[ タイムトンネル ] へ戻る



2007/3/5
『砂漠の国からフォフォー 』
中川なをみ くもん出版 2005年
青年海外協力隊の話なので興味深く読んだ。ニジェールに赴任した主人公と一緒にカルチャーショックを味わう。でも時間がたてばたいていのことには慣れてゆく。人はどんなところでもたくましく生きていくのだ。




2007/3/10
『大聖堂』全三巻
ケン・フォレット(矢野浩三郎) 2005年
12世紀のイングランド、キングスブリッジ大聖堂が出来るまでの話。膨大な登場人物の人間模様が、実在の人物歴史上の出来事など織り交ぜて描かれる大河小説。とてもおもしろかったのだが、少しくどく感じる部分もあった。




2007/3/12
『墨攻』
酒見賢一 新潮社 1991年
映画とはだいぶ違うが、これはこれでかなり面白かった。




映画 2007/3/14
「パフューム」
トム・ティクヴァ監督(映画館) 2007年
今年一番楽しみだった作品。かなり満足。うまく脚色してあったが、後味の奇妙な爽やかさは原作のほうがまさる。映画だと少しグルヌイユに哀しみを感じる。原作では本当のクライマックスはラストに来るのだが、映画では処刑場の場面になっていた。あそこでグルヌイユが最初に殺した少女に思いを馳せ涙を流したことで、原作とは異なる感想を持った。 原作では彼が求めたのはあくまでも「香」そのものであり、少女を求めたのではない。だがこれは「映画」の解釈。原作と違って当然だし、ここではそれが成功していると思う。そのせいでどんなカルトな映画かと危惧していたら、案外エンターティメントに仕上がっていて驚いた。原作が薄まったという感想を読んだが、こういうことだったのかと納得した。




2007/3/19
『イシ 二つの世界に生きたインディアンの物語』
シオドーラ・クローバー(中野好夫・中村妙子訳) 岩波書店 1977年
以前文庫で『イシ 北米最後のインデアン』(行方昭夫訳)を読んだ。児童書の単行本があることは知っていたが、同じ訳者の同じ本だと思っていた。ところがこちらの『イシ』は訳者が違い、しかも内容が物語風になっていた。 こちらも原作者は同じで、作者はノンフィクションの『イシ』の後、児童向けにこの本を書いたそうだ。子どもに分かりやすくするために小説風にしたらしい。『イシ』を再読するつもりだったので、先にこちらを読んでおくことにした。
イシがヤヒ族の最後の生き残りの家族とともに暮らした日々が、四季にわたって細かく描かれている。この穏やかな人々の暮らしを踏みにじったのは白人たち。わたしが幼い頃は、西部劇でインディアンはいつも悪者だった。だが本当は彼らこそ被害者だったのだ。忘れてはならない。




2007/3/20
『ドゥームズデイ・ブック』上下
コニー・ウィリス(大森望訳) 早川文庫 2003年
おもしろかった。現代とタイムトラベルした時代で同じようにパニックがおこり、最初は一体どうなるのかハラハラを通り越してイライラしてしまった。 しかし後半からの盛り上がりがすごくて、もう一気にラストまで読んでしまった。前半のイライラがやや長くて辛かったが、それも伏線だから仕方ない。泣ける。




2007/3/21
『プークが丘の妖精パック』
ラドヤード・キプリング(金原瑞人・三辺律子訳) 光文社古典新訳文庫 2007年
本邦初訳の文字と訳者に惹かれて購入。妖精パックが案内するイギリスの歴史。 わたしの大好きなサトクリフも影響を受けたというのがよく分かる。




2007/3/22
『タイムカプセル』
折原一 理論社 2007年
ミステリーYA!の第1弾。折原一らしい。ただ児童書としてはちょっと中途半端かな。




2007/3/23
『王国は星空の下』
篠田真由美 理論社 2007年
これもミステリーYA!ライトノベル風。今回の3作品の中で一番YAっぽい。長さもちょうどいい。




2007/3/24
『雨の恐竜』
山田正紀 理論社 2007年
これもミステリーYA!これはちょっと苦しい。長すぎるし何だか作者が勘違いしているような気がする。
この企画執筆陣もすごいし装丁もきれいで、出版社が力を入れているのがわかる。でも好みもあるだろうが、今のところわたしにはあまり合わないようだ。どうもしっくりこなかった。 講談社の「ミステリーランド」はどれもほどよい長さで、読んでいて楽しかった。こちらは児童書より少し年齢層を上に設定してあるが、この年代をターゲットにするのはとても難しいと思う。 うっかりすると中途半端になってしまいそう。期待していた企画なので、頑張ってほしい。




2007/3/25
『時間のない国で』上下
ケイト・トンプソン(渡部庸子訳) 東京創元社 2006年
時間どろぼうの『モモ』にちょっと似ているが、時間のない国ティル・ナ・ノグという名が『精霊の守り人』のナユグに似ていると感じた。アイルランドの伝承や歌が楽しい。




2007/3/26
『ゆれる』
西川美和 ポプラ社 2006年
映画の監督による書き下ろし。あの事件の顛末が猛、稔、智恵子、勇、修、洋平、それぞれの視点から描かれる。物語としてはそれほど面白くないが、映画の補完として面白い。 特に智恵子の章では、彼女の思いがけない面が見られる。彼女はなかなか強かだったのだ。最後の章は洋平の語りだったが、この洋平は映画でもとてもいい味だしていて好きだった。




2007/3/26
『ハートランド物語4 強い絆』
ローレン・ブルック(勝浦寿美訳) あすなろ書房 2007年
ハートランドに新しくやってきた厩務員のベン。彼のせいで牧場の雰囲気が一時険悪になるが、ベンもまた心に傷を負っていたことがわかる。 彼が本当にハートランドの一員になってくれたら嬉しい。しかし次々とエイミーとハートランドに試練が訪れてはらはらする。




2007/3/26
『ハートランド物語5 吹雪のあとで』
ローレン・ブルック(勝浦寿美訳) あすなろ書房 2007年
いろんなことがいっぺんに起きてエイミーは相変わらず大変そう。はやくタイと恋人同士にさせてあげたい。父親のことはまだ謎が多い。




2007/3/27
『太陽の塔』
森見登美彦 新潮文庫 2006年
ファンタジーノベル大賞受賞作ということで、どんなファンタジーかと思っていたら…。はあ、これがファンタジーねえ。 男の子ってほんとうにアホやなあと呆れるばかりなのだが、たしかにこのアホさかげんがたまらなくファンタジーなのだろう。 最初から妄想暴走しっぱなしで爆笑したが、ずっとその調子で飛ばされるとわたしには少々きつい。おばさん疲れちゃったよ。




2007/3/27
『Sweet Blue Age』
角田光代他 角川書店 2006年
7人の作家による青春の日々を描いたアンソロジー。角田光代、有川浩、森見登美彦以外は初読。
「あの八月の、」角田光代
「クジラの彼」有川浩
「涙の匂い」日向蓬
「ニート・ニート・ニート」三羽省吾
「ホテルジューシー」坂本司
「辻斬りのように」桜庭一樹
「夜は短し歩けよ乙女」森見登美彦

角田光代はさすがに手堅く面白かった。有川浩も面白い。「涙の匂い」は方言と一昔前の田舎の中学生が純朴でいい。「辻斬りのように」はタイトルと文章が新鮮でおもしろかった。これが『少女七竈と七人の可愛そうな大人』の発端らしい。




2007/3/28
『ボートの三人男』(少年少女世界の名作文学第4巻所収)
ジェローム(森いたる訳・文) 小学館 1975年
本当は丸谷才一訳の中公文庫を読もうとしたのだが図書館になかったので、こちらの児童向け全集版をまず読んでみた。これがものすごくおもしろかった。なんとも言えずナンセンスでたまらない。 残念なことに児童向けのせいか全訳ではないようだ。それでもこれだけおもしろいのだから、これはぜひ中公文庫版を読まなくては。




2007/3/29
『犬は勘定に入れません』
コニー・ウィリス(大森望訳) 早川書房 2004年
このタイトルは『ボートの三人男』の副題だということで、作中何度もその作品に触れている。そればかりか、ボートに乗った三人の男に出会ったりもする。なかなか楽しい趣向だった。
『ドゥームズデイ・ブック』の姉妹編ということで、タイムトラベルする話だけど、前作と比べると頻繁に過去に行く。こんなにホイホイ出かけていいのかいなと心配になる。作中でもそれはタイムラグ(時間旅行ボケ)という病気になって現れてくる。 主人公がその病状のまま見たり聞いたりしたことが書かれているので、最初はややこしくて仕方がなかった。だがこれも伏線のうち。最後はきちんと収束される。とてもおもしろかった。




映画 2007/3/30
「ジョゼと虎と魚たち」
犬童一心監督(DVD) 2003年
出会いと別れ。甘く切ない恋の思い出。こうなるしかなかったのか。どうしようもなかったんだろうが、胸が締め付けられた。 別れた後のふたりの姿が描かれているのがよかった。恒夫は突然泣き崩れ、ジョゼは街中を電動車椅子で走る。ジョゼを演じた池脇千鶴がすごく上手かった。




映画 2007/3/31
「メゾン・ド・ヒミコ」
犬童一心監督(DVD) 2005年
現実にゲイの人の老後はどうなのだろうと、気になってしまった。この映画では問題は何も解決していないけれど、ラストは明るい。でも暗いより明るいほうがいい。これはファンタジーなのだから。 ヒミコ役の田中泯の姿に見とれた。美人!すっと伸びた背筋にすべるような歩み。登場時から目が釘付け。そしてオダギリジョーが、こんなに綺麗だったなんて初めて知った。




戻る