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映画 2004/9/1
「LOVERS」
チャン・イーモウ監督 (映画館) 2004年
帰宅して20分で着替えて軽くお腹に入れて、友人の車で映画館へ向かう。以下少しネタばれ。

チャン・ツィイーきれい!彼女の表情と踊りとアクション観ているだけでうっとり。男ふたりはどうでもいい。アンディ・ラウにもう少しときめくかと思ったが、そんなことはなかった。彼は「インファナル・アフェア」のほうがよかった。
ワダエミの衣装は「HERO」に続いて綺麗。色も素敵。チャン・ツィイーは踊り子の衣装もいいし、男装もかわいい。なんでもいい。かわいいよ〜。飛刀門の制服(?)はベトナムっぽかった。
竹林の戦いは面白かった。武器を現地調達する朝廷の兵士たちに感心したり。みんなからだが柔らかい。

でもラスト、なんで雪?驚いてそれから少しひいた。演出だと思っていたらパンフレットによると本当に天候が変わったせいだという。それなら少し印象がかわる。秋の風景が瞬時に冬へと変わる。自然の中で人間はちっぽけだなと感じる。でももうすこし、もう少しなにかほしい。

「なぜ戻ってきたの」「戻るさ。君のためだもの」
「俺は3年。なのに奴と3日で…」
3人のこの台詞がすべて。


話としては「HERO」のほうがわかりやすくまとまっていた。




2004/9/2
『トキオ』
東野圭吾 講談社 2002年
この作品自体は前から知っていたが未読だった。それがNHKでドラマ化され今週から放送されていて、その紹介で「息子が過去の父親に会いに来る」とあるのをみて慌てて読んだ。いつも編集の手伝いをしている情報誌の今号の特集が「タイムスリップ」で、めぼしい作品を集めていたのだ。ただ読んでみると、タイムスリップというのとはちょっとちがった。それが作品の主題ではないので、とりあげるかどうかは少し微妙。変則的な例として紹介してもいいか。
東野圭吾はわりと好きな作家だし、作品も読みやすくいつもそこそこおもしろいのだが、それが「すごく好き!」というところまではいかない。どこがどうといえないのだが、たぶん文章にときどきひっかりを覚えるせいだろう。そのくせけっこう泣かせるのでしゃくである。この作品もさすがに手堅くおもしろく、やっぱり最後にちょっときた。でもなんかこう少々あざとく感じてしまう。
著者の作品では『白夜行』が今のところ一番。あと『どちらかが彼女を殺した』『私が彼を殺した』もおもしろかった。




漫画 2004/9/4
『DEATH NOTE デスノート3』
小畑健(大場つぐみ原作) 集英社ジャンプ・コミックス 2004年
帯に「少年漫画誌唯一の予測不可能本格サスペンス!」とあるが、本当に予測不可能。エルとライトの心理戦なので、読むのが疲れる。はらはらして心臓に悪い。完結してからゆっくり読みたい作品だ。青年誌でも通じるし、むしろむいている気がする。最初はライトがそのうち自滅すると思っていたのに意外としぶとく、そのうえ「第2のキラ」まで現れ、ますますどう転がるがわからなくなってきた。もともと圧倒的に不利なエルのほうにどうしても肩入れしてしまうが、ライトとリュークのコンビも興味深い。




映画 2004/9/5
「友は風の彼方に」
リンゴ・ラム監督(DVD) 1986年
原題の「龍虎風雲」って格好いい!英語だと「City On Fire」。日本題もなかなかいい。
「レザボア・ドッグス」がこれを参考にした、という話をにこさまに教えて頂き、またあるレビューサイトで「レザボア」はこれのパクリ、とあったのを思い出し、観ることにした。
最初は広東語が登場人物の口とあってないような気がして、北京語にしてみたり、また広東語に直したり忙しかった。どうもアフレコのようだ。
登場人物がはじめのうちは見分けがつかなくて、話がややこしくてわかりにくかったが、だんだん面白くなってきて、クライマックスまで一気にもっていった。主人公チャウ役のチョウ・ユンファが実に愛嬌のあるかわいい男で、そりゃフーも可愛がっちゃうよな。このフーが観ているうちにだんだんかっこよく思えてきた。またギャングたちそれぞれ見慣れてくるとようやく見分けがつくようになり、それぞれ味があってよかった。チャウの恋人ホンもとても可愛い人だし、チャウに潜入捜査を命じるラウ警部も、彼と反発しあう新任のエリート捜査官も、みんなとてもよかった。潜入捜査という点で「インファナル・アフェア」にも似ている。

なるほど、この映画がなければ「レザボア・ドッグス」は生まれなかった、ということがよくわかった。
「レザボア」が使ったシーンでは、はづきと思わず「あ〜あ!!ここかあ!」と叫んでしまった。それにしてもこの映画を元に「レザボア・ドッグス」を撮ったタランティーノは、やはりただ者じゃない。真のオタクはセンスがよい、というが納得できる。




絵本 2004/9/6
『エリザベスは本の虫』
デイビッド・スモール(サラ・スチュワート文 福本友美子訳) アスラン書房 2003年
本好きにはたまらない絵本。本棚いっぱいの本。ああ憧れの光景。
「実在のメアリー・エリザベス・ブラウン 図書館員、読書家、友人 1920−1991 に捧ぐ」とあるが、この献辞がまた心憎いことに、図書館の目録カードの形をしていて目録カードの引出しからちょこんと顔を出しているのだ。コンピュータ化された今の図書館ではお目にかからなくなったけど、懐かしくてたまらない。そして原題がずばり「THE LIBRARY」図書館だもんなあ。
エリザベスは自分の家と本を寄付して家は図書館になる。ここまではいかないけど、いつか文庫をひらきたいというのは、わたしの長年のひそかな夢だ。




映画 2004/9/9
「ピアノレッスン」
ジェーン・カンピオン監督(ビデオ)1994年
ハーヴェイ・カイテルが出てるなら観たい、というはづきに付き合って2度目の鑑賞。この映像の独特な雰囲気はすごく好きだ。ホリー・ハンター、アンナ・パキンの演技が素晴らしい。ピアノの曲もきれい。ハーヴェイ・カイテルの裸は不評だけど、別にいいんじゃない?
参照 2003/11/7




漫画 2004/9/10
『緋色の椅子3』
緑川ゆき 白泉社花とゆめコミックス 2004年
最終巻。ルカは予想していたけど、ドリィが…。緑川ゆきは泣かせるなあ。




2004/9/10
『続あしながおじさん 上下』
ウェブスター(遠藤寿子訳) 岩波少年文庫 1955年
以前読んだ偕成社文庫では1冊で訳は北川悌二だった。分量がずいぶん違うなと思っていたら、驚いた。この中にでてくる、精神薄弱やアルコール中毒などに対するものすごい偏見には胸が悪くなった。なるほど偕成社版で訳者が「当時通用していた説で、読者に先入観をいだかせるような、好ましくない表現の部分は省いた」とあるのは、ここなのか。好ましくないどころじゃない。おかげですっかり印象が悪くなって途中で読むのをやめようかと思ったほど。その部分をのぞけばおもしろいのだけど。だけどやはり「あしながおじさん」のほうがおもしろい。だいたいどうしてジュディが自分で孤児院の改革をやらないのかが疑問。結婚して名士夫人となった女性が仕事をもつなんて奇異の目で見られるから?当時の常識では難しかったのかもしれないが、ジュディの出番がなくて不自然な気がした。
偕成社文庫版 2004/4




2004/9/11
『マイナス・ゼロ』
広瀬正 河出書房新社 1977年
この作品は昭和45年の第64回直木賞候補にもなったという。なるほどおもしろい。最初に雑誌に連載され始めたのが昭和40年ということだが、このタイムパラドックスの見事なこと。うなってしまった。多少強引でちょっと倫理的にどうかと思うこともあることはあるのだが、全体の雰囲気に好感が持てる。特に戦前の日本の生活を細部にわたり詳しく描写してあるのには感心した。「プラス・ゼロ」「プラス18」「マイナス31」「ゼロ」「マイナス・ゼロ」という章立てもおもしろい。




2004/9/13
『モギ ちいさな焼きもの師』
リンダ・スー・パーク(片岡しのぶ訳) あすなろ書房 2003年
12世紀後半の韓国、美しい高麗青磁の焼きもの師の見習いとなった、少年モギの物語。このモギと橋の下でいっしょに暮らすトゥルミじいさんの、貧しいけれど人間としての尊厳を失わず決して道を誤らない暮らし方が、何より胸を打つ。どんなに富裕でも心の貧しい人間はいるのに、この高潔さは清清しく本当に素晴らしい。さわやかで心地よい読後感。最後の1ページ、韓国の国宝『青磁象嵌雲鶴文梅瓶』についての記述に、ああモギとトゥルミじいさんがここにいる、と思った。




2004/9/14
『螢』
麻耶雄嵩 幻冬社 2004年
「麻耶だぞ、麻耶だからな」と警戒しながら読んでいたら、これはもう綾辻か有栖川かと思うほどの、まっとうな本格推理ものだった。陰惨ではあるけれど美しく、いってみれば拍子抜けするほど一般的。相変わらず文章は端正だし、この人はやっぱりすごい。なんて感心していたら最後の1ページで、やっぱり麻耶だった。




2004/9/15
『キマイラの新しい城』
殊能将之 講談社ノベルス 2004年
端正な麻耶のあとに軽快でポップな殊能を読んで、ちょうど中和された感じ。実に楽しく読めた。思わず納得してしまった自分に苦笑してしまった。たしかにそんなわけあるわけない。
実は稲妻卿の回想にでてくるジェロームをヴァンサン・カッセルに脳内変換しながら読んでいたので、それも楽しかった一因かなと思う。




映画 2004/9/15
「ジェヴォーダンの獣」
クリストフ・ガンズ監督(ビデオ) 2001年
そのヴァンサン・カッセル目当ての映画。この映画がフランス本国ではたいそうな人気だったというが、フランス人ってよくわからん。アクションなのかミステリーなのか、ホラーなのか、なんでもありの盛り込みすぎ。物語が動きはじめるまでが異様に長くて、茶の間では突っ込み入れまくって何とか間をもたせたけど、映画館で観ていたら寝ていたかもしれない。突っ込むのもむなしくて笑いたくなったほど。
ただヴァンサンはまあ可愛いし、奥様のモニカ・ベルッチは今まで観たなかで一番美しかった。これまでは「きれいだけど、好きな顔じゃない。なんでイタリアの宝石とまでいわれるのか?」と思っていたけど、撤回します。美しいです、本当に。それにかっこいい。これは役柄のせいもある。そしてもうひとりマニ役の人が格好よかった!でも最初の登場シーンのコスチュームが一番素敵だったので、ずっとあれでやってほしかった。そういえばあのアクションシーンは、まんま「マトリックス」だった。




映画 2004/9/16
「ブレードランナー 最終版」
リドリー・スコット監督(DVD) 1992年?
この有名な作品をようやく観た。劇場公開よりほぼ10年後のディレクターズカット版ということだが、わたしは劇場公開版もそのあとの完全版も観ていないので、比べてどうこういうことはできない。
だからあくまでもこの最終版を観ての感想だが、これはすごい映画だった。想像していたのとは全く違う。もっと華やかでスピーディなアクション満載の映画だと思っていたのに、こんな静かな切ない映画だったなんて。劇場公開版にあったというハリソン・フォードのナレーションもなく音楽も極端に少ないから、映像に集中しないと意味がよくわからない部分も多い。でもこの雰囲気はものすごく好きだ。そして主演のハリソン・フォードより、レプリカントのボスを演じたルトガー・ハウアーがものすごい存在感で印象に残る。出てきた瞬間からかっこよかった。彼と生みの親の博士との会話や、白い鳩の飛ぶ最期のシーンが胸に痛かった。
バージョンによって内容が違うというので、他の版も観てみたい。そして原作の『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』も読みたくなった。




2004/9/17
『夜明けの風』
ローズマリー・サトクリフ(灰島かり訳) ほるぷ出版 2004年
『第九軍団のワシ』以来サトクリフの描く「ローマン・ブリテン」ものをおいかけてきたが、この作品でひとつの区切りがついた。そのことに一抹の淋しさを感じる。
アーサー王のモデルとなったアルトスの死から既に100年、ついにサクソン人の支配する国になってしまったイギリス。けれどひとつの時代の終わりは、ひとつの時代の始まりでもある。そのことに少年オウェインが気づくまでの長い長い道のりが描かれる。<夜明けはまだだ。だが夜明けの風は感じる>オウェインが感じた夜明けの風は、どこでもどんな時代でも感じることができるものだろう。

岩波の猪熊さんの訳は、重厚でとても好きだが多少読みにくさもある。灰島さんの訳は読みやすいし、『ケルトの白馬』はとても好きだった。でもイルカの指輪を受け継いでいったマーカスの子孫が活躍する作品は、できれば全部猪熊さんの訳で読みたかった。




映画 2004/9/17
「デス・トゥ・スムーチー」
ダニー・デビート監督(DVD) 2002年
日本未公開のこんな映画をなぜ観る気になったのか。それはひとえにエドワード・ノートンのかぶりもの姿を見たいがゆえ。だからノートンのかわゆらしさに大満足。あとはどうでもよろしい。いやもう予想以上にかわいかった。姿も動作も歌さえも。対するロビン・ウィリアムズもさすがにお見事。内容は…けっこうブラックだったから子ども向きとは言えない。とはいえ大人向けにしては内容にひねりがない。ただもうノートンの可愛らしさを愛でる以外の楽しみ方は…ないですね。裏表のない、というか表しかない貴重なノートン青年がみられます。




映画 2004/9/18
「レッド・ドラゴン」
ブレット・ラトナー監督(DVD) 2002年
「羊たちの沈黙」が素晴らしく(これ以上のものは無理だろう)、「ハンニバル」が気持ち悪かったので(またあんなグロかったらどうしよう)、あまり期待してなかったのだが、意外にもかなり面白かった。なによりあまりグロい場面がなかったので、それだけでもわたしの中では「ハンニバル」を超える。冒頭の演奏会から食事会、逮捕へと続くところ、「羊たちの沈黙」へと続く最後のレクター博士の台詞などが好きな場面。
レクター博士はもちろん素晴らしかったが「羊たちの沈黙」ほど強烈な存在感がなかったように思う。「羊たちの沈黙」ではクラリスがレクター博士に導かれているという感じだったが、ここではレクター博士とウィルは対決している感じ。ウィル役のノートンも唯一レクター博士と対峙できる優秀な捜査官を、身体を張って演じていて、可愛いというより格好よかった。同年に「デス・トゥ・スムーチー」が公開されているなんて思えない。惜しいのはウィルの危うさがあまり感じられなかったこと。ウィルには妻子や自分に危害が及ぶことの他に、自分がレクター側に陥ちてしまうかもしれないという恐れもあったはず。多少匂わせてはいるが、それがあまり感じられなかった。悲しい殺人鬼ダラハイトを演じたレイフ・ファインズもいいが、ダラハイトが恋する盲目の女性リーバを演じたエミリー・ワトソンの演技が素晴らしかった。それとハーヴェイ・カイテルが「ピアノ・レッスン」の時より若々しくて驚いた。




映画 2004/9/19
「ヴァン・ヘルシング」
スティーヴン・ソマーズ監督(映画館) 2004年
まるでその気はなかったのに、先に観にいったはづきから「一緒に行こうよ」と誘われたので、さほど期待せずに観た。さいしょに「冒頭から全速力で飛ばしっぱなしだから、のれないと辛いかも。それと音は相当うるさいからね」と注意されていたので覚悟していたら…。
ユニバーサルのロゴが炎に変わって村人のもつ松明になった冒頭から、思わず吹き出してしまった。以後なにが出てきても笑える。ハイド氏のなんちゅうアホらしさ。ハイド氏だけでなく登場する怪物がどれもこれもなんでこうも漫画ちっくなのだ?まあけっこう笑えたし、それなりに楽しめたのでこれはコメディと思えばいいのだと自分を納得させた。でもこの程度の内容になんでこんなに金をかけるんだ、という気分がどうしても消えない。誰かが「150億かけたコント」と言ったそうだが同感。
そんな中唯一の救いはドラキュラ伯爵。はづきの買ってきたパンフレットを見て、「お、けっこう格好いいじゃない」と思ってはいたが、実際はそれ以上だった。格好いいというより、かわいいのだ。彼の出番だけを楽しみに2時間半を耐えたといっても過言ではない。特に手をパン、パンと打ち鳴らしながら「心臓の鼓動で、タップも踊れる」と言ったときは、本当に踊り出してくれるのか、とわくわくした。どうぞ踊ってくださあ〜い!ヴラディスラス・ドラクリア伯爵。彼を観るためならもう一度出かけてもいい。
再鑑賞 2004/9//28 2004/12/28




漫画 2004/9/20
『下弦の月』全3巻
矢沢あい 集英社りぼんマスコットコミックス 1998年〜1999年
りぼん連載中に1巻だけ読んでいた。『ご近所物語』のあとで、それとは違う少し初期のシリアスな雰囲気に戻った作品で、その後も気になっていた。映画化にあわせて愛蔵版がでるというので、そちらを買うつもりだったのだが、愛蔵版が上下巻でそれぞれ1200円もするので、コミックスにした。1巻で1800円くらいなら許せるのだが、これは少し高すぎる。コミックスで充分。でも話はおもしろかった。これが当時よくりぼんで連載されていたなあと感心した。これ以後矢沢あいはりぼんを卒業し『NANA』を描いてる。またこの作品と平行して『Paradise Kiss』も描いていた。
矢沢あいは『バラードまでそばにいて』から注目していたが、初期のころはピュアな少年少女の心情を切なく描いていた。絵も上手いと思っていたが、比べてみるとやっぱり今のほうが上手い。絵柄は『天使なんかじゃない』の途中からどんどん変わっていって、『ご近所物語』のころはあまりに趣味に走って濃くなっていて、あまり好きではなかった。この『下弦の月』では少し元に戻りかけていて、でもまだ『ご近所物語』をひきずっていて硬い。『NANA』ではほどよく柔らかくなってちょうどよくなっている。たぶん『うすべにの嵐』の頃が初期の絵柄の完成点で、そこから意図的に絵柄を変えていったように思う。いまさら元の絵に戻ることはないだろうが、でも実はあの頃の絵が一番好きだ。
『天使なんかじゃない』の時に感じたのが場面転換が上手いこと。映画的だなと感じていた。だからこの『下弦の月』が映画化されるのも納得できる。アダム役がhydeさんなのがちょっと気になっている。




漫画 2004/9/20
『記憶鮮明』
日渡早紀 白泉社文庫 2004年
まだ『ぼくの地球を守って』が連載中に古本屋でコミックスで買ったことがある。作者自身が『ぼく地球』が「記憶鮮明 東京編」と位置付けていたので、一体「記憶鮮明」とはなんだ?と興味があったから。そして話もとてもおもしろかった。今回あらたな未来路の話が「記憶鮮明U」として載っているので購入。この話も最後の『BIRTH 記憶鮮明・V』もおもしろかった。そして巻末の作者あとがきで、ようやく「記憶鮮明」シリーズの意味がわかった。EPIAが存在するかしないか、がシリーズに含まれる鍵となるらしい。そしてそれは作者の頭の中にある未発表作品からきている、というたいへんわかりにくい理屈だった。読者に対しては少し不親切な気もする。




漫画 2004/9/20
『フルーツバスケット』
高屋奈月 白泉社花とゆめコミックス 2004年
王子様由希の悲しい過去。この両親どうかと思う。由希が透に母親を求めたのも頷ける。




映画 2004/9/20
「25時」
スパイク・リー監督(DVD) 2004年
地味な暗い、でも心に残る映画。ここでのノートンはいくぶん抑えた演技。こんなにいい友人や父親がいながらなぜ麻薬の売人などになってしまったのか、自業自得という気がする。だからあまり同情できないのだが、友人達の涙や最後の父親の夢物語を聞いてると、「ああこんな人生も送れるはずだったのに、俺はなんてばかな生き方をしてきたんだろう」という主人公の思いが伝わって切なくなってくる。音楽がとてもいい。時期的に原作にはないはずのグラウンド・ゼロを取り入れたのは、そこに主人公の心情を重ねるためだろうか。製作が2002年らしいが、グラウンド・ゼロがまだ生々しくて胸が痛くなる。




映画 2004/9/20
「真実の行方」
グレゴリ―・ホブリット監督(ビデオ) 1996年
エドワード・ノートンの映画デビュー作。最初の聖歌隊で歌うノートンのかわいいこと。そのあどけない顔が最後には邪悪な笑顔に変わる。ここは怖かった。ノートンの演技はすごいが、ものすごく後味が悪い映画。
映画の内容そのものよりも裁判制度に興味を持った。陪審員制度など日本と違うのは当然だが、意外だったのは裁判方針を途中で変えられないこと。最初無罪で争うことにした弁護士が、途中で心神耗弱に変えられない、と言ったときは驚いた。日本でもそうなのかどうかはわからないが、ちょっと不合理だと思った。裁判の途中で明らかになることだってあるはずなのに、方針の変更がなぜ認められないのだろうか。素人には理解できなかった。検察の主張「虐待を受けた人が全て、違う人格を作り出し人殺しをするのか」というのに共感を覚えた。なんでも虐待=多重人格という図式に当てはめるのはどうかと思う。

ノートンとゲイリー・オールドマンは少し似ているなと思っていたが(「25時」の時は本当に似ていた)芸歴にも共通点があることに気付いた。どちらも舞台出身で映画デビューは20台後半と遅く、しかもそのときの役が19歳と20歳という、実年齢よりかなり若い年齢を演じていること。そしてどちらもその役を見事に違和感なく演じたという凄さも同じ。ただノートンに比べゲイリーのほうはその後の出演作にあまり恵まれていないように思う。




2004/9/21
『アルフレッド王の勝利』
C.W.ホッジズ(神宮輝夫訳) 岩波書店 1977年
『アルフレッド王の戦い』の続編。でも語り手が違い、最初のほうはアルフレッド王の即位以前の説明もあり、時間的に前作に重なっている。前作で命を助けた北方人の首領の罠にはまり危機に陥ったアルフレッド王の逃亡、再起、そして勝利を描いたこの作品は、重厚な文章でぐいぐい読ませて手に汗握るおもしろさ。特に「キンウィットの戦い」の章は文体が現在形で書かれているため圧巻。この章だけ取り出して音読したいくらい素晴らしい。挿絵も作者が描いているが、最後でアルフレッド王が白馬の地上絵の丘の上にたつ絵には驚いた。前作でもこの地上絵についてふれているところがあったが、これがサトクリフ『ケルトの白馬』と同じ地上絵かどうかはわからないが、何だか嬉しくなる。
そのサトクリフ作品で蛮族と呼ばれ侵略者だったサクソン人たちが、ここでは逆に北方人の侵略に苦慮する姿に歴史のおもしろさを感じた。このときサクソン人はキリスト教徒で、北方人を異教徒と呼んでいるのも興味深い。サクソン人の間でキリスト教が広まるのは、サトクリフの『夜明けの風』で少し触れられているようにローマンブリテンの終焉の頃からだから、約300年経過している。




映画 2004/9/22
「RONIN」
ジョン・フランケンハイマー監督(ビデオ) 1999年
ジャン・レノとショーン・ビーンの名にひかれて観た。でもロバート・デ・ニーロが格好よかった。
この映画すごくおもしろかったのだが、ものすごく難しかった。極端に説明を省いているので、登場人物のことや請け負った仕事のこととか、よくわからないままどんどん進んでいく。そのうちにぼちぼちわかってはくるのだが、なにしろ字幕にたよってると画面の展開についていけず、画面だけみているとますますわからなくなってくるという有様。おまけにところどころフランス語の台詞が飛び交うものだから、お手上げだ。さらに言えば顔の区別がつかないので、さっき殺されたはずの人間がまた現れてびっくりしたり。もちろん違う人間なんだけど、だけど本当に区別つかない。アクションの見せ場はかなり長いカーチェイス。これがまあ街中の狭い路地をビュンビュン飛ばすわ、道路を逆走するわ、ものすごい迫力。あんな撮影よく許されたなと感心した。極端に女性の登場人物が少ない中、雇い主の女性の顔が小雪に似ていたのがちょっと笑えた。それとアイスショーに出演しているスケーターが、カタリナ・ビットだったのには驚いた。冬季オリンピックでおなじみの彼女のファンだったので嬉しかった。
肝心のショーン・ビーンは出番は最初のほうだけで、プロ集団の中で唯一の素人の銃器オタクが虚勢張ってるところなんて、ボロミアを彷彿させて素敵だった。




2004/9/23
『アーサーとアングロサクソン戦争』
デヴィッド・ニコルPhD(佐藤俊之訳 アンガス・マックブライド画) 新紀元社 2000年
最初に年表があり、4世紀から11世紀までのイギリスの戦いの歴史がかかれている。アングロサクソン人、ケルト人、北方人それぞれの勝利に印がついているのでわかりやすい。武器の説明のところなど、ざっと読み飛ばしただけだが、ローマの支配が終わり、アーサー王からアングロサクソン、さらに北方人の入植、ノルマンの制服と続く歴史をみると、現在のイギリスが多民族の入り混じった国家だということがよくわかった。




2004/9/27
『ベーオウルフ』サトクリフ・オリジナル7
ローズマリ・サトクリフ(井辻朱美訳) 原書房 2002年
同じ訳者で1990年に沖積舎から刊行されていたが、固有名詞の表記を北欧の読みにあらため刊行された。沖積舎版のあとがきで「現代英語で若い読者を対象に書かれた作品なので、あえてそのままの読み方にした」とあるので、本来はこちらの表記だったようだ。
この「ベーオウルフ」の原典は古代英語で書かれた最古の英国の叙事詩ということで、世界史年表にも<730年「ベーオウルフ」成立>という記述がある。それをサトクリフがほぼ忠実に物語としたのがこの作品。物語の舞台はスウェーデンとデンマークであり、雰囲気も北欧っぽい。あまり飾り気のないぶん、力強さを感じさせる。




映画 2004/9/28
「ヴァン・ヘルシング」
スティーヴン・ソマーズ監督(映画館) 2004年
伯爵見たさに再鑑賞。相変わらず素敵だった。今度はどの場面で登場するかわかっているので、わくわくしながら待っていた。そして台詞を聞きとろうと必死。でも動作がかわゆいのでつい見とれてしまう。今回はくやしいが物語にもけっこう感動した。特に最後の場面では切なくてうっかり涙ぐんだ。「この程度の内容に金かけすぎ!」という否定的な気持ちは変わらないが、ひょっとしたら泣ける名作かもしれん、と錯覚しそうだ。1回目も思ったが、音楽はいい。こういうノリのいい曲は好きだ。
はづきにいわれて気がついた。伯爵はスネイプ先生(アラン・リックマン)に似ている。黒髪、少しタレ気味の頬、大げさな身振り、特徴ある話し方。うーんなるほど。わたしはこういうのが好みだったのか?ヒュー・ジャックマンなんて、ちょっと馳夫さんっぽくて、本来ならこちらに反応するはずなのに、まったく興味わかなかったし。それに主役のくせに格好よくない。何か地味。
参照 2004/9/19 2004/12/28



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