初めてのワクチン

どうして何回もワクチンを打つの

獣医が言うには子犬のワクチンは3回も打たなくてはいけないという。

自分が子供の時にやった麻疹なんかのワクチンは一回で済んだのにどうして動物は何回もワクチンを繰り返すのだろう。

おまけに一年に一回追加接種をしなくてはいけないらしい。人間が一回でいいのだから動物だって一回でいいんでないかい?

お金がもったいないからワクチン辞めちゃおうかな。気持ちはわかるけどワクチンを何回も打つのには理由があります。

小犬のワクチンを例に解説していきましょう。

 ワクチンとは病原体を弱い形にして健康な動物に接種し、免疫力を持たせることを目的とします。

ところが子犬の場合、母犬から生まれながらにしてある程度の免疫を受け継いで病気を防いでいるわけです。これを移行免疫といいます。

移行免疫が効いている期間は病気に対する抵抗力をもっています。 ところがこの移行免疫はワクチンの効果も打ち消してしまいます。 移行免疫は長いもので生後100日まで持続する個体が多いことが解っていますから100日以降にワクチンを接種すればいいことになります。(最長200日つづく固体もあるらしいがほとんどは110日以内)

ところが生後45日で移行免疫が早くきれてしまう犬もいるわけです。

このような場合100日までワクチンを打たないままでいると移行免疫がきれてからワクチンを打つまでの期間、全くの無防備状態となり非常に危険です。そこで数回に分けてワクチンの接種を行うわけです。

ワクチンを効果的に効かせるには注射の回数によるものではなく生後何日目にするかによります。

回数の多さは、危険な期間を少なくすることにおいて重要なわけです。

東京のAペットショップ搬入時における抗体保有状況 (98年9月 32ー62日齢43頭 抗体価80以上で感染防御可)

パルボ抗体価 ジステンパー抗体価 ジステンパー抗原保有率
<8 25頭 58%
5頭 12%
16 7頭 16%
32 3頭 7%
64 3頭 7%
128 0頭
<10 25頭 58%
10 8頭 19%
20 4頭 9%
40 3頭 7%
80 1頭 2%
160 2頭 4%
陰性 52%
陽性 23%
弱陽性 2%
擬陽性 23%

多くの子犬がペットショップに入荷した時点でパルボに感受性が出てしまってます。また、このペットショップだけかも知れませんが1/4の犬がジステンパーウィルスを持っているというのはオドロキ。擬陽性含めるとなんと1/2はジステンパーです

日本臨床病理フォーラム石田先生の報告によると理想的なワクチネーションプログラムとは以下のとうりになるそうです

初回 2回目 3回目 4回目 5回目 パルボ
6週齢 9週齢 12週齢 15週齢 18週齢

合計で5回も接種しなくてはいけないなんてたいへんですよね。

全てのオーナーのかたにこの5回接種をお薦めしたいところですが、費用も手間もかなりの負担となってきます。

そこでもう少し接種回数を少なくして、かつ効果的なプログラムは出来ないものか・・・

推奨ワクチンプログラム

接種時期 ワクチン回数
生後 6−8  週齢 初回 4種混合
生後 9−12 週齢 2回目7or8種混合
生後 14週齢以降 3回目 パルボのみor

      8種混合

忘れずらいように月単位でやると、2ヶ月目でスタート3、4ヶ月めそれぞれ追加接種

上記のようなプログラムで接種していくと3回接種ですむわけです。

ただしこのプログラムでいっても100%ではありません。暗黒の2週間と呼ばれているものが存在します。移行抗体のレベルがワクチンは打ち消しても感染は防御できないという時期が必ずあるからです。

現在のところどのようなロータイターワクチンを使用してもこの期間はなくなりません。

出来うる限り他の犬との接触を避けること。

他の犬が排泄した可能性のある場所には人も犬も近づかないこと。ワクチン接種をきちんと毎年している犬との接触は問題ありません。

生後3ヶ月までは行動学的に言うと子犬の社会科期と呼ばれる重要な時期で、本来であれば他の犬と積極的に遊ばせたいところですが病気の伝染も恐い。そこで、2回以上ワクチンを打っている外出しない子犬だけを集めて互いの犬と遊ばせたり、それぞれの飼主さんに触れることでたくさんの人間と接触する機会を作れればかなりいい体験になります。(パピースクール)

家の中にケージ隔離して小犬に触る前には人の手も消毒するなど徹底的に出来る人は14週以降に1度だけ打てば1回で済みますが、毎日塩素で消毒する手間を考えたらワクチンを打ったほうが楽です。また、四六時中、ケージの中で隔離された子犬は社会性が身につかなくなり、後々問題行動をひきおこします。

追加摂取

せっかく接種したワクチンも時間とともに抗体価が低下してきます。

抗体価が感染を防げなくなるレベルに低下する頃に、追加接種を行い再び抗体価を上昇させるわけです。この時期がだいたい1年間なのでワクチンは年1回づつ打つということになります。パルボが流行していたり、頻繁にドッグショーに出場するような場合は6ヶ月毎に接種しますが、一般の場合は1年に1回で十分でしょう。 免疫力の差により3年程効果が持続するものもあれば、6ヶ月程で効果が消えてしまう場合もあり。ワクチン摂取していてもパルボ、ジステンパーに感染することがあるのはこのためです。万が一ワクチン摂取にもかかわらず伝染病にかかってもほとんど治癒します。ワクチンを接種していない犬が感染した場合50%程死亡するのに比べると対照的ですね。

猫の場合はあまり移行免疫を気にしなくてもすみやかに抗体価の上昇が認められます。3種に入っているパルボに関しては、感染の防御ができますが、ヘルペス、カリシの2つに関しては感染の防御はできません。こじれずに軽症で治癒させることが目的です。最初に2回注射するのは2度目の注射でいっきに抗体価を上昇させる為で、1回で止めた場合効果の持続は短期間です

ワクチンの副作用

他の注射と同じでワクチンにも副作用の可能性があります。

急性アナフィラキシー  注射後、数分でショック状態におちいり死亡する例が数万頭に1頭くらいの確率であるらしいです。これはワクチンに限らず全ての薬でいえることですが。

遅延型アレルギー   ワクチンのどの成分かにアレルギー反応をおこすことがあります。体をかゆがったり、浮腫といって顔が腫れてしまう、蕁麻疹のような斑点が体にできる等の症状がでます。このような症状は通常、次の日には消えますが、あまりひどいときにはおさえる注射がありますので病院に連絡してください。追加摂取のワクチンは通常、メーカー、種類等を変更します。

発熱   生ワクチンタイプでは病原性をなくしたウィルスを体で一度増殖させますので発熱、食欲減退などがおこることが多いです。吐き気をともなうこともまれにありますが、これらの症状は正常な生体の反応ですから、あまり気にしなくても大丈夫です

潜伏感染の発症  すでになんらかのウィルスに感染しているが、症状はまだ出ないという状況のときにワクチン接種により病原ウィルスが暴れだすことがあります。

以上、簡単にワクチンの説明を述べてみましたが解らないことがあったら気軽にスタッフに尋ねてください。