Update on June 13th, 1999.
読書感想文とまではいきませんが,かなり多読の方なので,読んで印象に残った本について簡単に紹介しようと思います.感想はあくまでも独断ですのであしからず.
| タイトル | 内容&感想 | 備考 | ||
| 著者 | 出版社 | 初版発行 | 面白さ | |
| 稲盛和夫の実学 −経営と会計 | 京セラを27歳で創業してからここまで成長するに至る過程で,著者が独自に身につけてきた経営のための会計学についてまとめた本.会社経営はトップの経営哲学によって決まり,すべての経営判断は「人間として何が正しいか」という原理原則にもとづいて行うべきものという著者の考えが,中に述べられてある7つの原則にみごとに現れているように思います.近頃キャッシュフローをベースとした経営が注目されていますが,著者はそれを起業した当初から自ら考え実践しているところに感心します.とにかく「正義」を感じさせる経営哲学だと思いました. | |||
| 稲盛和夫 | 日本経済新聞社 | 1998.10.5 | ★★★★ | |
| 社長失格 −ぼくの会社がつぶれた理由− | 広告付きブラウザ「ホットカフェ」を使った無料インターネットサービス&データベースマーケティングで一世を風靡した,ハイパーネットの元社長板倉氏が,会社を起こしてから倒産するまでを克明に書き綴った本.日本版「シリコンバレーアドベンチャー」です.ベンチャービジネスの緊張感と厳しさ,第三次ベンチャーブームの勃興と終焉の過程等が生々しく伝わってくる面白い本です.しかし読んだ後味が「シリコンバレーアドベンチャー」と微妙に異なりました.なんというか,次が見えないというのか,暗さがのこります.ここがVCを使った七転八起のシリコンバレーのベンチャーと,個人保証と自己破産の日本のベンチャーとの風土の違いなのでしょうか.著者には是非また画期的な起業でご活躍いただきたいと思うのですが. | |||
| 板倉雄一郎 | 日経BP社 | 1998.11.30 | ★★★★ | |
| エネルギーを奪う仕事,もらえる仕事 | ビジネスマンが本来の仕事以外(接待・査定・会議のSSKと著者は呼ぶ)にどれくらい無駄な時間を取られている事か.本来自分が生み出すべき価値・自分にしかできない仕事とは何か?筆者はリクルート社で様々な新規事業を立ち上げられた後に退職し,新たにフェローという独立したパートナーの立場でR社の新規事業の立ち上げを行っていて,その実体験から「個人」と「会社」の新しい関係について提言されています.R社のRINGという新規事業開発の流れも,コーポラティブ型という個人の志や行動の集合を核にする事業形態も,私はとても共感できます.著者の本をもっと読んでみたくなりました. | |||
| 藤原和博 | 新潮社 | 1998.7.18 | ★★★★★ | |
| なぜ会社は変われないのか −危機突破の企業風土改革 |
会社の風土・体質というものは,いくらトップが大声で変われ!改革が必要だ!と言ったところで現場が思い通りに俊敏に変化するものではありません.工場の社員から役員にいたるまでが「まじめな雑談」という地道なオフサイトミーティングを積み上げていく事で,押し付けの改革ではなく社員一人一人が自ら会社を変えていこうという気持ちになり,少しづつ企業体質が改善し,そのおかげで倒産の危機を乗り切るという物語仕立ての経営書です.確かに人間も企業も体質というのは一瞬で変わるものではないですよね.こううまく行くかなあという気持ちにもされられる本ですが. | 「経営パワーの危機」と路線は同じ | ||
| 柴田昌治 | 日本経済新聞社 | 1998.1.23 | ★★★★ | |
| キラーアプリケーション | 従来の産業,既存の市場を一変させてしまうような力を持つ製品,サービス,技術を「キラー・アプリケーション」と呼びます.現代はデジタル戦略がキラーアプリケーションを生み出すのに不可欠なものとして,につながるものとして,多くの実例を交えながらデジタル戦略の開発・利用方法について述べています.「なぜ彼らはそうするのか?それはもし彼らがそうしないなら,ほかの誰かがそうするからだ」というフレーズが気に入りました.この発想と行動力は大切ですよね. | |||
| ラリー・ダウネズ チュンカ・ムイ |
トッパン | 1998.10.22 | ★★★ | |
| フォーカス 市場支配の絶対条件 | 多くの有名企業が多角化戦略などで自身のフォーカスを失い,結果してフォーカスを絞って資源を集中化させている企業に市場を奪われてきたということを,様々な実例を挙げて説明し,フォーカスする事の重要性を提言しています.うなずける反面,成長とは拡大・縮小,結合・分割の繰り返しでることを考えると,フォーカス喪失の失敗はきわめて自然現象のようにも思えます.フォーカス喪失に気づいた時,いかに早く再度フォーカスし直せるかがポイントなのかもしれません. | 「フォーカス喪失の罠」という本もあるが,こちらはイマイチ. | ||
| アル・リース | ダイヤモンド社 | 1997.4.17 | ★★★ | |
| デコンストラクション経営革命 | 開発〜生産〜販売といったバリューチェーンを全て自前で用意していた従来の大企業のビジネスモデルに対して,部分に特化したり,根本からチェーンを変えてしまったりという新しいビジネスモデルで競争に挑む企業が成功を収めています.著者はこのやり方をデコンストラクションと呼び,事例を交えて解説及び対処法などを論じています.なかなか面白いのですが,読者のあおり方では大前研一本には及ばず,アカデミックに徹しているかといえば,事例のつっこみがもうひとつでちょっと中途半端な面も感じました. | |||
| 内田和成 | 日本能率協会マネジメントセンター | 1998.11.25 | ★★ | |
| アップル薄氷の500日 | 危機的状況のアップルのCEOにアメリオがヘッドハントされてから,追い出されるまでの体験記.急速に大企業に成長してしまったベンチャーの組織の脆さなどが生々しく伝わってきます.その後ジョブスが暫定CEOになってiMacのヒットで持ち直しましたわけですが,根本的な部分はアメリオが苦悩した状況と変わっていないのでは? | 合わせてジム・カールトンの「アップル」もお勧め | ||
| ギル・アメリオ | ソフトバンク | 1998.8.15 | ★★★ | |
| サラリーマン・サバイバル | 毎度同じ事が書いてあると分かっていながら,また買ってしまった大前モノ.20〜30代のビジネスマンに向けた叱咤激励の本ですが,彼のマッキンゼー時代の苦労話なども載っていてちょっと面白いです.もちろん,やる気が沸くかどうかは読者次第. | |||
| 大前研一 | 小学館 | 1999.1.1 | ★★★ | |
| ネットで儲けろ (net gain) | バーチャル・コミュニティーをビジネスとするための極意がとてもうまくまとめられている本です.著者はマッキンゼー社のコンサルタント達.日本におけるバーチャルコミュニティーを論じている部分はあまり成功・失敗の差が明確になっていない(というかそんなに成功例があるわけではないからか),それほど面白くないような気がしました. | |||
| ジョン・ヘーゲル三世他 | 日経BP社 | 1997.10.20 | ★★★ | |
| シリコンバレー・アドベンチャー | 1993〜4にその話題性で一世を風靡したペン・コンピューティングの会社「GO」が生まれてから2年でつぶれるまでの,その怒涛のようなストーリーを創業者であるジェリー・カプラン自身が記したノンフィクションです.とても興奮する読み物であると同時に,ベンチャービジネスとはどういう物なのか,競争とはどういうものなのかといったことがとても明快に解ります. | ジェリーは今はオークションサイト「Onsale」で活躍中 | ||
| ジェリー・カプラン | 日経BP出版センター | 1995 | ★★★★★ | |
| 経営パワーの危機 −熱き心を失っていないか | 物語仕立てになっている経営書です.ある大手企業が資本参加したハイテク・ベンチャー企業が,経営を技術者の創業者にまかせっきりにしていた結果倒産寸前状態になっており,大手企業側から若い課長が社長として単身で乗り込み,いくつかの危機を乗り越えながら最終的に大成長をとげるという物語で,ストーリーに沿って経営のポイントが解説されています.モデルとなる実話があるようで,事業戦略を立てるということ,経営者を育てるということ,責任を持つということ,任せるということ,といったことがどういうことなのかよくわかります. | 三枝氏の「戦略プロフェッショナル」も面白い | ||
| 三枝 匡 | 日本経済新聞社 | 1994.9.12 | ★★★★ | |
| タイトル | 内容&感想 | 備考 | ||
| 著者 | 出版社 | 初版発行 | 面白さ | |
| ロスト・ストーリー | 若手作家のなかで私が気に入っている伊藤たかみの長編です.突然消えてしまった兄の恋人を巡って繰り広げられる不思議な物語.自分が気づいていない自分自身の本能・本性に少しづつ気づいていく過程とストーリーの運びは,どこか村上春樹にも似ていますが,でも特に後半の展開が荒すぎて,なんだか良く分からないうちに終わってしまいます.デビュー作「助手席にて,グルグル・ダンスを踊って」に感じられた様な,若さと勢いが今一つ感じられないのが残念です. | |||
| 伊藤たかみ | 河出書房新社 | 1999.2.19 | ★★ | |
| スプートニクの恋人 | 村上春樹の久しぶりの長編小説です.a weird love story(奇妙な恋愛小説とでも訳すのでしょうか)と帯に書かれていますが,あちらの世界の自分をこちらの世界の自分が見ているといったような構成は,「ねじまき鳥」などでも使われていましたが,ちょっと不思議な独特の世界が感じられます.私は面白いと思います. | |||
| 村上 春樹 | 講談社 | 1999.4.20 | ★★★★ | |
| 就職先は森の中 インタープリターという仕事 |
清里をベースに環境教育にとりくまれている川嶋さんの黎明期から現在に至るまでの活動をまとめられたものです.ヨセミテ国立公園のレンジャーに魅せられた著者と同じ経験をもつ私は,著者のエコロジーキャンプなど環境教育のプロデューサーとしてのご苦労とともに,このような場の大切さが理解できるような気がしました.タイトルを見て通訳のSOHOを避暑地でやっているのかと思ったら,インタープリターとは自然環境の解説者のような意味でつかわれるようです. | |||
| 川嶋 直 | 小学館 | 1998.12.1 | ★★★★ | |
| The Non-Designer's Design Book | デザイナーでない人たちのための,デザインというかレイアウト(文字や図など)の方法を豊富な例を示しながら解説している本です.デザインの基本がとてもよくわかります.Webのデザインにも応用できるのでは. | |||
| Robin Williams | 毎日コミュニケーションズ | 1998.3.27 | ★★★ | |
| 辺境・近境 | 「ねじまき鳥クロニクル」で出てきたノモンハンの戦場のレポートから香川のうどん屋紀行まで,独特の書きぶりでエッセイが続きます.いつもながら村上春樹の旅のエッセイはとっても不思議に面白い. | 写真集もあります. | ||
| 村上春樹 | 新潮社 | 1998.4.23 | ★★★★★ | |
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