14日目:ザイオン国立公園でショート・トレッキング

7月28日(走行距離:孝明 211mile 美枝 0mile)

 快適なキャンプ場を後にして,今日は再び暑い暑い地上に降り,ザイオン国立公園へと向かう.ここはユタ州.灼熱地獄のアリゾナ州を抜けたのだから,と期待したのも束の間,ユタも変わらず炎熱地獄だった.

 89号を再び北上し,途中で9号に入りザイオンへと進む.やはり暑い.昨日の涼しさを経験しているので,いっそう堪える.昼前にはザイオン国立公園のゲートに到着した.ここは今まで見たようなぎざぎざの岩を上から眺めるというよりは,赤い巨大な岩の壁を下から見上げるという感じ.ゲートを入ると間がなくトンネルがいくつもでてくるのだが,このトンネルをくぐるたびに視界に入る全く違った巨大な岩の光景に圧倒された.ここはザイオンーマウント・カーメル・ハイウェイと呼ばれる急坂の道.大きな升目模様のチェッカーボード・メサと呼ばれる斜面などが有名だ.岩の色も今まではもっぱら赤いものが多かったのだが,ここでは白っぽいもの,青みがかったもの,黄色っぽいものなどさまざまな種類が見られた.

 さてこの曲がりくねった山道を抜けるとビジターセンターに到着する.ここでのメイン・イベントはナローズの河上りだ.ザイオンの一番奥まった所から峡谷を上流まで歩いて上ることができるのだ.大きな岩壁に挟まれた狭い川の中を歩くコースなので,ナローズと名付けられている.川の中のトレッキングなんてやったこともないので,非常に楽しみだ.ただし,河の水量が多いと危険なので入ってはいけない,といわれているので最初にそのチェックが必要だ.山の上でスコールがあると,水量が見る見るうちに増加し,突然水位が腰から首になってしまうというわけだ.トレイルの入り口にその日の水量が表示されていて,今日は「High」という表示.「Extreme」だと絶対に入ってはいけなくて,「High」では危険で避けるべきだということだ.う〜ん,残念.どうしようか,と夫と相談するが無理は禁物なので,とりあえず今日は見送ることとする.明日もう一度チャレンジしてみよう.

 ということで,園内を車でまわりながら2時間程度の軽いハイキングをすることにした.その前に腹ごしらえ.ここには宿泊施設としてザイオン・ロッジが一軒だけある.そこで昼食をと思うが,こじんまりした施設なのでファスト・フードしかない.しかも激混み.たっぷり待っても涼しい冷房の効いた店内で食べるには席の確保が大変だった.外はいつもの通りの猛暑.ほんとに夏の国立公園てやつはどこへ行っても混雑ばかり.しかし,このロッジはたいへんきれいな施設だった.立派なレストランもついているし,外からの雰囲気も二重丸.こんな所に泊まれたらステキだろうなあ,と思う.総じて夏はどこのロッジも満員でかなり前から予約しないと泊まれない.ヨセミテやグランド・キャニオンなどの超人気公園は半年以上前でないと予約はとれないと聞く.私たちのような行き当たりばったりの旅行者には所詮,無理な相談だ.いつか,年取っておじいちゃん,おばあちゃんになったらこんなところでゆっくり優雅に泊まろうね.

 昼を済ますと,車を置いてハイキング.ザイオンは真ん中を流れるバージン川の浸食した岩山を両側にいただく細長い公園だ.車道も一本だけ.だから川を越えればすぐに切り立った山に続くトレイルが伸びている.猛暑とはいっても川があるのでいくらか木や草がはえており,ハイキングするにも日陰ができて,さほど辛くはない.小さな小さな池(プールと書いてあったので水たまりに近い)を二つ見る.かわいい滝もついている.豪快な景色ばかり見てきた者にとっては物足りないが,それでも涼しくて2時間のトレッキングを気分良く楽しんだ.

 ナローズのトレッキングの夢破れたので,今日はこのくらいでキャンプ場へと思ったのだが,その前にビジターセンターから西側にほんの1マイルで行けるスプリングデールという町に寄った.モーテルやレストランの立ち並ぶ町.久しぶりにお店をのぞいたり,町をうろうろする.そして急遽夕食を中華にする.うーん,こんな所にも中華料理店.日本人にとってはまさに救世主.東や西の大都会ならいざ知らず,こうした小さな町ばかり通っていると中華料理というのはまずお目にかからない.あるのだろうけど,そんなもの探している暇はないのだ.だから外食となるともっぱらアメリカ料理になってしまうので,今日は貴重な中華の日となった.久しぶりだとおいしいよね.力も沸くというものだ.こんなことを書くというのは,ほんとに中華料理というのが私たちにとってどんなにありがたいかを如実に表しているからなのだ.国立公園とはなんの関係もないのだけどお許しを!

 本日の宿泊地はザイオンから東側に少々離れたグレンデイルという所のKOAにした.とても快適なスプリングデールのモーテルにも心惹かれたが,基本形に戻ってキャンプ.ザイオン公園自体は非常に暑いが,少し離れたこのキャンプ場は緑の草もふさふさとしてなんだかほっとした.馬もいる.ミニ牧場ってやつで子供がポニーに乗れるようだ.しかし私は馬は当分ごめんだ.まだお尻の痛みは残っている.おまけに馬のうんちの臭いがキャンプ場までほのかに流れてくる.まいったな.シャワーを浴びたり,久しぶりに洗濯をして今日は早めに休む.明日こそはナローズ挑戦だ.


Written by Mie Takeuchi. Edited by Takaaki Takeuchi. Last Modified on June 2, 1997.

[13日目:ノース・リムでミュール乗りに挑戦(7/27/94)]

[15日目:ザイオンのナローズ峡谷を遡るトレッキング(7/29/94)]

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