| ファントム ラブコール 〜「オペラ座の怪人」を語りつくせ 1〜 はじめに 表題の<ラブコール>はあくまでもCDのオリジナル・ロンドン・キャスト盤の中のファントムに対してであって、決して今評判の映画「オペラ座の怪人」のファントムに対してではない。ここはぜひとも強調しておきたい。 わたしが「オペラ座の怪人」の名前を知ったのはいつのころかはっきりしない。ただそういう物語があるということをいつのまにか知っていて、ずっと記憶の片隅に残っていた。それがミュージカルになり、日本では劇団四季により上演され、テレビのニュース番組でクリスティーヌ役の野村玲子さんがインタビューを受けていたのを見たのが、この物語をはっきり意識した最初だったと思う。そのとき舞台の一場面が少し映ったのだが、その場面はファントム(当時は市村正親)とクリスティーヌのデュエット「Phantom of the Opera」の最後の部分、ファントムの「歌え!私のために!」という声とともにクリスティーヌの声が最高潮に達する場面だった。この場面がとても印象に残り、できればいつか観てみたいと思っていた。 しかし子育てに追われるなか、ミュージカルはおろか映画にさえ行けないでいるうちに、いつしか年月が過ぎていった。もっぱら読書に楽しみを見出していた生活が続いていたが、最近ようやく映画館に行く機会も増えてきて、ビデオ・DVD鑑賞などにより映画の楽しみも復活してきた。そんななか映画「オペラ座の怪人」の噂が聞こえてきた。あの素晴らしく印象的な「Overture」の音楽も頻繁に耳にするようになった。このメロディ自体は聞いたことがあったのだが、それが「オペラ座の怪人」のものだとはこのときまで知らなかった。いやがおうでも期待が高まって、「おお、これはぜひ観なければ」と公開前から自分のなかではたいそう盛り上がっていた。 しかしこれほど熱狂するようになったのは映画ではなく、そのあとに聴いたCDのせいだった。 そしてさらに最後に原作にいきついた。映画の直後に読んだのは早川文庫版だったが、そのあとすぐCD漬けの毎日がはじまったため、原作にまで頭がまわらなくなっていた。1ヶ月以上たってからようやく角川文庫版を読み、最後に創元推理文庫版を読み、3冊読んではじめて原作の素晴らしさに気がついた。CDのファントムとはまた違った怪人の姿がそこにあった。映画も舞台も、すべてのはじまりはやはり原作にあったのだ。 今ではCDのファントムに骨抜きになりながら、原作のエリック(怪人)に涙する毎日である。気持ちの整理をつけるため、映画、CD、原作、それぞれの感想を順に書いていこうと思う。これはわたしのファントムへのいわばラブレターだ。 |