[ タイムトンネル ] へ戻る



映画 2004/10/1
「十戒」
セシルB・デミル監督(DVD) 1956年
旧約聖書「出エジプト記」にあるモーゼの話。話としては知っていたが、これを映像でみられるのは嬉しい。この時代にこれほどのスペクタクル映画を作り上げたとはすごい。有名な海が割れる場面もそうだが、モーゼがシナイの山に登り神の言葉を聞き、神が「十戒」を石版に刻み付けてゆくところがすごかった。民衆は救い主を期待していながら、いざ脱出して苦労するとすぐ不平を言い出す。なんとも勝手だが人間ってまあそんなものだから、その気持ちもよく分かる。しかしこの神様かなり厳しい。自分を信じるものしか救わないって、ものすごく狭量だと思う。ヘブライ人を救い出すため、数々の災厄をエジプトにもたらすなんて、じゃエジプト人はどうなってもいいのか?ユダヤ教よりもキリスト教が世界に広まっていったのも無理はない。




映画 2004/10/1
「スター・ウォーズY ジェダイの帰還」
ジョージ・ルーカス監督(DVD) 1983年
トロリジーBOXを買った。デジタル・リマスター版で劇場公開版とは違ってるというので、まずこのYを観てみた。公開時「ジェダイの復讐」だったのに、「帰還」になっている。当時も「正義のジェダイが復讐するの?」とタイトルに違和感を覚えていたので、このタイトル変更はいいと思う。最初からこっちにしておけばよかったのに。
特撮は今とは比べられないけど、それでも充分見応えある。チューバッカやR2−D2、Cー3POなど脇のキャラクターがみんないい。特に今回イウォークたちがかわいいのなんのって。でも彼らにあっさりやられる帝国軍ってあまり強くないのかも。そのせいかちょっとギャグっぽくなった。
タイトルの他にラストでダース・ベイダーの顔が「エピソードU」でアナキンを演じたヘイデン・クリステンセンになっているという情報だったが、本当だった。でもその前の彼の最期の場面では公開時のままだったので、ここでわざわざヘイデン君の顔にする意味があるのかどうか。それならついでにオビ=ワンもユアン・マクレガーの顔にすれば統一がとれるのに。でもオビ=ワンはやっぱりアレック・ギネスのままがいい。

ついでに以前録画しておいた「エピソードT」を少し観た。はづきは初めてだったので興味深かったようだ。やっぱりクワイ=ガン・ジンが格好いい。オビ=ワンもこのころは若いからユアンでも悪くない。アナキン役の子が、めちゃくちゃかわいい。ただかわいいだけでなく、アナキンの負けず嫌いで生意気なところがすごくよくでている。パドメの影武者役がキーラ・ナイトレイだというので注意して見ていたが、白塗りの化粧なので、ナタリー・ポートマンなのかキーラなのか区別つかなかった。でもたしかにこの二人は似ている。




映画 2004/10/3
「パルプ・フィクション」
クエンティン・タランティーノ監督(ビデオ) 1994年
サントラの音楽が気に入ってこのところ毎日聴いている。どの音楽がどこで使われているか知りたくて、またビデオを借りてきた。音楽のせいか前より面白く感じる。でもやはり少し長い。「ボニーの件」の部分がもう少し短いといいのに。あるいはヴィンセントとミアとの関係にしぼるかして。しかしこういうところがこの映画の特徴なのだろうから、削るのは無理か。でもあと30分短ければと思う。その点「レザボア・ドッグス」は見事だった。音楽は「レザボア」もすごく好きだけど、こちらのほうがいかな。なにしろ踊りたくなってくるほどノリがいい。
参照 2004/5/10




映画 2004/10/4
「刑事ジョン・ブック 目撃者」
ピーター・ウィアー監督(DVD) 1985年
タイトルからサスペンスかと思っていたが、その味わいはわりと薄くて、むしろアーミッシュの暮らしをみせてくれた映画。でもそれだけで価値があると思う。美しい田舎の風景と、アーミッシュの人びとの質素だが清清しい暮らし方に感動した。冒頭の葬儀の場面、みんなで納屋を建てるところ、少年のつく鐘の音に近所の人々が集まってくるところなど、助け合って暮らしている人々の絆の深さを感じた。同時に価値感の異なる外の人々とは、決して相容れないだろうということも感じた。観光客の無礼さには腹がたった。アメリカには実際にこういう村があるということがまた驚き。
ヴィゴの映画デビュー作。ヴィゴはちょい役のアーミッシュの青年で、いくぶん若いけど今とあまり変わらない印象。




映画 2004/10/5
「インファナル・アフェア 無間序曲」
アンドリュー・ラウ、アラン・マック監督(映画館) 2004年
前作より前のヤンとラウの若い頃を描くということだったが、焦点は彼らより彼らの上司と親分であるウォン警部とサム、さらにマリー姐さんやハウのほうにあった。そして冷酷な反面、家族へは深い愛情を注ぐハウが一番印象に残った。ヤンの胸に通信機を見つけた時の表情が忘れられない。
ちょっと「1」との話のつじつまあわせが強引だと思ったが、「1」とは独立した話としてみればそれほど違和感を感じない。前作より人がどんどん死に、めまぐるしく状況が変わる。切なさは前作より強く感じた。これは主要登場人物がみんな大切な人を失っているからだろうか。




2004/10/6
『Φは壊れたね』
森博嗣 講談社ノベルス 2004年
新シリーズ。一段組みなのでとても短く感じる。まあまあなんだけど、ちょっとまだ何ともいえない。新シリーズにしては萌絵や国枝さんが出てくるので(犀川さんは話題にだけ)、ついそちらに意識がいってしまった。次作には犀川さんが登場するかどうか期待が高まる。でもその期待をあっさり裏切られそうな予感もする。




映画 2004/10/6
「X−MEN」
ブライアン・シンガー監督(DVD) 2000年
ほどほどに短くてよい。「ヴァン・ヘルシング」もこれくらいなら許せるのに。ヒュー・ジャックマンはここでも衣装が似合わない。もみ上げも似合わない。アンナ・パキンを抱いて泣くとこなんかヴァンヘルそっくり。というよりこちらが先なのね。ハル・ベリがきれい。そしてイアン・マッケランがガンダルフよりかっこいい!あのヘルメットはかっこ悪いけど。




映画 2004/10/7
「X−MEN2」
ブライアン・シンガー監督(DVD) 2003年
ウルヴァリン(ヒュー・ジャックマン)一段ともみ上げが濃い。似合わないのに…。せっかく敵の基地まで出かけていったのに「廃墟だった」とすごすご戻ってくるなんて、子どもの使いじゃあるまいし本当に役立たず!ヴァン・ヘルシングといい、ジャックマンの演じるヒーローってどこか抜けている。そんなヘタレぶりにはづきはいたくほれ込んだ様子。




映画 2004/10/8
「キル・ビル2」
クエンティン・タランティーノ監督(DVD) 2004年
特典映像の「熱狂のマリアッチ」にまさに熱狂した。CHINGONのライブに行きたい!いっしょに「マラゲーニャ・サレローサ」を熱唱したい!この映像があるだけで「2」を買ってよかったと思う。
われら親子の中では「1」より評価が上なのだが、どうもそういう人は珍しいようだ。何故?
参照 2004/5/19




映画 2004/10/9
「ローゼンクランツとギルデンスターンは死んだ」
トム・ストッパード監督(ビデオ) 1990年
ゲイリー・オールドマンとティム・ロスの出演による、脇役たちからみた「ハムレット」。これは傑作だと思う。ああ英語力がほしい。二人の台詞の応酬をもっと堪能したい。ゲイリーがとてもかわいい。旅役者たちの演じる劇中劇もおもしろいし、座長を演じるリチャード・ドレイファスがすごい貫禄。
これはビデオだったので、英語字幕がついているDVDがほしい。けれどどこにもなくて、あるのは足元をみているとしか思えない値段のアマゾンのマーケットプライスだけ。再販されないかな。




2004/10/10
『しゃばけ』
畠中恵 新潮社 2001年
もう少し軽いとぼけた読み物を想像していたら、思いのほかしっかりしていた。ちょっと期待が大きすぎたか、あまりピンとこなかった。




映画 2004/10/13
「レジェント・オブ・メキシコ デスぺラード」
ロバート・ロドリゲス監督 2004年
「キル・ビル2」DVDの特典映像でロドリゲス監督を見て、「マラゲーニャ・サレローサ」がこの映画にも使われていることを知ったので、これはもう観るしかないと思った。ああ、もうなんておバカで素敵な映画。さすがタランティーノの友達。「デスペラード」「スパイキッズ」も観たくなっちゃった。
音楽は思っていたほど派手ではなかった。今まで「鼻が大きい濃い顔」としか認識してなかったバンデラスを、はじめてかっこいいと思った。話は単純だけど登場人物は多くて複雑。くせのある出演者がいっぱいいたけど、みな最後にはわりとあっさりやっつけられる。主人公は当然のように勝つ。でも一番よかったのは祭りに参加していた一般民衆。クーデター起こした軍隊に歯向かって銃は撃つは、戦車は乗っ取るわの大活躍。ブラボー!メキシカン!大好きだよ。
バンデラスの子分に「ニュー・シネマ・パラダイス」のトトが出ている、との情報を得ていたので、二人いるうちたぶん背の高いほうだと思い、トトの面影を必死に探した。けれどエンドロールみたら、どうやら背の低いほうのアル中の男が、青年期のトトだったらしいとわかり、がっかり。そういえばああいう顔だった。




2004/10/17
『暗黒館の殺人』
綾辻行人 講談社ノベルス 2004年
あまりの分厚さに読み始めるのに気合が必要だった。小野不由美のデザインの館の見取り図など、『十角館』と並んでわたしの一番好きな『霧越邸事件』を思わせ、期待が高まった。でもところどころはさまれる「視点」がややこしいし、やっぱり少し長すぎる。この「視点」を使わなければもっと短くできたのではないか。仕掛けには見事に騙され、思わず上巻の最初のほうを読み返してしまった。




映画 2004/10/17
「ヤクザVSマフィア」
フランク・カペラ監督(DVD) 1993年
友人がこのDVDを買うとき、店員にタイトルを告げるのがちょっと恥ずかしかったという。そりゃわたしだって、ヴィゴが出てなきゃ永遠に観ることなかった映画だ。
ところがトンでもない代物を予想していたら、意外とまともだった。時間もほぼ1時間半。この程度の話でこの長さはちょうどいい。話は作り方次第でもう少しおもしろく出来そうだけど、なにしろ役者がみんな下手、ヤクザ役の俳優の日本語なんて棒読みだった。
ヴィゴのアクションはけっこうかっこよかった。そして一番ウケたのは伝説のヴィゴの日本語「ニホンゴクライハナセルサ」。じつはこの台詞のまえに「ミゴロシニワデキナイ」という日本語をしゃべるのだが、最初はヴィゴがしゃべってるとは思わず「今のへんな声はなんだ?」と思わず巻き戻してしまった。




2004/10/18
『フリスビーおばさんとニムの家ねずみ』
ロバート・C・オブライエン(越智道雄訳) 富山房 1974年
ものすごくおもしろかった。野ねずみのフリスビーおばさんは夫のジョナサンを失ったあと、4人のこどもたちとつつましく暮らしていた。けれど末っ子のチモシーが肺炎にかかり、助けを求めたことから、夫ジョナサンが生前秘密にしていたニムの家ねずみたちとの交流を知る。ニムという研究所で動物実験され人間並みの知能を持つようになったニムの家ねずみたちは、非常に便利な生活をしていたが(電気も引き、エレベーターまである)人間に寄生する生き方を反省し、自立しようとしていた。おばさんとニムの家ねずみたちはそれぞれの問題を解決するために力をあわせる。
さいしょは野ねずみたちの家族愛を描いたほのぼのした物語だと思っていたが、ニムの家ねずみたちと知り合うころから次第にSF冒険物っぽくなってきた。この最初の部分も、途中で雰囲気が変わってからもどちらもとてもおもしろくてぐいぐい引き込まれた。特におばさんが素晴らしい。子どもたちに寄せる愛情の深さ、そのためには危険もいとわない勇気、やさしく強く賢いおばさんが大好きだ。そして不思議なことに、このおばさんだけ「フリスビーおばさん」という呼称だけで名前がない。ジョナサン・フリスビーの奥さんなのでフリスビーさんとこのおばさん、というくらいの意味だろう。ちょうどわたしたち主婦が「○○さんの奥さん」とか「○○ちゃんのお母さん」などと呼ばれるように。あとはこどもの野ねずみも、ニムの家ねずみも、からすも、ねこもみな名前がある。ここがまたいいのかもしれない。名もないおばさんだけど、本当に大切なことはちゃんと知っている、世の中の主役はそういう人たちだよと勇気づけられている気がする。
ニムの家ねずみたちが人間たちに実験されるところやそこから逃げ出す様子は、まさに手に汗をにぎり、いつのまにかねずみであることを忘れてしまう。そしてこのねずみたちは便利になった生活を捨てて、本当に自分の足で立つ生活を選ぶ。人間にも出来ないことをやってのけるねずみたちに脱帽。ファンタジーでもあるし、ちょっぴりエコロジーもあるし、ニムで実験されるところで「アルジャーノン」を思い出したり、新天地へ向かう彼らの姿に「エクソダス」を見たり、いろんな要素をもったとても奥深い作品だと思う。こういう作品に出会えるから児童書はやめられない。
この続編に、作者が亡くなったため作者の遺稿をもとに娘が書いた「ラクソーとニムの家ねずみ」がある。作者はこのあと「死のかげの谷」を書き、大人向けの作品を1作書いた後、次の大人向けの作品を執筆中に亡くなったという。実に残念。この「ニムの家ねずみシリーズ」をもっと続けて読みたかった。

この「ニム」だが正確には「NIMH」といい、アメリカ合衆国公衆保健省の「アルコール及び麻薬濫用、精神衛生管轄局」に付属する「全国精神保健研究所(National Institute of Mental Health)」のことで、実在する研究所らしい。「NIMH」ではなじみにくいので「ニム」と表記したということである。

この話は1982年にアメリカで「ニムの秘密」というアニメになっていた。日本では劇場未公開だが、ワーナー・ホーム・ビデオからビデオが出ている。ぜひ観てみたい。
(この後ビデオを見つけて喜んで観たのだが、似ても似つかないものになっていて、がっかりした→2004/11/27




2004/10/21
『たのしい川べ』
ケネス・グレーアム(石井桃子訳) 岩波少年文庫 2002年 (岩波書店 1963年)
読みつがれる名作とはこういうものか。なんとすばらしい物語だろう。なんとすばらしい訳文だろう。こんなすばらしい作品を今まで読まなかったなんて、なんともったいない。もっと早く読めばよかったと心から思う。この物語を子どものころ読んだ人、子どもに読みきかせた人のことを聞くと、うらやましくて仕方がない。
これは単行本には「ヒキガエルの冒険」と副題があるが、けっして冒険物語ではない。もちろんこのヒキガエルの冒険も愉快なのだが、わたしがもっとも心惹かれるのは詩情あふれる文章で描かれる川辺の情景や、モグラやネズミの気持ちだ。第1章「川の岸」でモグラが土の上に出てお日さまの光をあびて、はねまわるところから、すっかりこの物語に魅了された。生きているってなんてすてきなんだ、というモグラのよろこびがこちらにも伝わってくる。そして第3章「森」の「いまになって思いおこせば、夏はゆたかな本の一節のようなものでした。」からはじまる「川岸の野外劇」にはうっとりするばかり。思わず娘をつかまえて、この箇所をむりやり読み聞かせてしまったほど。そして第9章「旅びとたち」で自然をグランドホテルにみたてた描写、南へうつる旅びと=鳥たちとそこに残るネズミとの対話、ネズミの心に芽生えた旅へのあこがれ。どれもこれも共感をよぶものばかり。さらにもっとも不思議な第7章「あかつきのパンの笛」。ここは人によって評価が分かれるらしいのだが、わたしはここがとても好きだ。美しいだけでなく、敬虔な気持ちをおこさせてくれる、とても深いものがあるように感じる。
またさし絵もすばらしい。「クマのプーさん」と同じE・H・シェパードが、ここでももうこの人以外の絵は考えられないほどぴったりの絵を描いている。訳者あとがきに、作者グレアムがシェパードに言った言葉が紹介されているが、その「どうかこの動物たちを親切に描いてください。私は彼らを愛しているのです」という言葉を知ると、ああそれだからこそこの物語はこれほどすばらしいのだと納得できる。川とそこに生きるいきものたち、自然への深い愛情がこの物語にはあふれている。
これからもなんどでも読みかえしたくなる、これこそ名作だと思う。




2004/10/26
『ミステリ十二か月』
北村薫 中央公論新社 2004年
読売新聞の夕刊のこども欄に週1回、ミステリの紹介として1年間連載されたもの。何回かは図書館で読んでいたが、途中からは読み逃してしまい単行本になるのを楽しみにしていた。期待にたがわずすばらしかった。まず連載時と同じ大野隆司の色刷り版画とともに、1年間の連載をまとめたもの。最初はそれだけだと思っていたし、それだけでも充分おもしろいのだが、さらに大野隆司との対談、連載の裏話的なもの、有栖川有栖との対談と、盛りだくさんで嬉しいかぎり。特に「本棚から出てきた話」と題された章は、連載を引き受けたいきさつからはじまり(ここらへんの話は昨年講演会で聴いた話とつながり楽しかった)、取り上げた作品の選定の過程やそこからさらにふくらんでいった話を語り、それがまた別の作品の紹介にもなっているところが、とてもおもしろかった。これでまた読みたい本がたくさん増えてしまって、嬉しい悲鳴をあげている。




漫画 2004/10/28
『残酷な神が支配する』1、2巻
萩尾望都 小学館文庫 2004年
萩尾さん、過去に何があったのですか。あなたとあなたの親御さんとのあいだで。これほどのことをかきこまねば、あなたの傷は癒されないのですか。と思ってしまった。

娘がコミックスを友人から借りていたので最初はわたしも読んでいたが、途中からどうしても読めなくなってしまっていた。かろうじて最終巻だけは読んだが、はたしてあれでジェルミは救われているのかどうか、あまりはっきりとしなかった。でもまあ最後まで知っているので、文庫化にあたりいよいよ購入することにした。そしてまたもや中断した。1巻のあと2巻へなかなか手が伸びなかった。それほど読むのがつらい。
時間をかけてようやく読んだが、今度は物語にひきずられ限りなく思考がマイナスになっていった。グレッグの毒気にあてられてしまった。「この家の平和のためには生贄が必要」とうそぶく彼。自分の思い通りにできるもの、つまり虐待する対象があれば、他の人には限りなく優しくできる。これほどではなくても、人は自分自身が幸せで精神的に安定していなければ、優しい気持ちになるのは難しい。だからこの男の言い草はとんでもないが、一面真実でもある。そう思うと落ち込んでしまう。
子どもにとって親は「神」である。その神が残酷なら子どもはどうすればいいのだ。これからの展開もつらいことが予想されるが、それでもここまできたら読まずにはいられない。最終巻にいたるまでの葛藤を読めば、あのラストも少しは理解できるのかもしれない。でも気力体力が充実したときでないと、読まないほうがいいかもしれない。




2004/10/29
『谷川俊太郎の33の質問』正続
谷川俊太郎 ちくま文庫 1986年 1993年
くらさまからお借りした「33の質問」の元本。
谷川俊太郎がゲストにこの質問をなげかけ、それに答えたゲストとの間で話が弾んでいく。もともと対談用の質問だったので、回答そのものよりそれをネタに展開されるゲストとのやりとりが実に楽しい。いかにもその人らしい答えから、へ〜と思うような答えもあり、とてもおもしろかった。この本の単行本がでたのが1975年だから、もう30年もたつのに今も少しも古びていないのが素晴らしい。これはぜひ手に入れたい本だが、残念ながら絶版とのこと。古本屋をさがすか、復刊を待つしかない。
回答者
 武満徹 粟津潔 吉増剛造 岸田今日子 林光 大岡信 和田誠 谷川俊太郎(最後に自分でも回答)
「続」の回答者
 手塚真 野田秀樹 伊藤比呂美 高橋源一郎 川崎徹 鈴木ユリイカ 高橋悠治




2004/10/31
『イニシエーション・ラブ』
乾くるみ 原書房 2004年
珍しく早めに仕掛けに気づいた。そのせいか「騙された!」という快感が感じられなくて残念。A面B面という構成、各章が懐かしい歌のタイトルになっているのがおもしろい。ただこれミステリーかなあ?もう少し純でさわやかな恋愛小説の形態をとっていると思っていたが、わざとかもしれないがけっこう通俗小説風ですこし閉口した。



戻る