ON YOUR TOES
【作品概要】
作曲:リチャード・ロジャース
作詞:ロレンツ・ハート
台本:ロジャース&ハート、ジョージ・アボット←「足長おじさん」!

【あらすじ】
「第1幕 第1場」1920年頃、インディアナ州ココモのヴォードビル劇場
 フィル・ドーラン2世と彼の妻リル、そして15歳の息子
通称ジュニアことフィル・ドーラン3世の三人は、芸人一
家としてしられたヴォードビルのドーラン・ファミリー。
今日も中西部の小都市ココモの劇場で客席を沸かせている。

「第1幕 第2場」ドーラン・ファミリーの楽屋
 ショーがはねた後、楽屋ではジュニアがローラという娘と
デートの約束をしたことから一悶着がおこる。パパは芸人と
しての格の下がる娘を相手にしたことに腹を立て、フィル・
ドーラン3世とし一人前の芸人になることを説くが、ママは
違う。彼女は根無し草のような芸人生活から足を洗い、ジュ
ニアには立派な職業、例えば大学の音楽教授になってほしい、
と夢を語るのだった。

「第1幕 第3場」15年後、ニューヨークの大学の教室
 ママの願いのとおり、ジュニアは今や大学の音楽教授に
なっている、しかし、ジュニアが有名なドーラン・ファミ
リーの一員であることは秘密である。彼は芸人出身だとい
うことが、教授の名に傷をつけると思っているのだ。
 ある日、音楽史の授業のあと、ジュニアは誰もいなくなっ
た教室で、教え子シドニーの作曲したジャズ・バレエ「十
番街の殺人」にあわせてタップを踏んでいるところを、女
子学生フランキーに目撃されてしまう。あわててその場を
とりつくろおうとするジュニア。だが、予想外のことにフ
ランキーはジュニアのダンスに驚嘆し、シドニーの曲をロ
シア・バレエ団に売り込むための助力を申し出る。彼女のお
じさんが、バレエ団のスポンサー、ペギー・ポーターフィー
ルドの知り合いなのだ。これをきっかけに、以前から魅か
れていたことを打ち明けあう二人。こうして1つの恋物語
が始まった−−−。

「第1幕 第4場」数日後、ヴェラのアパート
 ロシア・バレエ団のプリマ・パレリーナ、ヴェラ・バロノ
ワは怒り狂ってメイドに当たり散らしている。彼女のパー
トナーで恋人でもあるモロシンが、またもや浮気をして新
聞のゴシップ欄を賑わせているからだ。そんなところへ、
プロデューサーのペギー、バレエ団の団長のセルゲイ、モ
ロシン、そしてジュニアがやって来る。ジャズ。バレエの
上演を提案するペギーに、ロシア・バレエの伝統を重んじ
るセルゲイはなかなか首を縦にふらない。
 一方ヴェラは、モロシンへの面当てに、この若い音楽教
授を誘惑しようと情熱的に迫る。戸惑うジュニアに自分の
パートナーとしてバレエの舞台に立ってみないかと誘うの
だった。

「第1幕 第5場」数日後、大学の教室
 ロシア・バレエ団公演「ゼノビアの王女」の二週目にコー
ル・ド・バレエの奴隷役の一人として出演することになり
有頂天のジュニアは、習ったばかりのステップをフランキー
とシドニーに披露する。浮き足立つ恋人に不安になったフ
ランキーは、二人きりになったあと、バレエ団から離れ、
たとえばパリの窓から協会の塔の見えるような小さなホテ
ルで一緒にすごしたいと歌う

「第1幕 第6場」同じ晩、「ゼノビアの王女」初日のオペラ座
 「ゼノビアの王女」初日、ジュニアとフランキーはペギー
の計らいで公演の招待を受ける。ところが、開幕直前、奴
隷役の一人がけがをして病院に運び込まれるというアクシ
デントが起こる。十分な稽古は積んでいないものの、ペギー
の提案で急遽ジュニアが代役に立つことになる。メイクし
てしまえば、ダレだろうとわかるまいというわけだ。とん
でもない展開に驚くジュニアだったが、フランキーの励ま
しを受けて舞台に向かった。
 −−−異国情緒溢れるゼノビアの応急。三人の貴公子が
高価な贈り物を携え、王女に求婚にやって来る。そこへ突
然貧しい身なりの男が現れて、王女の気を引こうと踊りだ
す。しかし、身を落としている彼には、王女に送るべきも
のは何もない。そこで王女は彼に奴隷部屋の鍵をそっと渡
し、彼女自身の奴隷を彼からの贈り物として差し出すよう
にとささやく。
 やがて求婚者たちの贈り物が運ばれてくる。三人の求婚
者たちの高価な贈り物を王女は全て拒絶する。最後に全身
を青く塗った五人の奴隷を連れて男が現れる。王女に敬意
を表すダンスを踊らせるために彼らのケープを剥ぐと、一
人だけ体にメイクしていない奴隷がいて、観客の注目と笑
いを一身に集めた。それがジュニアだった。


「第2幕 第1場」公演後数日たったオペラ座
 「ゼノビアの王女」の失敗の責任はジュニアにあると、
団長のセルゲイは腹を立てている。しかし、新聞はロシア・
バレエ団のコミック・センスを賞賛し、ペギーもバレエ団
の新しい可能性を開いたと、ジュニアを評価する。「十番
街の殺人」上演に否定的にセルゲイに対し、ペギーはこの
シドニーの作品に大いに期待をかけているのだ。
 ジュニアは魅惑的なヴェラと一途なフランキーの間で揺
れる自分の思いをペギーに打ち明ける。一方のフランキー
は、そんなジュニアを複雑な思いで見つめるのだった。

「第2幕 第2場」数日後、大学の教室
 セルゲイはシドニーのジャズ・バレエの上演を断るつも
りで、団員たちを連れてジュニアを大学に訪れる。しかし
学生たちがフランキー作曲のバラード「静かな夜」を演奏
して歓迎してくれるのを聴いて、その素晴らしさに感動し、
その場で「十番街の殺人」上演を発表する。喜び興奮した
一同は、歌と踊りの大饗宴を繰り広げる。

「第2幕 第3場」その数日後、オペラ座
 「十番街の殺人」の稽古が始まった。だが肝心のモロシ
ンがジャズのシンコペーションについて来られない。つい
にモロシンが爆発し、言い争いから掴み合いになり、警官
が駆けつける騒ぎになってしまう。とっさにジュニアが機
転をきかせ、新作バレエの準備中でちょうど乱闘シーンの
稽古をしているところだと即興で踊ってみせ、その場をお
さめる。そのあざやかなダンスに驚く一同。セルゲイは即
座に、モロシンのかわりにジュニアを出演させることを決
める。

「第2幕 第4場」「十番街の殺人」初日の楽屋
 恋人も舞台も失ってどうにもおさまらないのはモロシン。
かねてからつきあいのあるギャンブル仲間のギャングに、
こともあろうかジュニアを殺させる手筈を整える。彼の持っ
ている最前列のチケットをギャングに渡し、その席からフィ
ナーレ近くシンバルが大音響を打ち鳴らす音に紛れてジュ
ニアを射殺しようという計画だ。偶然この会話を立ち聞き
した舞台係がそれをフランキーに知らせる。

「第2幕 第5場」オペラ座での初演
 いよいよ「十番街の殺人」の幕が上がる。−−−ニュー
ヨークのナイト・クラブ。着飾った男女が踊りに興じてい
る。やがてショー・タイム。男たちの視線は、一人のショー
ガール(ヴェラ)に釘付けになる。客の一人が彼女を抱き
寄せキスしようとしたところへ、クラブを牛耳る”ビッグ・
ボス”が現れ、男を殺して死体を隠させる。客たちは何事
もなかったかのように、また踊りはじめる。ここでは、こ
んな殺人は日常茶飯事なのだ。
 ふと、ショー・ガールが客の一人(ジュニア)に目を止
める。男と女はどちらかともなく近づき、ともに踊りはじ
める。二人が恋に落ちるのに時間はいらなかった。”ビッ
グ・ボス”の目を避け、切なく踊る二人。だが、非情なボ
スの銃口は確実に男に狙いを定める。とっさに男の前に身
を投げて、銃弾に倒れる女。男は格闘の末にボスからピス
トルを奪い、怒りと悲しみに引き金を引く。女の亡骸をか
き抱き、虚しく踊る男−−−。
 幕切れが近づく。客席最前列ではモロシンの指示がを受
けたギャングがジュニアに狙いを定めている。ジュニア、
危うし! その時、その場には出てこないはずのボーイ役
のダンサーがジュニアにメッセージを届ける。フランキー
の指示である。いまや自分のおかれた状況を理解したジュ
ニア。シンバルを鳴らさせないためには、最後のナンバー
を引き伸ばして踊り続ける他ない。息絶え絶えになりなが
らも指揮者に合図を送り、警官がかけつけるまで踊り続け
るジュニア。ようやくギャングとモロシンが逮捕され、へ
とへとになって倒れこんだ。
 公演は大成功を収めた。ジュニアはフランキーへの愛を
確認し、またヴェラはかつての恋人には同情を示さず、成
功を収めた若き作曲家、シドニーに熱い視線を送るのだった。


甘い物倶楽部