| 2007/4/3 |
| 『風が強く吹いている 』 三浦しをん 新潮社 2006年 |
| 箱根駅伝は毎年テレビにかじりついて観ている。その大好きな駅伝のことが、今まで知らなかったこと(インカレポイントとかエントリー変更の仕組みとか)や裏話がわかっておもしろい。駅伝当日の各区間の部分は、まるで実際にテレビ中継をみているようで興奮した。 ただ主役二人の結びつきを「奇跡」と表現するような、作者の筆がやたらと盛り上がってきたところはひいてしまった。そういうことは言葉で説明しなくていいのに。しかも他の登場人物に言わせてるのも気恥ずかしい。とにかく二人の絆をやたらと強調する必要はないと思う。それよりも、10人それぞれの群像劇に仕上げたほうがよかったのに。 でもこれも好みの問題だし、なんだかんだ言っても題材がいいのでおもしろかった。 |
| 2007/4/4 |
| 『丘の家のセーラ ヒルクレストの娘たち1』 R.E.ハリス(脇明子訳) 岩波書店 1990年 |
| 20世紀初頭のイギリスサマーセット地方。両親を亡くした4人姉妹が、第一次大戦前夜から戦中にかけてどのように生き成長していったか。各巻につきそれぞれ姉妹のうちのひとりの視点から描かれている。 この巻では4人姉妹の末っ子セーラの視点から、1910年から10年間の話が描かれる。幼いゆえに見えないこと、また逆に見えること、そして幼いため自分の考えを正確に言葉にできないもどかしさ、かなしさがとてもよくわかる。一人の少女の成長が丁寧に描かれ、同時に第一次世界大戦が人々にどのように影響を及ぼしたのかがよくわかる。 |
| 2007/4/5 |
| 『フランセスの青春 ヒルクレストの娘たち2』 R.E.ハリス(脇明子訳) 岩波書店 1991年 |
| 4人姉妹の長女フランセスの視点で描かれる10年間。前作と時間的に重なっているので、前巻での出来事が立場を変えるとまるで違った面をみせていて、非常におもしろかった。 長女であることに加え、画家として自立をめざすフランセスの生き方は、少しかたくなすぎるように見える。しかし女性の自立が難しかった時代に、周囲とぶつかりながらも自分を貫きとおした彼女の生き方には感心する。 そして意外なラスト。やりたいことをやり通した彼女は、結局すべて手に入れる。頑張り勝ちというところか。ガブリエルとのやり取りはほとんどコメディで、読んでいて楽しかった。 |
| 2007/4/6 |
| 『海を渡るジュリア ヒルクレストの娘たち3』 R.E.ハリス(脇明子訳) 岩波書店 1992年 |
| 看護婦としてフランスへ渡った次女ジュリアの視点なので、もっとも多く戦争について描かれたもっとも悲痛な巻。特に牧師館の次男ジョフリーの姿はあまりにも痛ましく、彼を思うジュリアの姿にも胸が痛む。 |
| 2007/4/7 |
| 『グウェンの旅立ち ヒルクレストの娘たち4』 R.E.ハリス(脇明子訳) 岩波書店 1995年 |
| 三女グウェンの話。2,3とそれぞれ前巻より少しずつ描かれる時間が進んでいるが、この巻でも前3作までと時間的に重なるのは4章のうち1章だけ。その1章で彼女の激しい思いと深い嘆き描かれ、そこから先は一気に20年時が過ぎてしまい、他の姉妹達の消息が彼女の日常の中の交流でわかる程度になる。 このグウェンにだけ若い時の記述が少ないのは、ちょっと不公平な感じでバランスが悪い。ただ巻が進んでくると、どうしても同じ出来事をなぞるだけでは行き詰ってくるのだろう。この巻ではナチスの台頭、ユダヤ人の迫害がはじまっており、いやおうなくまた戦争に人々がまきこまれていく過程が描かれている。あらたな波乱の幕開けを感じさせる。 |
| 2007/4/8 |
| 『うしろの正面』 小森香折(佐竹美保絵) 岩崎書店 2006年 |
| 少し伝奇ホラーっぽい話。 |
| 2007/4/9 |
| 『精霊の守り人』 上橋菜穂子 新潮文庫 2007年 |
| 文庫版。もうすでに単行本持っているのだが、著者のあとがき、恩田陸、神宮輝夫の解説につられて購入。再読だがやはり抜群におもしろかった。 |
| 2007/4/10 |
| 『ロリヰタ』 嶽本野ばら 新潮文庫 2007年 |
| おもしろかった。こんなに論理的な文章を書く人とは思わなかった。すごく読みやすく納得させられた。 |
| 2007/4/15 |
| 『田辺聖子珠玉短編集1』 田辺聖子 角川書店 1993年 |
| 「ジョゼと虎と魚たち」が読みたくて借りてきた。映画では二人の別れまでを描いていたが、原作ではそこまではない。切なさは映画のほうがあるが、この淡々としている描き方もいい。ふてぶてしさと繊細さが同居しているジョゼの姿が印象的。 |
| 2007/4/16 |
| 『所轄刑事 麻生龍太郎』 柴田よしき 新潮社 2007年 |
| 新人の頃の麻生龍太郎の活躍。普通の刑事ものとして面白かった。 |
| 2007/4/19 |
| 『少女七竈と七人の可愛そうな大人』 桜庭一樹 角川書店 2006年 |
| 切ない。特に冒頭の「辻斬りのように」の切なさはどうだろう。短編集で読んでいたときとこんなに印象が違うなんて。字体の違い段組字間行間が違うだけで、これほど違うものか。本編よりもこの「辻斬りのように」にやられてしまった。 これを導入部として本編を読むと、「え、こんな話だったの?」という気がする。裏切られたというか、「ニュー・シネマ・パラダイス」の完全版を観たときのような、「悪童日記」の2部3部を読んだ時のような、そんな感覚に似ている。でもやはりこれは本編とあわせてひとつの話なのだろう。わたしの読み方感じ方が特殊なのだろう。 でもわたしはこの中の「辻斬りのように」を単独で読んでいたいのだ。 |
| 2007/4/25 |
| 『ボートの三人男』 ジェローム・K・ジェローム(丸谷才一訳) 中央公論社(中公文庫) 1976年 |
| 以前読んだ児童書が面白かったので、あらためてこちらを読む。最初は児童書版のほうが読みやすいように感じたが、慣れてくるとこちらもやはりおもしろかった。以前は気づかなかったが、この作品はさりげなく歴史のおさらいにもなっているようだ。 まったくアホかいなと思うんだけど、それが何ともいえずおもしろい。 |
| 2007/4/27 |
| 『玻璃の天』 北村薫 文藝春秋 2007年 |
| 待望のベッキーさんシリーズ第2弾。この時代とこの主人公とこの文体がよく合っていると思う。ベッキーさんの素性が思いがけない形で分かるが、そういう時代とはいえなんともやりきれない。 英子の恋のお相手か?というとても感じのいい青年が登場するのだが、陸軍少尉で正義感あふれる人ということで、作者が予定している物語のラスト「2.26事件」を連想してしまった。これもまたやりきれない予感。 |
| 2007/4/28 |
| 『喪の女王6』 須賀しのぶ 集英社コバルト文庫 2007年 |
| 予想外の展開。ドーンがザカリアの言葉に耳を貸すとは思えないけど、ラストに使者が来たということはやはりそういうことか。カリエがザカリアについて勉強を始めたのは、読者にとっても助かる。 「女神の花嫁」についてのエドの見解はたしかに斬新。 |
| 2007/4/29 |
| 『夜は短し歩けよ乙女』 森見登美彦 角川書店 2006年 |
| 実はアンソロジー『Sweet Blue Age』に収録されていた同名の短編(この本の第1章にあたる)を読んだ時には、さほどおもしろいとは思わなかった。 『太陽の塔』のほうがおもしろいと思ったほどで、でもあれもちょっと疲れるし、結局この作家とは合わないのかなあと思っていた。 それが第2章から俄然面白くなり、第3章でもう絶頂。いや〜面白いのなんのって。いっぺんにファンになってしまった。 第2章は古本市、第3章は学園祭というツボだったこともあるが、とにかくアホらしくておもしろい。それがドタバタではなくなんとなくゆる〜くおもしろいのは、やはり舞台が京都だからか。 天狗とか李白翁の電車とかありえないことがおきるのも、京都ならあり得るなあと納得してしまう。 |
| 2007/4/30 |
| 『黒いトランク』 鮎川哲也 創元推理文庫 2002年 |
| なるほどおもしろかった。時代は古いけれど、わたしぐらいの年齢だとかえって懐かしさもあってよかった。巻末の戸川安宣、北村薫、有栖川有栖による解説鼎談もおもしろい。有栖がこの作品が大好きだということがよくわかる。 |