吉田達也インタビュー 

吉田達也インタビュー 2001.2.13. 
取材・藤井よしえ

●よろしくお願いします。まず、新譜の紹介からきいてもいいですか?赤天の『シャ トー ドゥ 赤天』・・・
吉田/これねぇ、ジャケットがワインボトルなんだよ。
●ほんとだ。赤天ってもう長いんですか?
吉田/赤天はねぇ・・5年くらいかな。95年からか。
●あのー、赤天ってアレに入ってました。えっと・・ビニールに入ったCDの・・・
吉田/あぁ、ジャパニーズニューミュージックフェスティバル?コンピの?
●バンドって今、いくつやってるんですか?
吉田/うーん、今はねぇ、RUINS、赤天、高円寺百景、是巨人、
●是巨人ってきいたことないです。 吉田/これはね、ギター、ドラム、ベースでインストゥルメンタル。
●肉体派プログレバンドって書いてありますね。(高円寺百景の3rd.アルバムの帯に) 吉田/(笑)。数的にはもっとあるんだけど、ほとんどライブとかやってないのもあ るし、『高円寺百景』の新譜は出たけどが、ライブの見通しはないっていう。
●来月のツアーはRUINSでですよね?
吉田/アメリカ。うん。
●3月、4月? 吉田/3月半ばから、3週間。
●何ケ所まわるんですか?
吉田/10・・・20までいかないですね。約20ケ所。 ●どういうところをまわられてるんですか?
吉田/いつもはだいたい、大都市を飛行機でまわるって感じなんですけど、今回は東 の方は車でまわりますね。
●むこうの対バンとかは?
吉田/ロン・アンダーソンっていう人がいるんですけど、モレキューズっていうバン ドの・・モレキューズ知ってる?
●はい。吉田さんが一緒に音源出してたので、どんなバンドか知りたかったのでこの 間モレキューズの音源も買ってみました。かっこよかったです。
吉田/そのモリキューズのロン・アンダーソンの新しいバンド「PAK」っていうんだ けど、東の方はPAKと一緒に一緒にまわる。それで、シカゴまで行って、それから飛 行機でシアトル。それから、サンフランシスコまで飛行機で行って、ここからはまた 元モレキューズのドラマーの新しいバンドで、イタリア人ヴォーカルで、歌が全部 イタリア語のバンドを始めたって(笑)。それが、一緒にサンフランシスコから、 L.Aの方まで。車でまわります。
●対バンとかは吉田さんが決めてるんですか?
吉田/大体むこうにまかしてますね。
●海外ツアーって今まで、どれくらいされましたか?
吉田/90年くらいからやってんのね。90年からやって、まぁ、年平均、1.5回として も15回はやってるんじゃないかな。
●アメリカ以外もいかれてるんですか?
吉田/まぁ、アメリカ・ヨーロッパがメインになるけど、今までに行ったことがある のは、あとトルコ、中国。アジアもね、できればもっとまわりたいと思ってるんだけ ど、なかなかこういう音楽をうけいれる土壌ってのが、なくて・・
●この間インドにいかれてたのは・・?
吉田/インドは観光。写真を撮りに。
●写真は趣味ですか?
吉田/うん、趣味。まぁ、趣味と実益も兼ねて。自分のジャケットに使ったりしてる。 そういう写真を撮るのも、元々RUINSを始めてから遺跡に興味をもったり、まぁ自分 で写真を撮るようになった。
●高円寺って場所に思い入れってあるんですか?
吉田/そうですね、思い入れ・・なんでかってきかれるとわかんない・・やっぱりね、 住みやすいっていうか、音楽活動しやすい場所ではあると思う。やっぱり20年住んで るんで、愛着もわくというか。
●アメリカとかヨーロッパとかの海外での反応ってどうですか?
吉田/海外の方がストレートだね。コンサートがやっぱり、日本に比べて盛り上がり 方がすごい。ヨーロッパとアメリカではまた少し違うけど、むしろハコの違い、やっ ぱりハードコアのハコとか、ジャズのハコとかありますよね。ハコの違いで集まる客 層 が違うのでそれによる違いも結構ありますね。
●毎年海外でやる意味ってあるんですか?
吉田/出稼ぎ(笑)。だから、日本でこういう音楽だけやってても食えない。欧米の ライブツアーでRUINSだと二人なんで比較的金にはなるんですよね。あとあんまり行 か ないと忘れられちゃうっていうのもある。
●でも、最初って10年前とかって、最初ってそんなにお金ってもらえなかったんです よね。
吉田/はじめから割とめぐまれてましたねえ。最初はジョン・ゾーンのブッキングで 1つでかいライブがあったんで。他のライブにしても、なんていうかな、こんな音楽 でも、海外から来た人達にちゃんとギャランティを、支払う土壌がある。アメリカな んかは、チャージバックが多いけど。ヨーロッパでは通常のそういう、クラブでやる ライブ以外でも、割とアバンギャルド系のフェスティバルも、ヨーロッパではいっぱ いある。で、市とか国がそういうのに対してちゃんと援助するシステムがある。 ●じゃぁ、むこうの方が、 吉田/そう、だから文化的に豊かですねえ。
●じゃあ、やっぱり日本は厳しいのかナ・・・
吉田/うん、こういう音楽でやっていくには日本は厳しい。
●そっか・・・。勉強になりました。
吉田/(笑)。バンドやってるの?
●はい!!
吉田/これ(2/11 東京初のPULSE.T #001のフライヤーを見て)に出たの?
●はい。
吉田/どれどれ?ガロリンズ?これはなにバンドなの?
●コスプレ・パンク・ガールズバンド・・です。
吉田/(笑)。コスプレ。自分企画で、毎月これからやってくの?
●はい。毎回、福岡・九州のバンドをよんで、東京でやっていきます。
吉田/なる程。
●磨崖仏っていうのは、レーベルになるんですよね。
吉田/そうですね。
●吉田さんのレ−ベルですよね?
吉田/うん、自分のレーベルっていうか、自分の音源を出す、リリースする目的で。
●吉田さんが作ったんですか?
吉田/作ったっていうかなんとなくはじまった(笑)。
●じゃあ、他のバンドは全然さわらないんですか?
吉田/まあ、コンピレーションの場合はあるけど、磨崖仏サンプラーっていう最初の コンピレーションが、ドラム&ベースデュオだけ集めたのがあって。それ以外は全部 オレのソロプロジェクトとか、オレが中心になってやってるバンドのみ。
●(コンピレーションって)怖とか入ってるやつ..
吉田/ああ、そうそう。 ●この間、11月にペンギンハウス(高円寺)で怖とか出演したライブ吉田さん来られ てたんでしょ?
吉田/あぁーあん時。あん時、いたの?
●うん、いました。その時、対っていう福岡のバンドが出演してたんで、その時東京 いたんでいきました。JONさんの別バンドとかも出てたし。あとで、吉田さんが来て たってあとから、きいて悔しいって思って。
吉田/(笑)。あと海外でリリースされたものを、国内でディストリビューションす る 目的もある。磨崖仏で。
●音源って欲しい人は買えますか?
吉田/磨崖仏の通販で。
●今年の予定とかありますか?
吉田/アメリカツアーがあって、秋にヨーロッパツアー。
●国内は?
吉田/国内はねぁ、ボチボチ・・あとね、曲作りを
●九州は・・・
吉田/今のとこないですね。よんでくださいよ。(笑)
●はい!!!必ず!!ピアノソロとかされてるんですよね。
吉田/ライブは1回しかしてないです。
●ピアノは好きですか?
吉田/うん、ドビッシーとか好き。作曲家。クラシックは?
●全く、わからないです。すいません。クラシック好きですか?
吉田/うん、クラシックと、現代音楽の中間というか20世紀初頭くらいの。ドビュッ シーとかメシアンとかウェーベルンとかあの辺が一番好きですね。
●吉田さんのルーツってクラシックなんですか?
吉田/ルーツっていわれたらやっぱりプログレですね。
●どんなのが、好きですか?
吉田/プログレは、だいたい何でも好きです。
●なんか、オススメしてください。
吉田/うーん、けっこうあのー、プログレでもロマンチックなのも聴きますよ。キャ メ ルとかジェネシスとか。でも1番好きなのはマグマ。フランスのバンド。きいたこと ない?
●ないです。普通に大きいレコ屋で買えます?
吉田/うーん、ディスクユニオンはいっぱいあるよ(笑)。
●福岡ディスクユニオンないですー(笑)。
吉田/タワーレコードとか?一応キングから日本盤は出てるから。
●タワーと、HMVとヴァージンかな。
吉田/プログレのお店とかないの?
●多分、ない・・コーナーはあるけど、専門ってのはないんじゃないかな。吉田さん は、RUINS以外もいっぱいバンドしてるでしょ?それはやりたい亊がいっぱいあるか らですか?
吉田/うん、それは1つのバンドでは表現しきれない・・ってのが。
●RUINSに、テーマとかコンセプトとかって?
吉田/あのー、基本的にコンセプトとかテーマとか得に無いんだけど。まぁバンド毎 に別れてるけど、基本的な曲作りってのはみんな同じで、あとはその一緒にやる人達 の個性を生かしたアレンジ。RUINSに関してはドラムとベースだけで曲としていかに 成立させるかっていうのが重要なところですね。
●『赤天』は?
吉田/いい加減、テキトー(笑)。『ズビズバ』はね、元々はRUINSでやってきた、 リズミックなアプローチを声だけで、表現したらどうだろうって。『大陸男山陸女』 はけっこう王道プログレのパロディ的展開。『高円寺百景』はヘビーなプログレアン サンブルに、混声合唱を融合させる。言葉の表現が苦手なんでこんなもんで・・(笑)。
●でも、これで、充分興味ひかれます。
吉田/ひかれますか?(笑)
●なんか、今からやっていきたいこととかってありますか?
吉田/やっていきたいことっていうかね、和声をちょっと勉強したい。ってのは、今 までやってきたことっていうのは、リズムのバリエーションがメインで、コード的な 事はひとに頼る事が多いから。曲作りはキーボードとかベースでやってるけど基礎が ないので、リズムとインスピレーションで作るやり方はある程度自分の中から出尽く したのから、和声に関する知識をつければもっと世界が広がるかなと。
●ありがとうございました。

取材後記/なんと、今回、RUINSの吉田達也氏に、取材することができた。もう、本 気で緊張。毎月東京にいった時に、大好きなアーティストに取材のオファーをしてい ます。自分がフリーぺ−パーをやっていて、バンド・アーティストの紹介の取材では、 東京に限らず、福岡のバンド・他県のバンドで自分の好きなアーティストを紹介でき ることを、誇りに思っているし、そしてそのアーティストから話をきける時間は、本 当にお金じゃ買えない貴重な時間です。RUINSは2年前位に、ツアーで福岡に来られた 時に初めて知って、衝撃を受けて、何枚かの音源を聴き、くりかえし聴き、吉田さん の記事があれば読み、なんというか、雲の上の存在で、今もそーなんですが、その吉 田さんの生の声をきくことができたことに、すごい感謝しています。そして、私自身、 勉強不足の為、記事として拙い点がたくさんあり、うまく読者の人に伝わらないかも だけど、もし、RUINS、又は、吉田達也氏の音楽を聴いたことない人に、読者の人に 少しでも興味をもってもらえたらって、思ってます。機会があったら、絶対1度は聴 いてほしいです。1人でも多くの人が、この記事をきっかけに、知ってくれれば、最 高です。そして何か感じてもらえたら、もっともっと、嬉しいです。最高にハッピー です。私は、一生、吉田さんがやっていく音楽をきいていきたいと思っているし、きっ と、ずっと、ずっと刺激を与えてくれる存在・音楽です。今回の取材を出来たことを、 本当に幸せに思ってます。読者の人に伝わりますように。(藤井よしえ)

吉田達也
-RUINS・赤天・高円寺百景・是巨人・他-
-010
※吉田 達也  プロフィール
日本のオルタナティブ音楽シーンで最も先鋭的なドラマー/作曲家/インプロヴァイ ザー。80年代初頭から都内のライブハウスを拠点に演奏活動を開始。パワフルでポ リ リズミックでスピード感溢れる演奏スタイルで、パイディア、あぶらだこ、YBO2、 ZENI- GEVA、ジョン・ゾーン・のトーチャー・ガーデン等々、数多のグループに参加して活 躍。 85年には自身とベーシストの2人だけによるバンド『RUINS』を結成。そのソリッドな リズム・セクションによるエネルギーの爆発に高音から低音までをカバーする吉田の オペラチックなヴォ−カルを乗せた革新的なな音楽性とサウンドは、国内はもとより 海外 でも高く評価されている。ルインズ以外にも高円寺百景、大陸男対山脈女、是巨人、 ズビ ズバ、赤天等つぎつぎとバンドを立ち上げセッション参加もふくめて国内外の様々な レー ベルから50を超える作品を発表している。

※RUINS プロフィール 90年代初頭にBOREDOMSと同時に米の前衛レーベルSimmyから海外デビューを果 たし、 日本のインディペンデント.シーンから誰よりも早く世界進出を果 たした、我が国が 誇る脅威の怪物怪物プログレッシブ・ハードコア・アヴァン・ロック・バンドRUINS。 その後も米TZADIK、SKINGRAFT、仏SONOREといった海外の強力前衛レーベルから 次々と新作を発表し続けるRUINSは少年ナイフやZENI-GEVA等と同様に日本より海外 での方が評価や知名度が高く、実際この数年のRUINSは海外ツアー中心の活動を続け てきたためか、日本国内では未だに知る人ぞ知るバンドの印象が強い。85年活動開始 のRUINSは、元あぶらだこ、YBO2等に在籍の国内屈指の超絶技巧変拍子ドラマー吉田 達也のユニットであるが、その常識を超える超高速の音数&音圧を産み出すメンバー 編成はドラマーとベースのたった二人のみ。これ以下はあり得ないという最小限のユ ニット。現在のベース佐々木恒は4代目だが、1人でベ−スとギター2人分の演奏をこ なしてしまう驚くべきミュージシャンだ。ところで、バンド名のRUINSとは廃墟とい う意味を持つこの訳だが、彼等はその名に相応しく常に石仏、磨崖仏、遺跡、岩 等 の石を主題にした写真をアルバム・カヴァーに使用してきた。実はこの石こそが RUINSの秘密を解く鍵である。太古から人類は世界各地で巨石や巨岩を信仰の対象と して恐れ敬っていた訳だが、それは大自然の持つ無尽蔵の巨大エネルギーが、巨石や 巨岩に宿っているのを、太古の人々は知っていたからだ。静止している様に見える巨 岩も、ひとたび自然が荒れ狂いそのエネルギーが開放されれば、山崩れや土石流れと なって、破滅的な破壊をもたらす。RUINSの産み出す、超高速密度の音塊の正体とは、 実はこの自然状態の巨岩、岩塊に秘められたナチュラル・エネルギーを音楽によって 表現する行為であるといえる。RUINSの楽曲の徹底的に非対称で起伏&凹凸 の変化の 激しい曲構成、不揃いで荒々しく性急な演奏、大音量、これから導かれるRUINSの巨 大な音塊は、まさに音による、ヴァーチャルな巨石エネルギーの創造に他ならない。 そして自然状態に一つとして同じ岩石が無いのと同様、RUINSの音塊も1曲1曲表情が 全て異なる。RUINSはアルバムを発表する毎にその表現を進化させ、常に最新作が最 高傑作であり、確実により高密度で、混沌としたナチュラル・エネルギーそのものと なっている。(RUINSの最新作『PALLASCHTOM』フライヤーより抜粋)
 


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