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2003/6/3
『思い出の青い丘 サトクリフ自伝』
ローズマリ・サトクリフ(猪熊葉子訳) 岩波書店 1985年
重い障害のあるサトクリフなのに、暗さはなくとても明るく書いています。作家になる前画家だったというサトクリフの、両親を描いた細密画もあり、彼女の情景描写の確かさは画家としての目があったからなのだと納得しました。




2003/6/4
『春高楼の』
清水義範 講談社文庫 1998年
時は明治、東京帝国大に入学した樋口淳一郎の青春。さわやかだけど、ちょっとあっさりしすぎていて物足りないかな?




2003/6/5
『虚構市立不条理中学校』
清水義範 講談社文庫 1998年
教育をテーマにしているせいか、少し重い。もう少し軽みがあったほうが好みです。笑うに笑えないところが恐い。




2003/6/7
『江國香織とっておき作品集』
江國香織 マガジンハウス 2001年
どの作品にも著者らしさがあふれています。妹と父親からみた著者の姿も。

「409ラドクリフ」
著者の処女小説。アメリカ留学の日々。この人らしく恋愛小説を書いても透明感がある。美しく、そして痛い。

「放物線」
男2人女1人の大学時代の仲間。たまに会ってすごす幸せな時間。こんなひとときが持てたらいいなと思う。

「ビートルス訳詩集」
曲も詞も単純だけどやっぱりいい。わりと軽くくずした感じの訳詩。

「9月の庭」
ちょっと不思議なファンタジーっぽい話。おもしろかった。

「があこちゃん」
こわいよお〜。こんなのメルヘンかぁ?

「夜と妻と洗剤」
へんな話。ちょっとクスっと笑える。

「物語の復権」
インタビュー。「あくまでの基本は物語りは楽しいということ」うん、そうだよね。

「ラブ・ミー・テンダー」
ボケはじめた母が毎晩楽しみに待ちつづける電話の、思いがけない相手。

「夢日記」(江國睛子)
妹からみた姉江國香織。おかしな夢を見ては泣いている姿がかわいい。

「ぬるい眠り」
恋の終わり。プルキニエ現象という青い夕方をはじめて知った。

「香織の記録」(江國滋)
 父が綴る誕生から6歳までの記録。愛情に充ちた暖かな記録。

「夕闇の川のざくろ」(守屋恵子絵)
友人しおんの不思議な話。人を信じないしおんの「人なんてほんとうじゃないもの」という答えがするどい。




2003/6/8
『わたしが幽霊だった時』
ダイアナ・ウィン・ジョーンズ(浅羽莢子訳) 創元推理文庫 1993年
読みにくかった。主人公は幽霊らしいのですが、自分が誰でどうして幽霊になったのかわからない。自分の姉妹らしい少女たちの元へ行っても記憶がはっきりしない。この姉妹をはじめ登場人物が相変わらずすさまじい。万年躁状態の騒がしさに、読んでてぐったりしてしまいました。わけがわからず読んでいると、中ごろで事態が一変します。主人公がなぜ幽霊になったのかがときあかされていきますが、最後の最後までドタバタがおさまらず、とても疲れました。いつものようにすっきり収束してゆく痛快感がないし、内容の暗さもあって読後感がよくありません。
はづきメモ>狂気の沙汰。どうなの、こんな姉妹たち。なのにこれが実体験をもとにしてるってあたりがあなおそろし。こんな環境で育ったのねジョーンズ。そりゃあグウェンダリンも生まれるわ。
さて話はややこい。どんな話なの、こんな展開になるの、ふーん、という。ただ自分はちょうどハインライン『夏への扉』読了後で、タイムパラドクスは成立しえない、という説明にふむふむとわからないなりにうなづいていたので、『わたしが〜』のモニガンにとって時間がぜんぶ平行してながれてる…ってあたり、ちょうど『夏への扉』の理論がとらえやすかったので、合点!というかんじ。あれだな、時間を線とかんがえるからいけないんであって、自分を中心に360度すみずみまでひろがってる面だととらえるんだ。なにもかも同時に起こってるんだ。…ほんとに合点してるのかな、自分。さて疑問がこれがはたして児童書なのか、子どもむけなのかっていう。




2003/6/9
『星に帰った少女』
末吉敏子(こみねゆら絵) 偕成社 2003年
1977年初版、1985年偕成社文庫に収められ、その後絶版になっていたが復刊された。以前「かつくら」で紹介され気になっていた作品。ママのお古のコートのポケットに入っていたバスの回数券がきっかけでおこるタイムトラベルもの。発表されたのが1977年で、タイムスリップする先がまだ戦後間もないころの日本。わたしには懐かしいですが、今の子供たちには少し想像しにくいかも。マミ子と杏子、ふたりの少女の気持ちがどちらもよくわかります。




2003/6/10
『九年目の魔法』
ダイアナ・ウィン・ジョーンズ(浅羽莢子訳) 創元推理文庫 1994年
最初は『わたしが幽霊だった時』をひきずっていて、読みにくいと思っていましたが、途中で一度読み直して見たら、最初読み飛ばした中に実にさまざまな伏線が張られていることに気づき、俄然おもしろくなってきました。9年にわたる少女の、成長の記録とも戦いの記録ともいえる作品。それとも一種の恋愛小説でしょうか。随所に主人公ポーリィがリンさんから贈られて読む本がでてきますが、実際にこれらの本を読んでいればもっとおもしろく読めると思います。作者はこれらの物語をしっかりと自分のものにしていて、自分の作品の中に巧妙にちりばめているのでしょう。この作品にそれが一番濃く表れているように思います。いつもながらなんと凝縮された濃い物語であることか。
あいかわらず登場人物がユニーク。とにかく強烈な個性の持ち主ぞろい。主人公の両親の情けなさにくらべ、おばあちゃんの何という力強さたくましさ。このおばあちゃんがとてもよかった。実は最後の部分の情景が、頭の中でうまくイメージできなくて、いったい何がおこったのかよく分からないままなのです。どうやらたたかいに勝ったらしいのですが、はっきりしません。
登場人物の性格、行動、考え方、話の展開、どれをとってもこんなこと作者以外にきっと誰も考えつかないのでは?クセがありすぎて時々苦手に思うこともありますが、やはりとても惹きつけられます。
はづきメモ>これも『わたしが幽霊だった時』に負けず劣らずいりくんだややこい世界で、ラストなんかなにが起きてるのかもう、さっぱりかっぽりわからないのですが、おもしろい。自分は恋愛小説として読みました。年々成長していく少女、年上の男性から本を贈られるという設定もたまらないですね(これが謎解きのカギとなっていたわけですが)。で、けっきょくなにがどうして勝ちを得たんでしょう、主人公は。さっぱりかっぽり。




2003/6/11
『山羊座の腕輪(ブレスレット)』
ローズマリ・サトクリフ(山本史郎訳) 原書房 2003年
最初はローマ時代のスコットランドをテーマとするラジオ放送の台本として書かれたものだったそうです。これはそれを加筆した作品。
副題に『ブリタニアのルシウスの物語』とあるように、ローマ軍の百人隊長だったルシウス一族の物語。ルシウスが褒章としてもらった山羊座の腕輪を、全6章の各章の主人公がルシウスという同じ名で代々受け継いでいく。これはローマン・ブリテンシリーズのマーカスたちが代々イルカの指輪を受け継いでいったことに似ています。『辺境のオオカミ』の中にルシウスという名の百人隊長がでてきましたが、彼もこのルシウスの一族のひとりかもしれません。巻末に作者がつけた「物語の背景となる歴史の流れ」がありますが、それにローマンブリテン4部作や他の作品の時代をかさねてみると、ブリテン史が少しわかってきます。他の作品の理解を深める副読本的な読み方もできます。




2003/6/13
『バレエダンサー』上下
ルーマ・ゴッデン(渡辺南都子訳 早川司寿乃カバー絵) 偕成社Kノベルス 1991年
今山岸涼子の『舞姫 テレプシコーラ』を連載で読んでいるので、バレエの話に興味を持ち、読みたかった作品。
原題は『木曜日の子どもたち』つまりマザーグースの詩にある「月曜日の子どもはべっぴんさん 火曜日の子どもはお上品 水曜日の子どもは悲しみつづき 木曜日の子どもの道は遠く…」からとられています。
ともにバレエダンサーをめざすという、遠い道のりを歩む姉クリステルと弟デューンの物語。
母親の期待をいっしんに背負い、幼い頃からバレエ教室に通う姉。それに対してバレエをやりたいのに、誰からも理解されない弟。しかし皮肉なことに天分は弟の方にこそあった―。
この設定だとふつうなら弟のほうが主人公で姉は敵役になるところですが、後半はむしろ主人公は姉のほうかなと思えてきます。才能を見出されてからの弟は割と順調で、周囲の人に賞賛され好きなバレエの道に進むことが出来ます。それにひきかえ姉はそこそこに才能があるためによけい苦しむことになる。嫉妬もするし策略をつかって弟の邪魔もする。いざというとき弟をかばうのですが、それをきっかけに改心していい子になる―という展開にはならない。この根性はたいしたもんです。だから弟よりこの姉の方が印象が強い。前半の鼻持ちならなかった姉は、彼女自身の問題というより母親を筆頭とする環境のせいでもある。この母親はおろかだけれど、こういう親はどこでもいそうで、わたしを含め世の親たちの反面教師になりそう。一気に読めてとてもおもしろかった。




2003/6/13
『蛇行する川のほとり2』
恩田陸 中央公論新社 2003年
前巻の内容を忘れたころなので、ちょっとわかりにくかった。語り手が鞠子から芳野に代わっている。相変わらず雰囲気作りがうまいなあ、この人は。少女の気持ち、その時期特有の残酷さ、あやうさ、みずみずしさ、生意気さなどがとてもよく描かれている。ラストはこの雰囲気だとまさか…と思っていたとおりの展開になって、かえって驚いた。これでまた3巻刊行まで待たされるのか―。




映画 2003/6/14
「ふたり」
大林宣彦監督(DVD) 1991年
赤川次郎の原作も結構好きだったけど、この映画もいい。石田ひかりがどんどんきれいになっていった。音楽もすごくいい、と思ったら久石譲だった。くりかえし流れる主題歌であり劇中歌の「草の想い」が耳に残る。




2003/6/15
『100人の森博嗣』
森博嗣 メディア・ファクトリー 2003年
エッセイや自作のあとがき。Vシリーズのあとがきがあるのが嬉しい。
高校生のインタビューに「思いが強ければ、叶う」と答えているのが印象に残りました。かなわない思いは、それほど強く思わなかったからか…。自分でふりかえってみると、思ってるだけで行動を起こさなかったことは確かに叶うはずなかったし、それはそれほどの強い思いではなかったからだといえる。




映画 2003/6/15
「レオン 完全版」
リュック・ベンソン監督(ビデオ) 1994年
泣けた。主役二人はもちろんよかったけど、一番気に入ったのは、悪徳警官役のゲイリー・オールドマン。あのイカれっぷりにやられました。ジャン・レノは冒頭一仕事終えたあと無邪気に映画を見るシーンがなんか好き。ナタリー・ポートマンは、家族が惨殺された現場をさりげなく通り過ぎてレオンに助けを求めるシーンがすばらしい。クライマックス、レオンが後ろから撃たれるところを、音が消えて映像だけで表現したのはすごい。完全版しかみてないけど、追加されたらしいエピソードは別になくても気にならないと思う。




2003/6/16
『朝2時起きで、なんでもできる』
枝廣淳子 サンマーク出版 2001年
この人は午後8時に寝るのだという。そして午前2時に起きる。なるほど、ちゃんと6時間の睡眠は確保してるわけ。とにかくよく勉強する人だなあ、と感心する。これを読んで「とても自分には出来ない」と思うか「わたしも頑張ろう」と思うか、でその後の人生が違ってくるのかなあ。わたしはその中間かな。だってこの人みたいにずっと走り続けていたら、楽しそうだけどうんと疲れると思うから。ちょっと今のわたしには無理。




映画 2003/6/17
「マトリックス リローデット」
アンディ&ラリー・ウオシャウスキー監督(映画館) 2003年
やっぱり前作のほうがおもしろかった。とはいえマトリックス内のアクションシーンは相変わらず美しい。しかしラストは思いっきり「次回へつづく」待たせるなあ。エルロンドがいっぱいいた。オラクルがなぜマトリックス内にいるのか、という前作からの疑問がひとつ解消した。
再鑑賞 2004/11/20




2003/6/18
『ゴースト・ドラム 北の魔法の物語』
スーザン・プライス(金原瑞人訳) 福武書店 1991年
再読。やっぱりものすごくおもしろい。ぜひ復刊してほしい。
特に今回あらためて思ったのが魔法というものの考え方。チンギスが魔法を習得していく過程が特別な修行でなく、村の人々の暮らしの中でというところがおもしろく、言葉、音楽が強力な魔法の力となっていることに注目。




2003/6/19
『ブレイブ・ストーリー』上下
宮部みゆき 角川書店 2003年
さすがに読み応えありました。でも異世界ファンタジーというよりゲームのようでした。幻界が現実世界の人間の想像力で出来ている、という設定はおもしろかったけど。
最初のほうの現実世界での話がけっこう長いので、このまま異世界へ行かなくても物語は進められるのでは、と感じてしまいました。宮部さんならうまく書き切れるはず。ファンタジーなら最初から世界の設定が説明してある『ドリーム・バスター』のほうがおもしろい。わたしはこの「異世界に行く」という設定がちょっと苦手で、異世界への移行過程がきちんと納得できないとおもしろく感じられません。そのなかではこの作品は移行するのにそれほど違和感はありませんでしたが、それでもなにもわざわざ異世界へ行かなくても、と思ってしまいました。むしろファンタジーではなくても、不思議な能力や現象を扱った宮部さんの他の作品のほうがおもしろいと思います。そしてそれより宮部さんの時代物をもっと読みたいです。




2003/6/22
『トウシューズ』
ルーマ・ゴッテン(渡辺南都子訳 早川司寿乃絵) 偕成社 1996年
『バレエダンサー』と同じく王立バレエ団を舞台にした、バレエダンサーを目指す少女ロッテの物語。予想通りのストーリー展開は、いわば王道少女漫画のよう。それでもつまらなくないのは、登場人物がいい人も悪い人も含めて、きちんと描かれているから。『バレエダンサー』のようなハラハラドキドキ感はないですが、安心して読めます。




2003/6/23
『怪盗クィーンの優雅な休暇』
はやみねかおる 講談社青い鳥文庫 2003年
「夢水シリーズ」が推理で勝負するミステリーなのに対して、こちらのシリーズは冒険活劇風。まるで「ルパン3世」みたい。




2003/6/24
『ブギーポップ スタッカート ジンクスショップへようこそ』
上遠野浩平 メディアワークス電撃文庫 2003年
ずっと謎だった統和機構の「中枢」が登場して、いよいよ核心にふれていくのか?という期待がふくらんだ1冊。スプーキーEやフォルテッシモのことも話題にあがっていて、なんだか懐かしかった。今回いろんな能力が次々出てきたので、それがどんな能力なのか理解する間もなかった。このシリーズおもしろいのですが、頭を整理する必要があり疲れることもあります。
はづきメモ>ジョジョ6部並に能力がわかりづらいよ…!!
作中で語られているとおりに、まったくもってとりとめのない、なんじゃらほい、事件はどこだ、なかんじの物語でした。しかし結果は、いよいよ終盤へむけての助走がはじまったかんじです。
キャラの話。オキシジェンはしゃべるエコーズ。伊東谷執事に惚れ。末真はいろんなもんに目をつけられまくり。そんでもって f f は、かつて朱巳には「単純バカ」と呼ばれ今回柊には「無駄な力があるばかりに」とかゆわれ、迷子あつかい。ほんとにリセットとならぶ任務達成率100%の双璧が一人と畏れられてるんですか? だいぶあやしくなってまいりました。
f f は以前「中枢」についてどんなもんだと思う、とだれだったかに(スワロゥバードだっけ?)たずねていましたが、この「中枢」を ff が知ったところでその存在、概念、認識を理解できそうにないと思われる。
そう朱巳。朱巳にでてきてほしいんですけど。もう『ビートのディシプリン』にしかでてこないのか。死神の出る幕のないところで生きていくのか。それもありな感じがするけど。




TVドラマ 2003/6/24
「NHK少年ドラマシリーズ」(DVD)
   
当時熱狂してみていた懐かしいシリーズ。図書館から借りてきて6/19からせっせと観ていた。

「タイムトラベラー」
記念すべき第1作だけど最終話だけ映像あり。毎回あった冒頭の語り、すっかり忘れていたけど城達也だったんだ!テーマ曲も懐かしい。

「明日への追跡」
宇宙から来た不思議な少年を演じていたのが長谷川諭クン。上品な顔立ちの賢そうな子だった。好きだったけど今どうしているかな?東大生のアイドルと言われた斉藤友子も出ていたのにはびっくりした。何話分かところどころ抜けていてナレーションで補っています。

「つぶやき岩の秘密」
少年ドラマ史上屈指の名作の誉れ高い作品。放映当時は見損ねたのでぜひ観たいと切望していた。映像が残っていないことが多い当時の作品にしては、めずらしく全話残っていた。なんでもフィルムで撮影されたため保存されていたそう。石川セリが歌う主題歌も異色作といわれるゆえん。

「幕末未来人」
これも画質は悪いけれど全話残っていた貴重な作品。当時割とマメにみていたはずなのに、覚えていないことが多かった。主役ふたりのうち星野くんは以前「なぞの転校生」にも出ていたけど、そのときとまったく印象が違う役。演技力あったんだと感心。古手川裕子が出ていたなんて全然気づかなかった。




TVドラマ 2003/6/26
「刑事コロンボ完全版・祝砲の挽歌」(ビデオ)
日本語吹替え版。「プリズナーbU」の主役パトリック・マッグーハンが犯人役。テレビ放映時も観ていたけど、マッグーハンの頑固な老校長がはまり役でした。




映画 2003/6/27
「タイタニック 前編」
ジェームス・キャメロン監督(TV放映) 1997年
若い二人の恋物語はどうでもいいが、レオナルド・ディカプリオはやっぱり可愛かった。旬の美少年は目の保養だ。
船長が「ロード・オブ・ザ・リング」のセオデン王。ローズの母親の母親が「ハリー・ポッター」のマグゴナル先生だった。今日は前編、明日の後編はたぶん泣くだろうしそれほど観たいと思わない。(結局観なかった)




2003/6/29
『宮尾本平家物語三 朱雀之巻』
宮尾登美子 朝日新聞社 2003年
頼朝の決起から清盛の死、平家の都落ち前後までを描き、平家の運命が大きく動いた巻。
清盛より時子のほうが主人公みたいでした。高倉帝を亡くし悲しみにくれるわが娘徳子に後白河の後宮に入ることをすすめる時子ですが、時子本人は当然のことをしているつもりでいるのが、滑稽なようなこわいような気がしました。時子が特別こういう性格なのではなく、この時代のこういう地位にいる女性なら、自分の感情や子どもの感情などより、一門の繁栄を優先するのは当然のことなのかもしれません。




2003/6/30
『りかさん』 
梨木香歩 新潮文庫 2003年
同時収録が「ミケルの庭」これがもうすごい作品。非常に凝縮された濃密な世界。何かこわいようなすごみのある短編。「あれ」はりかさんのことだろうけど、ではこの気配はなんだろう?
はづきメモ>梨木香歩『りかさん』と北村薫『リセット』の文庫を買って帰りましたー。『りかさん』は書き下ろしつきです!『からくりからくさ』の続きです!!うひょーい!! …とか軽薄な声あげて読むものではござんせん。
大学の知人で「梨木香歩はなんていうかメッセージ性が強すぎて好きじゃない」というひとがいるんですが、その気持ちはけっこうわかる気がします。今回の「ミケルの庭」はなんかいままででいちばんすごい気がする… 枚数にみあわぬその濃さ。読むのに体力つかいますよう。ミケルはあれですよ、あの子どもです。ところどころ彼女の視点で語られるんです。さすがマーガレットと神埼の子どもです(笑)。ううーん。また「りかさん」もゆっくり読み返しましょう。


※ほんとにメモ。これは掲示板にかいたもの。




2003/6/30
『思いあがりの夏』
眉村卓 角川文庫 1977年
短編集。NHK少年ドラマ「幕末未来人」の原作というので読みたかった。かなり古い作品集ですが、どれもおもしろかった。

「島から来た男」
孤島に住む鬼頭一族はミュータントか?意外な展開に唸ってしまった。

「名残の雪」
これが「幕末未来人」の原作。でも内容はかなり違います。
主人公は高校生ではなく、しらけきった無目的な大学生の伊藤と和田。ドラマと違い、タイムスリップ後和田がすぐ樫岡に斬られ、その復讐のために伊藤は剣術を習う。仙吉もドラマと違い病死。伊藤は新撰組に入り、大砲に撃たれまたタイムスリップ。そしてここが大きく違うところですが、伊藤が帰ってきたのは元の昭和ではなく光文という時代になっています。現実の歴史と少しズレてしまったあの幕末の延長戦上の現代になっています。だから日本は独立してやっと20年くらいたっている状態。伊藤はこの世界で生きて手記を残して死ぬ。この伊藤の手記を同僚の青年が読むという形で、話が進んでいきます。最初この手記を読む青年の感想が、どうもおかしいなあと思っていたのですが、最後にこの世界が昭和ではないことがわかり納得しました。このオチうまいなあと感心しました。
この青年は伊藤の手記を読みながら腹立たしい思いをしています。彼が元いた昭和より今の世界のほうが好きなのが理解できません。経済大国の日本で無気力だった伊藤にとっては、光文のほうが昭和よりよほど住みやすかったのでしょう。でも長らく外国の支配下にあって、ようやく独立した日本に暮らしているこの青年にとっては、経済大国の日本はまぶしく羨ましい存在なのです。ここらへんのギャップが興味深く、今読んでみても考えさせられる作品でした。

「あした」
不気味な睡眠装置「あした」。会社が儲かればそれでいいという考えがこわい。

「思いあがりの夏」
自分が軽視している人やものが見えなくなる奇病?その結果魔女狩りに近いことが行われる。こわい。

「子供ばんざい」
子供が大人並みの体力と腕力を持つようになり大人に要求しはじめる。主人公の妻の「子供はあきっぽい」という言葉が妙なリアリティがある。でもそれもやっぱりこわいような気がする。




TV 2003/6/
「映像の世紀 全11集」(DVD)
年末になると再放送されていて、そのたびにいつも深い感動を与えてくれていました。最初から最後まで見たことはなかったので、いつかは全巻揃えたいと思ってきました。ネットを休んでいるこの機会にと、思い切って購入。毎日少しずつ観ています。フィクションではない本物のドラマに圧倒されるばかりです。あの音楽を聴くだけで胸がつまり涙が出てきます。そしてここで取り上げられた問題の多くが、今もまだ未解決であることに、深い怒りと哀しみを覚ずにはいられません。



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