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絵本 2004/5/1
『ジルベルトとかぜ』
マリー・ホール・エッツ(たなべいすず訳) 富山房 1975年
表紙の男の子ジルベルトが笑顔でとてもかわいい。ところが本を開いて目に入るタイトルページの一転して斜めにかまえた「何か文句あっか?」という表情がまたたまらなくいい!全篇ジルベルトと風とのかかわりが、この表情とほとんど3色だけ使ったシンプルな色彩で描かれる。この色彩の渋さといったらもう!今一番気に入っている絵本。





絵本 2004/5/1
『名馬キャリコ』岩波の子どもの本
バージニア・リー・バートン(瀬田貞二訳) 岩波書店 1979年
版画の白黒の絵柄といい、コマの構成といい、とにかく見ているだけで楽しくなる。瀬田さんの訳はリズミカルでさすがです。





絵本 2004/5/1
『きかんしゃやえもん』岩波の子どもの本
岡部冬彦(阿川弘之文) 岩波書店 1959年
『いたずらきかんしゃ ちゅうちゅう』とともに機関車の本というとこれ。
「ちゅうちゅう」とちがってこちらは年とった機関車「やえもん」が主人公。あたらしい電気機関車にばかにされた「やえもん」は、おこって走ったのでみんなに迷惑をかけてしまう。自分は役立たずだとしょげる「やえもん」。あやうくスクラップにされかけるが、交通博物館に展示されることになり、そこでおだやかに余生をおくる。

あの阿川さんが作者だと知ったときは驚いた。それと絵を描いた岡部冬彦さんは『アッちゃん』という漫画でこどものころのわたしを楽しませてくれた。ああ懐かしい。
私の小さい頃はまだ蒸気機関車で旅をしていた。トンネルに入ると顔が真っ黒になったもの。姿を消した蒸気機関車だけど、今もその美しい姿にファンは多い。懸命に働いてきた年とったやえもんに、最後に居場所ができて本当によかった。
子ども達がちいさいころ、よく踏み切りで電車が通るのを見に連れていったっけ。いつの時代でもこどもは汽車や電車が大好き。いまのこども達には『きかんしゃトーマス』の絵本が大人気だけど、この本も読んでほしい。





映画 2004/5/2
「ある貴婦人の肖像」
ジェーン・カンピオン監督(DVD) 1996年
ジャケットに「彼女は貴婦人(?貴婦人になるだっけ?)よりも愛を取った」とかなんとかいう文句があったのだけど、彼女のどこが愛をとったというのか?早々に後悔しているのに離婚もせずだらだらと泣き言繰言ばかり。つまらん。最初はもっとおもしろくなりそうだったのに、結婚してからは観ているほうがイライラしてきてしまった。ヒロインにまったく同情できなかったのは、別にニコール・キッドマンが悪いわけじゃないのだけど。どうしてかなあ。ファッションは綺麗で見応えあったけど、二コール・キッドマンの髪型がときどきものすごくヘンに見えた。ヴィゴが出ているというだけで見たのだけれど、ヴィゴもしつこいほど思いつづけて、いいかげんこんな女いつまでも追いかけるなよ〜と思ってしまった。最後がちょっと分かりにくかった。DVDを貸してくれた友人は「結局ヴィゴと結婚するのよ」と言ってたけど、そうは見えない。あれは彼女が自分の孤独をさとった表情じゃないかと思う。





2004/5/3
『赤い館の秘密』
A・A・ミルン(朝比奈弘治訳) 創元推理文庫 1996年
思いがけず正統派ミステリーで後味がよい。なによりのんびりした雰囲気と素人探偵二人組のやり取りが楽しい。探偵役のどちらかが飛びぬけて推理力があって、一方がちょっと滑稽なほど間抜けている、ということもないので、それもさわやかに感じられた。





映画 2004/5/4
『クリムゾン・タイド』
トニー・スコット監督(DVD) 1995年
これもヴィゴ観たさで。デンゼル・ワシントンvsジーン・ハックマン。男ばかりの潜水艦の中での息づまる攻防。ジーン・ハックマンは昔『ポセイドン・アドベンチャー』でも存在感抜群だったけど、ここでもさすがの貫禄。そんな二人の演技派の影でヴィゴはけっこういい役だった。「G.I」ジェーンほどマッチョではないけど、男くさくてかっこいい。





映画 2004/5/10
『パルプ・フィクション』
クエンティン・タランティーノ監督(ビデオ) 1995年
図書館からビデオを借りてきて鑑賞。はづきは一足先に観ていて評価はイマイチ。でもわたしはわりとおもしろかった。『キル・ビル』のように熱狂はしなかったけど、やっぱり音楽とそれと台詞がすごくおもしろかった。やや長いなとは思った。
ユマ・サーマンが黒髪のせいもあり、とても「キル・ビル」と同一人物とは思えなかったけど、なんともいえない雰囲気でかわいかった。「キルビル」では女優がこんなひどい顔さらしていいのかと心配したけど、もうこのときすでにひどい目にあっていた。(だから平気?)しかしあんなやり方で蘇生するだろうか?文字通り身体を張ってて、女優って大変。トラボルタと踊るシーンはかっこよかった。
出演者の顔ぶれが豪華。ティム・ロスやクリストファー・ウォーケンや、ハーベイ・カイテルやブルース・ウィルスやご本人タランティーノまで出演していてびっくりした。
そしてトラボルタより格好よかったサミュエル・L・ジャクソンが銃を向けながら相手に言う「エゼキエル書」に、おおーエゼキエルだーと感心していたら、実際のエゼキエル書にはこんな言葉はないと知ってまたびっくり。千葉真一主演の映画「ボディガード牙」(73年・東映)の、アメリカ公開版に配給会社が勝手につけた序文とのこと。そこまでやるのか。それにブルース・ウィルスが日本刀持って助けにいくところでは、あきらかにこの場合最初に手にとったチェーンソウのほうが役に立ちそうなのに、わざわざ日本刀選んでるとこなんかタランティーノの趣味が表れているみたい。
ところで図書館で「パルプ・フィクション」を検索したら高見広春の『バトルロワイアル』が引っかかってきて「えっ?」と驚いた。本を確認したら中のタイトルページの上のほうに、なるほど「PULP FICTION」とある。ふーん、知らなかった。この作品を深作欣二が映画化し、その深作監督に『キル・ビル』が捧げられているのも、なんだか不思議な気持ちになる。
再鑑賞 2004/10/3





2004/5/13
『四季 冬』
森博嗣 講談社ノベルス 2004年
圧倒的な四季の存在感。ぞくぞくするキシオとの会話。
でも、でも、あの作品と!?ああーちょっとやりすぎ、と思ったけど、日がたつと落ち着いてきた。うん、やっぱりつながっていてもいいかと考え直す。四季さんの天才ぶりを描ける著者もやはり天才では?と思ってしまう。





2004/5/13
『ず・ぼん』9号
ポット出版 2004年
いつも図書館で借りて読むのに、思わず買ってしまったのは、懐かしい名前に出会ったから。
20年以上前司書講習で机を並べて学んだ彼の名前を見た時は驚いた。その他NHK「クローズアップ現代」で取り上げられていたベストセラー購入についての町田図書館の反論、図書館委託問題、YAサービスについて、など興味ある内容だった。じっくり読んでいろいろ考えさせられた。図書館をめぐる現状、どこも資料費削減に悩んでいるという。うちだって購入希望出したのに、石井桃子さんの訳したミルン自伝はとうとう購入してもらえなかったなあ。





2004/5/18
『ヨーンじいちゃん』
ペーター・ヘルトリング(上田真而子訳) 偕成社 1985年
いいなあ、このじいちゃんにこの家族。こんなふうに家族で暮らせたら幸せなのに。思わず母や義母のことを思い浮かべた。





2004/5/19
『ノンちゃん雲に乗る』
石井桃子 福音館 1967年
こどものころ読んだ人もいるだろうけど、わたしは大人になってこどもをもってから読んだ。今読んでも、子どもの心をなんて的確に描いてあるんだろうと感心する。そして時代と作者のせいだろうが、とてもおっとりした品のよさを感じる。





映画 2004/5/19
『KILL BILL vol.2』
クエンティン・タランティーノ監督(映画館) 2004年
1より何かと微妙な評価の2だけど、意外と素直に楽しめた。むしろ1より好きなくらい。ブライドは「1」よりかわいくって、エルが格好よくて、二人の決闘は見物。「1」より流血が少なくて(一箇所だけ正視できなかった)たしかに「ラブ・ストーリ」になっている。この映画の登場人物はみなそれぞれ気にいっているのだが、意外にもバド(マイケル・マドセン)が格好いい(いやむしろかわいい)と思ってしまった。「1」ではデブだと思ってたのに。
エンドロールは「王の帰還」の鉛筆画には及ばないが、とてもウケた。とにかく映画の最初からエンドロールまで普通におもしろかった。なんで不評なのか不思議。
サントラは映画観る前はちょっと退屈だと思ってたけど、観た後ではどの曲もノレる。
はづきメモ>母娘ふたり、レイトショー&レディスデイ¥1000で、キルビルvol.2を観てまいりました。さて巷ではvol.1のがよい、やはり青葉屋がキルビル全体をとおしてのクライマックスであったのだ、いやこのvol.2にこそタランティーノの台詞まわしが活きている、パルプフィクションのタラ節を愛好しているタラ好きにはvol.2こそがおもしろい、などなど意見がありました。そして母娘の評価は―?

最 高 。

だったんですけど、なにか。
また巷では(そして映画製作サイド自らも標榜していますが)1と2の黄色とショッキングピンクほどのカラーのちがいが挙げられていますが、はづきにはいったい1と2でどれほどの差があるのやらさっぱりわからず、まああえて述べるとすれば、2のが1よりクレイジー88倍おもしろかった、ってことで、本日はココまでにシマショウ。
再鑑賞 2004/10/8





2004/5/20
『村田エフェンディ滞土録』
梨木香歩 角川書店 2004年
最後の鸚鵡のエピソードが切ない。しかし『家守綺譚』の綿貫といい、類は友をよぶのか。梨木さんは今後こういう方向に行ってしまうのだろうか。
はづきメモ>本屋で平積みを発見して、おお『家守〜』の姉妹篇かと購入。ちっとも知らなかったのですがこちらは「本の旅人」に2002年10月から1年間連載されていたもので、つまり綿貫氏より村田氏のがさきに世にでていたのですね。
ちょっとこれは、『からくりからくさ』を超えたかもしれないです。
『からくり〜』は、初読時には「こりゃあとからじわじわくるな」と予想はしたものの、「あとからじわじわ」自分のなかで第1位になってしまうとまでは思いもよらず。『〜滞土録』のほうは終盤を読んでるときに「き、きた…!」というかんじで、ですから第一印象としては『からくり〜』より鮮烈、暫定1位。ラスト3行がこれからどう効いてくるのか、『エンジェル〜』単行本より文庫派の自分としてはなかなか微妙なところです。
すぱっと切るのが好きなの、すぱっと。
余韻は文の技巧で表現しなくてもよい。
つまり「…」なんかでラスト一文が終わったりなんかしていたらもう論外ですが(あらアルジャーノンの短篇はそうですね、「しかも6つも」©瞳子)、こういう詩文もまたちょっとぎりぎり。これふつうに句読点つけてもいいんでないかな。わざわざああいう表記をしなくても、

     私のスタンブール。
     私の青春の日々。
     これは私の、芯なる物語。

自分の好みとしては、こういうかたちで。
高堂氏をタカドウだと思いこんだまま『家守〜』を読んでいたひと挙手ーお仲間ー。音はコウドウのほうがいいな、うん。そんなわけで『家守綺譚』も読みかえそう。





映画 2004/5/21
『シャイン』
スコット・ヒックス監督(ビデオ) 1997年
ピアノの曲を聞いてるだけで幸せ。演奏会に行った気分。ジェフリー・ラッシュが『パイレーツ・オブ・カリビアン』のバルボッサだとは、全然わからなかった。青年期を演じた人もとてもうまかった。 再鑑賞 2006/9/22





2004/5/22
『ドーム郡ものがたり』ドーム郡シリーズ1
芝田勝茂(佐竹美保絵) 小峰書店 2003年
1981年の復刊。さし絵が和田慎二だった昔の福音館版は以前に読んでいたが、シリーズ2『虹への旅』を読む前に、再読。やっぱり面白かった。
参照 2002/1/18





2004/5/22
『虹への旅』ドーム郡シリーズ2
芝田勝茂(佐竹美保絵) 小峰書店 2004年
ちょっとだれた。前作のほうがおもしろい。





2004/5/24
『女王の百年密室』
森博嗣 幻冬社 2000年
ちょっと忘れていたけど、これを最初に読んだときの衝撃はすごかった。ああやられたと思った。今回別の意味でまた衝撃。しかしこの近未来100年後の世界はとてもリアル。





2004/5/25
『迷宮百年の睡魔』
森博嗣 幻冬社 2003年 
ああ、やっぱり彼女だよ〜これは。そう思って読むからか、何だかとても切なかった。
参照 2003/8/9





漫画 2004/5/27
『マンガ ギリシア神話』全8巻
里中満智子 中央公論新社 1999年〜2001年 
映画『トロイ』を観る前に勉強しておこうと思って、最初は第7巻だけ借りて読んだらこれが意外とおもしろかったので、全巻借りてきた。





2004/5/28
『探偵伯爵と僕』
森博嗣 講談社ミステリーランド 2004年 
まさかと思った結末。文体のぎこちなさ、展開の都合よさもラストで納得。
はづきメモ>「かつて子どもだったあなたと少年少女のための」ミステリーランドである。本文もパラルビ。
小学生の少年少女ってのは、いちばんあなどってはいけない人種である。やつら頭いいぜ。ばかだなあと思う場合でも、たいてい頭がわるいんでなく社会性がないだけだ。
森博嗣はそれをとてもよくわかっているだろうし、また「ジュヴナイルなら手ぬいてもいいやー」的まちがった思考とはもっとも遠いところにいる、というか思いきり嫌っているひとだと思う。ということを充分わかっていたはずなのに、自分はいちおう少年少女向けでもあるレーベルで、この事件はちょっと…と思ってしまった。終盤までは。
この物語の語り手が「冷めている」と思う読者は何割くらいいるだろう。もっといえば「こんな子どもがいるわけない、いたら厭だ」なんていいだす輩もいるかもしれない。そういう人はそもそも森博嗣の作品を読まないと思うんだけどさ。
「死んでしまった子も、引っ越していった子も、同じだと思うしかない」。リアル、というならこのことだ。物語の現実味というのなら、これほどすとん、と胸におさまることばもなかった。
さいごの探偵伯爵からの手紙で強調されているようだけど、これは「かつて子どもだったあなた」、子どもだったころを忘れかけているあなた、にいちばんふさわしい話であると思う。

ところでミステリーランドの著者紹介をかいているのはだれだろう。おもしろいのだ。殊能将之へ宛てた「もぐらたたき」の表現には手をうったものである(でもたしか『鏡の中は日曜日』の「鏡」が誤植で「鑑」だかになってた気がする)。





映画 2004/5/28
『ベン・ハー』
ウィリアム・ワイラー監督(DVD) 1959年 
来週「トロイ』を観にいく予定なので、関心が古代にあり、そういえばこの映画まだちゃんと観ていなかったと気づき観ることに。最初のほうはキリスト生誕をやっていたから、中身が間違っているのかと思った。有名なガレー船の海戦や馬車での競走などさすがに見応えあったが、一番印象に残ったのはキリストの後姿。こういうキリストの見せ方は上手いと思う。途中でベンハーの名前のジュダが「ユダ」に通じることに気づき、ドキドキした。結局ユダとは別人だったが、ベンハーを描きながら実はキリストを描いた宗教劇という印象。だってラストはユダヤ人のジュダたちがキリストに帰依してるようにみえる。ユダヤ人は必ずユダヤ教徒なのか?キリスト教徒はいないのか?そこらへんが気になる。





2004/5/29
『ナルダが教えてくれたこと』
スチュアート・デイヴィッド(田栗美奈子訳) アーティストハウス 2001年 
人と触れ合うことを避けてきた主人公が、だんだん友人が出来ていく過程がよく描かれていて、この部分はとてもよかったのに、ラストは少し腑に落ちない。いつまでこの呪縛は続くのか。なんだか肩すかしをくわされた気分。





2004/5/30
『秘密』
東野圭吾 文藝春秋 1998年
おもしろい設定だけど、ちょっと生々しい。この作者の『放課後』の、ある描写にもちょっとそれを感じて、いやな気持ちになったことを思い出した。泣ける話ということだったが、そんなことはなかった。ただ最後の「二人分殴らせろ」にはちょっとグっときた。
実際にはどうだったのかということは、書いてあるとおり妻の意識が娘の身体に入ったと考えてもいいし、娘が事故のショックで感覚が鋭くなって父親の無意識の願望を読み取り、娘自身も無意識に母親の人格を作り出していた、と考えることもできそう。



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