Xanadu

はじめに
 このページは管理人(tk_nz)が、『ザナドゥ』の音楽を担当された高橋俊弥氏とインターネット上で交流を重ね、さらに直接お会いした上で、色々と教えて頂いた話を元に文章を書いています。
なお、tk_nzの10年来の盟友Sho-DSL氏による高橋氏へのインタビュー記事もありますので合わせてご覧頂けたら幸いです。

ザナドゥの音楽担当に至る経緯と、その開発風景
アレンジ曲について/音楽CD一覧
高橋俊弥 来歴/主な著書と活動
Sho-DSL氏のサイト:Dra-Sle-Labo:Dra-Sle-Labo
竜殺しラジオ毎回ドラゴンスレイヤーシリーズの曲を紹介しながらお送りしているネットラジオの『竜殺しラジオ』。10回目の放送にて、高橋氏が自らリアレンジしたXanaduの曲を聴くことが出来る。

 

ザナドゥの音楽担当に至る経緯と、その開発風景
Dragon Slayer Opening 1984年の日本ファルコムはドラゴンスレイヤー(初代)のヒットで勢いに乗っていた。このころの音源はBEEP音を使った貧弱なもので、ドラスレに使われているメロディーもクラシックの曲が使われており、オリジナルの楽曲ではなかった。PSGやFM音源を使える環境が整ってきつつあった当時、次回作にて本格的に音楽をつける事になったものの、ファルコムには音楽専門のスタッフが在籍していなかった。そこで、XANADU TITLE大学でシーケンサー(ローランド社のMC8)のプログラム技術を独学で研究し、ログイン編集部にてMC8のプログラミング技法の実験をしていた高橋俊弥(当時21歳)のもとにファルコムの音楽制作の話が舞い込み、ファルコムザナドゥ開発チームに加わる事となる。FM音源を使った曲作りの技法はまだ確立されていない中、初めてゲーム音楽の作成に挑戦する高橋氏は、試行錯誤の中で音を鳴らし、楽曲と効果音を作っていくこととなる…。

XANADU King 東京立川市のカトービルに居を構えるファルコムの開発室で、ゲームデザイン&プログラムの木屋善夫氏、グラフィックの山根ともお氏と言ったスタッフたちと共に、高橋氏はスクウェア製サウンドエディタを使い直入力で曲を作って行き、その場で作られた曲を木屋氏の判断のもとで使用シーンを振り分けていくなど、フレキシブルな環境の中で開発が進められていった。
 最初に作られたのはPSG3音のX1で、XANADU FILEDFM音源3音のPC-88の音楽はそれを元に調整を加えながら出来上がっていった。ちなみに、FM音源版では初期プリセット音源スチールドラムを使用している。ザナドゥのメインテーマの曲は、ノルウェーの作曲家・エドヴァルド・グリーグ(1843〜1907)の『ペール・ギュント』収録『アニトラの踊り』の構成を意識しており、プレーヤーの耳にこびりついて鬱になりそうな曲を目指して作られている。また、曲のタイトル「LA VALSE POUR XANADU」は当時フランス語を学んでいた高橋氏本人が命名。なお、FOODがなくなる状況で音が狂うと言うアイディアを思いついたのは木屋氏。また、XANADU King Dragonデカキャラ戦の曲は高橋氏がゲームセンターで遊んでいたナムコの「ドラゴンバスター」が作曲のヒントになっていて、この二つの曲を良く聴き比べてみると特に後半の部分が似通っている事がわかる。なお、エンディングの曲はあえてユーザーに脱力感を感じさせるような作りにしていると言う。

XANADU パッケージ
 高橋氏は総じて『鑑賞用』ではなく、「ユーザーがこの曲を聴いたらどう感じるか」を考えた上で楽曲を作成していて、これらの楽曲は一通りプレイしたユーザーにとっては忘れ難い音楽となっており、ザナドゥの持つ雰囲気をいっそう際立てることに成功していると言える。

高橋俊弥氏作曲の曲が使われているゲーム
XANADU SCENARIO II は追加ディスクのため割愛
EGGのダウンロード版は除外しています
ゲーム名発売日機種発売・販売元
XANADU
ザナドゥ
1985/11/ 3 X1(ディスク版) Falcom
日本ファルコム
1985/11/21 PC-8001
PC-8801
PC-9801
1985?/?/? X1(テープ版)
1986/ 4/11 FM-7/77/AV
1987/ 8? MSX2(Disk版)
The Legend of Xanadu
風の伝説ザナドゥ
1994/ 2/18 PC Engine NEC Home Electronics
NECホームエレクトロニクス
Revival XANADU
リバイバルザナドゥ
1995/ 4/28 PC-9801 Falcom
日本ファルコム
Revival XANADU II REMIX
リバイバルザナドゥIIリミックス
1995/12/ 8 PC-9801 Falcom
日本ファルコム
Falcom Classics (Revival XANADU)
ファルコムクラシックス(ザナドゥ)
1997/11/ 6 SEGA SATURN Victor
日本ビクター
XANADU (Revival XANADU)
ザナドゥ
1998/12/ 4 Windows UNBALACE
アンバランス
XANADU
完全復刻版ザナドゥ
2002/ 8/30 Windows
(EGG PC-8801)
Falcom
日本ファルコム
RINNE
輪廻
2005/ 6/30 Windows SOFTBANK BB/Falcom
ソフトバンクBB/日本ファルコム
XANADU NEXT
ザナドゥネクスト
2005/10/27 Windows Falcom
日本ファルコム
Ys vs. SORA NO KISEKI ALTERNATIVE SAGA
イースvs.空の軌跡 オルタナティブ・サーガ
2010/ 7/29 PSP Falcom
日本ファルコム



 

アレンジ曲について
 高橋俊弥氏が手がけられた曲の原曲(X1・PC88)は残念ながらサントラが出ていませんが、XANADUリメイク版の『Revival XANADU』や、続編『XANADU NEXT』はサントラが発売されています。また、『風の伝説ザナドゥ』にも高橋氏の曲が使われていて、こちらもやはりサントラが発売されています。さらに、ファルコムレーベルにて発売された音楽CDの中には、各アーティストによるXANADUアレンジ曲も存在しています。
 高橋氏は私(tk_nz)と接点を持ち交流を始める(2010年5月)まで、続編ゲームにご自身の曲が使われていることや、アレンジCDが出ている事をご存知ありませんでした。私が高橋氏と直接お会いした時にそれらの曲を聴いて頂きましたので、作曲者本人がどのように感じたのかを以下に書き記しておきたいと思います。

▼ Revival XANADU ▼(1995年発売/サントラはFalcom SPECIAL BOX '96に収録)
Revival XANADU Opening「原曲は、不安感や孤独感をプレイヤーに感じさせたかったから、聴いていて気持ちいい曲ではないんだよね。ちょっと精神に来る感じで(笑)。 そんな、実は綺麗に響かないように作ってある原曲を、鑑賞できる曲にアレンジしてあるのはとても驚いた。」

▼ XANADU NEXT ▼ (2005年発売/サントラはXANADU NEXT Original Sound Trackに収録)
XANADU NEXT Filed「PV(デモムービーのこと)で初めて聴いて、アレンジャーさんの卓抜した腕前に脱帽しまくった。なにこの壮大な幕開け!オレってこんな曲を作ったっけ、と(笑)。オルゴール(アコーディオン)バージョンも、原曲の欠点(ベースラインとか)をきちんと補って、とても味わい深い曲になってるよね。」

▼ 服部隆之氏のアレンジ ▼ (1992年発表 FALCOM NEO CLASSICに収録)
FALCOM NEO CLASSIC「さすがはコンセルヴァトワールで学んだ方だなあ。ドビュッシーやラヴェルの室内楽みたい。他のアレンジャーさんが、旋律を少し変えて苦労しながら和音を整えているところを、原曲そのままでこの響きだもんね、すごい。」


高橋俊弥氏作曲の曲が収録された音楽CD
発売日 作品名
リンク先はFalcom CD などの各CD紹介ページ
曲数など 編曲者
1987 7/ 5 ALL OVER XANADUオール・オーバー・ザナドゥ
ALL OVER XANADU
アレンジ1曲 藤原いくろう
198811/25 ALL OVER XANADUドラゴンスレイヤー伝説
THE LEGEND OF DRAGON SLAYERS
アレンジ1曲 木村直樹
12/ 5 Falcom SPECIAL BOX '89ファルコム・スペシャル・ボックス'89
Falcom SPECIAL BOX '89
アレンジ1曲 DAVID
  MATTHEWS
1991 7/ 5 PREPRIMER IIプレプリマII
PREPRIMER II
アレンジ1曲 藤澤道雄
1992 7/ 4 FALCOM PERFECT SOUND CATALOGUE IIファルコム・パーフェクト・サウンド・カタログII
FALCOM PERFECT SOUND CATALOGUE II
サンプル1曲
11/21 FALCOM NEO CLASSICファルコム・ネオ・クラシック
FALCOM NEO CLASSIC
アレンジ1曲 服部隆之
199312/22 Falcom SPECIAL BOX '94ファルコム・スペシャル・ボックス'94
Falcom SPECIAL BOX '94
アレンジ1曲
(風ザナ)
寺嶋民哉
199512/21 Falcom SPECIAL BOX '96ファルコム・スペシャル・ボックス'96
Falcom SPECIAL BOX '96
サントラ8曲 Falcom
199711/ 6 Falcom Classicsファルコム・クラシックス
Falcom Classics
SSゲームCD
CD-DA2曲
11/21 Falcom Classicsファルコム・クラシックス
Falcom Classics
ベスト盤 1曲 DAVID
  MATTHEWS
199912/ 5 Falcom SPECIAL BOX '89(1)ファルコム・スペシャル・ボックス'89(1)
Falcom SPECIAL BOX '89(1)
アレンジ1曲
(復刻版)
200312/19 ORIGINAL SOUND TRACK The Legend of Xanaduオリジナル・サウンド・トラック・風の伝説ザナドゥ
ORIGINAL SOUND TRACK The Legend of Xanadu
    
サントラ1曲
(風ザナ)
Falcom
200510/27 XANADU MUSIC CHRONICLEザナドゥ・ミュージック・クロニクル
XANADU MUSIC CHRONICLE
ベスト盤4曲 複数名
200610/ XANADU NEXT Original Sound Trackザナドゥ・ネクスト・オリジナル・サウンド・トラック
XANADU NEXT Original Sound Track
サントラ6曲 Falcom
神藤由東大



 

高橋俊弥 来歴
 1963年生まれ。神奈川県横須賀市出身。小中高校時代を横浜市で過ごし、尚美高等音楽学院(現・尚美ミュージックカレッジ専門学校)作曲科在学中に、音楽誌『キープル』自由国民社や、『ログイン』アスキーといった雑誌にて、パソコン音楽系の記事を担当する。その繋がりで、1985年(21歳)日本ファルコムの開発室へと招かれ『ザナドゥ』の音楽を担当する事となる。ザナドゥに続いて『太陽の神殿』のスタート時には少し関わるものの、阿部隆人氏と入れ替わるようにしてファルコムから離れている。
 その後は、音楽誌『TECHII』音楽之友社の創刊メンバーに参加。広告代理店の勤務を経て、フリーのライター・編集者として活動し、いくつかの著書がある。また、テディ高橋名義でB級映画評『観ずに死ねるぜ!』の連載していたことがある。慶應義塾大学文学部へ入学後、オーストラリア国立大学へ留学。現在(2010年6月時点)は人類学の研究に勤しんでいる。長年マッキントッシュ愛用者。ちなみに、J.D.K.BANDに参加した事のある高梨康治氏や、日本テレネットキャメロットで音楽を担当していた宇野正明氏は音楽学院時代の同期にあたる。

高橋俊弥氏の主な著書・活動
活動年 著書タイトル 出版社など 備考
1993 特選小説 辰巳出版 SFやホラーなど数作を発表
1994〜1997 文章工房フォーラム(FBKOBO) NIFTY-Serve スタッフとして参加 小説作法講座
1995/ 7/ 5 GO EQUAKE
パソコン・ネットが伝えた阪神大震災の真実
祥伝社 高野孟編
1995/11 月刊LOGOUT
ザ・キング・オブ・ファイターズ'95
アスキー 小説・作
1998/ 3 MAC OS 8 TIPS大全 ― 禁断の秘技 アスキ−・メディアワ−クス 共著
1999/ 6 Excel98 Macintosh edition TIPS大全
― 禁断の秘技
1999/ 8 Word98 Macintosh edition TIPS大全
― 禁断の秘技
1997〜2004 戦前戦中フォーラム(FSENZEN) NIFTY-Serve スタッフとして参加
1997〜 言語労働家之頁 某携帯電話会社の広報誌 B級映画評「観ずに死ねるぜ!」
2004〜 語り継ぐ 戦争の記憶、昭和の声 ウェブサイト




 
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