キャンプは日本でも慣れている私だが,1カ月以上もテントで暮らすとなると心配性の私は一層不安になる.おまけにボストンから自家用車で行こうと言うのだから,ほぼ大陸横断,いや大陸往復だ.病気大丈夫かな?車故障しないかな?などなど不安はつきない.おおらかな夫は,なんとかなるよといつもの調子で笑いとばし,いそいそと旅行計画を練っている.しかし脳天気な彼も今回はさすがに慎重だ.事前に車の点検もしっかり行い,タイヤも交換した.愛車は87年型トヨタカムリ・ステーションワゴン.今のところ大きな故障もなく良い車だが,やっぱりちょっと古い車だ.大陸半周するくらいの距離を走るのに果たして耐えうるのか?南の暑さは半端ではないらしく,どんな車でも冷却用の水を持って走るという.この車がテキサスの砂漠のど真ん中でダメになったら,私はどうやって帰ってくるのだろう?
そんな私の心配をよそにして,準備は着々と進んでいく.それにしても膨大な荷物になりそうだ.日本から持参のテント,寝袋,キャンプ用品は総動員だが,キャンプ大国のアメリカなので新たに必要な品を補充するにも事欠かない.とにかく安いので,うきうきと店巡りをしては小物が買い足されていく.これって帰国の時持って帰るつもりだろうか?どこに置くのか考えて買って欲しい!
私はもっぱら食料調達.米は無くては生きられない.鍋でも米は炊けるが,アメリカのキャンプ場は電源が使えると聞いたので炊飯器も持っていこう.(結局は一度も使わなかった.もっぱらお鍋で炊いたので,帰ってくる頃にはめちゃくちゃ上手に炊けるようになったものだ.)米以外ではインスタント食品の勢揃い.味噌汁,カレー,魚の缶詰,海苔,マーボー豆腐の素などの中華調味料,うどん,餅などなどを日本食材店で揃える.(このうどんや餅が疲れて食欲の無い時にどれほどおいしかったか・・・.)野菜,肉,パンなどは新鮮なものを現地で調達することにしよう.農業大国なんだから.
服は最低限にして,洗濯をしながら旅をしよう.どの写真も同じ服で写ることになりそうで,一応レディのつもりだからちょっと悲しい.山は冷え込むのでフリースのセーターやジャケットは必需品だ.化粧品だけはしっかり一揃え持ってく.(でも結局化粧もそこそこになってしまった.どんな予防をしようともとにかく日焼けはすごいし,夜の冷たい水ではゆっくり化粧落として顔なんか洗ってる場合ではなかった.それにキャンプしてるアメリカ人に化粧の濃い人なんていない.そもそも国立公園に自然や動物を見に来るのにそんな化粧なんて合わないんだって事になんとなく気づくようになった.ツアーで来る団体さんのおばあちゃまや日本人くらかな,化粧の濃かった人たちって.)
それから,キャンプ場についての情報も集める.今回の旅は基本的にキャンプ.国立公園内では公園が管理するキャンプ場を利用するが,それ以外はKOA(Kamp of America)という会員制キャンプ場のチェーン店を使おうとしている.サイトは全米に散らばっていて,だいたいが高速道路からそれ程遠くない所にあり,小さな売店とランドリー,シャワーがついている.所によってはログハウスのキャビンやプールもある.旅に出る前に,ボストンから比較的近いメイン州にあるKOAのキャンプ場に行き,自分の目で設備を確かめてみることにする.林に囲まれたとてもきれいなキャンプ場だ.日本の汚くて狭い,何でも高いキャンプ場に比べると月とすっぽん.即決で会員券を買い,全米のKOAのサイトが載っている地図を入手する.金額的にもたいしたものではなくこれだけの清潔で安全な施設に泊まれれば言うこと無い.ちょっと安心.
出発の前日になって,バスルームの天井から大雨のような水漏れが!多少の水漏れはいつもあるのだが,今回のは激しい.あわてて夫が大家(フロリダ在住)と電話で連絡をとったが,原因はいつもの通り2階の住人がシャワーカーテンを閉めずにシャワーを浴びて床中水浸しにしただけのことだった.でもおかげで天井のペンキは剥げまくってしまった.このまま一月以上も留守にしたら,帰ってきたらバスルームが使えなくなってるんじゃないだろうか?さらに不安が増加する.
そんなこんなの準備が済んでいよいよ出発の朝になった.留守中の家の鍵は友人の迎家に頼む.泥棒避けに,リビングルームのライトにタイマースイッチを取り付け,夕方から朝方まで点灯するようにしておく.何事も起こらなければ良いのだけれどね.祈るようにしていざ出発!