井岡 弘樹


生年月日1969/1/8
タイトル
WBC世界ストロー級初代王者
WBA世界ジュニアフライ級王者

HIROKI IOKA
幾多の闘いを越え、数多くの夢を長い間見せてくれてありがとう。
井岡弘樹
1986年1月16歳でプロデビュー

1987年7月ベテラン日本王者、小野健治を判定で下し日本ストロー級タイトル獲得
同年10月、WBCが新設した世界ストロー級のタイトルをタイ国のマイと争い
見事判定で勝ち日本人史上2番目の9戦目で
日本人史上最低年齢18歳9ケ月で世界王座に就く
初防衛戦は、伝説の一戦!!激闘の末、最終ラウンド逆転KO勝ち
彼の師エディ・タウンゼントトレナーが彼の勝利を見届けて永遠の眠りにつく
その後同タイトルを3度、因縁のナパ・キャットワンチャイと争い
引き分け(防衛A)→判定負け(王座転落)→TKO負け(王座奪還成らず)
減量にも苦しんでいた彼は心機一転一階級ウェートを上げる。
1991年12月それまでWBA世界ジュニアフライ級のタイトルを16度連続して防衛していた
韓国の無敵の英雄、柳明佑に挑戦した。
前評判は16度も王座を防衛している王者有利
しかし王者の年齢と初めての海外での防衛戦ということもあり
専門家の間でも若い彼を押す声も少なからずあった。
その頃すでに彼と出会っていた僕は世界タイトルマッチが決まって
彼のそれまでの試合とは違う雰囲気を感じていた。
勝負師の見せる顔というのだろうか、とにかくいい顔をしていた。
あの無敵の柳と対戦するというのに少しも臆するとこなく
むしろ久々の世界戦が楽しみで仕方ないという風に僕には感じなれた。
「こりゃやってくれそうだ」そう思った僕は歴史の目撃者になるべく
試合当日大阪府立体育館へと向かった。
そして僕の期待通り彼は偉業をやってのけた。
試合後判定結果が二転三転して論議を呼ぶことになったが
そんなことなど関係ないくらいその試合は彼にとって完璧なもので
アウトボクシングがさえわたり左ジャブと足で柳のソナギ(夕立)と呼ばれる強打を完封し
その時点で日本人史上3人目となる世界タイトル2階級制覇を達成した。
試合後エディ師の遺影を掲げる彼を見て数年前ナパに打ちのめされた
あの少年がずいぶんとたくましくなったもんだと密かに思ったもんでした。
そのタイトルはいずれも判定で2度防衛に成功し
3度目の防衛戦で、前王者柳明佑にリベンジされ王座を転落すると
彼はためらうことなくさらに一階級ウェートを上げ
日本人いや東洋人初の世界3階級制覇に向けて走り始めた。
そして彼の本当の意味での長い長い闘いが始った。
フライ級で3度世界王座に挑戦するも完膚なきまでに打ちのめされ
3階級制覇の壁の高さをファンにも本人にも充分に思い知らされる結果となり
特にフライ級で3度目に挑んだ王者の前評判は低く、
その王者の前でなすすべなく打ちのめされる彼を見て
ボクシングファンはだれもが彼のボクシング人生はもう終わったと思った。
終わるはずだと・・・・・
1998年4月
背水の陣で更にもう一階級ウェートを上げた彼は、最後の世界タイトルマッチに挑んだ。
相手は名古屋期待の星、飯田覚士
TVのバラエティー番組から出てきて3度目の世界挑戦でようやく王座を掴んだ男
前評判は飯田圧倒的有利!!専門家も飯田のKO勝ちを予想した。
僕の予想は特になかった。
とにかく無事に終わって欲しいそれだけしか思わなかった。
そして結果的に勝ってくれたらそれは彼にとっても僕にとってもいいことに違いないと
試合の2週間程前彼を激励すべく東京の角海老宝石ジムに向った。
新聞報道では連日同門の山口圭司と激しいスパーリングを繰り返しているとのこと
今回コンビを組みことになったイスマエル・サラスとよっぽどうまくいっているのかと期待して僕は上京した。
ジムをようやく探し当て外から練習風景を見ていると
テレビで見た坂本博之がフセイン・シャーと仲良く練習をしている
1時間ほどしてようやく出てきた彼は僕を見つけると気安く声をかけてくれた。
まったくいつもとかわらない「井岡弘樹」だった。
基本的な練習が終わり、山口とのスパーリングがはじまった。
そこで見た光景は思わず目を被いたくなるような「井岡弘樹」だった。
疲れがピークに達していたこともあるんだろうが
まったくといっていいほどスピードのなく
これがあの無敵の柳を完封して見せた「井岡弘樹」なのか?
ドタドタした動きで山口をロープに詰めいかにも破壊力がないようなパンチを見舞う。
これは名古屋まで行かないとそのとき初めてそう思った。
練習後井岡本人からチケットをプレゼントしてもらい
4月29日近鉄特急で名古屋に向った
前座試合がなかなかいいカードだったがどれももう印象に残っていない。
もうというよりその時から飯田×井岡にしか興味がなかったのだ。
そして運命のゴングは鳴った。
2週間前に見たものは幻だったのか?
思わず僕はそう思った。
自分の為に燃えたことがないと言われた男、井岡が必死の形相で若き王者に襲いかかる
そんな井岡の必死さに若い飯田は戸惑っているようだった。
柳に勝った時さえ見せなかった闘志剥き出しの「井岡弘樹」は戦っている。
それでも「決め手」がない、中盤戸惑いから脱出した飯田は井岡の有効打をもらった直後に反撃にでる。
井岡の闘志に触発されたのか敵地の会場が何時の間にか井岡コールに支配される
12ラウンドが瞬く間に過ぎて最終回が終わり試合は判定に縺れ込んだ。
わずかに井岡か?会場の雰囲気は沸き返る井岡応援団
逆に思わぬ苦戦に静まり返る地元飯田応援団
そして判定は告げられた・・・・・・・勝者飯田と
途端に騒ぎ立てる飯田応援団、猛烈に抗議する井岡応援団
どよめく会場の中で「井岡弘樹」の長い長い闘いは終わった・・・




生涯成績 42戦33勝(17KO)8敗1分詳細戦績
世界戦成績 13戦5勝(1KO)7敗1分