急いで歯磨きと洗面を済ませてテントの所に戻ると,夫がもうお湯を沸かしてる.彼はキャンプ好きなので,こういう時は実にまめまめしく働く.いつも家でもその調子ならうれしいのになあ,と思うほどだ.私はキャンプ場に備え付けの木のテーブルにビニールシート(いわゆるお尻に敷くシート)をかけてテーブルクロスとする.そのうえにランチョンマットを敷く.直にランチョンマットを敷いても良いのだが,キャンプ場のテーブルは汚かったり,朝露で濡れてたりすることが多いので,いつの間にかこれが習慣になっていた.実はこのテーブルクロス代わりのビニールシート(スヌーピー柄!),日本から持参した物なのだが,二人がつきあい始めた頃代々木公園で花見をする際に近所の雑貨屋さんで購入して以来,ずっとキャンプでお世話になっているやつなのだ.このキャンプ旅行で一層愛着がわきそうである.
さて,夫がコーヒーを入れているとなりで私が牛乳やパン,ハム,卵などを準備する.コーヒーが入る頃には朝食のセッティング完了ということになる.林の中でいただくさわやかな朝食.気分は最高だ.
私たちが呑気に食べている最中も多くのキャンパーが続々とキャンプ場を後にしていく.ゴミは受け付けで渡された黒いビニール袋に入れて指定のゴミ箱へぽい.簡単なものね.共同の流しもあるがアメリカ人はあまり使わないようだ.日本のキャンプ場だと,たいてい流し朝食後,夕食後に渋滞がおこるわけだが,そういう風景は無い.彼らは料理しないのかな?紙の食器だけなのかな?と最初は思ったけど,実際水しかでないし,生ゴミの始末がたいへん.また,あまりこういう所でご飯粒を流すのも結構目立って気がひける.それでなくてもキャンプしてる日本人なんて私たちだけで,差別されてる訳でもないのに何となく肩身が狭いように感じてしまう.こんな風に自分で自分の習慣を隠そうとするのはやっぱりマイノリティなんだなあ,と妙に納得してしまう.で,結局食器の後片づけは沸かしたお湯で簡単に洗い流すだけになる.基本的に料理も簡単なものなので,コップと皿2個づつ,フライパンが少し汚れる位なので,お湯をさっとかけてペーパータオルで拭っていくことを2〜3回繰り返しておしまい,というやりかたに落ち着く.そのうちモーテルにでも泊まる時に,大食器洗い大会でもしよう.洗剤をバンバン使って!なーんて思う.
テントや荷物の始末は手慣れた物である.自分の荷物をバッグに詰めると,寝袋たたみは夫,保温マットは私,テントを広げるのもたたむのも息のあったところで5分位で終了.車に積むのは整理の上手な夫.その間にわたしは化粧を簡単に済ませて,車に持ち込む魔法瓶,コーヒー,コップなどの用意.慣れてしまえばこんな生活も苦でなくなる.
さて,この気持ちよいキャンプ場をあとにして今日はエリー湖から南下し,ピッツバーグへ.ここは夫さんの友人2人が留学するカーネギー・メロン大学のある所だ.今日はその内の一人,山口さんのところにころがりこませてもらう.同じ時期に渡米して始めての再会.ここからはそれ程の距離でもないので昼過ぎには到着の予定.さあ二日目のドライブだ!
ピッツバーグはペンシルバニア州に位置する.両側に緑の続く高速道路を走ってると都市に近ずくに従って突然標識と車が増える.アメリカはホントに大都市も1歩外へ出ればすぐに田舎町となる.これが日本との違いかな.日本なんてどこまでいっても家また家で途切れることがないものね.そして家探しもまた簡単.地図には主要都市の都心部の拡大地図が載ってるので住所から家までのおおよその見当はつく.今回も道路名があるのでだいたい近くまでは行けた.町の雰囲気はボストンと結構似ている.やはり古いレンガ造りのアパートと新しいアパートが混在したこじんまりとした町だ. 山口さんの住むアパートも典型的な学生の住むアパートといった所だ.車は路上に停める.旧式のブザーを押すと若い男性の声.すぐに降りてきてくれた.同じ大学院生なのでこちらも夏休みのはず.私は始めてお会いする方だったが,こういう時は同じ日本人,なんだか懐かしさを感じてすぐに打ち解けられる.
まだ昼なので荷物を置いてから早速かの有名なカーネギー・メロン大学見学とする.大学でもう一人の友人進藤さんともお会いすることになっている.山口さんはMBA(ビジネススクール)への留学だが,進藤さんはコンピュター・サイエンスを専攻されている.夫の話では全米でも1,2を争うコンピュター・サイエンスの学科とのこと.さぞかし設備も素晴らしいのだろう.大学へは車で5分程度.山口さんは車の無い生活なので徒歩,自転車で生活できるよう大学の比較的近くに住んでいるのだ.大学の駐車場はMITと違って広くて自由に駐車できた.日差しもボストン並かな,結構暑い.駐車場でしばらく待っていると,進藤さんが奥さんと赤ちゃんをつれて登場.留学中に生まれたそうだ.小さなサングラスをかけてもらっていて,アメリカ人の赤ちゃんのよう.
まずは大学を案内してもらう.門を入るとすぐに大きな建物群が続く.巨大な大学ではないけど無論MITよりきれい.山口さんに連れられて進藤さんのいる学科の建物にも入る.ここらへんはもう私の出る幕は無いのでひらすらついて回るのみ.大学見学のあとは市内観光.ここは3つの河に挟まれた元工業都市.大学のある岸は昔ながらの古い住宅地があるところだそうだが,大きな橋を渡って対岸にある小高い丘に登ると工場地帯もはっきりわかる.ここは有名な観光スポットらしくひっきりなしに観光客,カップルが見てまわってる.かなり眺めは良く遠くまで見回せた.そのへんの所は,翌朝山口さんが見せてくれたビデオ「Three Rivers(ブルース・ウィルス主演のピッツバーグ映画)」を見ればよくこの土地のことがわかる.
夜は進藤さん宅で焼き肉パーティだった.進藤家のかわいいジュニアを交えて男どもは会社の噂,学校のこと,つきない話題に夜もふけていく.
[3日目:フランクロイドライトのフォーリングウォーター見学(7/17/94)]