観劇日記〜2007年05月〜
02日(水) 18:30 ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン 「熱狂の日」音楽祭2007
「144 ビルバオ交響楽団」
東京国際フォーラム ホールC カフカ
02日(水) 20:00 ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン 「熱狂の日」音楽祭2007
「たじオケ。(東京藝術大学有志オーケストラ)」
東京国際フォーラム 展示ホール(1) モルダウ
02日(水) 20:30 ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン 「熱狂の日」音楽祭2007
「145 香港シンフォニエッタ」
東京国際フォーラム ホールC カフカ
02日(水) 22:15 ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン 「熱狂の日」音楽祭2007
「146 ウラル・フィルハーモニー管弦楽団」
東京国際フォーラム ホールC カフカ
03日(木・祝) 14:45 ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン 「熱狂の日」音楽祭2007
「244 香港シンフォニエッタ」
東京国際フォーラム ホールC カフカ
03日(木・祝) 17:45 ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン 「熱狂の日」音楽祭2007
「225 ブリジット・エンゲラー(p)/ボリス・ベレゾフスキー(p)」
東京国際フォーラム ホールB7 マラルメ
04日(金・祝) 12:00 フジテレビ「ハウ・トゥ・サクシード」 東京芸術劇場中ホール
04日(金・祝) 17:00 ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン 「熱狂の日」音楽祭2007
「ベートーヴェンティアーデ室内管弦楽団」
東京国際フォーラム 展示ホール(1) モルダウ
04日(金・祝) 18:30 ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン 「熱狂の日」音楽祭2007
「ベートーヴェンティアーデ室内管弦楽団」
東京国際フォーラム 展示ホール(1) モルダウ
04日(金・祝) 19:45 ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン 「熱狂の日」音楽祭2007
「347 ムジーク・ファヴリーク」
東京国際フォーラム ホールC カフカ
04日(金・祝) 21:15 ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン 「熱狂の日」音楽祭2007
「316 ウラル・フィルハーモニー管弦楽団」
東京国際フォーラム ホールA ドフトエフスキー
05日(土・祝) 14:30 ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン 「熱狂の日」音楽祭2007
「413 東京都交響楽団」
東京国際フォーラム ホールA ドフトエフスキー
05日(土・祝) 17:00 ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン 「熱狂の日」音楽祭2007
「414 ビルバオ交響楽団」
東京国際フォーラム ホールA ドフトエフスキー
05日(土・祝) 18:30 ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン 「熱狂の日」音楽祭2007
「丸の内交響楽団」
東京国際フォーラム 展示ホール(1) モルダウ
05日(土・祝) 19:15 ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン 「熱狂の日」音楽祭2007
「415 ウラル・フィルハーモニー管弦楽団」
東京国際フォーラム ホールA ドフトエフスキー
05日(土・祝) 21:30 ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン 「熱狂の日」音楽祭2007
「416 ビルバオ交響楽団」
東京国際フォーラム ホールA ドフトエフスキー
06日(日) 14:30 ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン 「熱狂の日」音楽祭2007
「513 シンフォニア・ヴァルソヴィア」
東京国際フォーラム ホールA ドフトエフスキー
06日(日) 15:30 ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン 「熱狂の日」音楽祭2007
「尾原勝吉記念オーケストラ」
東京国際フォーラム 展示ホール(1) モルダウ
06日(日) 16:45 ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン 「熱狂の日」音楽祭2007
「514 ビルバオ交響楽団」
東京国際フォーラム ホールA ドフトエフスキー
06日(日) 18:30 ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン 「熱狂の日」音楽祭2007
「桐朋学園大学オーケストラ」
東京国際フォーラム 展示ホール(1) モルダウ
06日(日) 19:15 ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン 「熱狂の日」音楽祭2007
「515 ウラル・フィルハーモニー管弦楽団」
東京国際フォーラム ホールA ドフトエフスキー
08日(火) 18:00 東宝「マリー・アントワネット」 帝国劇場
12日(土) 12:00 来日カンパニー「エリザベート」ウィーン・コンサート・バージョン 新宿コマ劇場
13日(日) 14:00 新国立劇場バレエ団「コッペリア」プルミエ 新国立劇場オペラ劇場
26日(土) 12:30 フジテレビ「Damn Yankees」 青山劇場
27日(日) 15:00 藤原歌劇団「ヴェルディ:リゴレット」 東京文化会館



2007年05月02日(水)18:30-19:40
ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン 「熱狂の日」音楽祭2007
「144 ビルバオ交響楽団」
@東京国際フォーラム ホールC カフカ

 A席 2000円 3階-7列-16番 (パンフレット:無料)
 指揮:フアンホ・メナ
 ヴァイオリン:ネマニャ・ラドゥロヴィチ

 チャイコフスキー:ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 作品35
 チャイコフスキー:幻想的序曲「ロミオとジュリエット」

 〜人気の協奏曲とシェイクスピアの名作。チャイコよ、あなたはやっぱりすばらしい!〜

 仕事帰りの一発目なので、賑やかなコンチェルトを選んでみました。話題のヴァイオリニスト、ラドゥロヴィチは、パーマの効いたフワフワ・ヘア。カジュアルな衣装もあわせて、クラシックのソリストというよりも、ロックバンドに登場しそうな雰囲気。でも、お辞儀はいきなり180度! 髪の毛がばっさり前に垂れて、うなじまで見せてくれるのが面白かった〜。
 チャイコのコンチェルト=コッテリ濃厚というイメージを抱いていましたが、ラドゥロヴィチのソロはとても柔らかな印象。力技で押すのではなく、豊富な音色を生かした、音のパレット。力みなく、自然体のチャイコでした。今までにないタイプのヴァイオリニスト。観客を熱狂させる、というタイプの演奏ではありませんが「また聴きたい」と思わされます。オケは…ちと雑だったかな。ソリストに合わせてか、コッテリ感ナシの演奏。
 ビルバオ交響楽団は名前すら知らなかったのですが、スペインの団体だそうです。女性奏者が舞台上にハンドバックを持って登場するのは、治安の問題があるのかなぁ。かつて、某東欧のオーケストラの来日公演の時も、女性奏者はハンドバックを舞台に持ち込んでました。


2007年05月02日(水)20:00-20:20
ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン 「熱狂の日」音楽祭2007
「たじオケ。(東京藝術大学有志オーケストラ)」
@東京国際フォーラム 展示ホール(1) モルダウ

 全席自由 無料 (パンフレット:なし)
 指揮:田尻真高

 ボロディン:だったん人の踊り

 アマチュア団体と言われると、ちと違和感がありますが、芸大オケの登場です。それもたじオケ。先月の芸大学生オケが大人しい生徒ばかりゆえ、僕としては不完全燃焼だったものを払拭してくれました。「私の音楽を聴きなさい!」といわんばかりの、張り切り系お姉さまヴァイオリニストがわんさか。これぞ芸大ってもんです。生徒の募集要項に「格好良いお姉さんであること」が書かれているに違いありません!(男は…いろいろだわなwww)。展示ホールなので音響は良くないけれど、ノリノリの音楽だったので、思わず腰を振り振り踊ってしまいました。


2007年05月02日(水)20:30-21:20
ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン 「熱狂の日」音楽祭2007
「145 香港シンフォニエッタ」
@東京国際フォーラム ホールC カフカ

 A席 1500円 3階-7列-16番 (パンフレット:無料)
 指揮:下野竜也

 ドヴォルザーク:交響曲 第9番 ホ短調 作品95「新世界より」

 〜ニューヨークから発信する祖国への郷愁。名曲中の名曲を、あらためて隅々まで味わう〜

 木管が素晴らしく、中でもフルートの女性奏者二人なんて、常に音楽に体ごと漂っていて、演奏も柔らかくて伸びやかな音。もう惚れ惚れ。そして、かの有名なイングリッシュ・ホルンのソロにいたっては、悠々とした歌い口に、フォーラムから大草原へと連れ去られました。
 オケの面々が今回のコンサートをとっても楽しんでいるのが三階席まで伝わってきて、お馴染みの名旋律の数々を「どう? 楽しいでしょ?」と確認しながらのコンサート。


2007年05月02日(水)22:15-23:20
ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン 「熱狂の日」音楽祭2007
「146 ウラル・フィルハーモニー管弦楽団」
@東京国際フォーラム ホールC カフカ

 A席 1500円 3階-3列-1番 (パンフレット:無料)
 指揮:ドミトリー・リス

 ラフマニノフ:交響曲 第2番 ホ短調 作品27

 〜ロシアの大河文学を思わせる甘美とロマン。形容しがたい魅力を持つ感動の交響曲〜

 本日のオケは上記三つともがお祭り色が高い演奏だったのですが、いきなり金メダリストの登場。そもそも、ソロがソロとして聞こえず、オケ全員が一つの楽器になったかのよう。テクニックの心配なんて皆無。でも、テクニックを前面に出すのではなく、そんなテクニックを駆使して音を積み上げちゃうのですから、脳内麻酔状態。ヨダレ垂れ流しで音楽に浸ってきました。オケの演奏でこんなに感動したのって久しぶり。弦の厚みも管の抜けも「今日はずっと同じホールで聴いてるよね?」と自問自答しちゃう位。演奏後に絶叫のように「ブッラボ〜」と客席が吼えたのも当然! 凄かった!!!


2007年05月03日(木・祝)14:45-15:30
ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン 「熱狂の日」音楽祭2007
「244 香港シンフォニエッタ」
@東京国際フォーラム ホールC カフカ

 A席 1500円 3階-9列-24番 (パンフレット:無料)
 指揮:葉詠詩
 ヴァイオリン:ルノー・カプソン

 シベリウス:ヴァイオリン協奏曲 ニ短調 作品47
 シベリウス:交響詩「フィンランディア」 作品26

 〜今年はシベリウス没後50年。フィンランドの冷気を愛国心で熱くする、代表作2曲を〜

 カプソンのヴァイオリンが絶品です。リリカルな音&歌い口なのですが、音圧がギューっとつまってて、男性的な線のたくましさを持った音。シベリウスのコンチェルトはキューンと嫌な響きになってしまうパッセージが何度も登場するのですが、カプソンの音は常に安定していて心地よかったです。そして、最近の若手としては珍しく、テクニックよりも、思い入れを前面に出した(ように聞こえる)演奏が実に魅力的でした。
 オケのみによる「フィンランディア」は賑やかだし変化に富んでて好きな曲なのですが、香港シンフォニエッタはカプソンとは対照的にアッサリした演奏。演奏姿は熱演なのですが、音は熱くないような気がしました。民族の解放を描写した曲なので、個人的にはもっとカタルシスを感じさせてくれる演奏の方が好き。


2007年05月03日(木・祝)17:15-18:00
ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン 「熱狂の日」音楽祭2007
「225 ブリジット・エンゲラー(p)/ボリス・ベレゾフスキー(p)」
@東京国際フォーラム ホールB7 マラルメ

 全席指定 1500円 3列-3番 (パンフレット:無料)
 ピアノ:ブリジット・エンゲラー、ボリス・ベレゾフスキー

 ラフマニノフ:組曲 第1番「幻想的絵画」 作品5
 ボロディン:だったん人の踊り(歌劇「イーゴリ公」より)(2台ピアノ版)
(アンコール)
 ボロディン:だったん人の踊り(歌劇「イーゴリ公」より)(2台ピアノ版)

 〜はっきり言って、濃いですぅ〜連綿たる情緒、トゥルクのダンス……ピアノ2台の大饗宴〜

 今回のラ・フォル・オ・ジュルネにおけるトップスター(と勝手に思ってます)のベレゾフスキーの登場です。彼が共演者に選んだのはなんと20歳の若手ピアニスト。大柄なベレゾフスキーと小柄なエンゲラーとあって、なんだか親子共演みたい。毎度のことながら、強靭なテクニックとフルコンすら小さく見えてしまう体躯のベレゾフスキー。会場に轟くfffから、軽やかなpppの装飾音まで、変幻自在、なんでもござれ。彼のように「選ばれてピアノを弾く」人と接すると、なんだか自分がピアノを弾くのが申し訳なく思えてきます。それにしても、相変わらず、登場と演奏の際は愛想が悪いです。なんだか大熊登場、みたいな迫力で怖いくらい。でも、終演後にニッコリ笑うと、途端にテディベアに変貌。可愛いです。僕は席番こそ3列目ですが、下手ブロックは3列目から始まるので…最前列。おまけに入退場口の目の前。何度も目が合って、僕が喜んでるのを見て、ベレゾフスキーがニヤッとしてくれたのが嬉しい!!
 エンゲラーはベレゾフスキーに及ぶべくもありませんが、力いっぱいぶつかっていく、生きの良い演奏。鋭いパッセージで切り込みを入れるのが快感。ベテランに支えられて、思う存分演奏している姿は、のぼぉちゃん&練木さんを思い出します。譜めくりストが不調で、ピアニスト自らが何度かめくっちゃうのは、伊都子さん&ヤマハホールのおじさんと一緒www
 それにしても、スケジュールがキチキチのラ・フォル・ジュルネは、アンコールなしが通常なのですが、カーテンコールの際に二人が楽譜を抱えて登場したのにはビックリ。「だったん人の踊り」はかなり長い曲なので、一部で終わるかと思いきや、全曲弾いてくれました。満足〜。


2007年05月04日(金・祝)12:00-14:45
フジテレビ「ハウ・トゥ・サクシード」@東京芸術劇場中ホール

 S席 11000円 1階-S列-20番 (パンフレット:2200円)
 演出:菅野こうめい

 フィンチ:西川貴教(真矢みき/高嶋政伸)
 ローズマリー:大塚ちひろ(純名理沙/高嶺ふぶき)
 バド:藤本隆宏 (愛華みれ/黒田アーサー)
 ブラッド:赤坂泰彦(香寿たつき/ルー大柴)
 スミティ:入絵加奈子(渚あき/真織由季)
 ビグリー:団時朗(星原美沙緒/稲垣雅之)
 ヘディ・ラルー:三浦理恵子(詩乃優花/杉本彩)
 ジョーンズ:浦嶋りんこ(美月亜優/松金よね子)
 ギャッチ:田上ひろし(海峡ひろき/ )
 クラムホルツ:木下真美子(千紘れいか/寿ひずる)
 トゥインブル:本間ひとし(未沙のえる/おりも政夫)
 ウォンパー:本間ひとし(海峡ひろき/植木等)
 オヴィントン:福山健介(初風みどり/柄沢次郎介)
 ジェンキンス:小林アトム(匠ひびき/赤城太郎ム)
 本の声:軽部真一(未沙のえる/ )
  ※( )は1996年宝塚歌劇団花組公演/2000年梅田コマ劇場公演

 個人的な意見ですが、すでに訳詩が定着している作品の歌詞を変えられると違和感あるんですよねぇ。歌詞の意味が同じなだけに、全部歌詞を覚えているわけじゃないけれど、脳内で処理するものと、耳から入ってくるもののギャップに苦しみます。スタッフとしては変えたいんでしょうね。特に今回は「時代を現代に移しました」という設定なので。でも、本→メルマガなどに小細工しても、そもそもの人物設定や相関関係が古めかしい作品なので、効果は出てないみたい。。。メールなのに、電話の着信音を利用するなど、詰めの甘さも見られましたし。古い設定のままでも、無理が出ない分良かったんじゃないかなぁ。
 さて、この作品はコメディです。が、ぜんぜん笑いが弾まないんです。原因としては(1)主演の西川貴教がコメディ=下品にすれば良いと勘違いしていること。(2)主要キャストのあ何人かにコメディセンスがなく、せっかくの設定や台詞が笑いにつながらないこと。(3)コメディ芝居のスタイルが役者によって異なり、芝居全体の統一が取れてないこと。の三つが大きいのではないかと見受けられます。
 西川貴教は、観客を喜ばせる前に自分が喜んでしまうタイプの役者なので、一人で勝手に暴走してしまい、観ているこちらはドッチラケ。決め台詞が滑ってしまったり、芝居にメリハリがなかったり、観ていてかなりツラカッタです。以前「リトル・ショップ・オブ・ホラーズ」を観た時は、かなりちゃらんぽらんでOKの役だったので、芝居にすっぽりはまりましたが「H2$」では、フィンチの大らかさがなく、ずるがしこさが前面に出てしまったばかりに、主役としての魅力がなくなってしまったのが残念。掃除扶ではあっても、品格があってこそ大企業内で人がついてくるもんだと思うんですよねぇ。彼がモテモテで、上司たちにも愛されるのが納得できない!! 歌はヴィヴラート過多で、オーソドックスではないけれど「他キャストとは違う=主役ね」という差異として、僕には許容範囲でした。元々、歌い上げる曲あまりないし。
 女性陣はおおむね快調で、芝居を盛り上げてくれます。ローズマリーの大塚ちひろは歌も芝居も安定していて、高感度大。すみティの入絵加奈子は歌に芝居に作品を引っ張ります。コメディも舞台上での自分のポジションを把握した上で、自在に芝居を調節。出来るオンナでありながら、夢見る部分も変幻自在に表現していて、助演女優賞モノです。ローズマリーとスミティの場面は安定してます。ヘディ・ラルーも手の付けられないお馬鹿さんでありながら、どこか愛らしさが残っていてまずまず。
 が、頼りないのは男性陣。バドの藤本隆宏はせっかくの美味しい役なのに、台詞はベタベタ一本調子だし、コメディ・リリーフとして盛り上げてほしい場面は不発だし、得意のはずの歌も、声質が災いして歌詞が聞き取れない状態。好きな役者さんだけに、観ていて痛々しかったです。本来、笑いを一手に引き受ける役なのに、全然笑えないなんて。。。彼に限らず、男性陣は「コメディやるぞ〜!」という頑張りが前面に出てしまい、作品のバドに関しては早稲田大学の学生さんの方がずっと達者で面白かったです。(真矢みきのフィンチが注目を集めていましたが、今思えば、愛華みれのバドは絶品でした!) 持つ軽やかさを殺してしまったのは、演出が問題なのか、日本のミュージカルの層の薄さが問題なのか、僕にはわかりません。でも、女優が化けられるのであれば、男優も化けられるはず。はじけている女優と、アップアップしている男優。全員が同レベルであれば気にならないところですが、差がある=目立つんですよねぇ。
 そんな中、登場こそしないものの、軽部真一のメールの声は淡々とした中にユーモア溢れた言い回しで面白かったです。ただし、NYの話なのに、フジテレビの話のようになってしまって、芝居の世界から現実の世界に連れ戻されてしまうのは参った! ヌーブラや関西テレビの問題がなぜここで必要なのか? 観客を無理やり笑わそうとあがくコメディは見苦しいです。
 ついでながら、振り付けも下品極まりない動きが多く、出演者たちが懸命に踊っている割に見栄えがしないのも気の毒。衣装も宝塚も真っ青なハデハデスーツが登場しますが、パーティ場面の衣装が地味だったりと、全体的にセンスの悪さが際立った印象。時を現代に移したのであれば、もっと「今のNY」を感じさせるセンスがほしかったです。


2007年05月04日(金・祝)17:00-17:25
ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン 「熱狂の日」音楽祭2007
「ベートーヴェンティアーデ室内管弦楽団 Aプログラム」
@東京国際フォーラム 展示ホール(1) モルダウ

 全席自由 無料 (パンフレット:なし)
 指揮:益田公彦

 ビゼー:交響曲ハ長調 より 第1,3,4楽章
(アンコール)
 チャイコフスキー:弦楽セレナード より「ワルツ」

 バランシンのバレエでお馴染みのあの曲です。カラー版だと「水晶宮」、白黒版だと「シンフォニー・イン・C」のタイトルを聞けばピンと来る方も多いのでは? 立ち見だったので、音楽に合わせて体を振って楽しんできました。そういえば、クラシックのコンサートってかしこまって聴くばかりで、体を揺すってもOKというのは少ないですね。
 僕にとってオーケストラは身近な仲良しさんですが「本物のオーケストラだぁ♪」と喜んでいる人を目にすると、この音楽祭がいかにクラシック音楽の普及に貢献したか、スタッフでもないのに嬉しくなってしまいます。小さな子がお父さんに肩車(抱っこの子も!)されて、短い時間だけれどもジーっと舞台を見つめていると「将来、チケットに苦労するぞ〜」と余計な心配をしちゃったりしてwww


2007年05月04日(金・祝)18:30-19:00
ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン 「熱狂の日」音楽祭2007
「ベートーヴェンティアーデ室内管弦楽団 Bプログラム」
@東京国際フォーラム 展示ホール(1) モルダウ

 全席自由 無料 (パンフレット:なし)
 指揮:益田公彦

 スメタナ:「売られた花嫁」序曲
 ドヴォルザーク:スラヴ舞曲集 作品46 第1番 ハ長調
 ドヴォルザーク:スラヴ舞曲集 作品72 第2番 ホ短調
 ドヴォルザーク:スラヴ舞曲集 作品72 第7番 ハ長調

 今日は時間に余裕があったので、17:00のコンサート終了後はそのまま席取り。とはいえ、正面席は争奪戦だったので、舞台真横のブロック、それも最後列をどうにか確保。弦楽器の掛け合いが楽しい「売られた花嫁」は音響の関係で、ティンパニに音がかき消されました(涙) 司会者も言ってましたが、最近この曲はとんとオケの定演で取り上げられなくなりましたね。モーツァルトの「フィガロの結婚」序曲にノリが似てて、僕はかなり好きな曲です。元気がもらえます。「スラヴ舞曲」はお馴染みの名旋律。弦楽器がなんと色っぽいこと。この曲はピアノ連弾でもお馴染みですが、オーケストラ版の方が好きです。
 なお、ベートーヴェンティアーデ室内管弦楽団(自称:ベトティア)は、ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポンの第一回目の際に結成されたんだそうです。そういや、一回目のテーマ作曲家はベートーヴェンでしたっけ。レギュラーのプロ演奏家は多いけれど、このお祭りのために結成されたオケが継続して活動を続けているというのは嬉しくなります。来年も登場するのかな。


2007年05月04日(金・祝)19:45-20:50
ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン 「熱狂の日」音楽祭2007
「347 ムジーク・ファヴリーク」
@東京国際フォーラム ホールC カフカ

 S席 3000円 2階-12列-35番 (パンフレット:無料)
 演奏:ムジーク・ファブリーク
 合唱:カペラ・アムステルダム
 ソプラノ:キャロライン・サンプソン
 アルト:スーザン・パリー
 テノール:フセボロド・グリヴノフ
 バス:デイヴィッド・ウィルソン=ジョンソン

 バルトーク:2台のピアノと打楽器のためのソナタ Sz.110
 ストラヴィンスキー:バレエ音楽「結婚」

 〜4台のピアノと打楽器がオケ替わりの傑作「結婚」。バルトークの名作も合わせて楽しむ〜

 開演直前に「飛行機のトラブルにより、荷物がロンドン空港に到着しています。本日は軽装で失礼します」というアナウンスあり。とたんに「頑張れ〜」と言わんばかりの拍手が沸きあがりました。会場の雰囲気、暖かくて良い感じです。ムジーク・ファブリーク(消臭剤みたいな名前!)はドイツの団体だし、カペラ・アムステルダムはオランダの団体なんですが。。。明日の夕方にも同プログラムの演奏会があるのですが、衣装は間に合うんやろか?(ロンドン空港ってヒースロー? ガトウィック??)
 さて、複数ピアノの演奏というだけで購入してしまった今回のコンサート。昔、のぼぉちゃんも参加していた、アンサンブル・ノマドみたいな団体のようで、現代音楽を得意としているとのこと。うっ、実は苦手なんでした〜>現代音楽 ま、音楽祭ならではの買い物ってことで、普段は選ばないものを聴いてみるのも良いかな、と。バルトークもストラヴィンスキーも、正直良くわからない曲でしたが「何だかわからないけれど、凄い!」演奏でした。技術は高く、アンサンブルとしての掛け合いも緊張感に溢れてるんです。心地良い音楽は睡魔に襲われることがあるけれど、現代音楽って不思議と睡魔とは無縁です。かといって、メロディが覚えられるでなく、も一度聴きたいわけでもないけれど。。。
 このコンサートで一番スゴイと思ったのは聴衆の面々。摩訶不思議な演奏ではあったけれど、じっと聴き入り、その演奏能力に対しては熱狂的な拍手喝采。バルトークなんて、打楽器もピアノも音を止めることなく、最後の最後に消え去るまで指揮者はフリーズなのですが、聴衆は誰もフライングせず、全員で息を潜めていたので、無音の美しさを感じることができました。このレベルの高い聴衆に出演者も目を見開いて大喜び。カーテンコールはどちらが喜んでるのかわからない状態でした。僕も、何となく熱気に飲まれて盛大な拍手を贈りましたが、前述のように、実は何もわかってなかったりして。。。ま「とりあえずスゴイ」というのが伝わってきたので、素晴らしい演奏だったのでしょう(笑)


2007年05月04日(金・祝)21:15-22:30
ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン 「熱狂の日」音楽祭2007
「316 ウラル・フィルハーモニー管弦楽団」
@東京国際フォーラム ホールA ドフトエフスキー

 S席 3000円 1階-30列-34番 (パンフレット:無料)
 指揮:ドミトリー・リス
 ヴァイオリン:庄司治沙矢香
 ピアノ:ボリス・ベレゾフスキー

 チャイコフスキー:ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 作品35
 チャイコフスキー:ピアノ協奏曲 第1番 変ロ短調 作品23

 〜チャイコフスキーの2大協奏曲を一度に味わえる豪華プログラム。実力派ソリストにも注目〜

 今年のラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポンのハイライトとも言えるプログラム。夜遅くの開演だというのに、5000人収容の東京国際フォーラム ホールAが満席です。でも、ソリストの凄さを見せ付けられたとんでもないコンサートでした。
 最初に登場の庄司沙矢香は、大柄で腕達者なウラル・フィルのソリストとして登場した瞬間は「日本の小娘が何しに来たの?」な感じ。ハイヒール履いてても、子供にしか見えませぬ。一昨日のウラル・フィルの演奏会に感激しているだけに「音量は大丈夫か? ちゃんと相手にしてもらえるのか?」な心境。だって、ロシアを代表するコンチェルトですよぉ。フィギュア・スケートの世界選手権ロシア大会に日本人選手が登場したような感覚。が、演奏が始まるやいなや、庄司沙矢香の凄さを思い知らされることになりました。チャイコのコンチェルトは短い前奏のみでソロが始まるのですが、一瞬にして戦闘態勢。顔つきがガラリと変わって、恐ろしい位。そして、いざソロがはじまったら…巨匠的演奏。僕の40歳アッサリ演奏説をくつがえす、真っ向勝負の大きな演奏。チャイコフスキーならではの大きなうねるようなメロディもゆったりタップリ歌い上げ、見た目に反した野太い音色にぶったまげました。それでいて、繊細な部分はこれ以上になく優雅で美しい音。とにかく、音色の幅がやたらと広いんです。カデンツァ部分なんて、オケのヴァイオリニストたちは「何なの、この子?」って顔でジーっと見入ってるし、管楽器のおじちゃんなんてやたらと嬉しそうにしてました。頻繁に合わせている組み合わせでないので、ところどころ息の合わない部分はありましたが、庄司沙矢香がオーケストラを圧した状態。キ〜ッとなって弾いていたはずが、時折余裕の微笑みを指揮者に投げかけたりして、何だか世界選手権で金メダルを取ったかの様相。「これが私の実力よっ!」的、自信と強さがビシバシ。世界をまたにかけて活躍するソリストの底力をまざまざと見せ付けられました。まだ若いのに、近寄りがたい風格(怖いんですよぉ)があります。
 でもって、後半は子供→大男へソリストが入れ替わり、王者ベレゾフスキーが登場。ピアノの能力を最大限に引き出すピアニストで、オーケストラがどんなにfffに鳴ろうとも、絶対にピアノの音が聞こえる! それも決して叩きすぎじゃなく、力強いいかにもロシアな音。チャイコフスキー・コンクール優勝の看板に偽りなしです。彼の演奏を聴くと「ピアノは男性の楽器である」と言われ続けているのが納得。チャイコンは古今東西のピアノ・コンチェルトの中で最高のものと僕は勝手に思っているのですが、どんなに難しいパッセージもいともたやすく弾いてしまうので、ブラボーと叫ぶ気力が失せるんですけど(笑)、細やかさよりも、豪快でダイナミックさを前面に出した演奏は、ちと時代がかってますが、その演奏からカタルシスが得られること必至。オクターブや和音の強打の連続は余裕シャクシャクで、そのスピード感は唯一無二。音で遊ぶピアニストや、とてつもないテクニックを駆使するピアニストの演奏を聴くと、出来る出来ないは別として「真似してみよう」と、さっさと帰宅してピアノが弾きたくなりますが、そもそもの資質が別格のピアニストに出会うと、なんだか「いくら練習しても無駄だよねぇ」とエネルギーがもぎ取られてしまいます。無骨な指で、とってもピアノ弾き向きとは思えないのですが、オペラグラスで眺めても、あまりの速弾きに、指さばきが良くわからないんですよねぇ。拳の塊の下で何が行われているんだか!!


2007年05月05日(土・祝)14:30-15:30
ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン 「熱狂の日」音楽祭2007
「413 東京都交響楽団」
@東京国際フォーラム ホールA ドフトエフスキー

 S席 3000円 1階-13列-64番 (パンフレット:無料)
 指揮:井上道義
 ピアノ:小曽根真

 ガーシュウィン:へ調のピアノ協奏曲
 ガーシュウィン:ラプソディ・イン・ブルー

 〜「のだめ」ドラマ版で大人気!のガーシュウィンを世界のオゾネが華麗に、ジャジーに〜

 馴染みのオケの公演が完売御礼。ファンとしてはホッとする瞬間です。もっとも、本日はコンマス=矢部ちゃん、チェロトップ=田中さんで、のぼぉちゃのはOFF。ふんっ。都響、日本代表として頑張ってました。弦の音が柔らかくて軽いのが特徴。ラプソディ・イン・ブルー冒頭のボヘェ〜というClのソロが心地よかったです。
 この公演、当初は鑑賞予定ではなかったのですが、久しぶりに連絡のついた知人からチケットが回ってきました。指揮の井上道義は宝塚のショーに登場するような、白地に文字のような模様の入ったスーツ、小曽根真は最近の安奈淳が良く着ている女性物燕尾のようなデザインのシャツ。おじ様方=オーソドックスで地味なことが多い中、ステージがパッと明るくなります。古典派のピアノコンチェルトだと違和感があるでしょうが、ガーシュウィンですから、ノリノリ大歓迎です。
 実は小曽根真=コマーシャルの人、という認識しかなく、キャッチコピーの「世界のオゾネ」を見ても「ふぅ〜ん」なのですが、ラ・フォル・ジュルネの会場内に入店している島村楽器のギター担当のスタッフさんは、ベーゼンドルファー(スタインウェイと並ぶピアノの2大ブランド)を知らなかったのでお互いさま。して、彼の演奏を初めて生で聴いたのですが、今まで聞いたガーシュウィンの中でもっとも崩したもの。装飾音も早いこと早いこと。クラシック系のピアニストは粒を立てて、音を縦に取った演奏をしがちですが、小曽根真の演奏は音を流して、音を横に捉えた演奏、といった印象を受けました。非常に流れが良いです。坊っちゃん、坊っちゃんした外見なので、音もそれなりかと思いきや、オケに負けずに良い音響かせてましたし、何よりもごまかしなしでシッカリ弾き切っちゃうあたり、かなりの実力者と思われます。その反面、メリハリが僕の好みほどはついてないので、似たような曲が続くと…飽きちゃいました(汗)
 それにしても、指揮者や共演者とアイコンタクトを取るソリストは良く見るけれど、観客にアイコンタクトをタップリ取るだけでなく、ニコニコ笑いかけながら演奏するソリストって初めて見ました。ちょっと羨ましい。。。


2007年05月05日(土・祝)17:00-17:50
ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン 「熱狂の日」音楽祭2007
「414 ビルバオ交響楽団」
@東京国際フォーラム ホールA ドフトエフスキー

 S席 2500円 1階-19列-13番 (パンフレット:無料)
 指揮:フアンホ・メナ
 ピアノ:小菅優

 ラフマニノル:パガニーニの主題による狂詩曲 作品43
 リムスキー=コルサコフ:スペイン奇想曲 作品34

 〜ロシアの名シェフが料理したイタリア&スペインの好具材。世界の小菅の味付けも特注〜

 本日のメインイベントです。「ラフマニノル:パガニーニの主題による狂詩曲」の聴き比べ。小菅優 vs ボリス・ベレゾフスキー。まずは小菅優から先制攻撃。庄司沙矢香の時も感じたことですが、小菅優の演奏も「男」です。迷いや駆け引きなんてありゃしません。ズバズバ潔く音楽に切り込んで生きます。このあたり、まるで武士道みたいで格好良いです。この小菅優は出刃包丁ではなく、ぺティナイフで手際よく切り込みを入れて調理するタイプ。線の太いピアニストではないのですが、的確に素材にダメージを与えていきます。煮崩れしないように面取りしたり、アク抜きしたりの処理が的確で「上手いなぁ、この人のピアノ」と、とっても勉強になりました。第18変奏も甘さよりも涼やかさが勝る演奏。無駄がなくシンプルなだけに、ゆるぎない音楽造りやテクニックが堪能できました。スゴイです、この人。
 武士道のようなパガニーニの後は一転してお祭り騒ぎのスペイン奇想曲。ビルバオ交響楽団はスペインの団体なのでお家芸ですね。正直、アンサンブルの精度はあまり高くない団体なのですが、逆にそれざ雑多な雰囲気をかもし出して楽しい。


2007年05月05日(土・祝)18:30-19:00
ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン 「熱狂の日」音楽祭2007
「丸の内交響楽団」
@東京国際フォーラム 展示ホール(1) モルダウ

 全席自由 無料 (パンフレット:なし)
 指揮:高原守

 チャイコフスキー:「白鳥の湖」より 情景、ワルツ
 チャイコフスキー:交響曲第5番より 終楽章

 社会人によるアマチュア・オーケストラとのことですが、なかなかレベルが高いです。白鳥の湖はとてもドラマティックな仕上がりで、ジークフリートとロートバルトの戦いが目に浮かぶ名演でした。プロと違って、アマチュアの場合、一曲にかける練習期間が長いので、時にして予想以上の名演にめぐり合うことになります。交響曲第5番も全曲聴いてみたいと思わせる好演。
 でも、実は演奏を聴きながら、島村楽器のブースにつかまっていて、500万円のピアノを買って→各種ピアノを展示してあるスタジオに遊びにいらっしゃい、など、安いコンサートに来て、高い買い物をしちゃうところでした。もちろん、先立つものがないから話は流れるのだけれど、僕のピアノも満25歳。オーバーホールも行ってはいても、そろそろ新しい高性能の楽器が欲しいな……と。そして、島村楽器は我が家の近所が本拠地なので…なかなか離してくれない(笑)


2007年05月05日(土・祝)19:15-20:05
ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン 「熱狂の日」音楽祭2007
「415 ウラル・フィルハーモニー管弦楽団」
@東京国際フォーラム ホールA ドフトエフスキー

 S席 3000円 1階-16列1番 (パンフレット:無料)
 指揮:ドミトリー・リス
 ピアノ:ボリス・ベレゾフスキー

 ラフマニノル:パガニーニの主題による狂詩曲 作品43
 ムソルグスキー:交響詩「禿山の一夜」
 ボロディン:交響詩「中央アジアの草原にて」

 〜ロシア屈指の名手が放つ鮮烈なピアニズムと、管弦楽による情景描写の妙を一挙に堪能〜

 パガニーニ対決の後攻はベレゾフスキー。正統派ロシアンピアノといった貫禄。彼こそ出刃包丁で大胆に切り込んでいく料理人です。同じホールで、同じピアノを演奏しているのに、音色からして全然違うんです。重くて太くて濃厚で。満腹感に浸ることが出来ます。それでいて、愚鈍なピアニストではなく、細かなパッセージもしっかりこなしてしまうのですから、ピアノのシェフの道は険しいですねぇ。ピアノを弾くべき人が弾いているので、何も口を挟むことはありません。ただもう「感服っ」と聴き入るのみ。オクターブの連打や、広範囲にわたる音の跳躍など、同じ人間とは思えない。小菅優とは対照的にとってもロマンティックなピアノを弾く一昔前のピアニスト……と書いてて、実は1969年生まれなのを思い出しました。ウソでしょ〜。50歳位に見えます。体系といい、動きといい、老けすぎ。。。王者の貫禄と言えば聞こえは良いけれど、僕と2つしか違わないなんて(涙)
 ウラル・フィルはビルバオ響とは対照的に、緻密なアンサンブルと響きが持ち味のオーケストラ。交響詩に描かれている絵が眼前に広がるような、そんな気分になる演奏でした。国際フォーラム ホールAは5000人収容とあって、そりゃ巨大ですが、音は癖がなくって聴きやすいホールだと思います。


2007年05月05日(土・祝)21:30-22:30
ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン 「熱狂の日」音楽祭2007
「416 ビルバオ交響楽団」
@東京国際フォーラム ホールA ドフトエフスキー

 A席 1500円 2階-8列-56番 (パンフレット:無料)
 指揮:フアンホ・メナ

 ラヴェル:亡き王女のためのパヴァーヌ
 ラヴェル:バレエ音楽「ダフニスとクロエ」第2組曲
 ラヴェル:ボレロ


 〜音とリズムの競演の中に眠る柔和な皇女。ラテンの香り立つ“管弦楽の魔術師”名作選〜

 スペインのオーケストラによるフランス音楽を集めたプログラム。繊細な淡い色合いというよりも、個性豊かな強烈な色合いです。パヴァーヌも思わずラブシーンを想像してしまうような濃厚なもの。エロティックでした。ダフクロは「合唱なし版」と「合唱あり版」を今日・明日で聴き比べる予定です。今日は「合唱なし版」です。この曲は明日登場の晋友会合唱団の狂乱ぶりが、今から想像できて「ムフフ」なのですが、今日は指揮者が一人で大活躍。はて、今回はバレエ・ダンサーと共演やったっけ?と錯覚してしまいそうなほどに、指揮台の上で飛んで跳ねて悶えて、オペラグラス釘付け。ボレロにいたっては、ジョルジュ・ドンも真っ青な官能的なソロを見せてくれました。オケも祝祭色が強く、どんどん壊れていくのが見もの・聞き物。明日、合唱団が加わったら、どうなっちゃうことやら。うぉ〜楽しみ(ジュルッ)


2007年05月06日(日)14:30-15:15
ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン 「熱狂の日」音楽祭2007
「513 シンフォニア・ヴァルソヴィア」
@東京国際フォーラム ホールA ドフトエフスキー

 S席 3000円 2階-4列-56番 (パンフレット:無料)
 指揮:ミシェル・コルボ
 ソプラノ:アナ・キンタンシュ
 バリトン:ピーター・ハーヴィー
 合唱:ローザンヌ声楽アンサンブル

 フォーレ:レクイエム 作品48

 〜昨年感動をくれた名匠コルボ、ふたたび! 世界が認める絶品のフォーレを味わう幸福〜

 ほとんど室内楽の編成。コーラスも少人数。5000人収容の大ホールなのに、決して音を荒げることなく、フワッとしていてやさしいフォーレでした。柔らかな響きをタップリ堪能。お祭り騒ぎの中、開演間際まではザワザワしている聴衆一同を、一瞬にしてフランスの香りの空間にいざなうあたり、かなりの実力。同じプログラムを5回も繰り返すあたり、人気のほどがうかがわれる演奏団体です。決して派手なことはないけれど、安心して、ゆったり気分で楽しめます。最終日「しんどいなぁ」と不埒なことを考えながら席についた僕でしたが、思わず襟元正して座りなおしちゃう、そんな品格がありました。


2007年05月06日(日)15:30-15:55
ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン 「熱狂の日」音楽祭2007
「尾原勝吉記念オーケストラ」
@東京国際フォーラム 展示ホール(1) モルダウ

 全席自由 無料 (パンフレット:なし)
 指揮:夏田昌和

 ドヴォルザーク:スラヴ舞曲集 作品46 第1番 ハ長調
 ドヴォルザーク:スラヴ舞曲集 作品72 第2番 ホ短調
 ドヴォルザーク:スラヴ舞曲集 作品46 第6番 ニ長調
 ドヴォルザーク:スラヴ舞曲集 作品46 第8番 ト短調

 明治大学OBによるオーケストラだそうです。かなり年配のメンバーもお見受け。アマチュアとはいえ、かなり実力の高いオーケストラで、テクニックはもとより「楽しんでますか? 僕たちは楽しんでますよ!」という聴衆へのアピール力は展示ホールでのコンサートの中ではピカイチ。美味しいワイン片手に、心地よく体を揺らしちゃいました。お酒をチビチビ飲みながら聴けるコンサート、これからも増えると良いなぁ。体も自由に動かせるし、リクライニング・チェアに寝そべって聴くよりもきっと楽しいぞぉ。
 今年のフォル・ジュルネは「民族のハーモニー」がテーマとあってか「スラヴ舞曲」と「だったん人の踊り」の演奏が多かったように思えます(正確な登録とったら違ったりして・汗) 曲そのものが魅力的なのはもちろんですが、演奏者によって、味わいがかなり異なる面白さがあるのも人気の秘密かもしれません。きっちりまとめても良し、ラフに演奏してみても良し。演奏の幅を許容する懐の広さがあるんですよ、これらの曲には。民族を鼓舞するにはそれくらい大物じゃないと駄目なのかもね。


2007年05月06日(日)16:45-17:55
ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン 「熱狂の日」音楽祭2007
「514 ビルバオ交響楽団」
@東京国際フォーラム ホールA ドフトエフスキー

 S席 3000円 1階-15列-4番 (パンフレット:無料)
 指揮:フアンホ・メナ
 合唱:晋友会合唱団

 ラヴェル:バレエ音楽「ダフニスとクロエ」

 〜幻想的な美しさと情熱的激しさを併せ持つラヴェルの最高傑作。ラストは大興奮確約!〜

 アンサンブルとしてはどうよ?な雑多さがあるものの、ラテン系演奏家が各自勝手に乱れて悶えると、とてつもないエネルギーを発揮します。昨夜は指揮者があおりまくりでしたが、今日は背後から晋友会が追い討ちをかける中、この団体としてのトリの演奏は狂乱の場と化しました。抑えて、抑えての前半部にこらえていたエネルギーが、終幕の踊りで爆発。元々、エクスタシーを感じさせる高揚感にかけては日本一の晋友会の好演もあって、ド迫力。客入りが悪いのが気の毒でしたが、居合わせた人たちは「もう終わりだね〜」の脱力感を吹き飛ばされ「最後までいったるで〜!!!」とエネルギーを無理矢理注入されちゃいました。ついさっきまでは「フランス音楽って雅やわぁ」と気取ってた僕も、「ラテン音楽最高っ!」と大興奮。指揮者は「お前はベジャール・バレエのダンサーか!」とばかりに指揮台の上で悶え狂ってましたし、晋友会はテノールを筆頭に悶絶寸前。
 余談ですが、関屋晋氏が亡くなられてからの晋友会の公演を聴くのははじめてです。強力なリーダーを失って、どうなるのか心配な部分がありましたけれど、ソプラノ・パートに律ちゃん(一部の人には有名)を発見した瞬間に不安がぶっ飛びました。飛ぶ鳥を落とす勢いの最盛期を支えたメンバーががっちり固めているうちは大丈夫。僕の席がシモテ端で、これまたシモテ端がポジションの律ちゃんが見切れてしまうのが残念でしたが「熱狂しちゃったよ」という彼女の感想が聞こえてきそうな、気持ちの良い演奏でした。
 お祭り騒ぎとはいえ「場内での写真撮影はご遠慮ください」なのに、オケのメンバーがカメラを取り出して、パシャパシャ始めたのには笑っちゃいました。


2007年05月06日(日)18:30-19:05
ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン 「熱狂の日」音楽祭2007
「桐朋学園大学オーケストラ」
@東京国際フォーラム 展示ホール(1) モルダウ

 全席自由 無料 (パンフレット:なし)
 指揮:高関健

 ストラヴィンスキー:春の祭典

 芸大のオケは良く聴きますが、桐朋学園は我が家からのアクセスが悪いので、あまりご縁がないんです。演奏日こそ違えど、芸大オケvs桐朋学園オケの競演を楽しみしていました。芸大は選抜オケではなく、たじオケが参加。完全にお祭りモード。プログラムも軽めで遊び心タップリ。それに対して、桐朋学園は108人もの大編成で「春の祭典」を演奏。指揮も高関健登場と、本気モード。無料コンサートでこの曲をやっちゃうあたり、大した度胸です。ほとんどの有料コンサートが終了していて、ラスト・コンサートの開演直前の演奏とあって、会場は熱気ムンムン。プロの演奏家もわんさか。そんな中での難曲の演奏、僕だったら「堪忍して〜」とごめんこうむるところですが、さすが桐朋学園!という演奏でした。芸大に負けず劣らず、弦に力のあるオケです(管楽器は…僕好みの音じゃなかったけど)。でも、選曲のセンスはちと疑っちゃうなぁ。ポピュラーなら良いってわけじゃないけれど、曲の長さといい、難解さといい、展示ホールでのコンサート向けとは思えないもの。「何だかすごいんだけど、ちっともわからなかった」という声も聞こえてきたりして。。。芸大と登場が逆だったら良かったのに。でも、それはそれ、演奏はしっかり訓練されていて、実に達者でした。本当はも少し余韻に浸っていたかったけれど、次のコンサートの開演が押し迫っていたので、演奏終了とともに、ダッシュで会場抜け出し!


2007年05月06日(日)19:15-20:30
ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン 「熱狂の日」音楽祭2007
「515 ウラル・フィルハーモニー管弦楽団」
@東京国際フォーラム ホールA ドフトエフスキー

 S席 3000円 1階-24列-15番 (パンフレット:無料)
 指揮:ドミトリー・リス
 ピアノ:ボリス・ベレゾフスキー

 シベリウス:交響詩「フィンランディア」作品26
 グリーグ:「ペール・ギュント」第1組曲 作品46
 ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番 ハ短調 作品18
(アンコール)
 ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番 ハ短調 作品18 第3楽章後半


 〜いまロシア屈指の実力派ベレゾフスキーで堪能する20世紀ピアノ協奏曲の最高峰〜

 泣いても笑っても、今年のラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポンの最後のコンサート。客席には有名演奏家の顔もズラリで、いやが上にも期待が高まります。僕は予定以上のスケジュールを完走した達成感に浸ってて、ちょっと突っつかれたら泣いちゃいそうなハイテンション。はっきり言いまして、前半二曲は前座です。「フィンランディア」は「ビルバオは情熱的革命だったけれど、ウラルだと指揮官がいる計画的革命になるんだなぁ」と個性の違いを楽しみ、「ペール・ギュント」では「こんな時だからこそ、落ち着いて演奏しまっせ」という大人な態度のオケに感銘を受けました。でも、そんなもの、ラフコンの前では霧と失せます。ピアノの帝王による、超絶技巧の数々に圧倒されまくり。ベレゾフスキーのピアノはバネや勢いではなく、すべて筋肉によってコントロールされているので、オペラグラス(18倍が大活躍!)でチェックした限り、豪快に弾き飛ばしているように見せておきながら、手首から先は実に繊細。ラフマニノフならではの、高音域に渡る和音は楽々掴み、pppppからfffffまで音を割らずにどこまでも美しく余裕で響かせ、豪快な和音の直後に繊細なパッセージを鮮やかに弾いてみせたり、曲が曲なら、ピアニストもピアニストな「20世紀ピアノ演奏の最高峰」のものを披露してくれました。期待以上の名演に、演奏終了とともに「ぶっらぼー」の大合唱。あっという間にスタンディング・オベイション。ベレゾフスキーは華やかなピアニストではなく、コツコツと練習を積み重ねるタイプのように見受けられるのですが、観客を興奮させるための、日ごろの地道な研鑽がうかがえる、計算の行き届いた演奏。アルゲリッチのように「どこへ行っちゃうの〜?」と観客が路頭に迷わされることはありません。そして、大胆で男性的で豪快な曲作りではあるけれど、決して雑になることはないのが魅力。金メダル筆頭候補の男子フィギュアスケート選手が、期待通り完璧なジャンプを次々と決めていく、そんな風格と貫禄がありました。この年代で、ここまで濃厚な演奏を聞かせてくれるピアニストはそうそういないだけに、今後の活躍にも期待大です。「時間よ止まれ〜、演奏よ終わらないで」という心の叫びが聞こえたのか、なんと三楽章の後半をアンコールで再度演奏。疲れを知らぬ、強靭な演奏能力に脱帽です。あまりに完璧なスターっぷりに気持ち良く涙してきました。演奏聴いて涙して、ラ・フォル・ジュルネもお開き。幸せでした♪


2007年05月08日(火)18:00-21:20
東宝「マリー・アントワネット」@帝国劇場

 B席 4000円 2階-K列-27番 (パンフレット:2000円)

 演出:栗山民也

 マリー・アントワネット:涼風真世
 マルグリット・アルノー:笹本玲奈
 アニエス・デュシャン:土居裕子
 アクセル・フェルセン:今拓哉
 ルイ16世:石川禅
 ボーマルシェ:山路和弘
 オルレアン公:鈴木綜馬
 カリオストロ:山口祐一郎
 ロベスピエール:福井貴一
 ローズ・ベルタン:春風ひとみ
 ラパン夫人:北村岳子
 ベメール/エベール:広田勇二
 ラ・フェルテ:tekkan
 ギヨタン博士:佐山陽規
 ロアン大司教/レオナール:林アキラ

  


2007年05月12日(土)12:00-14:55
来日カンパニー「エリザベート」ウィーン・コンサート・バージョン@新宿コマ劇場

 S席 1300円 8列-51番 (パンフレット:2000円)

 演出:ハリー・クプファー/デニス・カラハン

 エリザベート:マヤ・ハクフォート
 ルイジ・ルキーニ:ブルーノ・グラッシーニ
 トート:マテ・カラマス
 皇帝フランツ・ヨーゼフ:マルクス・ポール
 皇太后ゾフィ:クリスタ・ヴェットシュタイン
 皇太子ルドルフ:ルカス・ペルマン
 バイエルン公爵マックス:デニス・コゼルー
 ルドヴィカ公爵夫人/フラウ・ヴォルフ:キャロリーネ・ゾンマー
 皇太子ルドルフ(子役):ダニエル・エクホフ

 東京公演は「コンサート・ヴァージョンなので、お正月のガラ・コンと同じでしょ?」と劇場行きを躊躇しているアナタ! 今すぐチケットを入手しましょう。ウィーン・コンサート・バージョンという謳い文句で動員がガクンと落ちているハズ。実は僕も大して期待していなかったのですが、これは「新演出」による本公演です。芝居してます、衣装とっかえひっかえです、踊りまくってます。そして、照明だって、舞台装置だって、非常に見応えのあるもの。これが「コンサート・バージョン」だというのであれば、ブロードウェイの「CHICAGO」も、梅田の「コパカバーナ」もコンサートですっ。
 この新演出がとても良く出来ていて、小セリを利用してセットが出し入れされたり、新宿コマらしく本数は少ないもののドロップを利用していたり、双頭の鷲の釣りものが登場したり、しっかりエリザベートの世界を再現。それでいて、ついつい目が奪われてしまうクプファーのお遊びや、斬新な装置は登場しないので、逆に作品に集中することができます。想像力を超えたものが提供されて、ひたすら押し頂くのが今までのヴァージョン。それに対して、きちんと味付けはされているものの、観客に想像の余地を与えてくれるのが今回のヴァージョン。大阪公演と東京公演はほとんど合間なくの続演にもかかわらず、これだけの舞台を作り上げたスタッフ・キャストのみなさんに大拍手です。
 実は梅田コマ劇場の間口はアン・デア・ウィーン劇場の1.5倍もあるので、装置を巨大化したりはしていても、舞台が寂しかったのは事実。それに対して、ウィーンと間口幅が近い新宿コマ劇場では、半円の舞台の前面が主なアクティング・スペースということもあって、求心力が強く、群舞など、舞台からはみ出しそうな反面、群れとしての威力を発揮。迫力がありました。また、古い劇場にもかかわらず、梅田芸術劇場に比べて抜群に良い音響もあって、歌に芝居に充実感が漲っていました。
 きらびやかな演出を取り払ってみると(ついでに言うと衣装はかなり地味です)、「エリザベート」というのはゲルマン民族のお話なんだな、ということ。繊細さよりも力強さが際立ちます。よって「エリザベートはエゴイスト〜♪」とルキーニによって歌われるのも納得。細やかな感情のやりとりがなく、また個々の感情の動きよりも、事実関係の羅列をベースとして表現されているので、えてして「おおあじ」です。ルドルフを失って「私を死なせて〜」と泣き崩れるエリザに対して、日本版だと「まだ私を愛していない〜」とロマンティックに展開しますが、ウィーン版だと「手遅れなんだよ!」と冷たいです。ルキーにもやたらと「まだ彼女は美しい?」とあおるし。哲学的な色合いが強いせいか、実はウィーン版ではエリザとトートがなぜ結ばれるのかが分かりにくいんですよねぇ。小池さんが潤色してなかったら、絶対日本じゃ受けなかったと思います。人と人とのつながりが希薄なので、感情移入しにくいんですもの。日本人には涙と人情が必要です!と急に「血」を感じました。小池演出は日本人がわかりやすいようにという点、観客への愛情を感じちゃいました。
 そして、民族の「血」に関しては、やはり来日カンパニーが強いです。ゲルマン、ゲルマンしたエリザやフランツに対し、ルキーニは見るからにラテン系。小柄です。骨格も違います。歩き方もセコセコしていて、いかにもアウトローな雰囲気。ドイツ・オペラにイタリア人が登場しちゃった時に負けないインパクト。この空気感、芝居じゃだせないんですよね。日本の舞台だとどうしても人種問題が後退してしまいますが、ウィーンにおけるイタリア人の立場(人権とでも言いましょうか)や、貧富の問題など、説明しなくても目でわかるというのは強烈です。ゲルマン民族vsラテン民族のバトルが面白い!!


2007年05月13日(日)14:00-16:05
新国立劇場バレエ団「コッペリア」プルミエ@新国立劇場オペラ劇場

 B席 5400円(会員割引) 3階-2列-24番 (パンフレット:800円)

 振付:ローラン・プティ
 指揮:デヴィッド・ガルフォース
 管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団

 スワニルダ:ルシア・ラカッラ(ミュンヘン・バレエ)
 フランツ:シリル・ピエール(ミュンヘン・バレエ)
 コッペリウス:ルイジ・ボニーノ

 満席御礼、キャンセル待ちの行列ができていて、なんだかシーズン・オープニングのように賑わう新国立劇場。そんな観客の期待に応えた、素晴らしいプロダクションです。「コッペリア」というと、ちょっと子供向けのおとぎ話のバレエ、というイメージが強かったけれど、プティの手にかかるとアダルトでお洒落な大人の世界。というのも、スワニルダやフランツではなく、コッペリウスが主役に据えられているからなんです。今回は登場するだけ、歩くだけで舞台の空気を変えてしまうルイジ・ボニーノがコッペリウスを演じましたが、初演時はプティ自らが踊られたそうで。どうりで、良い男です! 粋でお洒落でダンディ。カッチリ踊るのではなく、崩して踊ったり、おどけて観客の笑いを誘ったり。ここで凄いのは、何をやっても下品にならないこと。どうも「笑い=下品に崩すこと」という舞台を何本も観て、イライラしていただけに、品のある笑いを心から堪能してきました。芝居の上で下品なのは良いんです。でも、舞台人としての品格のないものは耐えられない! ルイジはこのあたりの調整が絶妙なんです。欧米人ならではの大きなジェスチャー、人形と踊る時の遊び心など、ライヴで観られたことを感謝!
 あらためて「コッペリア」をコッペリウスの視線で眺めてみると「オペラ座の怪人」に似たものを感じます。才能にあふれながらも、女運に恵まれず、若さへのコンプレックスを抱きつつも、若くて健康な女性に恋をする中年男。生身の女性とのふれあいに慣れてないせいか(今だとオタク?)、求愛も不器用ならば、振られた時の反応も感情的。そんな彼の感情を知ってか知らずか、スワニルダは愛想を振りまき、さらに男を魅了。それでいて、若い恋人と共にあっさりコッペリウスの前から姿を消す。。。挙句の果てに、一瞬だけ戻ってきて、かすかな期待を抱かせたあげく、コッペリウスが大切にしてきた人形をぶっ壊して去っていく(ファントムだと婚約指輪を突き返して去っていく)。。。瀕死の男に対して、あんまりじゃあないですか!! おかげでコッペリウスは壊れた人形を抱きかかえたまま呆然として幕。この後、きっとこの人は自殺しちゃうんだろうな、という哀愁で舞台がいっぱい。スワニルダに見立てた人形と歓喜のダンスを前半で見せているだけに、華やかで賑やかな舞台なのに、思わず涙がホロリ。じめじめせずに、それでいて、ペーソスある演出。日本ともウィーンとも異なる、これぞパリジャンの作品!とこれまた幸せいっぱいです。この幸せいっぱいから絶望のどん底までの変化、ボニーノの独演場。技術だけじゃ絶対に踊れないこの役、ダンサーとしての最高のものを見せてもらった気がします。
 新国バレエ団も大活躍です。オープニングの群舞が切れも良く、動きも大きく、おまけに芝居しながらということで「いつの間にこんなスペシャルな集団になったの?」とオペラグラスを覗いてみたら、ソリストたちが群舞をこなしてました。そういえば、役らしい役ない作品ですもの。スターダンサーたちが余ってますわ。舞台の中心を務めた人たちというのはどこがと問われると困りますが、やはり舞台での輝きが違います。そして、スワニルダの友達たちも、実は女性ソリストがズラリ。トート・ダンサーならぬ、スワニルダ・ダンサーもコミカルなシーンから、格好良いお姉さんたちのシーンまで、その変化っぷりに大拍手。ソリストたちだからってわけじゃないでしょうが、衣装のゴージャスさも特筆モノ。このところ、安っぽい衣装のバレエばかり観ていたせいか、久し振りの新国のバレエは衣装の質感、デザイン、色合いのどれをとってもグレードが段違い。花總まりがズラリっと言っても良いであろう高級感にあふれてました。もちろん、装置だって、シンプルなのにオペラ公演なみに重厚なもの。やっぱりここのバレエ団は日本一!とあらためて自分の好みにぴったりなバレエ団との出会いに感謝!!


2007年05月26日(土)12:30-15:15
フジテレビ「DAMN YANKEES〜くたばれヤンキース〜」@青山劇場

 S席 12000円 2階-C列-22番 (パンフレット:2000円)

 演出:寺崎秀臣(藤田敏夫)

 ローラ:湖月わたる(若葉ひろみ)
 アップルゲート:川崎麻世(草野大悟)
 ジョー・ハーディ:大澄賢也(江本孟紀)
 グロリア・ソープ:矢口真里(澤田雅美)
 ヴァン・プーレン:光枝明彦
 ジョー・ボイド:青山明(丹羽勝海)
 シスター・ミラー:伊東弘美
 ドリス・ミラー:福麻むつ美
 メグ・ボイド:杜けあき(河内桃子)
 ( )は1985年サンシャイン劇場公演。一部記録なし。誰でしたっけ?

 半年前に退団したばかりの元・星組トップの湖月わたるの初「主演」だそうです。実は公演直前まで主演だなんて思っておりませんでした。ジョー・ボイド=ファウスト、アップルゲート=メフィストのようなお話で、ローラはアップルゲートの部下としてジョーを誘惑する役。。。ベルサイユのばら〜アンドレ編〜に負けず劣らずの珍設定かと思います。でも、そんなことは些細なこと、と強烈なスターオーラで押し切ってしまった湖月わたるはエライッ! 抜群のスタイルを生かして、ゴージャスなドレスからセクシーな衣装(どんなに脱いでもエロエロにならないけどwww)、シンプルなものも上品に、もちろん、パンツルックは颯爽と、ナイスバディを惜しげもなく披露しています。退団直後の男役は「女装」という言葉がぴったり来るほど、ドレス姿や生足をやたらと照れる(よって、観ているこちらの方が気持ち悪くなってくる)ことが多かったけれど、最近のスターさんは性転換の切り替えが早いです。そして、大きな体も委縮することなく、堂々と「私って格好良いでしょ?」とアピールするのが心地良い! 縮こまっても小柄になんてなれっこないのですから、それを武器にしてくれるのは大歓迎。わたさんは長身ということと手足の長さも相まって、若い頃の前田美波里を彷彿とさせる、伸びやかさが実に魅力的でした。コメディということで、誇張された女性象も今の彼女にとっては演じやすかったのではないでしょうか? そして、野郎度の高かった彼女用に設けられた男役芝居(ちなみに、さよなら公演の大階段でのダンスを再現しながらジョーを誘惑するので、客席は大喜び!)も登場。実に恵まれた女優デビューです。地声が高い人なので、女声の歌もしっくり(男役の歌よりずっと良かった!)。可愛い、おもろい、上手い!(彼女に上手いなんて言葉を使うのは初めてかもwww)
 脇も強力。杜けあきは大芝居巧者として、宝塚時代から高い評価を受けていましたが、湖月わたるを主演にするために歪められた芝居を最後の最後に見事に軌道修正。しっかり泣かせて締めてくれました。出番は少ないけれど、存在感といい、貫禄といい、元・雪組トップスターの看板に偽りなしです。それでいて、ちゃんと主役を立ててくれるあたり、女優としての自信がうかがえます。彼女は性転換に割と時間がかかったタイプですが、実に良い女優さんになりました。スルリ、サラリと場面を奪い、公演を引き締めてくれる貴重なスターさんです。力技で公演を盛り上げるは伊東弘美&福麻むつ美のコンビ。悪魔ですら突っ込めない、入り込めない、おばちゃんパワー炸裂。実生活にも登場しそうな賑やかぶりが楽しい〜。真ん中に立つ人のスター度が高いから、何やっても大丈夫という舞台は、回りの面々も張り切るから勢いがありますね。思うに、麻路さきにしろ、鳳蘭にしろ、決して上手くない(ハッキリ言えば技術的にはヘタッピ)だけれども、舞台に立ったらセンターにしとかないと収まりの悪いスターさんっているんです。スターとしての位取りが抜群の人々。湖月わたるもこのタイプかと思えます。圧倒的な陽のエネルギーと、太陽のような明るさが実に魅力的でした。麻実れいもスター性抜群だけれど回りが完全に霞んでしまうし、大地真央は脇の輝きを許さないタイプ。ということで、鳳蘭〜麻路さき〜湖月わたると連なる星組トップさんたちは、レビュースタータイプですね。おぉっと、退団してまで影響する組カラ〜〜〜。
 大型女優がズラリなので、矢口真里は非常に不利。僕が女優だとしたら、オンナとして、スタイル抜群メンバーの中で自分がどう見えるかを想像しただけで出演を辞退しますわ。白鳥とアヒルじゃないけれど、別の生き物です。彼女は彼女で可愛い(追っかけ男が結構見受けられましたが、宝塚ファンの前にあっては小さくならざるを得ないのが可笑しかった!)けれど、舞台姿がチンチクリン。ダンスも頑張っていましたが、ドタバタしているようにしか見えないのはお気の毒。ま、その小ささを笑いとして扱われてはいましたけど……彼女にとって今回の舞台出演はどうなんだろう? 僕が観た日は表情がこわばっていて、笑顔ナシというのから、緊張感が伝わってきて、思わず「がんばれー」と心の中で応援。湖月わたるの隣りに並ぶとまるで子役にしか見えない小ささ。ってことは、通常の宝塚の娘役よりも小さい!?
 男優は4月公演「モダン・ミリー」に引き続き、身長重視といったところでしょうか。川崎麻世はあまり歌の出番の多くない役なので、ちょいとひと安心。とはいえ、元々は川崎麻世&大澄賢也がW主演みたいな作品なので、も少し役造りは工夫してほしかったなぁ。悪魔としての色気や怪しさ(妖しさも!)が乏しいのが残念。ちなみに、長身の男優二人も、湖月わたると並ぶと小さく見えました。これは実身長もさることながら、芝居やダンスの大きさもあるのかも。大澄賢也は歌も芝居も安定しているし、ダンスも日本のミュージカル界をきってのダンサーだと思うのですが、なぜか小さく見えるんです。ハッキリ言いまして、スターオーラがないので、どうしても目がいかなくなっちゃう。。。ジョーとローラがアップルゲートの呪縛から逃れて精神的自由を得るダンスナンバーなんて、ダンサー対決といった面持ちで実に見応えタップリで、スタミナだとかジャンプだとかは大澄賢也が優っているのに、なぜか目が行くのは湖月わたる。いやはや、わたる・わたる・わたるのスター性に舌を巻きました。今の彼女だったら、シーラ(ACL)ができるはず! 観たいなぁ。シーズンメンバーとして、四季に登場してくれないかしらん。あ、ちなみに、ダンス合戦の後半、ちょっと疲れが出てくると、途端に男役のダンスになっているのには笑ってしまいました。つま先が外を向きだすし、オラオラオラ〜ッときざってるんだもんwww
 で、ACLのシーラに湖月わたるをっ!と書いたばかりですが、今の四季にわたさんが出演だと、じっとしてても存在が大きすぎて邪魔になっちゃうかも。というのも、元四季の男優二人は実に上手いですし、四季では主演級の役を担っていましたが……地味。初演ではオペラ歌手が務めた役の青山明は久しぶりに芸大仕込みの美声を聴かせてくれましたし、光枝明彦も堅実。二人とも硬軟自在な基調なおっさん役者です。でも、スケールが小さいんで、客席にエネルギーが伝わりにくいんです。この二人に関しては、四季を退団しない方がファンとしては嬉しい状況なんですよねぇ。なまじ、活躍されていた姿を知っているだけに、輝きを失った姿を見るのはツライです。劇団カラーの抜けない同士の共演は、バランス取りが難しいですわぁ。でもって、僕はゴージャス大好きなので……おのずと肩を持つのは。。。www



2007年05月27日(日)15:00-17:55
藤原歌劇団「ヴェルディ:リゴレット」@東京文化会館

 E席 3000円 4階-R3列-12番 (パンフレット:1200円)
 指揮:リッカルド・フリッツァ
 演出:ニコラ・ジョエル
 管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団

 リゴレット:アルベルト・ガザーレ
 マントヴァ公爵:エマヌエーレ・ダグアンノ
 ジルダ:高橋薫子
 スパラフチーレ:彭康亮
 マッダレーナ:森山京子
 モンテローネ伯爵:東原貞彦
 ジョヴァンナ:向野由美子
 マルッロ:柴山昌宣
 ボルサ:小山陽二郎
 チェプラーノ伯爵:田島達也
 チェプラーノ伯爵夫人:日向由子
 小姓:但馬由香
 門番:青柳明

 ヴェルディというと無骨で重い作品が多い中、同じ「呪い」や「復讐」を扱っているにもかかわらず、華やかな作品。おそらくマントヴァ公爵の存在が大きいと思うんです。個人的にヴェルディのテノール役で一番好きかも。ひねくれ度が少なくて、一番素直ですもの。そりゃ女ったらしですよ。でも、女をどうこうする、というよりも、彼のボンボン・キャラはみんなに愛されちゃうってだけでしょ。ジルダだって「そりゃ犯されちゃったけど、やっぱり好き♪」な王子様キャラですよ。本人は悪気がない天然おぼっちゃま。何不自由なく自由気ままに生きているけれど、気品と貫録も備えている美丈夫だなんて、うらやましい限り。ぜひ友達になりたいタイプです!! 音楽面も観客が喜ぶ輝かしい曲がてんこもり。僕がテノールだったらぜひやりたい役ですわ。
 マントヴァ侯爵以外も名曲揃い。ロマンティックな「麗しき人の名は(ジルダ)」、芝居歌としてドラマティックに盛り上がる「悪魔め、鬼め」と曲想だけだと陽気でウキウキしちゃう「復讐を!(リゴレット)」、四者の思いが同時進行するのがオペラならではの効果をあげる終幕の四重唱など、聴きどころたっぷり。幕ごとに変化があって、最初から最後までだれずにワクワク感が続くので、乱暴な言い方をすれば「上演すりゃ、観客大喜び」なオペラです。失敗なんてありえない! ちなみに、僕が現役の頃の「高校生のためのオペラ教室」の演目は「リゴレット」でした。新国はまだなく、藤原歌劇団の公演。
 今回はニコラ・ジョエルによる、トゥールーズ・キャピトル歌劇場のプロダクションですが、個人的にこの部分がブーイング。東京文化会館にあってないんです。サイズも動きも。舞台美術は八の字型についたてが登場するだけの平面的なもの。お屋敷なのか、使用人の家なのか、はたまたヤリ部屋なのかすら見た目じゃわからないつまらない装置。あ、リゴレッとの家は、ついたての一部が回転して部屋が登場する仕組み。ちょっと前の宝塚で良く使われる手法(「風と共に去りぬ」の花道の付け根に登場するやつに似てます)。リアルなものを狙うのか、抽象的にするのかが中途半端。この中途半端さは歌手の芝居にも伝染していて、コーラスは歩く背景画でしかなく、ソリストもそれぞれが好き勝手に動くだけ。個々については悪いわけでもつまんないわけでもないのに、全体のバランスが非常に悪く、藤原歌劇団の本公演としては近年まれにみる「?」な仕上がり。今までのプロダクションで良いやん、と思いながら観てました。
 リゴレットのガザーレはせむし男というよりも、ファントムのようなメイク。通常、身体障害者としてヨタヨタ動くことが多い役なのですが、舞台狭しと、人一倍動いています。その姿は野田秀樹が入っていて、ちょっとの間もじっとしておらず、大きく、そして力強く舞台上をさまよっています。「娘を返せ!」と絶叫する場面は何かに取りつかれたかのような集中力と迫力。息を飲む名演でした。でも、それを取り巻くコーラスがよろしくないんです。八の字のてっぺんの狭い隙間からワラワラと登場するものの、所定の位置についたら直立不動。たまにちょこっと移動してまた不動。リゴレットに対して通せんぼしたり、ジルダが登場すればささっと花道をこしらえたり、ロボットのような無気味な集団。そして、プリマとして登場のジルダですが、ガザーレと高橋薫子の芝居の方向性が全くかみ合わず、舞台上にすきま風がピューピュー。リアルで感情を外へ外へと押し出すガザーレに対して、内向的な芝居で動きも控え目な高橋薫子。二人が並ぶと必然的にガザーレが高橋薫子を引っ張るので…リハーサル中の演出家と生徒みたいな見栄えに。終始、振り回されているだけで終わり。ん〜、ちと気の毒。
 あ、悪くないとさっき書きましたが、例外がマントヴァ侯爵のダグアンノ。新人若手歌手なのですが、ガッチガチで歌も芝居も余裕なし。声は薄っぺらく一本調子に響くだけで、貴族としての役作りどころか、笑顔の一つも見せられない男根ぶり。わざわざ海外から呼んでこれ!? もちろん、オペラなので、芝居のプロフェッショナルが演じるわけでなし、大根でも仕方ないよね、と通常はなるのですが、今回はあまりのブッチョー面。何とかならんでしょうか? なまじデカイので目立つんですよねぇ。(間もなく退任予定のノヴォラツスキー新国監督に顔のつくりが似ていると思います)。
 たぶんね、二期会公演だったらあまり気にならなかったと思うんです。なまじ藤原歌劇団だから「ゴージャスじゃないのぉ〜」と不満を抱いちゃったわけでして、もちろん、一定水準には達してます。でも、でも、僕は今回の舞台は不完全燃焼。何よりも「ゴージャスじゃないマントヴァ侯爵なんて!」につきます(結局ここかいっ!)