6日目:灼熱とスコール地獄の中,ひたすら移動でテキサスへ

7月20日(走行距離:孝明 395mile 美枝 216mile)
 機嫌の悪い私も眠ってしまうとすぐ忘れる.そこが自分の良いところと思いつつ翌日を迎える.

 湿気ですっかり濡れたテントを照りつける朝日にあてて乾かしながら簡単な朝食.思えばほんとに連日晴れが続く.雨の中でのキャンプなんて考えただけでもしんどいが,こうまで晴れが続くと暑さが身にしみる(この程度で弱音を吐くようではまだまだだということが後でわかるのだが・・・).早くも私は真っ黒に日焼けしてきた.

 今日はどこへも寄り道せずにとにかく距離をかせぐことにする.どこまで行けるだろうか?限界に挑戦!の日になった.水郷地帯アーカンサス州をアーカンサス川に沿って西へと進む.そして次はオクラホマ州.こちらはうってかわって一面畑ばかりだ.ガイドブックをみてもさすがに観光名所も載ってない.完全なる農村地帯.私たちの頭の中にも,オクラホマといえばオクラホマミキサーという小学生の頃踊ったフォークダンスくらいしか思い浮かばない.それもほんとにここのダンスなのだろうか?というくだらない話題に花を咲かせて進む.ここもどこまでも平坦な道の続くところだ.わたしの運転でも距離がかせげるようになる.

 途中,州都オクラホマ・シティーを通り過ぎたが,アーカンサスよりは都会だった.その後全米を震撼させたテロによるビル爆破事件が起きたのがここオクラホマ・シティーの高層ビルであったが,そんなことがこのちっぽけな田舎町におこるとはほんとに信じられないような気がした.人間って不思議なもので,少しでもかかわったことのある土地や町のことにはとても同情的になる.そのときはなんとなく通りすぎてしまった小さな町のことが今はよく思い出されるのだ.

 さて,そのオクラホマ州を過ぎる頃にはすでに日も暮れてしまった.日が暮れるといってもこの時期は非常に日が長いので,時刻としては夜の8時過ぎだ.さすがに今日はキャンプは辞めてモーテルに泊まることにして,行けるところまで行くことにする.といっても,走っていて気がついたのだが,このあたりになると町と町の間隔が思った以上に遠い.ときどきしか出口が表示されなくなるほどで,それ以外はひたすら畑か牧草地が続く.もちろん家の陰も見えない.だから高速の表示に注意して泊まる町,モーテル,レストランを見逃さないようにしないととんでもないことになる.

 さて,テキサス州に入った時に最初の町に泊まろうかどうしようか迷った.運転しっぱなしで疲れも感じている.どうしよう,と迷ううちに,地図ではもう一つ進めば大きな町だから,ということで先へ進むことにした.しかし,そこからが遠かった.結局隣町のアマリロにたどり着いたのは夜の11時近く.一日中2人で運転ばかりしてたので体はかちこち,頭はぼー,運動不足でお腹も今一つだった.運転した距離は二人で611マイル,約900キロ.今の所,最長距離だ.

 さて,たどり着いたアマリロはかなり大きな都市で,モーテルやスーパー,レストランがたくさんあり,夜中だというのにイルミネーションが明るい.その中でもひときわ目を引いたいかにも西部という感じのステーキ屋さん「The Big Texan」の隣のモーテルに空き室の看板が出ていたので,ここに宿をとることにする.もちろん遅い夕食をそのステーキ屋でとるつもりで.

 ここのステーキは傑作で,なんだか良くわからないながらもこれが西部だテキサスだ!という雰囲気を盛り上げるのに十分だった.なんと24時間営業(だったと思う)の木造の大きなレストランは,内・外装とも古き良き西部風.扉からしてかっこいい.映画に出てくる店みたいだね,と二人で喜んだ.深夜にもかかわらずかなりのお客さんが入っていて賑やかだ.一日中運転ばかりしていた私たちにはとても刺激的で楽しかった.お店の人は全員カウボーイ風.カウボーイハットにブーツ,シャツもインディアンのように房がたれていていかにも,という出で立ちで,陽気に話しかけてくる.人種もこのへんでは黒人は少ないようで,店員もお客さんも殆どまじりっけなしの純粋アメリカ人という風だった.さて疲労困憊した東洋人二人組.深夜にこんな食事じゃ体には良くないだろうけど,夫はバッファロー・ステーキを,私は普通のステーキを頼んだ.味はアメリカ風で繊細な物ではないが,2日ぶりのまともな食事に心底くつろいだ.疲れを忘れる楽しい食事を堪能した後,歩いてすぐのところにある,これまた少々古めかしい西部のモーテルで寝たのは夜も更けた頃だったが,なんだか妙にリフレッシュできた夜であった.西部って悪くない.


Written by Mie Takeuchi. Edited by Takaaki Takeuchi. Last Modified on May 6, 1997.

[5日目:メンフィスで,にわかプレスリーファンに(7/19/94)]

[7日目:芸術の街サンタ・フェ徘徊.キャンプ場で大雨!(7/21/94)]

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