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「小澤オペラ、ウィーンの評判は;ジョニーは演奏する」

2)2002-12-18 クーリエ(ウィーンの新聞)
「これはマイスターの仕事である、素晴らしい音楽と歌」

3)2002-12-18 ディ・プレッセ(オーストリアの新聞)
「"ジョニーが演奏する"が相当に演奏される」

朝日に小澤征爾のウィーンでの最初のオペラの記事があり、地元の新聞ディ・プレセとかクーリエを見るとかなり評判がよいようです。
「ジョニーは演奏する」も作者のクシェネクも聞いたことがない人で、調べると、クルト・ワイルのような流行作曲家でもあったようです。
まあ、オーストリア人には好まれないアメリカに亡命した人。その人の71年間も演じられなかった歌劇(ミュージカルと思われる)れを今、デビュー作に選び、地元でそれなりの評価を得ている小澤征爾はたいしたものです。

それと、ホレンダー歌劇場総監督というのがななかなの人物と思われます。

1)2002-12-25 朝日夕刊、
「小澤オペラ、ウィーンの評判は;ジョニーは演奏する」
「ジョニーは演奏する」はジャズや派手なダンスなど初演された20年代の時事性を織り込んである。それを演出家ギュンター・クレーマーが現代の感覚で構成した。
「プレッセ」紙のウィルヘルム・シンコビッチさんは、演奏は評価したが選曲には「同時代のオーストリア音楽ならツエムリンスキーなど素晴らしい曲がある。小澤氏がより力を発揮できる作品にすべきだ」。演出にも「レビューの振り付けがつまらない。人間関係の見せ場で歌手に楽譜を持たせ、立ったまま歌わせることで逃げた」と厳しい。
「クーリエ」紙は「興奮を呼ぶ演奏と歌手のいい演技」、APA通信も「小澤最初の新製作にふさわしい遊び心」と評価。

朝日;星野学・質問、初日の出来は?
小澤;みんな一生懸命やってくれてよかったと思う。曲にはクラシックとジャズの要素に加え、12音音楽への予感もある。それらを溶け合わせるのが難しかった。
質問;選んだ経緯は?
小澤;歌劇場からの提案の中でこの曲が一番奇抜だったんです。こういう時じゃなきゃ出来ないだろうと。

ホレンダー歌劇場総監督の話
小澤氏は作品が持っている以上のものを引き出した。ジャズや複雑なリズムもあって易しくはないが、うまくまとめてくれた。何でも知りたがる人だから、特に演出家との関係は緊密だ。若手歌手を鍛え、オーケストラの新メンバーに声をかけ、自分のふらない演目もきちんと見る。遠慮とか他人の気持ちを大切にするとかいう日本人らしさが、劇場全体にいい影響を及ぼしている。

2)2002-12-18 クーリエ(ウィーンの新聞)
「これはマイスターの仕事である、素晴らしい音楽と歌」
Gert Korentschnig
シュタット・オパー(国立歌劇場)で、71年間も演じられたことのないオペラ"ジョニーは演奏する"を観ることが出来るのは良いことである。新しい音楽監督・小澤征爾の献身的な指揮とベルディの主作品のように演じることで、ウィーン国立歌劇場オーケストラはファンタスチックな仕事をした。このような主役が演じ、歌うの聞くことは享楽である。

3)2002-12-18 ディ・プレッセ(オーストリアの新聞)
「"ジョニーが演奏する"が相当に演奏される」
Wilhelm Sinkovicz
クシェネクの"ジョニーは演奏する,Jonny spielt auf"は1927年にはパブリックにはセンセーショナルでナチ(Nationalsozialisten)の目にはスキャンダルであった。
両者とも国立歌劇場での再演を理解出来ないであろう。ウィーン国立歌劇場で20年代終わりにはナチの目には、エルンスト・クシェネク(Ernst Kreneks)の"ジョニーが演奏する"は「厚かましい、ニグロ・ユダヤの汚れ」と写った。
ナチのデモがあったそのリンクの前の国立歌劇場の前で3/4世紀後の2002年12月16日に、初演(プレミア)がなされた。
何といっても小澤征爾は、フィルハモニカ及びアンサンブルから、種々の配役にそれぞれの表現を与え、人気のあるよい歌手を愛人として最高の状態に保つよう務めていた。

<小学館百科事典>クルシェネク Ernst Krenek (1900―91)
オーストリア生まれのアメリカの作曲家。生地ウィーンとベルリンで作曲を学ぶ。最初期にはロマン主義的影響を示したが、しだいに無調性に転じ、不協和な響きに富む交響曲第二番(作品7、1922)などを書く。1924年パリを訪れ、新古典主義音楽の影響を受け、27年ライプツィヒ初演のジャズ・オペラ『ジョニーは演奏する』が出世作となった。28年ウィーンに戻り、ベルクやウェーベルンらの新ウィーン楽派に共鳴して十二音技法に転じ、のちさらに電子音楽を手がけるなど、第一次世界大戦後の現代的手法を広く示すが、個人的様式の変化にとどまり、他への影響は少ないうらみがある。37年アメリカに移住、各地の大学で教え、45年に市民権を得た。〈細川周平〉

http://www.asahi-net.or.jp/~ib4s-cyuk/sub6-10.htm
 1991年12月23日にカリフォルニアでクシェネクが91歳の生涯を閉じた際、日本の新聞はけっして大きな扱いをしなかった。翌年亡くなったメシアンやケージの場合とは比較にならないその処遇は、この作曲家に師事した日本人がいないということに起因するのみならず、クシェネク自身の創作史およびその評価と密接につながっている。
クシェネクは、ストラヴィンスキーと並び、今世紀のあらゆる作曲手法をその生涯において次々と試み、駆使しながら、多産な活動を行っていた。しかしながら、いまもってクシェネクの代表作はオペラ《ジョニーは演奏する》ということになろう。ジャズの要素を採り入れ、黒人ミュジシャンを主人公にしたこの作品は、1927年にライプツィヒで初演されるやいなや、ヴァイマール期の開放的な文化の土壌にまたたく間に浸透していった。 100以上の都市で上演され、18の言語に翻訳されたというこの曰く付きのオペラは、けれども、クシェネクのたどった長い創作の道程上のひとつの道標にすぎないのである。

《ジョニーは演奏する》あらすじ
第1部
第1場 アルプスの氷河のほとり。山を征服し、氷河から霊感を受けるためにやってきた作曲家マックスは、道に迷ったプリマドンナ、アニータに偶然出会い、ホテルまで送ることになる。アニータはマックスのオペラの主役を歌ったこともあり、彼のことをよく知っていた。出会いを喜ぶアニータと、彼女に恋し、いつしかふたたび彼女を氷河に誘って、その魅力を知ってもらおうと考えるマックス。

第2場 アニータの部屋。ふたりは恋に落ちたが、常に自分を側に置いておきたいマックスの愛情を、アニータはいくぶん重荷に感じている。マックスはアニータに新しいオペラの手稿を贈るが、彼女は閉口している。アニータはマックスの作品を歌うためにパリに行こうとするが、マックスは自作にまで嫉妬を感じる始末である。彼の伴奏でアニータがパリでのオペラのアリアを歌い終わると、マネージャーが迎えにくる。かならず帰ってくると言い残し、舞台で用いるバンジョーを手にアニータは去る。

第3場 パリのホテルの廊下。ジャズ・バンドの演奏がホールから聞こえる。黒人ミュジシャンのジョニーは、ねんごろになったメイドのイヴォンヌに頼んで、ヴァイオリンの名手ダニエロの部屋に入れてもらおうとする。ジョニーはダニエロの所有するヴァイオリンを狙っているのである。そこへファンを引き連れたダニエロが通りかかる。一同が去り、ジョニーがダニエロの部屋のドアを開けようとしていると、アニータが公演から帰ってくる。ドアの鉤にバンジョーのケースをかけたアニータの美しい姿にひかれ、ジョニーが口説き始める。彼女が困っているところにダニエロがふたたび現れ、ジョニーに金を渡して追い払うので、彼女はこのヴァイオリニストに心を傾ける。ふたりがレストランに行っている間にジョニーとイヴォンヌのちょっとしたいさかいがあるが、レストランから帰ってきたアニータとダニエロが、アニータの部屋で恋の遊戯に興じているうちに、ジョニーは合鍵を用いてまんまとダニエロの部屋に忍び込み、ヴァイオリンを奪って、アニータのバンジョーのケースに入れておく。そこなら誰も気づかないと思ったのである。ジョニーはバンジョーを弾きながら退場する。

第4場 次の朝、アニータが出発の準備をしているので、起きてきたダニエロが驚く。恋する作曲家のことをアニータが告白すると、色男ダニエロは一夜の記念にアニータがマックスからもらった指環を所望する。別れに1曲弾こうとして自分の部屋にもどったダニエロは、ヴァイオリンが無くなっていることを知り大騒ぎとなる。ホテルの支配人は、罪のないメイドのイヴォンヌを咎めて解雇するので、アニータは彼女を自分のメイドに雇うことにする。しょげきったダニエロであるが、いましがたアニータから譲り受けた指環をイヴォンヌに渡し、彼女の愛人の作曲家にこっそり渡すようにしむけ、アニータとマックスの間を割こうと画策する。一方、ジョニーは隙を見てヴァイオリンを奪い取るため、ホテルのバンドを辞めてアニータの後を追うことにする。

第2部
第5場 アニータの部屋。マックスはアニータの帰りを待つが、予定の列車で帰ってこないので不安になる。駅に電話して確かめるが無駄に終わる。仕方なくピアノに向かって仕事をしようとするが、氷河のほとりで感じた確固たるものが失われていることに気づく。

第6場 次の朝、マックスが眼を覚ますとアニータが帰ってきている。彼女はピアノの上にバンジョーのケースを置き、パリでの成功によってアメリカに行く契約ができたと告げる。その後、ふたりは自分たちの見解の相違について論じあう。動揺する海を嫌い、安定した氷河の状態を賛美するマックスに対し、確固としたものを他人のなかに求めようとする彼を批判するアニータ。動いているものこそ人生であり幸福であると考える彼女が去ると、イヴォンヌが登場し、わけを知らずにマックスに指環を差し出す。事情を勘繰り、絶望して氷河のもとへ去ってゆくマックス。やがてジョニーが現れ、驚くイヴォンヌを尻目に事実を説明して、ヴァイオリンを持ち去ってゆく。

第7場 第1場と同様の氷河のほとり。氷河にすがるマックスに対し、氷河の声がこだまする。ホテルのテラスが明るくなると、スピーカーからマックスの曲を歌うアニータの声が聞こえてくる。それを聴いてマックスはふたたび彼女への想いに身をやつす。スピーカーからは次に、ラジオ放送によるジョニーのジャズ・バンドの演奏が聞こえてくる。ホテルの客であったダニエロはそれを耳にし、自分の楽器であることを認知する。彼は警察に知らせる。

第8場 たれ幕の前で演じられる都会の風景。警察に終われているジョニーは故郷のアラバマに帰ろうとし、アムステルダム行きの列車の切符を持って急ぐが、途中でそれを落としてしまう。彼を追跡する警官のひとりがそれを拾って、足取りをつかむ。

第9場 駅のプラットホーム。アニータといっしょにアメリカに渡る決心をしたマックスが彼女を待っていると、ジョニーが現れ、携えたヴァイオリンのケースをマックスの荷物の上に載せて隠れる。3人の警官はマックスを犯人として逮捕してしまう。マネージャーを連れて現れたアニータはマックスを捜すが、そこへダニエロがやって来て、マックスが捕らわれた経緯を説明する。アムステルダム行きの列車の到着が迫っている。マックスの無実をはらすために警察に向かおうとするイヴォンヌをダニエロがはばむ。イヴォンヌに突き飛ばされたダニエロが線路に落ちた直後に列車が入線する。あたり一面に響きわたる悲鳴。

第10場 派出所の外でイヴォンヌは、依然としてヴァイオリンを狙っているジョニーを見つける。ジョニーの奮闘でマックスは警官の手から解放される。自分の運命に翻弄されるだけで、積極的に切り開いていく努力を怠ったことが、こうした事件を引き起こした原因だと悟るマックス。

第11場 列車の窓から不安げにマックスを待ち続けるアニータたちが見える。発車時刻の11時58分まぎわにようやくマックスが飛び乗ってくる。列車が去ったあと、ジョニーがヴァイオリンを持って現れ、シグナルの上に乗って演奏し始める。プラットホームを埋めたひとびとは、それに合わせて踊り始める。12時を打った大時計が次第に下降して来ると、ジョニーがその上に飛び乗る。時計は地面まで着くと巨大な地球儀に変わり、ジョニーがその上でヴァイオリンを弾き続けながら、主たる登場人物たちが再登場しての合唱となる。