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2003/3/6
『盗まれた記憶の博物館』上下
ラルフ・イーザウ(酒寄進一訳 佐竹美保絵) あすなろ書房 2002年
ベルリンに住む双子の姉弟ジェシカとオリバーは、ある日突然警察の訪問を受けます。博物館に勤めている父が、展示中の石像を盗んで逃走したと知らされた二人は、自分たちに父の記憶がないことに驚きます。なくした記憶と父の行方の手がかりを求めて、二人は夜の博物館にもぐりこみます。そこでオリバーは人びとの記憶から忘れさられたものたちが行き着く「クアヒニア」という別世界に入り込んでしまいます。クアヒニアで父親を探すオリバー。一方現実世界に残されたジェシカは、父に続いて弟の記憶もなくしてしまいますが、博物館員ミリアムの助けを借りて父と弟の行方を探すために奔走します。クアヒニアと現実世界、それぞれで探索を続けるうち、二人はクアヒニアに君臨し、現実世界をも支配しようとするクセハーノの存在に気づきます。はたしてタイムリミットまでに、クセハーノの野望を阻止することはできるのか?
物語の舞台が、博物館という人類の歴史の謎の一杯詰まった場所であるだけに、ここでは古代バビロニアの神話や、歴史上の出来事、人物、戦争など人類の「記憶」にかかわるものがたくさん取り上げられています。そのひとつひとつがとても興味深く、考古学の説明を聞く場面ではわくわくしました。一方アウシュビッツなどの箇所では、『夜と霧』を読んだ後だけに厳粛な気持ちになりました。
オスカーが絵や音楽など芸術系が得意なのに比べ、ジェシカは数学やコンピュータなど理数系が得意。双子がそれぞれ得意分野が違い、別々の世界でそれぞれの能力を駆使してひとつの謎を解いていく、という展開もとてもおもしろかったです。
「記憶」や「名前」というテーマに、『モモ』や『はてしない物語』を思い出しました。そういえば作者を見出したのはエンデで、ドイツでは「エンデに次ぐドイツ・ファンタジーの旗手」と言われているそうです。




映画 2003/3/10
「ロード・オブ・ザ・リング 二つの塔」
ピーター・ジャクソン監督(映画館) 2003年
至福の時間。ああうっとり。3時間が短く感じられました。
かなり脚色してあってアラゴルンも大変な目に…でも出番が多かったので嬉しい。 今回主役は馳夫さんでしょう。あの「ドア、バーン」は予告編のときは「王の帰還!?」と思いましたが、あそこで使ったのか。でも死ぬほど格好よかった!
ハルディアが出てきたり、ファラミアが原作と違う動きをしたり、いろいろ違う部分もあったけどとてもうまく脚色してあり、映画としての出来はかなりいい。
レゴラスの格好よさを再認識しました。特にあの馬の乗り方。思わず声に出して「かっこいい!」と叫んでしまいました。
そしてなんといってもサム!ああサム、なんていい奴なんだ。最後なんてサムの言葉に涙してしまった。
再鑑賞 2003/3/15 2003/9/28 2003/10/8 2003/12/4 2004/2/1 2004/7/6



2003/3/13
『かかし―今、やつらがやってくる』
ロバート・ウェストール(金原瑞人訳) 福武書店 1987年
主人公は寄宿舎で暮らす14歳の少年サイモン。亡くなった軍人の父親に憧れ尊敬し、いつか父親のようになりたいと思っていました。ところが母親が父親とは全く違ったタイプの男性、画家のジョーと結婚してしまいます。サイモンは驚き怒り、激しい憎しみを母親にぶつけます。そんなサイモンの憎悪に呼応するように、昔凄惨な殺人事件のあった水車小屋から、三体のかかしがサイモンの家をめがけて近づいてきます―。
再婚した母親に対する息子の複雑な感情がとてもリアルに描かれ、かなり重い話なのにぐいぐい引き込まれて読まされます。屈折したサイモンの心理描写はとても見事で息苦しくなるほどです。純粋に父親に憧れるサイモンにとって母親の再婚は裏切りのように感じられるのはよくわかりますし、ましてそれが父親と正反対の男性だったことから、ことさら再婚相手のジョーを貶めて見ようとしていることも理解できます。いっしょに暮らすうちジョーのよさにも気づいていたのにも関わらずそれを素直に認められず、無心にジョーになつく妹と違い、家族の中で孤立していくサイモンが痛々しい。
こういう設定ならよくある話のようですが、しかしこの作品のすごさはその容赦なさです。母親が再婚相手に今の幸せを訴え甘えるところ。それを聞いてしまったサイモンのとった行動、それに対する母親のヒステリックな応酬。サイモンも母親もここまでやるか!というほどすべてが想像をこえる凄まじさです。
そしてじりじりと近づいてくるかかし。これが怖い。でもこれが現実に昔の殺人事件の怨念が呼び覚まされたもの、というところが実は納得いきませんでした。これではホラーになってしまうのでは?できればこのかかしは、冒頭に書かれたサイモンが自覚している自分の中に住む「悪魔」−どうしようもない凶暴な衝動―の象徴として書かれたほうが、わたしにはすんなり受け入れられたのですが。このため最後はちょっと拍子抜けしてしまい、大絶賛したかった気持ちがしぼんでしまいました。

この作者の他の作品の紹介を読むと、戦争を徹底的に否定しています。作中の母親に父親とその血筋をあしざまにののしらせているのはそのせいかと思います。
ただこの母親の描き方がどうも同じ女性として共感するところが少ないのです。死んだ夫に対する気持ちが元からああだったのか、再婚相手に対する無意識の媚としてそう言ってるのか、そこらへんがはっきりしません。再婚にあたってもサイモンに相談することもなく一方的に宣言したり、親として子どもに言ってはならない言葉を吐いたり。どうももともとこの母子はうまくコミュニケーションがとれてなかったように思えます。だからよけいお互いにうまく相手に気持ちを伝えられず、問題をややこしくしたようです。最後はこの母子の関係が修復したわけでもありませんが、サイモンが新しい家族のなかで居場所ができたことはよかったと思います。




映画 2003/3/15
「ロード・オブ・ザ・リング 二つの塔」日本語吹替版
ピーター・ジャクソン監督(映画館) 2003年
オフ会でみんなで鑑賞。わたしはもともと字幕派だけど、吹替えも画面に集中できるよさがあると思う。声の違和感というものは心配したほどなかった。それより映画の後のおしゃべりが盛り上がって楽しかった。映画にかぎらず本でも、好きなものに関してはひとりよりも大勢のほうがテンションも高くなり、派手に盛り上がれる。特に映画だとイメージがしやすいので、本よりもっと盛り上がれる気がします。とにかく楽しかった。



2003/3/18
『チョコレート戦争』
大石真 理論社 1973年
なつかしい作品。読書会用に久しぶりに読みました。子どもたちが小学生のころ読んだ本です。当時とても楽しく読んだ作品でした。
ケーキが今のように日常に食べられるものではなかったあのころ、ラーメンが50円だったあのころ、ここに描かれる時代はわたしの子供時代にちょうど重なります。だからとてもなつかしくそれなりにおもしろく読めたのですが、内容は少し物足りなさが残ってしまいました。それぞれのエピソードがどうしても少し掘り下げ不足かなと思ってしまうのです。わたしの年齢のせいでしょうか。それとも時代が違うから? 今のこどもたちがはたしてこの作品を読んだらどう感じるでしょうか?聞いてみたいところです。




2003/3/19
『虚空の逆マトリクス』
森博嗣 講談社ノベルス 2003年
短編集。この題名だとどうしても映画「マトリクス」の予告編を思い出してしまいます。

「トロイの木馬」
思い出したくもない昨秋感染したコンピュータウィルスの名前だ。

「赤いドレスのメアリイ」
赤い服の彼女の正体はどっち?

「不良探偵」
この題名は何を表しているのか?

「話好きのタクシードライバー」
案外平凡な結末。

「ゲームの国(りりおばさんの事件簿1)」
新しいシリーズの予感。回文がおもしろい。特に「しぼめ梅干」。こういうものが作れる人の頭の中をのぞいてみたい。

「探偵の孤影」
海外の翻訳ものっぽくておもしろかった。ロマンホラー?

「いつ入れ替わった?」
ひさびさの犀川&萌絵の登場。二人の関係が進展していることがわかり、感無量。『赤緑黒白』で発覚した驚愕の事実でノックアウトされた身としては、こんなに普通に進展しているとかえって心配にすらなってきます。そして巻末の刊行予定に『四季』とあるのをみつけて、またまた心騒がしくなってきました。真打登場のような気がします。




2003/3/20
『ず・ぼん 8号』
ポット出版 2002年
特集「図書館バッシングに反論 本が売れないのを図書館のせいにするな」「非常勤職員という待遇とその給料」など興味深い話題がいっぱいでした。
また「ある県立図書館と利用者の購入要求をめぐるもめごと・その後」については、「もめごと」そのものを知るため、ネットで7号の特集記事を読み、いろいろ考えさせられました。図書館講習を受けたのははるか昔のこと。埃をかぶったそんな記憶にばかり頼ってないで、もっと現状について勉強しなければいけないと痛感しました。



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