学長との往復書簡 第2信 2004年1月6日         第1信 学長の返信 大学問題一覧  HOME        

小川恵一様

新年おめでとうございます。
いくらか、おやすみになれましたか。

新年早々恐縮ですが、昨年のご返信に若干誤解されている点があると思いますので、すこしだけ私の真意を説明させていただきます。

>さて大学改革の件ですが、市の横暴が私を振り回し「新たな大学像」を纏めさせたのだ。大学の自治、学問の自由を踏みにじった。学長はその責任を取って辞任すべきだ、というご主張のように思います。<

私は<責任を取って辞任すべきだ>といっているのではありません。
いまの市のやりかたはあまりにひどい。
歴史に残る暴挙である。
それは、多分、あなたの意図を超えたもので、あなたの信頼をふみにじり、あなたを侮辱するものではないか、これに対して抗議して辞任することが、このような市の乱暴なやりかたを阻止する道ではないかという意味で申し上げたのでした。

>私が格闘しているのは、一方で学問の自由、大学の自治を維持し、他方で大学と社会との接点(研究の水準を維持するための財政的負担を市民に強いる事と学問的成果の市民への還元という両面)を好ましい関係に保つ事を両立させることです。これは日本の大学がこれほどまでに明瞭な形で当面してこなかった種類の問題です。見方を変えれば、これは一級国になった日本の贅沢な悩みかも知れません。<

私はあなたのお気持ちを理解しないわけではありません。
しかし、市の態度は常識を越えたもので、これを放置していては、理科系の学問にとっても、大変な障害になると思うのです。

文科系の学問より、理科系の学問はいっそう普遍性を求めるので、市の言いなりになっていては、その発展は求められない事になるのではないかと思うのです。

市が理科系の大学を持ちのは、市の人類に対する貢献であり、それは、横浜市ほどの大きな富を世界から集めている都市にとっての義務であると思うのです。
その点を理解しない市の事務局の近視眼的態度は、はっきり、これを是正して置かなければならないのではないでしょうか。

市立大学は大学であって、市は非大学を大学と詐称することは許されない。
そして、市立大学が市民も立派な国際的に価値のある大学を望んでいるのではないでしょうか。
市の役人は昔から教養に乏しく、視野が狭く、近視眼的で、市民としては第三流程度の人物が多い。
市の役人が市民を代表するのではない。
彼らが市大をつぶそうとしても、市民は許さない。
もし、それを強行すれば、市大は市民からもあきれられ、市民との距離がいっそうひどくなるでしょう。

市民と大学の関係を研究し、市民的な大学について考えるのは、それは市立大学の課題だと思いますが、それは行政の要求に従うことではないと思います。
かつて、30年くらい前は、市大と市民の関係はもっと密接だったと思います。
それが、細郷市長になり、高秀市長になりして、市大と市民の関係は政策的に遠ざけられてきたと思います。
もし、市民と大学の関係をもっと密接にし、市民の大学として発展させようとすれば、市の行政の言いなりになるのではなくて、そのような課題を大学の課題として、大学自体に提起すれば、おそらく、いまのプランのような無内容で空疎なものでない計画がつくられると思います。
そこに、市大の最良のエネルギーが結集して、そこから新しい息吹がわき起こると、私は確信しています。
いまのやりかたでは、学内の積極的なエネルギーを押しつぶし、教員や学生を受動的、無気力にして、ひたすら衰滅の方向に進ませることになると思います。

大学を構成するのは、教員と学生です。
彼らの積極的エネルギーを呼び起こすのでなければ、大学の復興は不可能です。
いま、そのエネルギーは、いまの大学潰し計画に反対しているエネルギーではないでしょうか。
私はもともと、大学には懐疑的になっていたのですが、大学潰しに反対する方々と接触しているうちに、いまの若い研究者にこのような、報われることのない努力をつづけている方々があることに驚きました。
雨降って地固まると言います。
ここで、反転して大学内部のエネルギーに信頼して、新しい市民の大学をつくり上げる努力をするならば、市大の前途は明るいと思います。

すでに、時間は限界を超えているとさえ思われるのですが、しかし、ここまで来て、反転すればそれは巨大な力を発揮するとおもうのです。

私が先生に失礼にも辞職をおすすめするのは、それが、このような反転の合図になると信じるからです。

どうも、新年早々、お気持ちに逆らう失礼千万なお手紙を差し上げましたが、なにぶんにも、事態が切迫しているのでお許しください。

伊豆利彦 http://homepage2.nifty.com/tizu/

追伸 私のホームページの掲示板2に、地方にいる卒業生の投稿が掲載されています。参考にしていただければ幸いです。