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2003/11/3
『魔の沼』
天沢退二郎(林マリ絵) 筑摩書房 1982年
オレンジ党第2部。ここにきてがぜんおもしろくなってきました。『闇の中のオレンジ』のなかの第1話、3話に出てきた京志が、オレンジ党に協力する少年として登場。わたしはあちらを読んだときからこの京志少年のことが気になっていたので(あちらでは何も解決していないので)彼の登場は嬉しかった。




2003/11/3
『オレンジ党海へ』
天沢退二郎(林マリ絵) 筑摩書房 1983年
シリーズ3作目。これはちょっとダークすぎて後味よくなかった。鳥を殺す描写が気持ち悪かったせい。『魔の沼』の方が好きです。このシリーズ好きかと聞かれたらちょっとためらうものがあります。ただとても奥深いものを感じさせる作品。書かれていない部分にもっともっと物語があるような気がします。オレンジ党のリーダー李エルザの背景なんか、詳しく書いたらとても興味深いものになるだろうに。




2003/11/4
『有栖川有栖の本格ミステリー・ライブラリ』
有栖川有栖編 角川文庫 2001年
おもしろかった。全然知らない作品ばかりだった。巻末に北村薫との対談あり。
『埋もれた悪意』巽昌章
『逃げる車』白峰良介
『金色犬』つのだじろう
『51番目の密室』ロバート・アーサー(宇野利泰訳)
『<引き立て役倶楽部>の不快な事件』W・ハイデンフェルト(高見浩訳)
『アローモント監獄の謎』ビル・プロジーニ(森慎一訳)
『生死線上』余心楽(松田京子訳)
『水の柱』上田廣
『「わたくし」は犯人』海渡英祐
『見えざる手によって』ジョン・スラディック(風見潤訳)




2003/11/5
『だれが君を殺したのか』
イリーナ・コルシュノフ(上田真而子訳) 岩波書店 1991年
10代の青少年の悩み、「自分は何者なのか、何をしたいのか」というどうしようもない焦りはよく分かる。そしてその焦りが親や周囲に向かい、その結果引き起こされる摩擦も当然のことだと思えます。とにかく彼らには全てが自分を押しつぶそうとしている敵のように見えるのです。自分のことを振り返って彼らに共感しながらも、でも今のわたしからみれば親たちの気持ちもまたよくわかるので、この子たちに「そんなにとんがるなよ」と言いたくなります。自分たちだけが傷つきやすいわけじゃないんだよ。そう思うのは若さの思い上がりだよ。死んだクリストフももう少しそれを感じていてくれたら、とそれが残念です。
これも前の作品と同じく現在と過去が交錯して語られます。これがこの作者のスタイルなのでしょうが、やっぱり少し読みにくい。




映画 2003/11/7
「12人の優しい日本人」
中原俊監督(DVD) 1991年
以前一度借りて最初のほうだけ観て、あまりに登場人物が叫んでばかりでうるさいので、途中でやめてしまった。本家の「十二人の怒れる男」を観たので、もう一度観てみたら、今度はすごくおもしろかった。単なるパロディに終わっていないところが見事。こちらも12人ちゃんと描き分けてあり、特に最後まで頑固に無罪を主張したのが、頼りなくすぐ人の意見に左右されぐずぐず言ってる冴えないおじさん、おばさんであることが痛快。そして前半まるで目立たず、終盤突然活躍しだすトヨエツのそのギャップがおもしろい。もうけ役。




映画 2003/11/7
「ピアノ・レッスン」
ジェーン・カンピオン監督(ビデオ) 1993年
海辺でピアノを弾く主人公エイダと、それにあわせて踊るエイダの娘。この場面はとても美しい。そりゃ男が惚れるわけだ。夫はピアノを置き去りにした時点で負けている。ピアノ曲は美しく、これが聴きたくて観た映画。エイダ役のホリー・ハンターのまるで陶器のような肌の白さが印象に残った。悲惨な結末かと思ったら、意外にも最後はけっこうハッピーエンドだった。
再鑑賞 2004/9/9




2003/11/10
『ビリー・ジョーの大地
カレン・ヘス(伊藤比呂美訳) 理論社 2001年
詩のような散文のような文章。過酷な現実を描きながら、大地に根を張りたくましく力強く生きる少女ビリー・ジョーの姿に、希望が見える。感動作。




映画 2003/11/10
「ルートヴィヒ 神々の黄昏」
ルキノ・ヴィスコンティ監督(ビデオ) 1972年
なんかヴィスコンティばかり観ているような気がする。豪華絢爛な贅沢な映画。それだけでも観る価値があるんだろうな…。ヘルムート・バーガーは凄い美形と聞いていたけど、わたしの好みではない。髪型のせいか顔がでかくて、ロミー・シュナイダーとならんだら、よけいでかさが強調される。むしろ弟オットー役のほうが美少年だと思う。たんに好みの問題だけど。それよりロミー・シュナイダーが本当に美しい!こちらはもうまったく文句なし、うっとり見とれていた。
王としてはルートヴィヒは失格だと思う。いくら「戦争はしたくない」からって、前線に出るのも弟に押し付けて、おかげで弟は精神を病んでしまったじゃないか。弟の上官がルートヴィヒと語る場面が、中ほどと終わり近くに出てくるが、この上官はとても誠実で心から王のことを思っている。だからこそあえて苦言も呈するのだが、それはいちいちもっともで、彼の言うことをちゃんと聞いていれば違う運命が開けていたかもしれないのに、それがとても残念。彼が王を退位させたい重臣たちの質問に「<王の狂気>は、だれかそれを必要とするものがいたからだ」と答えていたが、正しい指摘だと思う。




映画 2003/11/11
「キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン」
スティーブン・スピルバーグ監督(DVD) 2002年
1960年代に実際にあった詐欺事件を映画化。以前テレビの番組でその実話のほうを見たことがある。予告編でディカプリオが大勢のスチュワーデス(当時はこう呼んでいた)を引き連れて歩くところがあって、なんか軽そうな映画だと思っていたが、意外と真面目で面白かった。これが実話で当時主人公がまだ10代だったなんて驚き。ディカプリオが再婚した母親の家を覗いてどこにも自分の居場所がないことを悟り、トム・ハンクス演じる捜査官に「車にのせて!」と頼む時の表情が、いじらしくて可愛い。こういう役は彼にはよく似合う。父親役のクリストファー・ウォーケンがとても気になる存在だった。ファッションと音楽もおしゃれ。オープニングのアニメがおもしろい。




映画 2003/11/12
「アメリ」
ジャン=ピエール・ジュネ監督(DVD) 2001年
冒頭の意表をついたシーンから始まり、ちょっと変った女の子のちょっと変った物語が幕を開ける。アメリ役の女の子がすごくかわいい。すごくおもしろかったけど、しかしこれって決してこころあたたまる話ってわけじゃないのになあ。




2003/11/13
『豚の死なない日』 『続・豚の死なない日』
ロバート・ニュートン・ペック(金原瑞人訳) 白水Uブックス 1999年
これも『ビリー・ジョーの大地』と同じく感動作。きびしくつらい生活なのに、むしろ明るくさわやかに感じられます。少年と父親との関係がすばらしい。字も読めない父親ですが、大地に足をつけた人間のまっとうな暮らしから導き出された彼の教えは、少年に正しく伝えられていきます。死期をさとった父親との残された日々。―そして父の埋葬。少年の成長が胸を打つ。続編も素晴らしい。




映画 2003/11/14
「カサブランカ」
マイケル・カーチス監督(ビデオ) 1942年
有名すぎるほど有名な作品、ようやく鑑賞。ハンフリー・ボガードよりフランス人署長役の人がいいなあと思った。それとドイツ軍少佐が「会議は踊る」のメッテルニッヒだった。この人も好き。イングリット・バーグマンはさすがにきれい。




映画 2003/11/14
「海の上のピアニスト」
ジュゼッペ・トルナトーレ監督(ビデオ) 1999年
日本語吹替版。船の中で生まれ、一度も船をおりなかった伝説のピアニスト。美しいピアノ曲とともにつづられる夢のようなおとぎ話。主人公1900(ナインティーン・ハンドレット)を演じるティム・ロスの淋しげなまなざしが印象的。嵐で揺れる船内で滑走するピアノを弾くところや、一度は船をおりようと決心した1900が立ち止まり、結局引き返していく場面など心に残った。
再鑑賞 2004/8/4




2003/11/14
『バラをさかせた手』
アンドレ・ドーテル(榊原晃三訳 こさかしげる絵) 文研出版 1975年
アンドレ・ドーテルの作品を探してようやく見つけた一冊。昭和50年9月発行。ちょっと古い。
少年が傷を癒してもらうために「世界で一番美しい手」を探してあるくが、その手はよそではなく身近なところにあった、という『青い鳥』に似た話。巻末に訳者がドーテルの作品について解説してあるのが収穫。




2003/11/14
『草加ものがたり』
栗原直子(田木宗太絵) けやき書房 2002年
1986年刊行、2002年に新装版刊行。第15回埼玉文芸賞を受賞した作品。
なかなかおもしろかった。テラブレーションで作者にお目にかかり、楽しい話を聞かせていただきました。




2003/11/18
『忘れ川をこえた子どもたち』
マリア・グリーペ(大久保真子訳 ハラルド・グリーペ挿画)  富山房  1979年
今まで読んだことない不思議な雰囲気の作品。思いがけない展開になりますが、もうひとつまとまりがないというか不安定な感じを受け、それがまたおもしろかった。
魔法使いの飼うカラスの目が、一つは善一つは悪を見、ふたつそろってはじめてまったき目となるというところなど、ところどころ哲学的ともいえる表現があります。また領主が奥さんを選ぶその基準にしても、可哀相な相手を選べば自分が優位に立ていつも気分よくいられるからというものだし、そのくせ本人はすごく慈悲深くいい人間のつもりでいる。このヤローと腹立たしい思いもしましたが、こういう人間はけっこういるし、そういう部分はだれしも持っています。
なんだか哲学的思索的だなあと思ったら、作者は大学で哲学や宗教史を学んだということで、なるほどそれでかと納得しました。ちょっと変った味わいの作品でした。
さし絵は作者の夫。これまたちょっと怖い不思議な雰囲気の絵です。
作者は1974年に国際アンデルセン賞を受賞しています。




2003/11/19
『ねぎ坊主畑の妖精たち』
天沢退二郎(林マリ絵) 筑摩書房 1994年
短編集。「オレンジ党シリーズ」につながる話もあり。相変わらずダークな話が多いが、今までで一番ファンタジーっぽく、これはわりと素直に好きといえる作品。
装丁、絵もすごくいい雰囲気。林マリさんは作者の妻。

「ねぎ坊主ばなし」 ショウガ畑の妖精とニンジン畑の妖精とのけんか。

「びわとヒヨドリ」 なぜヒヨドリはあのびわを食べないのか。

「夜の道」 田久保京志が出ている。

「土神の夢」 なんだかつらく切ない。

「杉の梢に火がともるとき」 ぼくの名前はなんだろう?

「人形川」 怖いよ〜。竜とみどりがでている。

「グーンの黒い地図」 これもオレンジ党に関係。




2003/11/21
『お嬢様とは仮の姿!』
喬林知 角川ビーンズ文庫 2003年
「まるマシリーズ」番外編。あの「箱」をめぐるこっち側の話。相変わらず文章に少し難があるけど、イキオイで読ませる。
はづきメモ>すすすすんげータイトルだな、おい。まほさん(かしてくれた友人)がカバーつけてくれててよかったい。マよりすげーぞ。そんでこれはマの姉妹篇とでもいってしまえばいいのか。そう銘うっているわけでもないんだけど、そこらへんの中途半端っぷりはどうなのか。十二国記のない『魔性の子』だといえばわかりやすいかと。単独でじゅうぶん愉しめるんだけど、それにしては気になるほのめかしがある。でもマ読者率がかなり高いだろうから、そこらはいいのかもしれん。
自分は次男がラストにずぶぬれででてくるときいたので、そのために読んでみました。したらムラケンの前前世くらいもでていた。やはりめがね。てか次男、いつの時間軸の話だいこれは? ええと、戦争終わって二世代。ってことは天マ地マと平行してるのかな。わからぬ。
わからぬといえば、自分は次男の血族の「薄茶に銀の光を散らせた」虹彩がどんなもんなのか想像に苦しんでいます。いやなんか、きらきらしててきれいで印象深いんだろうけど。
マに偏ってしまいましたが、エイプリルの話は話でおもしろかったです。つよい女の子話だもの。がっつり結婚までいっていたもの(そこらへんの事情をもそっとくわしくー)。
まあナチとかSSとか、きわどい選択は作者があとがきで担当さんのせいにしてるので…。表紙のハーケンクロイツもあんまりめだたないよう描いてあるし、いんでないか。




2003/11/21
『日本少国民文庫 世界名作選』(一)(二)
山本有三(編) 新潮社 1998年
1998年の国際児童図書評議会の第26回世界大会における、美智子皇后さまの基調講演「子供時代の読書の思い出」に取り上げられたことがきっかけで復刊された本。元の本は昭和11年に刊行されています。「点子ちゃんとアントン」など読んでいた作品もありましたが、初めて読む作品も多く、今読んでもわくわくしました。




映画 2003/11/22
「飛ぶ教室」
トミー・ヴィガント監督(映画館) 2003年
いわずと知れたケストナーの名作。会場は結構人がいて、年配の人の姿もちらほら。ケストナー人気に喜ぶ。しかし映画はとても微妙。原作に思い入れがありすぎるせいか、今ひとつ感動できなかった。原作のエピソードを安易にしかも中途半端に使わないでほしい。使うなら原作通りに作ってほしかった。エガーラントが何であの子なんだ?あの「飛ぶ教室」のラップは何だ?現代風アレンジなんていらないよ。でも評判はよさそうなので複雑な気分。こどもたちはみな可愛い。特に籠に入ったウリーはめちゃめちゃかわいい。
映画のことはもう忘れて、原作をいつまでも愛していこうと決心した。




映画 2003/11/25
「マトリックス レボリューションズ」
アンディ&ラリー・ウオシャウスキー監督(映画館) 2003年
う〜ん。メインはザイオンの攻防で、最後のネオとスミスの戦いは全然おもしろくなかった。だとしたら「マトリックス」でなくてもお話は作れるはず。トリニティがやつれていて、きれいにみえなかった。主役トリオプラス1(スミス)が精彩を欠く中、セラフとナイオビがすごくかっこよかった。で、結局ネオはどうなったのかわからないし、そもそも何のために戦っていたのか?こんな結末をネオたちは望んでいたのか?完結編にしてはちっともすっきりしない。キャプテン・ミフネの死には涙したけど。




2003/11/27
『あらしの前』 『あらしのあと』
ドラ・ド・ヨング(吉野源三郎訳) 岩波少年文庫 1995年
第2次世界大戦、ドイツに占領されたオランダの一地方に住むファン・オルト家の人びとの姿を描いた作品。『あらしの前に』では戦争がはじまる前後、『あらしのあと』は『あらしの前』から6年後(戦争が終わって2年後)の話。戦争は人びとの暮らしを破壊し、こころを破壊する。子どもが戦争を日常として過ごすことにより、いかに心を傷つけられ蝕まれていくのか、『あらしのあと』のピーター・ピムの姿に見られますが、痛々しくも恐ろしくもあります。




2003/11/27
『虹果て村の秘密』
有栖川有栖 講談社ミステリーランド 2003年
おもしろかった。ジュブナイルとはいえさすがは有栖。犯人はだいたい見当がつきます。




2003/11/29
『ぼくと未来屋の夏』
はやみねかおる ポプラ社 2003年
何と主人公「ぼく」の名前が風太だった。
まあこの人はいつもこんな感じ。夢水シリーズよりふざけた感じが少ない分、少し大人っぽいかな。




2003/11/30
『魔女の死んだ家』
篠田真由美(波津彬子絵) 講談社ミステリーランド 2003年
もともと好みの題材のところに挿絵が好きな漫画家なので読む前から楽しみでした。西洋館、女主人のサロンにつどう男達、学校へ行かない娘、好きです、こういう世界。漫画でも読んでみたくなります。




2003/11/30
『LSD―兄ケビンのこと』
マヤ・ヴォイチェホフスカ(清水真砂子訳) 岩波少年文庫 1986年
家族のために「いい子」であり続けようとした兄ケビン。彼が自分を取り戻していく苦しみ。それを見つめる弟。どちらも相手を思い合っているだけに、つらい作業です。しかしケビンが麻薬の手を借りなければ、それが出来なかったのかと思うと痛ましく思えます。なんてきつい話。



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