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2002/1/8
『指輪物語 新版』全9巻 『追補編』
J・R・R・トールキン(瀬田貞二・田中明子訳) 評論社文庫 1992年
ファンタジーの最高傑作との評判に違わず読み応えある素晴らしい作品だった。『ホビットの冒険』のビルボの甥フロドがガンダルフによって指輪の由来や力を知らされ、仲間とともに指輪を破壊するために敵の本拠地に向かう。一言で言えばそういう話になるが、作者トールキンはこの世界の歴史、地理、言語、民族、伝承などをすべて創作している。読んでる途中で、地名や人名やエピソードを確認するために何度も『追補編』や『ホビットの冒険』を手にとった。それでも完全に把握できないもどかしさがついてまわった。また人名を参照したさい、誰と誰が結婚するとか、どこで死ぬかといったことが分かってしまい、興味が減じられた部分もあった。とはいえこの『追補編』がなければ、なお分かり難かっただろうから仕方ない。全部読み終えた後、もう一度読み直す必要がありそうだ。
しかしこれほどの作品がもうすでに存在するなら、後は何を書いても亜流にしかならないのでは?『ハリー・ポッター』の作者がハイファンタジーを避け、学園ものにしたわけが分かったような気がする。またゴクリがこんなに重要な存在になるとは思わなかった。最期は哀れだった。『二つの塔』でアイゼンガルドへ一行が着いたとき、メリーとピピンの二人のホビットがのん気に寝そべっていた場面が、なんとものどかでとても好きだ。サムの忠誠と愛には頭がさがる。でも最後ににビルボとフロドがガンダルフやエルフたちと西方へ旅立つという意味がよく分からなかった。『ナルニア』の最後と比べると、これもまた神の国へ旅立ったということなのだろうか?

追補編だけはなぜか文庫では刊行されていないので、単行本で読んだ。(その後文庫でも出版された)
各王国の歴史や歴代の王の名、在位期間、年表、系図、暦、言語、表記、など作者が作りあげた物語世界の全ての資料がおさめられている。これを読んでアラゴルンがいくつもの名を持っていること、『指輪物語』の前にすでにアルウェンと出会って婚約していたこと、などがよくわかった。それにしてもよくもまあここまで考えたものだ。冒険の日々がちゃんと日付で説明してあるし、ホビットやドワーフたちの詳しい系図や言葉と文字まである。これらをある程度理解した上で、最初からもう一度読んでみたい。
再読 2002/3/16 2004/3




2002/1/10
『動物会議』
エーリッヒ・ケストナー(高橋健二訳) 岩波書店 1962年
もとは絵本だというが、風刺がきいていておもしろかった。




2002/1/10
『絶叫城殺人事件』
有栖川有栖 新潮社 2001年
表題作をはじめ前作『暗い宿』よりずっといい。これは前作には火村と有栖のラブラブがなかったからか、それともこれが本格推理だからか?両方かな。やはりあの二人の仲良しこよしは、あほらしいけどおもしろいもの。




2002/1/14
『黒と茶の幻想』
恩田陸 講談社 2001年
主人公4人の昔の友人として、『麦の海に沈む果実』の憂理が話題にあがっている。第1部「利枝子」では憂理の演じる一人芝居で『麦〜』に似た話があり、懐かしかった。第2部の「彰彦」が切ない。第4部「節子」が実は一番好き。このバランスのよさ、人との距離のとり方のうまさがいい。恒例の懐かしモノは「クイズ・ダービー」あの番組は好きだった。




2002/1/14
『嫉妬の香り』
辻仁成 小学館 2000年
去年の秋のテレビドラマを観て、読む気になった。テレビとは違ってテツシの視点で彼の一人称で語られる。ミノリはあまり出番がなく、むしろ早希との絡みのほうが多かった。




2002/1/15
『ねずみ女房』
ルーマー・ゴッデン(石井桃子訳) 福音館 1977年
ねずみのおくさんは外の世界をハトから聞く。知ることによって昨日とは違う自分がいる。




2002/1/15
『ちょー後宮からの逃走』
野梨原花南 集英社コバルト文庫 2001年
サリタと名乗っているけど、スマートに違いない。




2002/1/15
『魔女と暮らせば』
ダイアナ・ウィン・ジョーンズ(田中薫子訳) 徳間書店 2001年
昨年読んだ『魔女集会通り26番地』の新訳版。シリーズの各作品の時代が解説に述べてあってわかりやすい。挿絵(佐竹美保)のキャットがかわいい。




2002/1/18
『ドーム郡ものがたり』
芝田勝茂(和田慎二絵) 福音館書店 1981年
約20年前の作品。図書館の先輩からこの本のことを「当時はじめてこういう冒険モノが出た、と評判になったのよ」と聞かされて興味があった。なかなかおもしろかった。古代語のことや文字や歌が出てくるところなど、『指輪物語』の影響ではと思われる部分が多くあった。クルミが「これからの森」と名づけた森が、実は自分が暮らしていた森だったというところは、おもしろかった。クルミの師のヒース先生が探しているものが何なのか、またかかしの正体は?とか謎がまだ残っているのだが、いちおうハッピーエンドだった。ただ文章はあまり好きではない。
再読 2004/5/22




2002/1/21
『わたしが妹だったとき』
佐野洋子 偕成社 1982年
絵ももちろん作者。「11才のままの兄のために―」という献辞がある。作者の亡くなった兄との思い出を、幻想的に描いている。柿の種を飲み込んだら、耳から枝が生えてきて鹿のようになったとか、お風呂に入りお湯のふちをじっとみつめていると汽車が見えてきて、いつの間にか汽車に乗っている、というように。主人公の女の子の横にはいつも兄がいる。「汽車ののりかたうまくなったね」という兄の声が泣かせる。




2002/1/22
『三千世界の鴉を殺し 5』
津守時生 新書館ウィングス文庫 2001 年
今回ルシファーがモテモテ。副官ライラ曰く「男殺し」同感です。




2002/1/25
『トールキンー『指輪物語』を創った男』
マイケル・コーレン(井辻朱美訳) 原書房 2001年
読みやすかった。トールキンの生涯を追いながら、ところどころビルボやフロドが顔を出す趣向が楽しい。




2002/1/29
『ケストナーの生涯 ドレースデンの抵抗作家』
高橋健二 福武文庫 1992年
ケストナーの伝記。母親との関係の親密さは予想以上だが、本文は子どもの頃より戦時中ナチス下での抵抗のほうに多くさかれている。ルイーザロッテとは正式な夫婦ではなかったとは驚いた。




2002/1/30
『五月三十五日』
ケストナー(高橋健二訳) 岩波書店 1962年
ケストナーにしてはめずらしくファンタジーっぽい。しかもスケートをはいた馬など、奇想天外ナンセンス。ケストナーの違う面を見られておもしろい。タンスの引き出しかから南洋への道に入り込むところは『ナルニア』に似ている。




2002/1/30
『エーミールと三人のふたご』
ケストナー(高橋健二訳) 岩波書店 1962年
おかあさんとエーミールの絆の深さは、ケストナーと母の関係そのものだ。




2002/1/31
『サーカスの小びと』
ケストナー(高橋健二訳) 岩波書店 1962年
すごくおもしろかった。マッチ箱に入るくらいの小人が大活躍するという、これまた奇想天外な話。




2002/1/31
『マザー あなたのための小さな物語5』
赤木かん子編 ポプラ社 2001年
赤木かん子さんらしく、ここに描かれている母親像はそれぞれかなり痛い。

『ひとりぼっちの日曜日」(赤川次郎)
お茶碗を壊す娘に茶碗を差し出す母。この不気味さに城山三郎の「素直な戦士たち」を思い出した。

『コスモス」(山岸涼子)
怖い。母親が「心配だわ」というときの顔がなんともいえない。

『アリスちゃん』(シャルルル・ルイ・フィリップ 鈴木力衛訳)
母親の愛を独占したいため、弟に嫉妬し、拒食の果てに命を落とす子ども。なんという衝撃。

『夢の子供』(モンゴメリ 村岡花子訳)
子供の死は母親を狂わせる。哀しい。でもわたしだって正気でいられるかわからない。




2002/1/31
『わたしが子どもだったころ』
ケストナー(高橋健二訳) 岩波書店 1962年
『ケストナーの生涯』で引用された部分が多くあり、既読のような気分。母親の美容師の仕事の部分はおもしろかった。クリスマスの時は両親の間でケストナーは大変そう。



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