好きだけれど、ミュージカルも愛しちゃってる僕としてはオープニングの研修所下級生がワサワサと登場してくるシーンで心浮き立ちます。本公演と違い、出演者がみなさん若いこともあって「おぉ、ミュージカル」なスタートです。舞台転換をキャストに行わせたり、アンサンブルにいたるまで細かな芝居を要求していたり、スピーディな舞台進行が心地よかったです。研修所公演ならではといえる戦法かもしれません。ストーリーは非常に単純。「母親の言いなりだった男の子が、ひょんなことから品行方正で表彰されたものの、お祝いの席でいたずらに飲まされたお酒で気が大きくなり、ついに母親離れした」というだけのもの。3時間近くのオペラとは思えない単純さでしょ。「フットルース」をより単純化した舞台です。
 ブリテン=イギリス人とあって、この作品は英語上演なのですが、歌いだしたら英語に聞こえなかった〜。そういや、晋友会のりっちゃんやマリーさんが「英語の歌もドイツ語読みorイタリア語読みしちゃうんだよねぇ」と昔ぼやいてましたが、まさにカタカナ英語。英語=滑らかな言語だと思っているのですが、妙にボキボキしてて「何か違う」という違和感。来日したてのキャストがなぜか主要キャストを務めている劇団四季ミュージカルを観ている気分、といったらご理解いただけましょうか。出演者の方の努力は認めます、お歌も素晴らしいです。でも、とっても違和感ありましたさぁ。この作品を上演することにしたポイントをいちどうかがってみたいもんです。
 でも、歌以外は生き生きとしていて楽しい舞台でしたヨ。タイトルロールの中川正崇が役にどっぷりはまっていて、母親の尻に敷かれている頼りなさ、いきなり晴れ舞台に担ぎ出されてオドオドしている情けなさ、なまじ「良い子」できちゃったために、いざ「ワルをしでかそう」としても加減がわからない暴走具合、どれも説得力がありました。オペラのテノールの主役=英雄的なものが多いけれど、この情けないキャラクターはこれまた貴重なもの。芝居達者なところを生かして、助演歌手として今後の活躍を是非とも!と願ってます。 シド:近藤圭は登場した瞬間の「すわっ、ナツメさんか!?」というスタイルの良さ(動きは…でした。パンツの丈も変。自前?)が、ミス・ワーズワース:田島千愛は伸びやかな歌唱が(ずっと聴いていたかった!)が印象的でした。現在の研修生、この人は!という花形スターはいませんが、なかなか好調です。
 残念だったのは特別出演の面々。レディ・ビロウズ:エレン・ファン・ハーレンはあからさまに音痴。オケとピッチが全然合わないので聴いてて気持ち悪くなってきます。生理的にダメ。おまけに芝居も大根。なしてこの方が呼ばれたんでしょう? 研修所卒業生のゲッジ牧師:青山貴とヘリング夫人:増田弥生はともに素晴らしい歌唱。声だけだとステキです。でも、二人とも実に地味。舞台上で目がほとんど線で表情が出ないのと、目以外も僕が観ても「こりゃヒドイわ」ってメイク。「コンサート歌手」としてはともかく「オペラ歌手」としてはどうなんでしょうね、今後。大劇場でオケとコーラスを従えて、舞台の真ん中で歌っている姿がどうしても想像できないんです。
 ナンシー:マーサ・ブレディンは美しき英語を披露。そして、POPな美術と、キャンディ・ボックスをひっくり返したかのような衣装に金髪が映えて、非常に華やか。賛助出演の面目躍起です。
 毎年5人ずつではありますが、研修所に新人が入り、三年間にわたってその舞台を見続けていると、舞台人として花開く瞬間が見られたり、チームワークの良さを感じられたり、本公演とは違う楽しさがあります。良くも悪くも、本公演=戦いの場であり、研修所=温室なんだなぁ、と。あ、コレは某劇団とミュージカル界にも言えることですね。今日お会いした面々が今後どう羽ばたくか、そして、来年の研修所はどんなスター候補が入ってくるのか、とても楽しみです。


2007年03月10日(土)14:00-17:05
新国立劇場「ワーグナー:さまよえるオランダ人」@新国立劇場オペラ劇場

 C席 5670円 3階-3列-51番 (パンフレット:800円)

 指揮:ミヒャエル・ボーダー
 演出:マティアス・フォン・シュテークマン
 管弦楽:東京交響楽団

 ダーラント:松位浩
 ゼンタ:アニヤ・カンペ
 エリック:エンドリック・ヴォトリッヒ
 マリー:竹本節子
 舵手:高橋淳
 オランダ人:ユハ・ウーシタロ

 今回は最終回をチョイスしたのですが、既に観た方たちが口をそろえて「期待しちゃだめだよ〜。期待しないでもショック受けるから」とおっしゃるんです。ということで「どんなにヒドイのか楽しみ〜」と悪趣味丸出しで劇場へ。ワーグナーの作品の中では短時間であれこれ話が進むのと、オペラ・アリアとは違うけれど「聴きどころ」って曲があれこれ登場するので「オランダ人」は好きですし。で、劇場についてみたら、タイムテーブルに「休憩」が設定されているのを発見。ほへ、この作品って一幕モノじゃなかったっけ?と思っていたのですが、ダーラントとオランダ人の場面をもって客電が明るくなりました。
 実は、この第一幕を期待してたんです。幽霊船がどう登場するのか、舞台上で二隻の船がどう動き回るのか。新国の舞台機構だったらどんな演出になるのか、アレコレ想像して楽しみにしていました。が、が……地味。オペラと宝塚と歌舞伎に関しては地味は許しません、ワタクシ。そもそも贅沢をするためのモノだし。チラシからかなりゴージャスな舞台を期待していたのですが、 宝塚星組の「ネオ・ダンディズム」から借りてきたようなセットで、 新国としては「これで良いの!?」とかなり不完全燃焼でした、ボクには。 贅沢するための時間と場所なんだから、とことん贅沢してくれなきゃ!! 貧乏たらしいのはねぇ(宝塚は安っぽいことあるけど、阪急だしなぁ、で納得する部分があるでしょ・笑)。そもそも、本舞台ですら半分の奥行きしか使っていません。合唱団はスライディングステージに乗って下手から登場するのですが……それだけ。非常に省エネで、棒立ちのまんまです。隊列のフォーメーションを変えるのは視覚的に変化があって面白いけれど、バレエやショーでもあるまいし、動きがたいへん汚いです。この演出家はちと失敗では?
 省エネといえば、指揮がやたらと平坦で、変化に乏しい舞台演出をフォローするにいたらなかったのも困ってしまいました。女声が加わる第二幕も、相変わらず新国合唱団の女声は音が散ってしまって盛り上がらず。でも、でも、ゼンタ:アニヤ・カンペが歌いだしたら世界は一変。このゼンタという女性、会った事もないオランダ人に対して「あの方を救うのは私」と勝手に思い込んでいて、日常生活は一切協調性なしといった困ったちゃんなのですが、カンペの場合「うん、何か訳がありそう」と予感させる凄みがありました。実際、声も実にドラマティックで「今、ワーグナー聞いてる〜♪」という幸せ気分に浸ることができました。こうなると、指揮者って邪魔者ですわ。ダーラント:松位浩がゼンタに迫って「冬ソナ」ワールドを繰り広げようと、オランダ人:ユハ・ウーシタロ(何て難しい名前!)が「聞け〜」っと声を張り上げようとも、相変わらずノンベンダラリとしてるんですもの。せっかく脇にいたるまで歌手が揃っているだけに、演出と指揮の不調にはガッカリです。でも、舞台は水モノですから、もしも再演があったら見違えるように良くなってるかも。
 あ、男声コーラスは良かったです。一部録音の音質が生声とブレンドしないという不備はありましたが、三階席までビンビンと響いてくる迫力に酔いしれました。舞台前面だし、オランダ船の装置が音響反射板になっているというのもあるのかな。でも、ここ最近、かなりパワーアップしているようです(男声限定。女声は相変わらず苦手)。
 ということで「壊滅的なヒドイ」舞台じゃなかったし、「そこそこ楽しめた」けれど、エンターテイメントとしてはイマイチでした。
「TI(元・トレジャーアイランド)」の海賊船ショーの演出家(誰だか存じませぬ)が「オランダ人」を演出してくれないかなぁ。ゼヒッ!!


2007年03月11日(日)14:00-17:00
牧阿佐美バレヱ団「ロメオとジュリエット」@ゆうぽうと簡易保険ホール

 C席 5670円 2階-5列-6番 (パンフレット:1500円)

 指揮:デヴィッド・ガルフォース
 管弦楽:東京ニューシティ管弦楽団

 ロメオ:森田健太郎
 ジュリエット:青山季可
 キャピュレット夫人:坂西麻美
 ティボルト:菊地研
 パリス:京當侑一籠
 マキューシオ:中島哲也
 ベンヴォーリオ:今勇也
 ロレンツォ神父:保坂アントン慶

 しゃべりすぎる男ってあまり好きじゃないんだけど、そんな事言ってたら、シェイクスピアの男はみんなダメやわ。それでもって、ロメジュリというと、瞬間湯沸し器の単細胞男の、早まった行動の繰り返しによる悲劇、とストレートプレイだと思うんです。実はオペラの時もそう思ってましたし、ミュージカル(WSSね)でも。 ところが、バレエだと余計な事は言わないし(というか何も言わない)、舞台での時間と場面が限られているため、実にシンプル。コレが良いんですよねぇ。
 「ロメオとジュリエット」のバレエははマクミラン版しか観た事がなかったので、プリセツキー版は初めて。バレエということを忘れて、どっぷりと芝居の中に引き込まれたマクミラン版。プロコの弦と管の対比が織り成す幻想的な音楽と相まって、いかにもロイヤル・バレエといった趣きで、はまりました〜。脇役にいたるまで、細かな振りや役作りが求められていて「どこ見れば良いんじゃ〜」と嬉しい悲鳴をあげたもんです。ロイヤルバレエ版や新国バレエ版だとさらに舞台の高さと奥行きを生かして、非常に立体的な作りでした。キャピュレット家とモンタギュー家の確執、ロミオと仲間たちの強い友情、ジュリエットが少女から女になるまで、などなど、もう完璧な舞台。これ以上のストーリー・バレエはないのではないかと思うほどウットリの作品です。
 それに対して、マクミラン版は「役者が踊ってる」感じ。プリセツキー版は「ダンサーが芝居している」感じ。振付も「あ、バレエね」といったものの組み合わせで、悪くはないんだけれど、バレエを習ってない僕にとっては「なぜ、今そんな動きが?」といった、いわゆる「テクニックの見せ場」的な振付が散在して、せっかくはまりかけた物語から現実に引き戻されるんです。もちろん、プリセツキー版は初めてこれを観たら素晴らしい舞台だと思います。でも、何もかもがちと緩いんですよねぇ。ゆうぽうとは横幅はあるけれど、奥行きのない舞台なので、群舞がえてして平面的になってしまうのも原因? そして、オケが酷かった。プロコならではの音のウネリなんて無視。ひたすらサラサラと演奏しているので官能的な音楽が官能的にならない!! 弦が弱いのと、木管にデリカシーがない…という印象を受けました。ホールの音響があるのかもしれないけれど、ブレンド感が欲しいのです、あたしゃ。
 とはいえ、ちゃんと楽しんできましたよぉ。何しろ、ジュリエットが若手ダンサーによるロール・デビュー。もう、ういういしいの何のって。舞台上で乳母が、母があれこれ彼女の心配するのに納得です。そして、それを支えるのがモリケンさん。日本人ダンサーでは珍しく、がっちりタイプの人なので、ジュリエットを包み込む包容力があります。ジュリエットをムギューっと抱きしめるのは観てて心地よいです。そして、リフトさせたら日本一!と勝手に思ってますが、客席から観ていて安心させられるんです。何があってもちゃんと支えてくれるって。モリケンさんの前後は名ダンサー続出でして、熊哲、小嶋君、正木君も(最近、大手に舞台に出てないのが気になる)、西島君、逸見君などなど、今の日本のバレエ界を支える人材がズラリのスゴイ年代なのですが(ちなみに僕も同い年)、舞台上ではすっかり大御所。芝居として初々しく踊っていますが、安定感ばかりは隠しようがありませぬ。新人ダンサーを育てていくというのがこれからの彼の仕事なのかなぁ、なんて思っております。だって、年下の奥様=志賀三佐恵は既に引退ですよぉ。森下○子という別格はいても、やはりバレエ・ダンサーはは若者の職業。モリケンさんといえども、体格が若手とは既に別年代。。。ま、そのおかげで舞台上で「タダモノじゃないな」という雰囲気をかもし出しているので、得といえば得ですが。
 さて、若手ダンサーでは、ジュリエット:青山季可はまだこれからって感じです。ういういしいけれど、女にいたる変化はもの足りなかったです。でも、今だからこそ見せられるであろう、可憐なジュリエットでした。特筆モノはティボルト:菊地研。いつの間にやらスターオーラが格段に増していて、登場しただけで目が行く華やかさ。今までは「白が似合うダンサーかな」と思っていたのですが、なんのなんの、悪役の匂いプンプン、眼光ピカリの、素晴らしき「黒いダンサー」と成長してました。若者らしく、時おり勢いで押してしまうダンスもティボルトというキャラクターにピッタリ。つくづく「ロメジュリは若者のお話なんだな」と再認識しました。


2007年03月13日(火)11:00-15:30
三月大歌舞伎昼の部
「通し狂言 義経千本桜」
「序幕 鳥居前」「二幕目 渡海屋/大物浦」「三幕目 道行初音旅」@歌舞伎座

 3階B席 2500円 3階-13列-41番 (パンフレット:1200円)

序幕 鳥居前
 佐藤忠信実は源九郎狐:菊五郎
 静御前:福助
 亀井六郎:松江
 伊勢三郎:亀三郎
 駿河次郎:亀寿
 片岡八郎:男女蔵
 笹目忠太:亀蔵
 武蔵坊弁慶:左團次
 源義経:梅玉

二幕目 渡海屋
    大物浦
 渡海屋銀平実は新中納言知盛:幸四郎
 源義経:梅玉
 相模五郎:歌六
 亀井六郎:松江
 伊勢三郎:亀三郎
 駿河次郎:亀寿
 片岡八郎:男女蔵
 入江丹蔵:高麗蔵
 武蔵坊弁慶:左團次
 女房お柳実は典侍の局:藤十郎

三幕目 道行初音旅
 佐藤忠信実は源九郎狐:菊五郎
 逸見藤太:仁左衛門
 静御前:芝翫

 実は日本人でありながら、歌舞伎の観かたって未だに良くわかってないんです。日舞だとか邦楽の素養がないので、何が良くって何が良くないのかも今ひとつ。「動きがキレイだな」だとか「何だかわからないけれどスターオーラがあるな」とか「勢いあるじゃん」って程度。よって、高い料金を払っても猫に小判なので、もっぱら三階席専科です。とりあえず「ぴあ歌舞伎ワンダーランド」で見どころを予習して観劇に臨んでいるので、ストーリーは何とか。でも、義太夫が並ぶのは苦手。今日も三味線と浄瑠璃が大活躍の三幕目は「何で全員でブレスが揃わなくて、人によって音の長さも違うの?」とか「音程バラバラなんですけど」とか「発声法は統一されてないの?」とか、そりゃもう洋楽かぶれ丸出し(汗) でも、ヴァイオリンのチューニング途中みたいな音を延々と聞かされると正直あまり心地良くないです。でも、きっと平均律で、アインザッツや音程がピシッと決まった邦楽もきっと気持ち悪いんでしょうね。そういえば、今の海老蔵が主演した「源氏物語」では邦楽の代わりにオペラ歌手が出演してクラシック音楽で歌舞伎を上演したことがありましたねぇ。でも、印象に残ってないです。。。
 さて「義経千本桜」というと、僕の場合は「この恋は雲の果てまで」を思い出すんです。はい、ミュージカルです。もちろん、ストーリーはかなり違います。ミュージカル版だと義経が主人公になっていて、義経=ジンギス・カンだったという壮大なストーリーに展開するのですが、歌舞伎版は「水戸黄門」やバレエの「ドン・キホーテ」じゃないけれど、義経は飾りであって、サブストーリーがメインになっています。ま、こちらがなかなか楽しいので、半分しか理解できなくても、退屈することなくあっという間に時間はたってしまいます。華やかな衣装あり、派手な立ち回りあり、魚の名前や役者の名前で駄洒落踏みまくりの台詞遊びあり、あげくの果てには狐人間まで登場。歴史上の義経ストーリーはさておいて、その場面その場面の主役が楽しいオムニバスです。よって、源義経:梅玉の台詞が聞こえなくてもほとんど問題なし。佐藤忠信実は源九郎狐:菊五郎、静御前:福助&芝翫、武蔵坊弁慶:左團次の芸に「ほほぉ〜」と唸り、渡海屋銀平実は新中納言知盛:たか子パパの役の上での代わりっぷりに喜んだり(台詞は幸四郎節でした〜)。無知ですらこれだけエンジョイできるのだから、和モノについて勉強したらもっと楽しいんじゃないかな、と思っております。歌舞伎って型による芸なので、通えば通うほど面白いです。「あ、この型は見たことあるぞっ」となるのでね。


2007年03月15日(水)14:00-16:05
「TOMMY」@日生劇場

 A席 9000円 2階-A列-36番 (パンフレット:2500円)

 演出:いのうえひでのり

 トミー/ナレーター:中川晃教
 ウォーカー夫人:高岡早紀
 ウォーカー大佐:パク・トンハ
 アシッド・クイーン:ソムン・タク
 従兄弟のケヴィン/他:ROLLY
 右近健一、村木よし子、斉藤レイ

 
昨年の今ごろも「TOMMY」を観ております。が、記憶があんまりないんですよねぇ。元々僕好みの作品ではない、というのが大きいかもしれません。来日公演ですら2000円だったパンフレットが、今回は国内プロダクションにもかかわらず原価○○円位のパンフレットが2500円という暴利だったので購入見合わせ。ちなみに、来日公演はS席で10000円でした。。。よって、心配していた通り、客席はガラガラです。二階席は中央ブロックのみ3列目まで、上下ブロックは1〜2列目までしか席が埋まっていません(80人位やろか?)。一階席やグランドサークルも結構空席が目立ち、全体としては4割位の入り。劇場って生き物みたいなものなので、こうもガラガラだと盛り上がりなんて皆無。それでいて、オークションサイトを覗いてみても、割引チケットがほとんど出てないので、チケット購入者の母体の小ささが伺えます。はっ、パンフレットの料金ってもしかしたら不入りを想定してのものだったんやろか!? とりあえず、なんとか見つけた格安チケットで入場。
 いのうえひでのり演出ですが、小池ファンには「薔薇の封印」や「エリザベート」でお馴染みの電飾による舞台美術が使われていました。ドットが細かいのと、装置の大きさとが相まって、非常に効果的でした。ゲームの画面のような、テレビのミュージック・クリップのようなPOPなもので、色の鮮やかさといい、一瞬にして舞台の雰囲気が変わるスピードといい、なかなか面白かったです。また、レーザー光線の多用など、強烈な光による演出が特徴的。蛍光色や原色がやたらと点滅するので、あまり舞台に近いとフラッシュ効果でひきつけを起こす子が出てきちゃうのではないか?と心配してしまう位でした。かなり目が疲れます。好き嫌いは別として(僕は嫌い)かなり意欲的な演出ですが、芝居に関してはかなり大味。役者の印象がほとんど残ってないんです。そして、衣装や動きが主役の中川晃教に合っていたかどうかははなはだ疑問。一幕の幕切れは「ベルサイユのばら」の再現です。ペガサス…じゃなかった、クレーンに乗った中川晃教が客席に迫り出して来て上下します。日生劇場は東宝劇場に比べて舞台も客席も小さいので、スケールは劣りますが、その分、装置の仕組みが見えないのが得しています。でも、トップオーラをバリバリにしてにこやかに手を振りながら2階席までオスカルが飛んでくるのではなく、役者としてはスケールがまだ小さい(歌はスゴイけれどね)中川晃教が飛んできても、客席へのサービスがあるわけでもなく、企画倒れかも。そもそも「また、植田紳爾演出?」と思われてしまう時点でちょっとねぇ。隣りの劇場だし、数ヶ月前に観たばかりだし。。。ニ幕の衣装はこれまた「ベルサイユのばら」で、朝海ひかると安蘭けいがフィナーレで着用したゴールドのコートもどき。豪華だしキレイだし格好良いんですよ。でも「中川晃教が」というのを考慮してないので、裾さばきといい、着こなしといい、どうしても見劣りしてしまうんです。「主役を主役として輝かせる」というのを考慮していただきたいなぁ。と、こんな調子の舞台なので、「いのうえひでのり」が客やキャストのことを考えずに、自分のおもちゃとして上演した舞台、という印象を抱いています。彼がやりたいことは見えるんです。そして、それは面白そう。でも、日本で人気があるとは言えない作品(来日公演も動員が悪かった!)を、今回のキャストで、日生劇場で上演するという企画を今回の形で上演というのは無謀だったのではないでしょうか。演出家の意図に合わせてであれば、もっと小さな小屋で、日生劇場公演としてはもっと全体を眺めて。いのうえひでのりと中劇場の相性の悪さが露呈してしまった感じ。彼には小劇場の方が合ってるんじゃないでしょうか。今回のプロダクションだったら、博品館サイズだとちょうど良いのかも(客席へのクレーンは無理になるけど)。でもね、個性を出そうとする姿勢、客の反応を無視して突っ走る姿勢とエネルギー、凄いなぁと感服はしてます。ここまでワンマンに突っ走れる人もそうそうおりますまい。もっと前からミュージカルの世界に足を突っ込んでいたら、今ごろかなりの勢力になっていたかも。今後は小劇場でまずミュージカルに慣れて、その後「オリジナル作品」でバンバン作品を発表していただけるとかなり面白いものが出てくるのでは、と期待してます。ただ、芸風が大劇場の人じゃないですね。
 さて、キャストですが、演出家に負けず劣らず、それぞれが好き勝手に芝居していて統一感がなく、役としてではなく、役者の自己顕示が目立つのが気になりました。ウォーカー夫人:高岡早紀はミュージカル向きではなく、ウォーカー大佐:パク・トンハはロック向きではないので、それぞれ頑張ってはいますが空回り状態。そういえば、この作品はお芝居でありながら、ロックコンサートのようなノリで進行するので、芝居の出来るロックスターでないと演じきれないのかも。もしくは、この二人を生かすような演出ね。今回のように「歌詞聞き取れない」「メロディつぶれてしまう」という、馬鹿みたいな音響ではせっかくの役者のパフォーマンスもぶち壊し。音って大きければ良いってもんじゃありません。ことに芝居の上ではpとfの使い分けがあってこそ生きてくるんだと思うんだけど。全編大音量だと、和音なんて聞き取れないし、その音量に耳が慣れると一本調子になってしまうし。音楽センスを疑いますわぁ>音響さん。ことに、日生劇場ってマイク通さなくてもちゃんと聞こえる小屋なので、繊細な調整を行って欲しいもんです。ROLLYは意外とスケールが小さく、2階までエネルギーが飛んできません。「あれ、今のシーンに居たの?」という存在感のなさ。芝居が小さいのが原因? そして、右近健一は主役を無視して自己顕示ばかり。芝居と関係ないような表情で客席を睨んでばかり&脱いではいけない体なのにいきなり裸になってるし。。。脇役はちゃんと自分の立場を把握して、それに見合った芝居をしてくれなくては。いえね、これがツレちゃんや真央さん主演なら良いんです。周りが何をしようがトップさんですから。でも、中川晃教が主演なのですから、彼に合わせた存在でないと。芝居=アンサンブルですわ。
 ということで、今回「も」、僕とは相性の悪い「TOMMY」そして「いのうえひでのり」で、拒絶反応だしまくりでしたが、主演の中川晃教は適役でした。ちっこいです、スターオーラはありません。でも、歌えば凄い。どなる歌唱ではなく、軽めの声を生かした柔らかな響きと抜けの良さが魅力的。無理した発声じゃないので、歌詞がクリアなのも嬉しい(音響さんを恨みますゼ…)。そして、東宝ミュージカルではすっかりお馴染みの塩野魁土が子ルドルフじゃなかった、子トミーで登場してました。実は一番安心のキャストだったりしてwww


2007年03月16日(金)13:00-15:15
WAM企画 33期 1年生公演「PUCK」@四谷区民ホール

 全席自由 無料 1階-H列-8番 (パンフレット:無料)

 演出:三澤里実

 PUCK:大沼貴幸(涼風真世)
 ハーミア:金子麻実(麻乃佳世)
 ボビー:太田優里(天海祐希)
 ダニー:高田奈央子(久世星佳)
 ヘレン:松山めぐみ(汐風幸/彩輝直)
 ラリー:森結依(若央りさ)
 オベロン:足木研介(真織由季)
 タイテーニア:長島美加(羽根知里)
 エドワード: 山本大介(汝鳥伶)
 豆の花: 木村有美子(若菜あん)
 芥子の種:落合佑実(夏河ゆら)
 蛾の羽根:新井優子(夏妃真美)
 マシュー:岡村新太(葵美哉)
 レイチェル:中村由佳(舞希彩)
 マリア:長藤奈織美(梨花ますみ)
 スージー:田中茉莉絵(木南あずさ)
 エイブラハム:松川久美子(幸風イレネ)
 ベンジャミン:松本葵(光樹すばる)
 マーチン:岡田大雅(旭麻里)
 スナウト:佐藤悠太(真山葉瑠)
 ピッコロ:川原隆輔(高千穂舞)
 トレイシー:天野友理香(朝吹南)
 サリー:大竹暁子(那津乃咲)
 キャッシー:前田智美(花園ゆかり)
 ケアード:岡田大雅(嘉月絵理)
 ウッド:松本葵(松波美鶴)
 レノックス:松川久美子(鷹悠貴)
 愛人:田中茉莉絵(甲斐千ひろ)
 ジャスパー夫人:滝爪綾子(中条まり)
 ハル:滝爪綾子(卯城薫)
 配達人:滝爪綾子(松波美鶴、嘉月絵理)
 学生:幸島彩子、藤岡舞子、萩行千尋、小泉千夏
  ※( )は1992年宝塚歌劇団月組公演

 初演時の資料をひっくり返すと、小池修一郎が「若手ホープ」なんて書かれていて、ちょっと時代を感じます。1992年公演って…15年前!? 「PUCK」は最近の作品というイメージでしたが、本日のキャストはみんな生では観てないってことになりますね(生まれてはいても劇場には入れない年齢。。。)。そして、みなさん、僕の約半分の年齢。そんな中でオッサンやオバサンが似合ってるアナタ! 若さを磨くように!!www
 さて、今回はアマチュア公演なので、技術的な面でとやかく言うことはありません。二年間の音楽学校での訓練と、その後の1〜7年を舞台修行していても、宝塚の新人公演はかなりあがるようですが、今回ほとんど初舞台生でありながら重要な役になった子たちの緊張はスゴイものでしょうね。音がわからなくなろうと、伴奏と歌がずれていようとおかまいなし(代わりに歌いたかった〜。なぜか覚えている曲多し)。それ以上に、若さはじけるピチピチ感が魅力的でした。開演当初はガチガチだった舞台姿が、終演近くになるとだいぶリラックスしてくる変化も見もの。若さって素晴らしいです。
 元々、二本立て公演の前モノ作品なので、上演時間が一時間35分の作品ですが、今回は第11場が終わった段階(パックが妖精界から追放されるところね)で一旦幕を下ろして二幕仕立てにしていました。それ以外は、装置や衣装も、宝塚の本公演を極力踏襲していて、立ち位置まで一緒なのが微笑ましかったです(規模が段違いなのは言うまでもないけれど)。あ、ローラースケートは登場しなかったか。パンフレットによるとトリプルキャストが組まれているようですが、僕が観た回のみ男の子がタイトルロール。この劇団は男性キャストもいるものの、上のキャスト表からもわかるように、男役率が高いです。ということで、女の子は「男役としての芸」が大変で、男の子は「男役用の歌を歌う」のが大変。それでも、男役担当の何人かは「この人絶対タカラヅカファン!」と思えるなりきり具合で、ハツラツとした舞台姿でした。この年代だと男の子はまだまだ固さが見られることが多いですね。目が泳いでしまっているのがいかにもって感じで微笑ましいです。
 確か、この作品は小池修一郎の大劇場用作品4作目(東京だと3作目)なのですが、若手の使い方や、お話の収拾方法、挿入されるエピソードや小道具など、この段階で現在に至る彼の基本形が完成していたんですね。ただ、今よりもラフな作りのようで、役者の芝居によって、より面白く膨らんでいたんだ、ということが新たなる発見。たまにはアマチュアの公演を観るのも勉強になるもんです。
 それにしても、ダニーって離席する際に、コンピューターにロックかけないんですね。今だったら新人研修の段階で真っ先に大目玉を食らうミス。ちゃんと情報処理しておけば悪事がうまく運ぶのに! こういう突っ込みどころが満載なのも小池作品の魅力?げらげら。


2007年03月21日(水・祝)14:00-17:15
新国立劇場「ヴェルディ:運命の力」@新国立劇場オペラ劇場

 B席 10500円 3階-R5列-1番 (パンフレット:800円)
 指揮:マウリツィオ・バルバチーニ(井上道義)
 演出:エミリオ・サージ
 管弦楽:東京交響楽団

 レオノーラ:インドラ・トーマス(アンナ・シャヴァシンスカーヤ)
 ドン・アルヴァーロ:水口聡(ロバート・ディーン・スミス)
 ドン・カルロ:ウラディーミル・チェルノフ(クリストファー・ロバートソン)
 プレツィオジッラ:林美智子(坂本朱)
 グァルディアーノ神父:妻屋秀和(ユルキ・コルホーネン)
 フラ・メリトーネ:晴雅彦(晴雅彦)
 カラトラーヴァ侯爵:小野和彦(妻屋秀和)
 クッラ:鈴木涼子(鈴木涼子)
 マストロ・トラブーコ:加茂下稔(加茂下稔)
 村長:タン・ジュンボ(タン・ジュンボ)
 軍医:大久保光哉(片山将司)
  ※( )は2006年3月プレミエ公演

 久々に声の饗宴を楽しんできました。主要三役が三つ巴になって実に安定した出来。今日が最終日ということもあってか、パワー全開で鳴らしきってます。人間という楽器の奥深さを感じさせられる瞬間です。中でも、レオノーラ役のインドラ・トーマスが圧巻。通常、この手のソプラノってエンジンがかかるのに時間がかかるものですが、最初のアリアから絶好調。低音は色気があってゾクゾクするし、高音は鋭いし、弱音も吼えるような箇所も完璧。ドン・アルヴァーロやドン・カルロに比べると出番は少ないにもかかわらず、本日の公演のトップスターでした。決して声量のある歌手じゃないのですが、声色のパレットの豊富さと、フレーズにこめられる感情表現の多彩さで、圧巻の出来でした。
前回公演の記録によると「長い」と書かれているのですが、何の何の「時間よ止まれ」と叫びたくなりました。そして、初めてこのオペラが「好き」と思えたのでした。苦手だった作品が、ようやく僕に対して心を開いてくれたかのような幸せ気分。
 で、なぜ苦手意識が強かったかというと、ヴェルディってラブ・ロマンスを描くのが下手だから! 「運命の力」だって、プッチーニが作曲していたら「許されざる愛に生きる、恋人たちの逃避行」と、ロマンティックな作品になったかと思うんです。そもそも、レオノーラとドン・アルヴァーロは「恋人同士」という設定ではあるものの、ラブ・シーンなんてありゃしません。そして、昨今のワイドショーの恐ろしさに比べれば「運命の力」なんてカワイイもんじゃないですか。何をそんなに大袈裟に、なぁんて思ってしまいます。そういえば、ヴェルディってまともにラブ・シーンを描いているのってる「ラ・トラヴィアータ」位じゃないですか?
 しか〜し、インドラ・トーマスの神がかった歌唱の前に、そんなくっだらない感想は消し飛んでしまうのです。彼女が「恋人」とおっしゃるのであれば、誰がなんと言おうと、ドン・アルヴァーロは恋人です。異議は却下っの、有無を言わさぬ迫力がありました。で、ドン・アルヴァーロの水口聡も重量級の声を存分に響かせて、外来組に負けぬ劣らぬヒーローぶり。今回の公演は男声が好調で、カラトラーヴァ公爵→グァルディアーノ神父に出世した妻屋秀和の響かせる、深々としたバスの美声が、実に安心感を漂わせていて「神父さまだよねぇ」と納得。
 セリを利用した第一幕の装置(なぜ二階建てにしたのか意味不明)や、装置全体が客席に向かって迫り出してくる仕組みは、新国のスゴイ舞台機構を見られるけれども、演出意図としては意味不明。ほとんど裸舞台に立方体の枠組みがポツンと置かれた装置は、正直言って僕好みではないのですが、かといって歌の邪魔をすることなく、また「ラタプラン」のシーンでは、ベッドを動かして合唱団が大活躍する演出が、さながら「レ・ミゼラブル」の革命のシーンのようで、その迫力に酔いしれました。


2007年03月22日(木)13:00-15:10
Masquerade「マイ・フェア・レディ」@スイングホール

 全席自由 無料 G列-5番 (パンフレット:無料)
 演出:初川淳一

 イライザ:原彩子
 ピッカリング大佐:村上拓
 フレディ:土屋絢
 ゾルタン・カーパシー:宍戸一彌
 ピアス夫人:原知子
 ドゥーリトル:木村亮介
 ヒギンズ教授:初川淳一

 今月のアマチュア公演第二段です。上智大学の学生を中心とした劇団、Masqueradeによる「マイ・フェア・レディ」を観てきました。出演者は20名弱! 先日の早稲田大学のWAM企画の公演に比べても予算のなさがありありでしたが、出演者一同、張り切っての舞台でした。残念なのは録音オケ。どこから音源を持ってきたのか、とっても音質・音響が悪く、何を歌っているのか聞き取れなくなるんです。そんな中、イライザの歌は通りが良く聞きやすかったです。WAM企画の公演でも感じたのですが、女の子は舞台を見慣れているのか、結構自然に舞台上に存在しているのですが、男の子はとっても手持ち無沙汰で、その芝居は「カリブの海賊」などのオーディオアニマトロニクスのような動き。「間を持たせる」という事の難しさを改めて認識させられました。
 会場のスイングホールは劇場ではなく、舞台も奥行が4.6mしかなく、全場面がカーテン前のような演出。装置も外灯が一つに、椅子、長椅子、テーブルのみ。逆に、これだけでも「マイ・フェア・レディ」が出来るんだ、という新鮮な驚きです。通常、大使館での舞踏会シーンで一幕が終わるのですが、「大使館の舞踏会に行くぞ!」の段階で一幕終了、二幕はその舞踏会から始まるという構成。東宝公演だと3時間半はかかる作品ですが、芝居部分を大胆にカットし、休憩を含めて約二時間に刈り込んでいました。出演者のためにも、観客のためにも、この短縮は嬉しい配慮。


2007年03月23日(金)19:00-21:05
新国立劇場バレエ団「オルフェオとエウリディーチェ」@新国立劇場中劇場

 Z席 1500円 2階-3列-15番 (パンフレット:500円)

 振付:ドミニク・ウォルシュ
 指揮:デヴィッド・ガルフォース
 管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団

 エウリディーチェ:湯川麻美子
 オルフェオ:中村誠
 アムール:丸尾孝子、グリゴリー・バリノフ、冨川祐樹
 エウリディーチェ(歌手):安藤赴美子
 オルフェオ(歌手):吉川健一
 アムール(歌手):田上知穂

 新国バレエ団のエメラルド・プロジェクトの作品です。今回が初演。オペラ「オルフェオとエウリディーチェ」のバレエ化だと思っていたら、通常通り、オペラを上演。その音楽に合わせてバレエが同時進行といった作り。一つの役をダンサーと歌手の二人で演じるという面白い趣向。振付には名ダンサーのドミニク・ウォルシュを招聘という、力の入ったプロダクションです。ストーリーはバレエにあわせていじられていますし、歌手は時折本舞台に移動したり、客席降りがあったりしますが、基本的には下手花道に待機、コーラスに至っては上手花道から一歩も動かず、カーテンコールでの紹介もないほど。どこかの会社の派遣社員以下の扱い。。。
 実は、今回は一幕も二幕もやたらと意識を失っているんです。その原因は指揮者! ただでさえ平坦なグルックの音楽を、のんべんだらりと指揮しているので、変化なんて皆無。ダラダラとメリハリがないので、とっても退屈な音楽でした。リズムの切れもないので、オケの面々もとっても演奏しにくそう。カーテンコールで唯一拍手をしたくない人でした。そして、振付もゆったりした音楽とは全然マッチしているとは思えない、やたら細かくちょこまか動くもの。動きの美しさや流麗な運び、もしくはテクニックの誇示といった、僕好みの振付とは大きくかけ離れたもので、たった40分しかない第一幕が何と長く感じたことか! 二幕に入って、もじもじ君たち(アンサンブルはみんなもじも君でした)が活躍するも、湯川&中村組に「私が主役よ!」というオーラがなく、またラブシーンは色気がないため、これまた僕はパスでした。湯川麻美子は「こうもり」や「カルミナ・ブラーナ」でかなりセクシーなダンスを披露しているので期待していたのですが、中村誠に色気がマッタクなく、ダンサーとしての演技力や雰囲気作りに関してはこれまた困ったちゃん。初演作品ということもあるのでしょうが、かなり苦手なプロダクションでした。
 それはそうと、第二幕はスモークが炊かれた中でのダンスなのですが、今までに見たこともないほどの大量のスモークにビックリ。舞台上から、舞台袖から、これでもかって程にモクモク。あまりのスモーク量に舞台奥なんて見えないんです。でも、霧の中から精霊たちがボンヤリと浮かび上がってくるさまはとても幻想的でした。


2007年03月28日(火)19:00-21:00
バーン・ザ・フロア・カンパニー「Floor Play 〜フロアプレイ〜」@オーチャードホール

 B席 7500円 3階-3列-33番 (パンフレット:2000円)
 振付:Jason Gilkison ジェイソン・ギルキソン

 DANCERS
  Trent Whiddon & Veera Kinnunen
  Damon Sugden & Rebecca Sugden
  Sasha Farber & Giselle Peacock
  Damien Whitewood & Peta Murgatroyd
  Dannial Gosper & Ash-Leigh Hunter
  Robin Windsor & Jessica Raffa
  Patrick Helm & Sharna Burgess
  Tristan MacManus & Gordana Grandosek
  Carmelo Pizzino & Alana Patience
  Massimiliano Matta & Elvia Martis
 VOCALISTS
  Rebecca Verrier & Kieron Kulik

 ACT.1
  THE SAMBA
  LEADING ME ON
  THE DANCE OF LOVE
  HARLEM NIGHTS
 ACT.2
  THE LATIN QUARTER
  FIRE IN THE BALLROOM
  2AM
  CODA
  TURN THE BEAT AROUND

 今まではフォーラム・ホールAという巨大空間でのショーだったBURN THE FLOORですが、今回はぐっと小さくなってオーチャードホール。出演もダンサー20人と歌手2人という小規模なもの。が、小規模ですって!? 舞台から放たれるエネルギーは圧巻です。何しろ、各種コンテストの入賞者がズラリのカンパニーが、本気で「楽しませる」ダンスを踊っちゃうわけですから、そのテクニックの高さ、振付のビックリ度はそこんじょそこらのショーは顔負け。実は現在日比谷の某劇場で上演されている某劇団のショーとコンセプトが似てるんです。色々なスタイルのダンスを目一杯楽しんでね、という。このカンパニーと某歌劇団はなぜか同じ時期に同じコンセプトのショーを上演するという因縁があるのですが、今回も、でした。でも、観る順番を誤らなかったので、どちらも楽しんでます。これが逆の観劇だったら……ブルブルッ。スピード感と力強さ(ジャンプの高さなどもね)などは唯一無二のステージ。
 よって、僕なんぞは、開演と同時にヨダレ垂れ流しで、よだれかけプリィズ。ダンサーたちは現役バリバリなので、実はとっても若いのですが、この大人の雰囲気は日本人だと出ないのはなぜでしょう。色気はムンムンしているのに、イヤラシクはならないのですから、うらやましい限りです。基本的にブリッコ(死語?)や、幼く見えるタイプの芸は好みじゃないので、大人の雰囲気大歓迎。女性ダンサーは「私がアナタを虜にするわよっ」と目線ビシバシ、悶絶フェイスで迫ってくれば、男性ダンサーも「俺が一番セクシーだろ?」とフェロモン攻撃。ここで、変な平等主義を唱えずに、白人ダンサーのみで揃えたのがポイントで、カンパニーとしての方向性が統一されているんです。多国籍ではあるんですが、他民族(と書くとちょっと語弊はあるけれど)にはない、ローカル感がたまりません。序列もトップスターもないので、誰もが「私(俺)が一番」と思っているのがアリアリとしていて、どのダンスも手抜きなし、テクニック最高、それでいて、必死だとか根性なんて言葉は抹殺されてます。涼しい顔して高度なテクニックが繰り出されるのですから、こちらはハァハァ興奮しながら眺めるしかありません。リフトなんて軽々。いちいちリフトだなんて思う間もありません。気が付けば頭上に持ち上げてるし、上げ下げの振付も体育会系コンビならではの凝った振付。女性も可愛く媚を売ったりなんてしなくても、どんなにきざろうとも、マッチョダンサーが揃っているので、格好良いお姉さんになってしまうんです。あぁ、僕好みです、ジュルッ。
 サンバでの足さばきの見事なこと、腰付きのセクシーなこと。それが、ボールルームダンスの場面となると、ドレッシーに大変身。まるでアイス・ダンスを見ているかのように、舞台の上をなめらか〜に滑ります。バレエだと大股でノッシノッシだし、ジャズダンスだともっと上半身が動いてしまうのですが、す〜〜〜っと流れていくだけなのだぁ。そのまま、スピンはしちゃうわ、女性ダンサーはコマのように舞台の上で回されちゃうわ、圧巻。もちろん、野性的に繰り広げられる男と女のバトルあり、カラフルなスーツで踊るハードボイルドあり、ストーリーダンスあり。ソロよし、ペアよし、群舞よしの舞台は、メリハリが利いていて、あっという間の50分×2幕。客席通路も花道のように使用するので、上から見下ろすとホール全体がボールルーム! もちろん、客席も最初の場面からノリノリです。そして、バンドの面々がこれまたダンスのためや大技にピッタリ寄り添った名演奏。どんなに高級機材を用いようと、生演奏の醍醐味は録音演奏とは段違い。音響の良いオーチャードにあわせてか、意味不明の大音量もなく、一つ一つの楽器の演奏がクリアに聞かせた音響さんも◎。


2007年03月30日(金)18:00-21:05
SEIREN MUSICAL「ハウ・トゥ・サクシード」@早稲田大学学生会館 B203

 全席自由 無料 (パンフレット:無料)

 演出:中井康世

 フィンチ:前田ミ平(真矢みき/高嶋政伸/西川貴教)
 ローズマリー:大土容子(純名理沙/高嶺ふぶき/大塚ちひろ)
 バド:荻原謙太郎 (愛華みれ/黒田アーサー/藤本隆宏)
 ブラッド:佐々木堯(香寿たつき/ルー大柴/赤坂泰彦)
 スミティ:深山季恵(渚あき/真織由季/入絵加奈子)
 ビグリー:鈴木雄太(8割世界)(星原美沙緒/稲垣雅之/団時朗)
 ヘディ・ラルー:黒田ひとみ (詩乃優花/杉本彩/三浦理恵子)
 ジョーンズ:尾国由実 (美月亜優/松金よね子/浦嶋りんこ)
 ギャッチ:瀬戸宏一(東京凡人座)(海峡ひろき/ /田上ひろし)
 クラムホルツ:鷲尾真莉子(千紘れいか/寿ひずる/木下真美子)
 トゥインブル:藤田篤 (未沙のえる/おりも政夫/本間ひとし)
 ウォンパー:杉田一成 (海峡ひろき/植木等/本間ひとし)
 オヴィントン:中島信悟 (初風みどり/柄沢次郎/福山健介)
 ジェンキンス:細川貴之 (匠ひびき/赤城太郎/小林アトム)
 警備員:高柿洋祐 (沙加美怜、夢月真生)
 本の声:竹田桂(未沙のえる/ /軽部真一)
  ※( )は1996年宝塚歌劇団花組公演/2000年梅田コマ劇場公演/2007年東京芸術劇場公演

 アマチュア公演だと、配役評を書き出しても「この役ってどんなだったっけ?」となるので、今まで&今後の公演の配役を併記しておきます。梅田コマ公演は観てないのと、芸劇公演はまだ始まってないのとで、空欄があちこちに(汗) でも、こう並べてみると、役に求められるイメージが見えてくるでしょ? 今回、宝塚の公演と歌詞はほとんど一緒でしたが、演出はマッタク別物。大学ミュージカルは男キャストと男役キャストが混在することが多々ありますが、この団体はちゃんと指定された性別での上演。中年オヤジたちがかなり若い役にアレンジされていましたが、ベンチャー企業の話みたいになってて、面白かった〜。
 今回は早稲田大学学生会館内のスタジオでの公演。「学生会館なんて知らないよ〜」というボヤキが聞こえたのか、駅から会場までのナビがメールで届いてまずは感激。そして、目印描写がとってもわかりやすく「メールの通りやん」と感心しつつ会場入り。今回のスタジオは地下二階に位置するのですが、正面口(なぜか二階扱い)から階段を降りていくと、ラッパや弦楽器のウォーミングアップの音が! ここ最近の大学ミュージカルで何が不満ってカラオケ公演なこと。音質やスタイルの差が気になって楽しめないんです。そんなわけで「生演奏だなんて、さすが早稲田。ワセオケだったら良いなぁ」と思ってたら、ホントにワセオケで、単に自分たちの練習をしているだけでした。公演は音質の悪いカラオケでした(涙) でも、ちょっとした道具で場面転換のできるシンプルだけれど使い勝手の良さそうな装置、劇場の大きさを生かした的確な演出も相まって、と〜っても満足。このカンパニー、かなり好きです。
 とはいうものの、関係者たちの頑張りで不満がぶっとんでしまいました。技術的には他大学とさほど差はないと思うんです。が、舞台人としての意識が段違い。アマチュアではあるものの、プロ意識の高いカンパニーで、ゲストコントロールの時点で、しっかり&融通の利いたテキパキ対応。スタジオ公演なので、ひな壇の上にパイプ椅子を並べただけの客席なのですが、TDLにおけるレストランのごとく、空席をきちんと把握し、ゲストを誘導。席が足りなければ作る! 遅れてきた人には無言であれこれお世話。見事な連携プレーです。そして、出演者は、それぞれが役になり切ってます。照れなんて皆無で、堂々とした態度。しっかり訓練をつんでいるようで、動きに、台詞に迷いがありません。また、内輪ウケに走ったり、自分の芝居に自分(だけ)が喜んでしまって、観客が置いてけぼりなんてこともなし。常に客席からの見栄えを考慮しているのがうかがえて好印象。どうも、出演者とスタッフは完全に分業になっているようです。やっぱり、良い公演のためには掛け持ちよりも専業なんでしょうね。衣装やメイクはアメリカン・コメディなので、かなり漫画風で、女の子なんてみんなバービー人形の世界。髪の毛は外巻きだったり、ユニコーンの角みたいだったり。ドレスも60年代のアメリカのか〜わいいもの。それに合わせてメイクも今とは全然違うテイスト。こういうのってちょっとでも照れが見え隠れすると気分台無しになってしまいますが「私ってステキでしょ」と集団で間近で迫られると、よだれジュルッの美女軍団。男たちも、衣装負けせず、遊びの世界にどっぷり漬かっているのが良かった〜。テンポの良い台詞もちゃんと間といい、応酬といい、心地良い&オモロイタイミングをキープ。アドリブも適度に効かせていて、3時間にも及ぶ、長いコメディをだれることなく、最後までテンション落とさずに引っ張ったみなさんに拍手!!
 フィンチ:前田ミ平&ローズマリー:大土容子&ビグリー:鈴木雄太は揃って歌えないけれど、役者歌として台詞のように歌を語っていたので、歌唱力が全然気にならず、トリオとしてのバランスが絶妙でした。その外、バド:荻原謙太郎は玉木宏な二枚目崩しが、スミティ:深山季恵の訳知り女キャラ、ミス・ジョーンズ:尾国由実の低音ヴォイスとカリカチュアされた台詞回しがそれぞれ印象的でした。