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2004/12/1
『夜のパパとユリアのひみつ』
マリア・グリーペ(大久保貞子訳) 偕成社 1983年
『夜のパパ』の続編。前作から2〜3年後のユリアと<夜のパパ>との交流が、前作と同じく二人が交互に綴る文章で描かれる。今回のほうがユリアが成長したぶん、物語の世界も外へ向けて広がりをみせている。ユリアたちが住んでいる古い家が<再開発>の一環として取り壊されることになり、なんとかそれを回避しようと奔走する姿も描かれる。ここなどバブルのころの日本の狂乱状態を先取りしているみたいに鋭い。相変わらずユリアはいじめられているが、この内省的な少女は同年齢のなかでは、どうしても浮いた存在になってしまうようだ。賢明なユリアだが、やはりいじめはつらくそれから逃れるために、時にはみなと同じく新任の男性教師に熱を上げいっしょに騒いだりする。同時にそのことを反省したり、思春期らしく心揺れている。教師の口先だけの話を「悲しみや同情心っておしえこむことはできないんじゃないかしら」と見抜いたり、この少女は本当にするどい洞察力を見せる。
この作品も『夜のパパ』と同じくブッキングから復刊されたが、この本は以前の版。
物語の進行にほとんどかかわらないのに、とても印象に残る男の子エルビスが登場するが、実はこのエルビスを主人公にしたシリーズもあるそうだ。そちらも読んでみたい。




2004/12/2
『シロクマたちのダンス』
ウルフ・スタルク(菱木晃子訳) 偕成社 1996年
両親が離婚したラッセは大好きな父と別れて、母親の再婚相手の家で暮らすことになる。義父から徹底的に教育され次第に優等生になっていくラッセ。でもそれが本当の自分の姿ではないと気づいたラッセは父親のもとに帰って行く。物悲しく切なさあふれる話だが、決して暗くない。こんなふうに書けるなんてすごい。シロクマに見立てられた父親の不器用なやさしさと、そんな父に寄せる息子の思いがたまらなく愛おしい。




2004/12/6
『水の精霊 第W部 ふた咲きの花』
横山充男 ポプラ社 2004年
圧倒的な筆力でぐいぐい読ませる。前作では少しやりすぎではないかとちょっとひいてしまっていたが、この最終巻では素直に感動した。雄大でいながら清冽。これほどのスケールの作品が児童書だなんて。しかもこの内容この装丁でこの値段(1575円)!もっとずっと薄っぺらい内容で、これより高い本がいくらでもあることを考えると複雑な気持ちだ。




映画 2004/12/12
「トマシーナ」
ドン・チャフィ監督(ビデオ) 1963年
原作は以前きなさまからお借りし、大感激した作品だった。そのときにディズニーで映画化され、しかも獣医マクデューイをパトリック・マクグーハンが演じていることを知り、猛烈に観たいと思っていたがかなわぬ夢と諦めていた。
ところがそのきなさまからビデオに録画したからと送っていただき大感激!映画と原作とは違うし、ましてディズニーだから、と覚悟して観たせいだろうか、さほど違和感を感じず楽しく鑑賞できた。スパイや悪役や犯人役以外のマクグーハンをはじめて見たが、この無愛想で尊大で不器用な男はマクグーハンにぴったりはまっていた。娘を見るときの「かわいくてたまらない」という表情など、おおこんな顔もできるのかと感心した。彼の花婿姿なんて、想像もできない貴重なお宝映像だ、などと勝手に盛り上がっている。
お話はほぼ忠実だがそこはディズニー、風情雰囲気が違うのは悲しいけどいたしかたない。でもトマシーナ役の猫のかわいさと名演技に救われる。トマシーナのナレーションで話が進むのだが、とにかくそのナレーションと猫の動きがぴったりと合っているのには感心した。どうやって演技指導したのだろう?ただトマシーナの吹き替えの声がやたらとおばさんっぽくて、これだけは興ざめだった。




2004/12/17
『魔王城殺人事件』
歌野晶午 講談社ミステリーランド 2004年
おもしろかった。あいかわらずあとがきと作者紹介のコメントがおもしろい。




映画 2004/12/21
「恋する惑星」
ウォン・カーウァイ監督(ビデオ) 1994年
おもしろかった!冒頭から引き込まれた。ちょっとタランティーノに似ていると感じた。前半と後半で違う話だが、橋渡しをしたのが金城武のモノローグ。後半の話のほうが好きだが、前半の金城武は若くてかわいかった。後半のトニー・レオンもあの情けなさそうな顔がたまらない。せっけんやタオルに話しかける姿がおかしいのなんのって。そしてなんといっても挿入歌とフェイ・ウェイがかわいい!この話はちょっと「アメリ」に似ていると思った。




漫画 2004/12/22
『バルバラ異界3』『残酷な神が支配する3〜6』
 萩尾望都 小学館 2004年
『バルバラ異界』ここでのトキオとキリヤ父子の関係はなんだが微笑ましい。『残酷な神〜』であまりにひどい親子関係だったので、その埋め合わせをしているみたい。でもそれに比べて相変わらず母親の描き方が辛らつだ。
『残酷な神〜』1,2巻がきつくてきつくてなかなか3巻に手がでないでいるうちに、5,6巻が刊行されてしまった。覚悟の上だったので思ったよりすんなり読み通せた。しかしこれからもまだまだドロドロは続きそう。被害者であったはずのジェルミの堕ちてゆく様をみるのはつらい。




漫画 2004/12/22
『ガラスの仮面 42』
美内すずえ 白泉社 2004年
6年待ってこの内容かあ〜!読み終えたはづきは本を投げつけた。わたしも敢えて止めなかった。カメラつき携帯?イルカのペアペンダント?何が起こっているのだろうか?速水さん、聖さん、それはもう犯罪です。――せめてわたしが生きている間に完結してほしい。




映画 2004/12/23
「イノセンス」
押井守監督(DVD) 2004年
とにかく映像のすごさには圧倒される。これほんとにアニメか?ここまでやる必要あるのかと思うほど。ここまでくるとやりすぎという感じもする。作りたいもの作ったという感じ。「そうかそうか、わかったよ。あんたらすごいよ。こんなもの作ってさ」とつぶやきたくなる。お話自体は目新しいものではなく、当たり前なのだが前作「GHOST IN THE SHELL」の衝撃には及ばない。ただDVD の場合、本編の前に15分ほど時代設定や用語説明があり、この世界を理解する手助けになる。本編でのせりふが聞き取りにくいので、これがあると助かる。一番好きなのは、バトーが飼っている犬が食事するとき、バトーが犬の耳を持ち上げる場面。




2004/12/26
『中国の大盗賊・完全版』
高島俊男 講談社現代新書 2004年
大好きな高島さんの本、わくわくしながら読んだ。中国の盗賊の歴史、ときいて「日本で言えば、石川五右衛門とか鼠小僧かしら」などと思っていたら、これが盗賊は盗賊でも「国」を盗った盗賊の話だった。そういえば司馬遼太郎にも『国盗り物語』があったっけ。最初に中国での「盗賊」の意味から説明し、陳勝・劉邦からはじまり最後は毛沢東で締めくくられている。なるほど国の支配者という点では、毛沢東も歴代王朝の皇帝となんら変わらない。こういう視点で歴史をみるのもとても新鮮でおもしろかった。
1989年に出た『中国の大盗賊』は出版社の意向で「毛沢東」の部分が削除されていたそうである。それが今回もともとの原稿がくわえられ「完全版」として刊行された。そのいきさつを書いたあとがきがまたおもしろい。




漫画 2004/12/27
『ぼくの地球を守って 愛蔵版全10巻』
日渡早紀 白泉社 2004年
コミックスで全巻持っていたのだが、何年か前どうしたわけか処分してしまって後悔していた。でもおかげで愛蔵版購入に迷わなくてすんだ。一気に読んだが、これはやっぱり名作だとしみじみ思った。第1巻のころの絵がまだ『記憶鮮明』の絵に近いのには驚いた。




2004/12/28
『ゲド戦記外伝』
ル・グウィン(清水真砂子訳) 岩波書店 2004年
「カワウソ」「ダークローズとダイヤモンド」「地の骨」「湿原で」「トンボ」の5編の中短編集。このうち「トンボ」は以前早川文庫『伝説は永遠に3』に「ドラゴンフライ」として収録されていたものを読んでいた。『ゲド戦記5アースーシーの風』の前にこれを読んでいたほうがわかりやすいのに、刊行が逆になったのはどうしてなのだろう。5編ともそれぞれ「ゲド」 の世界に運んでくれる味わい深い物語。巻末の著者による「アースーシー解説」が嬉しい。 これをふまえてもういちど『影との戦い』から読んでみたくなった。




映画 2004/12/28
「ヴァン・ヘルシング」
スティーブン・ソマーズ監督(DVD) 2004年
劇場公開時、伯爵恋しさに2回鑑賞。待ちに待ったDVD発売。日本語字幕で1回、英語字幕で1回、映像解説で1回、計3回も観てしまった。相変わらず素敵です〜伯爵♪ただ映像解説のメンバーがなぜか主役トリオ(ヴァン・ヘルシング、アナ、カール)ではなくて、脇役トリオ(伯爵、ヴェルカン、フランケン)だったせいで、やっぱりちょっと間が持たなかったような。こういう特典は「ロード・オブ・ザ・リング」はさすがに充実していた。



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