![]() 指を挟んじゃったダトホルスルン。痛かったよぉ。 |
7月13日 ここのゲルのベッドは、ラブターン家のベッドよりも布団が柔らかで気持ちよい。固くても寝られないわけではないが、寝るならやはり柔らかなほうがいい。それに、あっちのベッドではずっとライフルと添い寝だったしな。そう、ラブターン家で寝泊りしていた時、どうもベッドの下にある硬い何かが背中に当たる、と思い敷布団をめくってみたら、下からライフルが出てきたのだった。随分と使い込まれたボルトアクションライフル。弾が入っているかどうかはわからなかったが、銃口が自分の方を向いていないだけマシだった。 |
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外はもう随分と明るいが、マナルさんもメンデさんもまだぐっすりと寝ている。布団の中で本を読んでいると、どこからか きゅぅ、きゅぅ、 と鳴き声が聞こえてきた。猫か?とも思ったが、猫にしてはヘンな声だし、そもそもモンゴルに猫は殆どいないと聞いていた事がある。そうするとげっ歯類の仲間でもぐらのように穴を掘って巣をつくるタルバガンという動物なのだろうか。外で鳴いているんだろう、と思って気にしないでいたら、ベッドの真下で足音が聞こえた。どうやら中にいるらしい。その謎の動物は、僕が下を覗き込む前に一気に外へ駆け出し、マナルさんのベッド下をくぐって外へ消えていった。メガネをかけていなかったのでよく見えなかったが、茶色い、大きな猫ぐらいの動物だったと思う。あれは一体なんだったんだろうか? 読書がひと段落したところで、寝巻きから普段着に着替えてゲストハウスへ向かう。テグスジャルガスさんや、ゲストハウススタッフの若い女性二人、ハンダスルンさんとバッツェツェグさんはすでに台所で働き始めていた。リビングの隣にある部屋では子供たちが川の字になって寝ている。スーテーツァイを入れてもらい、テレビを見ながらぼんやり過ごす。 |
![]() カラコルム最大の寺院、エルデニゾー内にて。 |
![]() オボー(祈祷塚)の横に馬の頭骨が並ぶ。 |
テレビではニュースが流れており、どうやらウランバートルでのナーダムについて報道しているらしい。ナーダム見物らしき外国人へのインタビューや、開幕式の様子が繰り返し写る。すさまじい人の数に、カラコルムのナーダムを見ることにしておいてよかった、と思った。あんなに大きな会場であれだけの人がいれば、写真撮影もままならないだろう。ここカラコルムでのナーダムは明日から始まる、と聞いている。エルデニサントのナーダム会場で出会ったような、鮮やかなデール姿の踊り子達が登場するのだろうか。何とも楽しみである。 一体モンゴル人の食生活はどうなっているのか、昨夜に引き続き今朝も3回ほど‘朝食’を食べるハメになった。大体2時間おきぐらいに料理がやってくる。マナルさんに「一日三食で十分だから」、と伝えるよう頼んだものの、その後も一日4、5食の生活が続いた。 |
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寝ていた子供たちが時間が経つにつれてもぞもぞと起きあがり、着替えはじめる。ダトホルスルンとツォフトは、上に柔道着のような服を着ていた。坊主頭に真っ白な道着がよく似合っている。それにしても、この二人は見ていて本当に飽きない。特にダトホルスルンの目は、何か輝きを秘めているように感じる。彼女が僕ぐらいに、20代になったらどんな風になるだろうか。それはツォフトも、イチコも、ツェルンドートムも同じだ。もちろん、ウッチィーや、ゲストハウスで暮らす迷彩柄Tシャツの似合う少年、ナランバートル、通称ナランも。この二人とは昨日会ったばかりだが、もうずっと長いこと友達だったようだ。 10時半ごろ、マナルさん、メンデさんとエルデニゾー寺院へ向かう。寺院は16世紀末ごろに建設されたもので、108の仏塔からなる外壁の中に、寺院がいくつも建立されている。昔は敷地内いっぱいに寺院があったらしいのだが、今ではその一部が残されているのみ。博物館として使用されている建物もあるが、今でも僧侶が祈りを唱える寺院もある。 |
![]() 丘の上から。右にある四角い囲いがエルデニゾー寺院の壁。 |
![]() アイス大好きツォフト。虫歯に気をつけようね。 |
前回訪れたときは、地元の人々がほとんどだったエルデニゾーも、観光客や露店でごった返していた。マナルさんがオフィスへ行って日本語ガイドを連れて戻ってくる。専門的な説明を受けられるのはよかったが、あっという間に先へと進んでいくのには少々困った。完全に‘観光スポット’と化した寺院に強烈な違和感を覚える。ここは祈りの場であり、観光地ではないはず…だが、僕も観光客の一人。人の事は言えなかった。ここだけに限ったことではない。大学のワークキャンプで行ったネパールのヒンドゥ教寺院でも、長崎の大浦天主堂でも、同じことを感じた。観光スポット化してほしくない、だが、観光地でなければ行くことも難しいし、自分も観光客なのにこんな事を言うのは矛盾している。 一通り見終わると、寺院を出て、カラコルムのはずれにある‘亀石’を見に行った。驚いたことに、ここでも露店が並び、観光客相手に様々なお土産を売っている。昔の遊牧民が使っていたナイフや、嗅ぎタバコいれ、キセルをはじめ、グルカナイフ、‘天皇’と刻まれた日本刀まで。店の人は、この日本刀を‘サムライソード’と欧米人観光客に紹介していた。 |
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肝心の亀石はあいも変わらず、丘の上で一人たたずんでいたが、すぐ近くに石を積んだオボーが出来ていた。オボーは大地信仰のひとつの形だそうで、無病息災、旅の目印など、様々な意味があるらしい。ここのオボーは比較的小さかったが、そばに何かの頭蓋骨が横一列に並べられていた。 「これは、馬の骨です」 とマナルさんが教えてくれる。オボーに右肩を向け、その周りを3周して、その場を去った。 帰りがけに町へ寄る途中で、マナルさんと口論になってしまった。なぜだか互いに言いたいことが伝わらず、食い違うばかりで埒が明かない。元々、あまり気の長くない僕は、思わずけんか腰で怒鳴りつけてしまった。昔から中々治らない僕の悪い癖である。車の中は一気に険悪な雰囲気に陥り、そのままゲストハウスに戻ることとなった。すでに正午近かったので、そのまま昼食をとるが、マナルさんは何処かへ行ったまま見えなくなってしまった。必ず、後で謝らなくてはと思いつつ、ゲルへ戻る。しばらくしたら、メンデさんも姿を消してしまった。よわったことになった、と思いつつ子どもたちと遊ぶ。 |
![]() アイスを食べながら走り回るダトホルスルン。 一日いくつアイスを食べてるの? |
![]() お勉強中イチコ。さっすが、お姉さん。 |
イチコが勉強をする横で、ダトホルスルンとツォフトがアイスクリーム片手にはしゃぎまわる。特に制限がないのか、この二人をはじめ、子どもたちはことあるごとに売り物のはずのアイスを食べていた。そんなに食べて、虫歯になってもしらないぞ。しかしまぁ、ツォフトは一口一口幸せそうに食べるので、見ていて飽きない。あっ!コラッ、アイス持ったまま暴れるなぁ〜 さて、午後ずっと子どもたちと遊ぶのもいいが、何処かへ出かけたい気もする。よし、エルデニゾー寺院の近くにあるもうひとつの亀石を見に行こう。ナランに声をかけ、 「今から亀石まで一緒に行かない?」 と誘うと、彼は快くうなずいてくれた。ゲストハウスからエルデニゾーまで、それなりに離れているものの歩けない距離ではない。多分直線距離にして1キロもないだろう。少し陽射しが強かったが、散歩としては充分すぎるぐらいの天気だった。 |
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ナランと二人で、のんびりと歩く。寺院のそばの露店でミネラルウォーターを買い、寺院の外壁をたどりつつ歩く。巡礼だろうか、僕等と同じように外壁沿いに歩いている人がいたが、仏塔の下に来るたびに壁に額をつけ、祈りをささげていた。亀石がある側の壁まで来ると、壁を離れて草原を歩き出す。このあたりの何処かにあるはず…あった!今度ばかりは観光客目当ての露店が役に立った。記念写真を撮り、露店を冷やかしてから寺院へ戻る。 「よし、帰ろうか」 とナランに伝えると、彼は 「寺院の中を通って帰ろう」 と寺院の門をくぐった。そのまままっすぐに行けば、観光客が出入りする正面の門を通れる。お金を取られるんじゃないか、と心配していたが、どうやら通り抜けるだけなら大丈夫らしかった。歩いている途中、インド系の顔立ちをした女性に呼び止められた。 |
![]() エルデニゾー寺院の壁。壁伝いに亀石まで歩く。 |
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