| 2006/7/1 |
| 『ロルカ―スペインの魂』 中丸明 集英社新書 2000年 |
| 今気に入っているCD「モア・ベスト・オブ・レナード・コーエン」。もともと「リトル・ランナー」のクライマックスで使われていた「ハレルヤ」を探していて原作者のレナード・コーエンにたどりついたのだが、そのCDの3曲目「Take This Waltz」が、フェデリコ・ガルシア・ロルカの詩を元にしていると解説書にあった。もともとコーエンはロルカに影響され詩作を始めたらしいということを知り、名前だけは知っていたロルカとその詩に興味がわいてきた。 だが、図書館ではロルカの著作はひとつもなく、かろうじてこの本がみつかったので読んでみた。スペイン内戦についてはこれまた話だけは知っているというものだったので、そのことについて少しわかったのは収穫だった。それとダリと交流があったこと(若い頃のダリの写真もあるが、細い〜!)、映画「アンダルシアの犬」(これも名前だけ知っていた)が、ダリとブニュエル(彼もロルカと同時代に生き交流があった)という二人の芸術家の夢がヒントになっていることなど、興味深く読んだ。ただこの著者のくせなのか性的表現の多用と、グラナダ地方の方言を表す手段として名古屋弁を使っていることにどうにも閉口した。 ともかくもう少しロルカとスペイン内戦について知りたくなった。 |
| 2006/7/4 |
| 『霧越邸殺人事件』 綾辻行人 新潮文庫 1995年 |
| 『十角館〜』とならぶわたしの綾辻作品のベスト1。この雰囲気はやはり大好き。 |
| 映画 | 2006/7/10 |
| 「かもめ食堂」 荻上直子監督(映画館) 2006年 |
| もう映画館では観られないとあきらめていたが、運よく浦和でやっていたので観に行った。 期待通り素晴らしかった!毎日を普通に生きていくのには、特別なことは何もいらない。普通のご飯があればいいのだ。わたしもフィンランドに行ってかもめ食堂でごはんを食べたい! 映画では語られなかった3人の背景がわかる原作もとてもよかったけど、どちらかといえば映画のほうが好きかな。だってごはんが本当においしそうだったんだもの。 出演者がみんなよかった。小林聡美は以前から好きな女優だったけど、きれいと思ったことはなかった。それがこの映画のサチエさんは一見のんびりしていながら、芯がすっと通っているしなやかな強さを感じさせて、こんなにきれいな人だったのかと見とれてしまった。料理を作るときの手際よさといい、夜中の膝行といい、「いただきます」ときちんと手をあわせるところとか、とにかく動きがとても自然で美しい。 片桐はいりは、三人のなかでは一番普通(?)な女性を自然に演じていた。大きな体なのにとてもかわいらしく、おにぎりについてのサチエの思い出話を聞いたときの泣き顔もよかった。トンミくんともいいコンビ。お似合いです。 もたいまさこはもうただそこにいるだけでおかしかった。ゆったりおっとりしているのに、けっして軽くなく重厚で凄みすらある。あんな強烈な柄の服をさらっと着こなし、それが妙に似合ってしまうなんてただものじゃないよ。お客から強いお酒をすすめられて、彼女が無言で深く頷いた場面なんて最高。 この映画はこの三人のキャストが決まった時点で成功が約束されたようなもの。かもめ食堂の厨房のすみに、3つのエプロンが並んでつりさがっていたのをみたとき、何だかとっても嬉しくなってしまった。 |
| 2006/7/11 |
| 『悪童日記』 アゴタ・クリストフ(堀茂樹訳) 早川書房 1991年 |
| すごい。ただもうそれしか言えない。感情を排した事実のみの文章。こんな書き方があったのかという驚き。ラストの衝撃。今年のベスト1。 |
| 2006/7/12 |
| 『ふたりの証拠』 アゴタ・クリストフ(堀茂樹訳) 早川書房 1991年 |
| 読み初めて戸惑った。続編のはずなのに何かおかしい。そしてこれもラストで衝撃。何だか前作だけで終わっといたほうがよかったのではないかな。 |
| 2006/7/12 |
| 『第三の嘘』 アゴタ・クリストフ(堀茂樹訳) 早川書房 1992年 |
| 暗い。どうしようもないほど暗い。1作目でやめておけばよかったと思ったが、読み終えてみるとやはり3作必要だったのかもしれないと思う。何だか「ニュー・シネマ・パラダイス」の完全版を観たような気分だ。 |
| 2006/7/16 |
| 『あの年の春は早くきた』 クリスティーネ・ネストリンガー(上田真而子訳) 岩波書店 1984年 |
| 戦争末期から終戦直後にかけての、著者の少女時代を描いた自伝的作品。舞台はウィーン。国民生活は窮乏し、主人公の父親は脱走兵。さらに進攻してきたソ連兵が自宅を宿舎にする。 こんな状況なのにこの物語の主人公の少女はとてつもなく元気でたくましく、やたらテンションが高い。子どもってそんなものかなと思う反面、それはやはり戦争という非常時だからかもしれないという思いも強い。普通に暮らしていながら常に戦争が身近にある、その目に見えない緊張感と恐怖が少女の精神を高揚させていると見るのは考えすぎだろうか。そんな深読みしなくても普通に読んでもおもしろいけど。 |
| 2006/7/17 |
| 『かさどろぼうを追いかけて』 E.エステス(谷口由美子訳) あかね書房 1988年 |
| 主人公の少女がチャイニーズ・アメリカンというところがちょっと変わっていておもしろい。『百枚のきもの』に雰囲気が似てるなと思ったら、同じ作者だった。 |
| 映画 | 2006/7/18 |
| 「1999年の夏休み」 金子修介監督(ビデオ) 1988年 |
| 萩尾望都の傑作『トーマの心臓』を元に、少年を少女が演じるというとてつもない映画。少年に見えなくもないが、やはり無理がある。それは衣装のせい。半ズボンがキュロットスカートにみえてしまう。さらにソックス・ガーターが変。これが長ズボンだったらよかったのに。深津絵理はかわいい。 |
| 2006/7/21 |
| 『白狐魔記 戦国の雲』 斉藤洋 偕成社 2006年 |
| 待ちに待った第4巻。なんと300年もたっていた。かわいかった白孤魔丸もちょっと大人になっていた。今度の武士は信長。この調子で現代までやるつもりなのかな。 |
| 映画 | 2006/7/22 |
| 「パイレーツ・オブ・カリビアン2 デッドマン・チェスト」 ゴア・ヴァービンスキー監督(映画館) 2006年 |
| 期待して行ったのに、つまらなかった。ジョニー・デップが前作よりかわいくなかった。全体的に暗い。 |
| 映画 | 2006/7/23 |
| 「エミリー・ローズ」 スコット・デリクソン監督(DVD) 2006年 |
| もともとホラーは苦手なので最初は観る気はなかった。ところがあるサイトで「真面目な法廷劇」とあり、検事役でキャンベル・スコット(「リトルランナー」の神父さま!)も出ていることを知り観ることにした。 前半はエミリーの発病(悪魔憑き)から死までの経緯を追っていくが、そのエミリーの演技のすごいこと。生身の体であそこまで顔を歪め、あり得ないほど体を捻じ曲げる。彼女の姿そのものが怖かった。そして何より怖かった場面は、エミリーと神父と弁護士がそれぞれ夜中に目覚めるところ。別に悪魔が出てくるわけではないのだけれど、これがとにかく怖い。 まず午前3時に時計がとまる。なぜ止まるのか分からないけど、分からないからこそよけい怖い。そして必ず午前3時。これはキリストが死んだ時刻の午後3時と全く逆な時間だからという。キリスト教ではこの時刻が悪魔の時間なのか?日本でも丑三つ時というけれど、どこでもこの時間帯は怖いものらしい。 エミリーは焦げ臭い匂いで目をさます。神父と弁護士の時は3時になると時計がとまり「1、2、3、4、5、6」という少女のささやき声が聞こえる!だ、誰の声?6まで数える理由は後でわかるけど、ここは本当に怖かった。それでそのまま寝てればいいものを、三人ともベッドからおりて部屋を出て行く。やめろよ〜!おとなしく寝てろよ〜!だだっぴろい廊下を一人で歩いて行く時間の長いこと。このシーンはもう怖くてまともに見ていられなかった。ほとんど泣きそうだった。 ここまででもう充分怖かったので、クライマックスの悪魔払いのところは逆にそれほど怖くなかった。 それからメインの法廷劇に入る。検事はあくまでも科学的医学的にエミリーの症状を説明しようとし、弁護側は「エミリーと神父がこの事態をどうとらえていたかが大事」と主張する。当然二つの主張は相容れない。裁判は弁護側が不利なまま続くが、検事が弁護側の証言を「非科学的」だと遮ろうとしたとき、判事が「医学的な説明はもう充分聞きました。今度はこちら側の意見を聞きたい」とその異議申し立てを却下したのは、さすがに公正な判断だと思った。 陪審員の評決の前、検事と弁護士双方が最後の弁論を繰り広げるが、その対比が見事だった。検事は「わたしは信仰の男」と言い、無知で迷信家の家族と神父によって、エミリーが死に追いやられたとして神父を告発する。そこには若くして死んだエミリーへの哀悼の気持ちがあふれ、それゆえに彼女を死に至らしめた(と彼が判断している)神父に対する怒りがあるだけ。職務に忠実に、事件に真摯に向き合う彼の態度は、敵役とはいえ陪審員や観客の心をうつ。 一方弁護士は「わたしは疑いを抱く女です」と語り始める。「真実とは疑問の余地のないもの」として、エミリーの死は医学的に説明することもできるし、悪魔憑きととらえることも又できる。そしてそんな中でたったひとつ「疑問の余地のないもの」、それは「神父さんのエミリーに対する愛」だと述べる。彼女のこの言葉を聞いたとき、わたしは思わず涙が出そうになった。 その感動は陪審員も判事も同じだったようだ。陪審員の評決と量刑の決定は、なるほどと思えるものだった。 たしかにこれは法廷劇だった。ただ宣伝文句の「その裁判は悪魔の存在を初めて認めた」というのはちょっと違うと思う。別に認めていなかったと思う。でもいい意味で期待を裏切られた作品で、自分でも意外なほど気に入った。 目当てのキャンベル・スコットは、神父服でなくてもかっこよかったので満足。本編とは関係ないけど、 本編に入る前に他の映画の予告編があり、これがホラーばっかりの上スキップできなくて困った。おかげでもう一度観たくても、予告編が怖くて諦めた。あれは何とかしてほしい。 この映画のあと娘と話し合った。結局神も悪魔も人間の心が作り出したものだから、わたしたちキリスト教徒ではないものには、悪魔憑きは起こりえないだろう。だから極端にいえば悪魔は怖くないけど、幽霊は信仰にかかわりない人間の怨念だから、これはもう万国共通で怖い。そんなわけで映画「ポルターガイスト」は超怖い、という話に落ち着いた。 |
| 2006/723 |
| 『銃とチョコレート』 乙一 講談社ミステリーランド 2006年 |
| 待望の乙一。チョコレートの名前が楽しくおもしろかった。 |
| 2006/7/24 |
| 『天狗童子』 佐藤さとる あかね書房 2006年 |
| 久しぶりの佐藤さとるさん。まあまあおもしろいのだけど、この内容にしてはちょっと長すぎる感じ。 |
| 2006/7/24 |
| 『ひとがた流し』 北村薫 朝日新聞社 2006年 |
| 何だか最初は文章になじめなかった。意識して変えてる?少しもたついた印象を受けた。もしかしたら北村さんの作風文体は、新聞連載に向いていないのかもしれないと思った。 |
| 2006/7/24 |
| 『天のろくろ』 ル=グウイン(脇明子訳) ブッキング 2006年 |
| ル=グウインのSFらしく読みにくくて最初は苦労した。でも話はおもしろかった。 |
| 2006/7/29 |
| 『乱鴉の島』 有栖川有栖 新潮社 2006年 |
| 設定は派手なのに事件は地味。これはこんな大仰な舞台でなくてもいい事件。つまらなかった。 |