32日目:バッド・ランズ国立公園でプレイリードッグとご対面

8月15日(走行8距離:孝明 232mile 美枝 197mile)

 国立公園最後の日はバッドランズの公園の中の要所要所をチェックしながら東から西へと移動する.化石の採掘現場を巡るちょっとしたトレイルなんかもあり,ちょっと散策してみるが,これはトレイルのところどころにガラスケースに入った化石が置いてあるだけで,思ったほど感動的でも刺激的でもなくちょっとがっかりする.

 最後は西の端にあるプレイリー・ドッグ・タウンに行ってみる.タウンと言っても人の住む町ではなく,野生のプレイリー・ドッグがたくさん生息している野原だ.プレイリー・ドッグは写真で見る限り,犬というよりはりすに近い.地面に穴を掘って暮らし,ときどき外にでてくる.後ろ足2本でちょこんと立ち上がる姿はなんとも愛らしく,誰でも可愛いということ間違いない.さて,着いた野原には巣穴があちこち山のように空いている.すごい数だ.穴からちょこっと顔を出し,様子を窺っては出てくるのだが,動きはすばしこい.写真を撮ろうと待機してるのだが,人の気配をすぐに察知するのかなかなか出てこない.近寄るとささっと隠れてしまう.立ち上がった姿を写真に収めるため随分と時間を費やした.おまけにここでものそっと野生のバイソンが登場.バイソンとプレイリー・ドッグのツーショット(+サルの旦那のスリーショットも)とはなかなか良いのが撮れた.

 バッドランズにはこのほかにもいくつか歩くトレイルもあり,本当はもう少しゆっくり見て回りたかったが,そもそもが「立ち寄る」程度にしか考えていなかったので,そろそろ最後の国立公園を立ち去ることにする.いったいいくつの公園を回ったのだろう,もっともっと見たいような気もするし,これで良かったんだ,と十分満足の気持ちもする.さあ,ボストン向けて出発だ.再び90号へと出るのだが,このウオールという町には変わった所がある.道路沿いにしつこいほど並ぶ立て看板でお馴染みの「ウオール・ドラッグ・ストア」.サウスダコタに入ってからずっと夥しい程の立て看板が出ていた.このような看板広告の少ないアメリカでは非常に珍しい.どうやらこの辺の名物らしい.あまりにも派手でしつこいのでこれは一つ寄って見ることにする.

 さて,目の当たりにした「ウオール・ドラッグ・ストア」はドラッグストアというには語弊がある.元はドラッグストアだったのだろうが今やウエスタン風の一大ショッピングセンターだ.なんでもある.呆れてしまって声もでない.バッドランズよりも観光客が来ている.が,私たちも久しぶりの店に思わず楽しく見て回った.売り物の(なんと)5セントのコーヒーと軽食でランチを済ませ,いざ出発.

 この日は90号をひたすら東へと進む.サウスダコタの西からミネソタ州へ入る.90号は良く見るとかなり北を走る道なのだ.まっすぐ行くと5大湖にぶつかる.とにかく一日中ひたすら走り続けていたので,実はあまり記憶がないのだが,道は平坦でまっすぐ,まわりの景色は見渡す限りの牧場や草原だったと思う.ときどき大きな町を通り,その間だけ交通量が増え,ビルや家が見えるという具合だ.ひたすら走ったわりにはさほど進めず,このミネソタ州の中程,ジャクソンという所で夜になる.今日はキャンプのつもりなので久しぶりにKOAのキャンプ場を探す.

 90号からすぐの所に静かな雰囲気の良いキャンプ場あり.あたりは一面のとうもろこし畑で,これはフィールド・オブ・ドリームスの雰囲気だね,と盛り上がる.涼しいし,芝生があって気持ちよい.と,喜んでいたのも束の間.この後日が暮れていざ食事をしようという段になって,蚊の襲撃をうける.とうもろこし畑ががんだったのだ.蚊に極端に狙われやすく,弱い私にとっては地獄の一夜だった.温かい食べ物と人間に誘われたのか,その蚊の数といったら尋常では考えられないほどだ.食べようとする口元まで蚊が襲ってくる.薄手のスパッツだけだったのでしまったと思った時には時既に遅く,足中蚊だらけ.暗闇の中なので良く見えなかったのだが(見えなくて幸せだったかも),もう全身出ている皮膚は食われまくった.蚊で腫れ上がった私の体を見て唖然とする旦那.テントの中でブツブツ言いながら薬を塗りまくってさんざんな一夜を呪う.ミネソタの印象はすこぶる悪い.とうもろこし畑も大嫌いだ.


Written by Mie Takeuchi. Edited by Takaaki Takeuchi. Last Modified on June 11th, 1998.

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