7日目:芸術の街サンタ・フェを徘徊.キャンプ場で大雨!

7月21日(走行距離:孝明 238mile 美枝 75mile)
 さて今日は国立公園に入る前にぜひとも寄ってみたかったサンタ・フェが目的地.ここテキサス州アマリロからは,さほどの距離ではない.今日は朝から少し曇っていて涼しい.毎日晴ればかりの空を見ているとこんな日はうれしくなる.

 この日の朝はまず車のオイル交換から始まる.2000マイル毎に交換することを目安にしていた.オイル交換専門店はアマリロの街には見あたらなかったので,ガソリンステーションを見つけて交渉.2時間くらいの時間ロスになったがしょうがない.少々ぼろの車を大事に乗るためには,まめなメンテナンスが欠かせないのだ.

 オイル交換を済ませて40号を進むとすぐにニュー・メキシコ州に入る.曇ってたのも束の間,すぐに灼熱の太陽が照りつける.この暑さは本当に並のものではない.クーラーをかけた車の中でもじっとり暑く,背中はいつも汗ばむ.のどもすごく乾くので冷たい飲み物は必需品だ.車のオーバーヒートも気になる.テキサスやニュー・メキシコを旅するならポリタンクに車用の水を常備するのは常識だと聞いてはいたが,これはほんとに冗談ではない.もし何も無い道の真ん中でオーバーヒートしたらスタンドのある所まで行くにも大変なことになるし,クーラーのない炎天下にいたらすぐに熱射病になってしまう.これは大げさでなく命がけだ.メンフィスでついたフロントガラスのひび割れはどんどん成長していく.役に立つかどうかわからないけどガムテープを張ってみた.走るスピードも少し押さえた.

 クーラーボックスに常備する飲み物の補給にスーパーに入ることも多くなった.たいてい缶コーラを24本程度まとめ買いする.コーラをこんなにがぶ飲みするなんて生まれて始めて.今までファスト・フードの店で売られているキングサイズのコーラを,アメリカ人達がどうして平気で飲めるのか不思議でしょうがなかったのだが,ここへ来て一気に謎が解ける.この風土じゃあれが必要なのだ.それくらい乾燥と暑さが激しい.

 ニュー・メキシコ州は今までの州と全く自然が違う.テキサスも砂漠のように乾燥はしてたが,まだ茶色の砂で,短い草も生えていた.しかしここは真っ赤な砂しかない.緑もほとんど見あたらない.ほとんどがサボテンのような背の低い堅い木で,あとは枯れかかった草がちょこちょこあるだけだ.水の無い土地,異常な乾燥,こんなとこに暮らす勇気は私にはないなあ.

 ついに40号からはずれて,ひさびさに寄り道の旅に入る.サンタフェは285号を北上するだけで,地図上ではさほどの距離は無い.きれいに舗装された道を飛ばし,このままだと昼過ぎには着くだろうと思ったのだが,考えが甘かった.この285号,実は未舗装から舗装への大工事中だったのだ.突然未舗装の工事中区間に入り,いやおうなしにスピードダウン.赤い土ほこりを巻き上げながらガタガタ道を何マイルも進まねばならない羽目に陥った.土ぼこりで前が見えない.車が真っ白になる.ひどく揺れる.最悪!どこまで続くのこんな道!と叫びながらの道中となる.おまけに1車線通行の区間まで登場する.この片側通行は区間も長く,入り口で待たされること30分!田舎道とはいえ観光都市サンタフェに向かう道らしく,待たされる車がすこしずつたまってくる.みんな車を降りて,まわりをぶらぶら.夫も車を降りてサボテンの写真なんかを撮っている.ようやく通行許可がでる.再び土ぼこりで前が見えないとろとろ行進開始!脇を見ると,砂漠の中の舗装工事を泥だらけになりながらなんと女性の作業員が働いているのだ.さすが男女同権のアメリカと感心する.

 サンタ・フェに近づくと,急に立派な舗装道路となり,ようやく目的地,美しいサンタ・フェの街に入った.ここには2泊する予定だが,観光都市なのでモーテルは人気で混んでおり,料金もびっくりするほど高い.貧乏旅行の私たちは,町の中心から車で30分くらい離れたところにある,KOAのキャンプ場を利用することにした.この辺りのキャンプ場には殆ど木が無い.木陰がないから昼間にテントを張っても暑くて中には入れない.各サイトに多少木が植えてあるのだが,暑さのせいなのか,どの木も可哀想なくらい弱々しい.私たちはテントを張ると,早々にサンタ・フェの街に引き返した.

 サンタフェはスペイン植民地として開け,先住民のインディアンや南からやってきたメキシコ人たちとの文化的融合が繰り返されて来た町である.だからいわゆるアメリカという雰囲気とは大きく異なる独特の町だった.まず,建物がプエブロ・インディアンスタイルという真っ赤な土を使った日干しレンガと木でできている.こうした古いスタイルの建物を保護しているのできれいに管理され保存状態も良い.観光の目玉として多くの店やレストラン,モーテルなどが同じような建物を建てているので,町全体として調和がとれている.なかなかおもしろい町だ.この町の歴史を物語る資料館や施設を見学するツアーもあったが,今回は時間の関係でパスする.

 もう一つ,ここサンタフェはニューヨークに次ぐ芸術の町として有名だ.気候の良さ(?)とエキゾチックな雰囲気に惹かれて数多くのアーティストが住むという.あの女流画家,ジョージア・オキーフもサンタフェに骨を埋めた.オキーフの好きな私は早速「The Museum of Fne Arts on the Plaza」へと向かう.この美術館はオキーフの作品,ニューメキシコの絵画・彫刻を展示するということだったが,肝心のオキーフの作品が少なくてがっかりだった.画集を買って帰る.

 町をぶらぶらするのがなにより楽しい町であった.いたるところにギャラリーや珍しい土産物屋が並ぶ.土産物はなんとなくメキシコ風のものが多い.ターコイズのアクセサリーやインディアンの砂絵,民芸品,皮工芸など,思わず時の経つのも忘れて熱中してしまった.(でも物価は非常に高い!)

 さて夕飯は久しぶりにメキシコ料理にしようね,とはしゃぎあいおいしそうな店を探す.しかし高い!ほんとうに高くて高級そうな店構えが多いのだ.ちょっとひるむ.しかも混んでいる.かなりな観光客がおしよせているらしく,こじんまりとした店はどこも行列.次第に疲れてきてそこそこの店に入ったが,メキシコのトルティーヤとワカモーレ,ビールなどで気分的には満足.さてさてテントに帰りましょう.

 しかし,ここで大きな誤算が.なんと荒れ狂うばかりの雷雨に襲われる.この旅を始めてから雨にあったことはなかった.帰る途中の車の中でいやな雲行きだね,とは話していたのだが,次第に空が真っ暗になり,激しい稲妻,雷,風と雨が襲った.恐ろしくなるほどの激しさで,道には濁流のように赤い泥水が流れ込んでくる.なんとかキャンプ場まで戻ることが出来たが,むろんテントはどろどろ.幸いテントの回りに溝がほってあったので,テントの中への浸水は無かったが,激しい雨は一向に止む気配がなく,とてもこの中で眠れるような状況ではない.すっかりくたびれ果ててるのに寝ることができないなんて!あきらめて,車の中でシートを倒して寝ることにする.こんな天気,予想もしなかったよね,ひどいもんだね,と嘆きあったがが,実はこういう気候は南西部特有の気候のようで,この先何回もこのような天気に悩まされることになるをこの時はまったくわかっていなかった.

 もうとうとしていると明け方近くになって雨も上がったので,テントに戻って寝直した.疲れがどっと出て,次に目が覚めたのはずいぶん朝も遅くなってからだった.こんな時は,何事もなかったようにキャンプ場を出ていくあの大きなキャンピング・カーが本当に羨ましい.さて,どろどろのテントはちゃんと乾くかしら?


Written by Mie Takeuchi. Edited by Takaaki Takeuchi. Last Modified on May 10, 1997.

[6日目:灼熱とスコール地獄の中,ひたすら移動でテキサスへ(7/20/94)]

[8日目:もうちょっとサンタ・フェでぶらぶら(7/22/94)]

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