第27話 風邪を引いたら温泉卵
2006.11.03
風邪を引きかけたら栄養と休養である。
熱が1度上がると蛋白質の消費が2倍になるらしい。
おまけに食欲がなくなるから、食べやすいものがいい。
風邪を引かずとも温泉卵はおいしい。家庭料理としてはなじみが薄い部類だが、それは作るのに若干のコツがいるからだろう。
「温泉卵 作り方」でホームページをGoogle検索してみると約9万件が見つかる。作り方はさまざまで、鍋やらカップヌードルの容器に湯を張って保温する、電子レンジ・コーヒーメーカー・炊飯器を使うなど何通りかがある。
それにしてもこれだけ判を押したように同じようなレシピだけを記述したサイトがあるとは興味深い。世に温泉卵のページが既にあっても付け加えずにはいられないのだろう。それだけ皆さん苦労したという意味で、それはこのページでも例外ではない。
温泉卵に興味を持ったのは、コンビニの山かけソバなどに入っている半熟卵(キューピットのたまご)に味をしめたのがきっかけだ。自分でも作ってみようと思った。
あちこちのホームページには65℃とか68℃の温度を保つとか、黄身と白身の温度差云々とたいてい書かれている。そんな数字は義務教育で習った憶えはないから、みんな他のサイトを参考にしているのだろう。
しかし「温泉卵 作り方 温度計」で検索するとわずか800件くらいしかない。「温泉卵 温度計」だとなぜかさらに少なくなる。
我が家には温度計が5つある。
ガラス棒温度計(アナログ)、体温計(デジタル)、K熱電対温度計(デジタル)、冷蔵庫用温度計(アナログ)、エアコンのリモコン(デジタル)
料理用の温度計を備えているご家庭は少ないようだ。もっともな話で、滅多に出番があるものではない。が、てんぷら油の適温を菜箸で見当がつけられない初心者は、失敗の積み重ねで会得するよりはデジタルの料理用温度計で短期間に成功体験を積むのがよいと思う。
料理用に使えるガラス棒温度計は500円くらいだし、デジタル温度計は3,000円くらいだ。これは先が尖っていて、ローストビーフやケーキに突き刺して内部の温度が測れるようになっている。突き刺すつもりがなければ体温計としても使えるはずだ。
さて、温泉卵の作り方は理屈は分かっても、これが意外に難しい。
ただ、白身も黄身も柔らかい状態(キューピットのたまご) − 温泉卵(黄身が適度に固くて白身がトロリとしている) − 半熟卵のどの状態でもかまわないというなら難しくはない。
試行錯誤すること38回(←嘘)、ついに最適な条件を見出した。
卵を入れた鍋という系を考えてみると、入る熱量と出る熱量の差で温度が決まる。
ここで鍋と水の量を一定にすれば、出る熱量は何度繰り返してもほぼ同じである。入る熱量はIH調理器だとデジタルの目盛りであるから微調整に苦労しなくてよい(できない)
我が家の場合、18cmの片手鍋に約1.5リットルの水を入れて目盛り2でずっと67℃が保てる(熱平衡)ことが分かった。鍋は1Kgちょっとある。たかが卵2ヶに大げさではあるが、小さな鍋だと熱容量が小さいので温度の変化が大きくなる。
しかし、この方法の欠点は温度計とIH調理器を使わない限り、条件をつかむのが難しいことだ。じっさい、ガスコンロで小さめの鍋を使ってみたときは適度な温度ゾーンを保つのに苦労した。台所につきっきりで2ヶばかりの温泉卵を作るのは楽しい努力ではない。
そうなれば、よくホームページに書いてある、1000ccの湯に200ccの水を混ぜて約70℃にして、それを保温する方法が適当であろう。やったことはないが、熱容量をなるべく大きくして冷水の温度を一定にし、保温にバスタオルを使うなど工夫すれば再現性はいいと思う。
殻を割ると白身が内側にこびりつかず、するっと皿に落ちて黄身が箸でふんわりとちぎれれば上出来だ。キッコーマンの本つゆをかけてつるっと食べる。気分は温泉旅館の朝ご飯。
温泉卵は作るのに30分かかるのに、食べるには1分もかからないという珍しい料理ではある。