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07/09/30
ファインメット(R)製コアの出力トランスに換えたら・・・

07/09/22
NS工房オリジナルの211無帰還アンプ発売計画 進行中

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ファインメット(R)製コアのノイズフィルターの威力

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ファインメット(R)製コアのチョークコイルの感動

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ドボルザークの一風変わった味わい深い演奏

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バランス入力付きNS-3を仕事部屋のサブ・システムにも導入

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07/04/14
バランス入力付きNS-3を仕事部屋のサブ・システムにも導入

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06/09/06
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06/08/06
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06/06/13
製品版NS-3の1号機が完成!

2007/9/30 - ファインメット®製コアの出力トランスに換えたら・・・

・・・そこにコンサートホールが出現した。

ファインメット®製コアの出力トランスの納品が遅れそうだと聞いていたのですが、意外にも早く昨日(9/29(土))手元に届きましたので、大喜びで妻と一緒にまずはバラック状態で試聴しました(オーディオラックの幅が足りないので、あらかじめ近所のホームセンターでMDF合板を調達しておきました)。今日の記事では、とり急ぎ概要だけご紹介します。

ファインメット(R)製コアの出力トランスの試聴環境

これまで通り、音の印象をキーワードで表現するとしたら、「スムースかつ端正な美しい音」「各音域の均整が取れた響き」といったところです。ざらざらしたところの全くない非常に滑らかな音であると同時に、ピアノの打鍵時の鋭い音、金管楽器の音、打楽器を叩いた瞬間の音などで「角が取れて丸くなること」は決してありません。

そして、どこが「コンサートホール」そのもののように感じたかと言いますと、聴いている曲の弱奏部の音がよく聴こえる位置にボリュームを合わせても、曲がフォルテシモに達したときにボリュームを下げないでも決して「うるさくない」「不快なほど大音量ではない」のです。逆から言うと、今までよりボリュームを絞った位置でも小さな音が十分に耳に届いてくる、ということです。これって、コンサートホールの場合と同じですよね。小さな音までよく聴こえるし、フォルテシモでも耳が痛いほどではない。

私は耳に心地よい音量が好きです。そこで、今までは弱奏部ではリモコンで音量を上げ、だんだんフォルテシモに盛り上がってくると音が大きすぎて不快になるのでリモコンで音量を下げる、ということの繰り返しでした。それが理由で、管球パワーアンプを使うようになってからもずっと半導体製のリモコン付きプリアンプを愛用してきました(参照: 雑記帳 2004/12/22)。

これからはもう、音楽の進行に応じてちまちまと音量ボリュームをリモコンで上げ下げ必要がなくなりますね!

皆さんを驚かせる写真をお見せしましょう。我が家のまさに「リビングの片隅に置いた」メイン・システムのリスニング環境です。

驚きのリスニング環境

右スピーカーは石膏ボード壁のすぐ脇で、ベランダの窓があり、夜はカーテンを閉めます。左スピーカーは妻のパソコンと私の書類ケースにほとんど密着状態で、その左側はダイニングスペースで広い空間が開いています。スピーカーの間隔は約1.5mで、試聴位置までは約1.7m。もっともNS装置のおかげでかなり広い範囲で明瞭なステレオ感を聴き取れますから、スピーカーの前後左右を動き回って聴いていることや、左スピーカーのさらに左後方にあるダイニング・テーブルの椅子に座って聴くことさえあります。

こんな悪環境で「コンサートホールが出現した」と言われて、皆さん信じられますか?

さらなるサブライズを1つ。ギターの独奏、少人数の伴奏(各種パーカッション、ビアノ、バイオリン)による女性ヴォーカルの演奏、小編成のクラシック音楽を聴いてみました。

メインスピーカーの上に小さなスピーカーが載っていますが、これは私の仕事部屋で使っている小型スピーカーです。1ペア 1.5万円で購入したものですが、低音から高音までよく鳴るワイドレンジの2ウェイスピーカーで、一番最初に自作した211シングル無帰還モノラルアンプで鳴らしていますが、楽器が見えるようなリアルな音で気に入っています。

「どっちのスピーカーが鳴っているのか分かる?」
「下にあるサンスイのでしょ」 (1989年発売のSP-1000。1台13万円)
「いゃ違う。上の小さいほうだよ」
「そんな! 信じられない。さっきと大差ないじゃない」

さすがにフルオーケストラでは差が出てしまいますが、室内オーケストラ(例えばイ・ムジチ合奏団の「四季」)程度までなら、何と1ペア1.5万円のONKYO製小型スピーカー(5.1chサラウンド等のリアスピーカーが主用途)でもコンサートホール(あるいはライブハウス)を出現させることができてしまいました。これにはさすがに驚きましたね。

これはみな、ファインメット®.製コアとNS回路の相乗効果によって実現されたものと私は理解しました。詳しくは、近日中にご説明しようと思います。

[ * 「ファインメット®.」「ファインメット(R)」は日立金属(株)の登録商標です]

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2007/9/22 - NS工房オリジナルの211無帰還アンプ発売計画 進行中

211/845アンプを「組立代行」の形で販売を始めましたが、その後、ファインメット®.という特殊合金をコア材に用いたトランス類をアンプに組み込むと驚くような音質の向上や改善が見られたことを、これまで2回の記事でご紹介しました。今は、211シングル・アンプ専用仕様で発注したファインメット®.製コアの出力トランスの納品を待っているところです。

このような経緯の中で、組立代行ではなく、正式なNS工房のオリジナル商品として“究極の211アンプ”を組み上げて発売しようという気持ちが私の中で固まりました。この1か月ほど、そのための下準備をしながら、お客様からの注文品を製作していました。

組立代行アンプからの変更点としてまず実行してみたのは、ドライバー管の変更です。最初は「KT88、局部帰還あり」だったものを、似たような特性を持つ別の真空管「EL34(6CA7)、無帰還」に変更してみました。するとこれが意外にも好結果をもたらしたのは驚きでした。再生される音楽の「情報量」が増し、ファインメット®.製コアのチョークコイルとノイズフィルターによる「鮮明かつ精細」という特長がさらに向上したのです。どうやら、211のドライバー管としてはEL34のほうが適任のようです。

最初に試したのはAブランドのEL34でした。美しい表現力で、私好みの音に大満足でした。その後、(有)エコルの「主宰者」氏から「EL34をドライバー管にするのなら、いろいろな銘柄を試してみるとよい」とのアドバイスをもらいましたので、さっそく4ブランドほど取り寄せて試してみました。中には無帰還では歪みが多くて使えない球もありましたが、BブランドのEL34は非常にバランスの取れた音を出してくれました。この時点でAとBを比べてみると、Aブランドは美しい音ではあるものの僅かに中域が弱かったことに気付かされました。それに対してBブランドは超低域から超高域までまんべんなく非常にリッチな音を迫力満点で鳴らしてくれます。ただ、あえて難を言えば少々“野太い音”で“低域が出すぎ”という印象です。

そんなある日、組立代行アンプの1号機をご購入いただいたお客様からメールが届き、「片チャンネルから“カサコソ”という雑音がする」とのことでした。初段管の12BZ7のピンは製造後50年かそれ以上経過する間に酸化して接触不良を起こしやすい状態で、しかもヒーター以外は微小な電流しか流れません。そこでオーディオ用の強力な接点復活材でクリーニングしてから納品したのですが、拭き方が足りなかったようです。そこで、その事情をお伝えし、真空管を少し揺らして接触を回復してみるようお願いしました。

その数日後、またメールが届き「カサコソ音は小康状態だが、アンプのボリュームを上げていったとき、右チャンネルと左チャンネルでS/N比の悪化するポイントが異なる。これは許容範囲だろうか?」とのお問い合わせがありました。

ハッとしましたね、このメールには。私が完全に見落としていた盲点です。私が使っているスピーカーは能率が比較的低いのでノイズを聴き取りにくく、大音量を鳴らす機会も多くありません。しかし、お客様の中には立派なリスニングルームで聴いておられる方もおられますから、スピーカーの能率やリスニング環境によっては、オーディオ用ではなくテレビ用に開発・製造された12BZ7では「シャー」「ジャー」というノイズが聴こえてしまうことがあっても無理はありません。そして、そのノイズの大小には個体差があるということです。私の使っている12BZ7で試したところ、片チャンネルは最大音量時でもノイズは聴こえず、反対チャンネルは最大音量時に少し「ジャー」というノイズが聴こえました。

お客様からの知らせにより、このタイミングでこの盲点に気付かせていただけたのは非常に幸いなことでした。1〜2週間後には製品版の試作機用にシャーシ加工を発注する予定だったんです。もちろん、12BZ7は日本の真空管店で大量の在庫を持っているところを見つけてあります。しかし、ローノイズ管を選別するとなると、使える真空管がどの程度の割合残るのか非常に不安です。そこで12BZ7を使うという危ない橋は渡らないことに決めました。

そもそも12BZ7を初段管に利用するようになったのは、SV-2(2003)の改造記の試聴レポートにも書いたとおり、初段管を12AX7(三極管2つをパラ接続)のままでは、「バイオリンの甘美な響き」を楽しめるものの、「交響曲などの大編成のオーケストラでは、全体的な音域のバランスがどことなく崩れているという印象で、やや物足りなくなります」。これを読んだ米国アラバマ大学の高橋先生(NSの原理を教えてくださった私の“恩師”です)が「初段管を、電流容量が2倍あるテレビ球の12BZ7に換えてみるとよい」と教えてくださいましたので、それ以来その真空管を使ってずっと211無帰還でソロ演奏からフルオーケストラまで、クラシック音楽に限らず、妻が聴くラテン系のヴォーカルやアコースティック・ポップスのヴォーカルなどを見事な音質と表現力で楽しんできました。歌声や楽器のリアルさは格別です。

その12BZ7を使うのが危ういとなると、電流を増やすために別の真空管を使うか、他に何か手はないか、頭をめぐらしました。まずは、ドライバー管をEL34に変更したことで情報量が増したので、この状態なら12AX7でも大丈夫かもしれないと思って、試しました。すると、フルオーケストラもなかなかよく鳴ってくれるのですが、いまひとつ迫力不足で、精細さも不足気味でした。真空管の仕様表が載っている参考書で12AX7系列の真空管に電流量の多い他の球がないか探してみましたが、ありませんでした。

ただ、12BZ7の備考欄に「12AX7をパラレルにしたのとほぼ同じ特性」と書かれているのを目にして、パッとひらめきました。12BZ7を初段管にして聴いているときは、いわば馬力の大きい馬が2頭立ての馬車です。では、12AX7を2本使って4つの三極管をすべてパラレル接続して“普通の馬を4頭立て”にしてはどうだろうか?

ここまでくると、居ても立ってもいられないのが私のいつものクセです。製作中の注文品の作業を一時中断して、“4頭立て”の試聴を行うべく秘密兵器を組み立てました。というわけで、現状の商品開発用テストアンプの状態は下の写真の通りです(2つのモノラルアンプの間に赤と黒の端子類が見えますが、これは出力トランスを接続して比較試聴するための準備です)。シャーシ内はもうパーツで一杯ですし、今さら穴あけは無理ですので、サブシャーシに12AX7用のソケットを2本つ取り付け、現在の真空管ソケットに簡易接続用に急ごしらえしたピンを差し込んで接続しました。シャーシ上面の上のほうに1本ずつ立ててあるのは、今まで使っていた12BZ7です(1ユニットで2頭分の“馬力”を持つ双三極管ですね)。

ECC83Sを2本挿す工夫

我が家にはNS工房の商品 NS-3 用にJJブランドのECC83S(12AX7)が大量に在庫していますので、それを使いました。JJの音質や表現力は、私の大のお気に入りです。そして結果はというと、「大成功!」。フルオーケストラの迫力や精細感が戻ってきました。さらなる副産物として「EL34(Bブランド) + 12BZ7」のときに気掛かりだった少々“野太い音”で“低域が出すぎ”という難点が解消されて低域のバランスがちょうどよくなり、しかも弦の甘美さがGE製の軍用VT4C(211)に匹敵するほど美しく鳴るようになりました。ブラインド・テストでパッと音を聴かされても、私の聴力と記憶力ではGolden DragonかGE NOSかを判別できないと思います。ちなみに、現在はGE製のVT4C軍用NOS管がアメリカのショップでも販売リストに載っていないという異常な状況になってしまったため、NS工房のオリジナル211アンプに使用する出力管はGolden Dragonブランドが頼りです(品質もずいぶん向上しました)。製造終了にならないことを願っています。

この初段管の“2頭立て”と“4頭立て”の違いを分かりやすく説明するとしたら「処理できる情報量が2倍になる」と言ってよいと思います。そう考えると、211という真空管を無帰還で使ったときに処理できる情報量、その潜在能力の大きさに驚かされます。だからこそ、精細かつパワフルというすばらしい表現力が生まれてくるのでしょう。それに、自然現象として真空管内部でどうしても発生してしまう二次歪(いわゆる倍音成分)が人間の耳にとても心地良いというのがまた何とも不思議で、面白いことだと感銘を受けます。また、古典的電気技術における能動素子の代表選手「真空管」、それが超高密度LSI時代の今でも立派に通用するというのも、実に痛快ですね。

さて、残る作業はファインメット®.製コアの出力トランスを接続した場合に、EL34のブランドAとBのどちらが相性が良いかを決めることです。ファインメット®.をコアとして利用した出力トランスは「音離れがよい」という評価を雑誌で読んだことがあります。スピーカーからポーンと勢いよく音が飛び出してくる、という雰囲気なんてしょうね。実は、現状のアンプでも音離れがよいと既に感じているんです。このうえ出力トランスもファインメット®.にしたら、音が小気味よくスピーカーから弾け出てくるような、「音と音の間に挟まった静寂」と「音そのもの」のメリハリのはっきりした音が聴けるのではなかろうか、そんな気がしています。

今後も“究極の211シングル無帰還アンプ”を目指して少しずつ工夫を重ねていくつもりです。進展があれば、またここに書きますね。どうぞご期待ください。

[ * 「ファインメット®.」は日立金属(株)の登録商標です]

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2007/8/27 - ファインメット®製コアのノイズフィルターの威力

前回(2007/8/17)の記事でご紹介したとおり、(有)エコルから購入したEx.Fieldブランドのファインメット®.製コアのチョークコイル「EL-702B」を211シングル・アンプに使用したところ、各楽器の音が非常に滑らかになり、得も言われぬ感動を味わいました。今回は、同社の主宰者の提案でその後に購入したファインメット®.製コアのノイズフィルター「EL-805A」が8/25(土)に届きましたので、さっそく接続して試聴したときの音の変化をご紹介します。

ファインメット(R)製コアのノイズフィルターの試聴環境

前回のテスト環境で、チョークコイルはファインメット®.製コアのチョーク「EL702B」を接続した状態に固定しました(アンプの外に置いたままですが)。そのうえで、写真の一番手前にある一回り小さいファインメット®.製コアのノイズフィルター「EL-805A」を接続し、前回同様「ミノムシ・クリップ」でこのフィルターを「通した場合」と「通さない場合」を比較試聴できるようにしました。フィルターの挿入位置は、B電源の整流回路のうちブリッジ・ダイオード回路の「コールド側(マイナス側)」とアンプの「アースライン」との間です。

聴き比べてみると「何かが違う」と感じるのですが、最初は微妙な差にしか感じないので、何度か切り換えながら「何が違うのか」を聴き分けるように努力してみました。すると、各楽器の“音の表情”がリアルになったことに気付きました。また、全体的に音楽の雰囲気感がいっそうハッキリと伝わってくるようになり、特に打楽器を叩いたときや金管楽器が大音量を鳴らしたときなどの空気感もよく聴こえてくるという印象です。さらに「伸びやか」「余韻が豊か」「今まで打楽器の陰に隠れていたような小さい音も耳に届くようになる」といった印象も受けました。

というわけで、前回のファインメット®.製コアのチョークを使用した場合の効果は「滑らかさ」というキーワードでまとめましたが、今回のファインメット®.製コアのノイズフィルターの効果は「鮮明かつ精細」といったところになると思います。そして、電源回路を高純度なものにグレードアップするこの2種類のファインメット®をコアに利用したチョークコイルとノイズフィルターは2つをセットで使用して初めて、電源回路にファインメット®製のコアを利用したトランス類を採用することによるメリットを最大限に引き出せるのだろうと思いました。再生される音楽のリアリティーが格段にアップするのです。

細かい点を挙げていくとすれば、まず、バイオリンなどの弦の音が微妙に震えるところまで再生され、リアルさが増すように感じました。木管楽器や金管楽器も同じで、微妙な音の表情、揺れ動き、陰影が再生されるように感じます。

コントラバスの含まれている曲を聴くと、特に低域方向の解像度が増したことがよく分かります。今まではブーンブーンと少々こもりがちの音で唸っていたような音が、音程や音の表情が分かるほどリアルに、また明瞭に聴こえるようになりました。

ティンパニーの一番低い音や、大太鼓の音も同じです。今までは大太鼓のボーンとか、ティンパニーの最低音を連打したドロドロドロ〜とか、低音打楽器の大きな音はとにかく唸るように鳴っているだけに感じていましたが、大太鼓を叩いた瞬間から次第に音が小さくなりながら音程も変化していく様子など、そんなところまで聴き取れるような印象を受けました。

我が家のメイン・システムで使っているスピーカーはサンスイのSP-1000という「小型ブックシェルフ/専用台付き」の2ウェイSPで、ウーハーは21cmと小型です(SP本体のサイズは幅27cm、高さ45cm、奥行30cm)。背面にダクトがあって壁から10cmほど離して設置すると低音が充実するというSPです。ファインメット®.製コアのノイズフィルターを追加するという今回の試聴を通して、今までの211アンプでは「低域はそれなりに出ていたものの、いまひとつ明瞭さや鮮明さに欠けていた」という事実に気付かされました。もっと大きいウーハーを備えたスピーカーで聴くと、また違った結果になるのかもしれませんが…。いずれにせよ、このようなコンパクトサイズのスピーカーでもコントラバスの低いほうの音の“表情”まで聴き取れるようになったということは、それだけこのアンプの低域の解像度が増したということであり、音圧も増したということなのだと思います。

このシンバルのあと大太鼓がドンドーンと2回鳴る

大太鼓の音やコントラバスの低い音の変化を試聴しやすい曲は、チャイコフスキーの交響曲第6番「悲愴」の第3楽章です。この写真は、「悲愴」交響曲の演奏で私が大のお気に入りにしているファビオ・ルイージ指揮/NHK交響楽団の演奏の一場面で、シンバルをバシャーンと鳴らして大きく両手を上に掲げたあと大太鼓がドンドーンと2回鳴ります(テレビは21インチ。この演奏については雑記帳2006/10/22でご紹介しました)。その音が、ファインメット®.製コアのノイズフィルターなしではボンボーンと唸りのような不鮮明な音なのですが、ノイズフィルターを入れると音の表情も聴き取れる感じで「ドン」「ドーン」と聴こえてきて、低域の明瞭さや精細さが増したことがよく分かります。またこの楽章ではコントラバスがかなり低い音で弦を鳴らしたり、ピッチカートで弦をはじいたりする部分も多いのですが、それらの音もいっそうリアリティー溢れる音に変化し、こんな小さなスピーカにもかかわらず、まるでコンサートホールにいるかのような臨場感に浸ることができました。

そのほか、コントラバスや低音打楽器の音の変化を試聴しやすい曲としては、ベートーベンの「運命」交響曲の第3楽章から第4楽章(コントラバスだけで主旋律を奏でる部分もありますよね)や、R・コルサコフのシェエラザードの冒頭部分などが挙げられます。これらの曲を聴くとき、低音楽器だけでなく、中音域から高音域の楽器の音にも注目してみると、やはり解像度がアップして音の表情を聴き分けやすくなっていることに気付きます。

この試聴感を主宰者氏にメールでお伝えしたところ、その良い方向への変化をどのような理論で説明できるかを教えてくださいました。氏の説明を私なりに要約してみますと『B電源の整流時に発生するダイオードのスイッチング・ノイズがアンプ回路のアースライン(GND)に流れ込むと、そのノイズと楽器音の立上りや立下りが重なってしまったとき、音質が劣化するに違いない。しかし、今まではその事実を確認するためのパーツが存在しなかった。ところが、ファインメット®製のコアに巻いたノイズフィルター・コイルを製作し、そのパーツを整流ブリッジのコールド側とアースラインとの間に挿入接続して両者を交流的に切り離してみたところ、(1) 確かにダイオードのスイッチング・ノイズが音質を劣化させていたこと、(2) ファインメット®.製コアのコイルをノイズフィルターとして利用するとその劣化を解消できることを確認できた(皆さまご存知のとおり、コンデンサは直流を通さず交流のみ通しますが、コイルは逆に直流のみ通して交流は通しません)』とのことです。

この説明で「なるほど!」と理解なさった読者の皆さんは、この後の内容をお読みにならなくて構いません。私は「なんとなく分かったような…、でも具体的にはどういうことなんだろうだろう?」という感想でしたので、この機会に勉強してみました。参考となるサイトは「ダイオードのリカバリー特性」というWebページです。

【技術的説明が中途半端で終わっていて申し訳ありません。近日中に別の記事でご説明します】

[ * 「ファインメット®.」「ファインメット(R)」は日立金属(株)の登録商標です]

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2007/8/17 - ファインメット®製コアのチョークコイルの感動

近頃、トランスの分野で「ファインメット®」なる言葉をよく耳にするようになりました。秋葉原の有名なトランス販売店「ノグチ・トランス」でも、ファインメット®製のコアを搭載した出力トランスやチョークトランスが販売されており、いつも在庫僅少の状態です。

過日、興味のあったファインメット®製コアのチョークコイルを(有)エコルという会社で購入しました。同社では「Ex.Field(エクス・フィールド)」というブランド名でファインメット®製のコアを利用したトランスをはじめ、その他のトランス類や管球アンプなどを販売しています。ちょうど私が「組立代行」のアンプで使用しているチョークコイルと全く同じ仕様のファインメット®.製コアのチョークコイルがあったので、それを使って試してみようと思った次第です。

ファインメット(R)製コアのチョークコイルの試聴環境

さて、肝心の音質の変化ですが、聴いてみて驚きました。僅かな変化なのですが、今までに聴いたことのない音です。何か“禁断の音”を聴いてしまったような気がします。一旦これを聴いてしまうと、他の音がみな陳腐に感じてしまう・・・

現用のオリエント・コアのチョークと比較できるように「ラグ板 + みのむしクリップ」で簡易切替機構を付けて試聴しました(900V超の電圧が剥き出しで怖いですが…)。ファインメット®.製コアのチョークコイルが奏でる音楽のキーワードは「滑らかさ」だと思います。素顔の211(無帰還)の柔らかで甘美で繊細で解像度の高い音に「滑らかさ」が加わり、得も言われぬ美音に私も妻も聴き惚れました。小編成の曲やヴォーカルのほうがその僅かな音質の違いを聴き分けやすいと思います。耳が慣れ、チョークのエージングが進むと、フルオーケストラでも「滑らかさ」が判るようになりました。しかし決して「迫力」は失われず、むしろアップします。ここぞ! という時の電力の供給量が格段に大きくなったのだと思います。そして解像度もさらにアップしています。このアンプは元々ピアノの音も見事だと感じていたですが、ハンマーがーが弦を叩くときの衝撃音から弦が響き終わるまでの一連のピアノの音の変化が「滑らかになって丸くなるの」では決してなく、むしろいっそうリアルなピアノの音になったとも感じました。

高品位なDC電源の効果

Ex.Fieldというこのオーディオ・ブランドを売り出している(有)エコルの主宰者の説明によると、この音質変化の要因はB電源のDC化が高品位になったことにあるそうです。どんな管球アンプも、コンセントから取り出したAC100Vの交流を電源トランスで昇圧し、ダイオードや整流管で脈流に変換し、平滑コンデンサやチョークコイルで平らにして直流(DC電源)を得ているわけですが、その直流の「平坦さ」が格段に増したということです。その結果として出力波形に無駄な凸凹が減り、音が滑らかになったと考えられます(右上の図で、下側のサインカーブの波形は出力される音楽の波形とお考えください)。

さらに同氏は、「大きなスイング時の瞬間的追従性能」がアップするとも説明しておられました。古くから、電源回路のチョークコイルは平滑用の電解コンデンサと組み合わせることによってACリップル(50Hz / 60Hz)を除去する目的で使用すると考えられてきました。確かに、その目的があることに間違いはありません。ただ、さらに説明していただいたところ、その平滑回路で平坦に保たれるのはB電源の「電圧」だけであり、低音域から高音域までさまざまな周波数を出力するオーディオ装置の電源には、さまざまな周波数の「電流」が大小さまざまな量だけ引き出される際にも過不足なくそれに追従できる能力が必要なのだそうです(皆さまご存知のとおり、オーディオ機器の増幅回路では、電流値の変化を電圧の変化に変換したり、その逆の変換をしたりすることが回路内の各所で行なわれています)。

このような「電流の変化」に注目した場合、従来から利用されているオリエント・コアもハイライト・コアも、電流変化に対する追従性能が周波数帯域によって異なる場合がある、つまり周波数帯域によっては電流変化に対応できず、増幅回路に供給するべき電流量が必要量に比例しない(過不足がある)場合があるため、結果として「電流変化に対する追従性能が歪んでいる」という現象が起こります。これは、右上のグラフの縦軸を「電圧」ではなく「電流」に読み替えた場合の「DC電源のノイズ」に相当しますので、その結果として出力される音楽信号の波形も“滑らかでなくなる”というわけです。

それに対して、ファインメット®製のコアを利用したチョークコイルは極めて優れたコア特性を備えているため、これを使用した電源回路は、どんな周波数帯域でどんな量の電流スイングが要求されても、増幅回路に対して歪むことなく必要量の電流を過不足なく供給できるとの説明でした。その結果として、私たちが試聴したときに感じた「音の滑らかさ」が実現されると共に、音楽がフォルテシモに達して大電流が必要とされる瞬間にも、あらゆる周波数帯域で必要十分な量の大電流が供給されるので「解像度を失わずに迫力が増す」という試聴感が得られたわけです。

この「迫力」を試聴するのにいちばん分かりやすい手持ちの音楽ソースは、小澤征爾/ベルリン・フィルによるチャイコフスキーの序曲「1812年」の大砲音です(→詳細・購入(Amazon))。ナチュラル・サウンド回路を通すと少し奥からこちらへ向けて球が発射されているように聴こえ、さまざまな方向から発射音が響いてきます。シンセサイザーなどの合成音ではなく、本物の大砲音の録音を演奏の後から付け加えた(あるいは演奏中に再生した)もののようです。ファインメット®製のコアに換えてから聴いたところ、本当に何かが爆発したかと聞き間違うほどリアルに、ドスーンという低音からバシャーンという高音まで物凄い迫力と解像度で鳴りました。

[一部訂正 2007/8/20]
上の段落でご紹介した序曲「1812年」の試聴感は、2つの演奏に対する感想が混在していました。お詫びして、訂正いたします。
本物の大砲音らしきものが収録されているのは上記の「小澤征爾/ベルリン・フィル」による演奏です。この演奏では迫力満点の爆発音がほぼ中央で何回も響き渡りますが、音像は平面的です。それに対して、「少し奥からこちらへ向けて球が発射されているように聴こえ(る)」というのは「シャルル・デュトワ/モントリオール響」による演奏(→詳細・購入(Amazon))で、いろいろな方角で鳴っているのが判ります。花火の音のようにも感じます。ライナーノーツの説明によると、これはシンセサイザーによる合成音だそうです。この曲、大砲の音を再現するのにいろいろな方法が採られているのですね。

長い説明になってしまいましたが、最近のトランス業界で「ファインメット®製のコア = 高性能 ⇒ どんなトランスに利用しても高性能化できる」という少し安直な考え方が一人歩きしているような印象を私自身も受けていましたので、同氏にメールで説明していただいた内容にさらに言葉を付け加えつつ、ここに書いてみました。

なお、同氏から、このアンプの場合はチョークにのみファインメット®製のコアを利用すれば十分ではないかとのアドバイスをいただきました。ただ、高周波ノイズ対策として電源部に「電源系ノイズフィルターEL-805」を追加することは検討に値するそうです(採用するとしたらケース入りのEL-805Aになります)。HPの商品説明によると『SN比が格段に向上し、極低域まで解像度と定位が改善される』とのこと。これはぜひ試してみたいと思っています。

その上で、私がお作りする211/845アンプにこのファインメット®.製コアのチョークコイルとノイズフィルターをセットで搭載するグレードアップ・オプションを計画しています。価格は、アンプ本体価格(211アンプの紹介ページでご説明したBlack Gate電解コンデンサ搭載後の改定価格)に「プラス7万円」の予定です。

では、出力トランスもファインメット®製のコアにしたらどうなるのか? これも試したくなりますよね。今、見積をお願いしているところです。これはかなり高価になりそうです。そして、音質の変化はさらに「僅か」なものに過ぎない可能性を感じています。ファインメット®という素材がノイズや歪の軽減に効果を発揮するものであることを考えると、今のS.E.L製のトランスとの歪率の違いが音質の差になるわけです。どれかくらい変わるものなのでしょう? もしごく僅かなら、その「ごく僅か」のために「さらに8万円かそれ以上」を掛ける必要があるのかどうか、これは各人の価値観の問題でしょうね。私自身の価値観では、費用と品質が比例しないのなら、そのコストは掛けたくないというのが本音です。もっとも、ファインメット®.製コアのチョークコイルを導入した場合の音質差も「僅か」です。しかし、その音質差は他のパーツ類のグレードアップでは得られない“貴重で”かつ“付加価値の高い”音質差だと感じました。その理由で私は、ファインメット®.製コアのチョークコイルを導入するオプションは「費用と品質が比例する」と判断しました。皆さんはどうお考えでしょうか?

[ * 「ファインメット®.」「ファインメット(R)」は日立金属(株)の登録商標です]

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2007/8/5 - ドボルザークの一風変わった味わい深い演奏

確か今年の3月28日、午後2時からのNHK FMでのクラシック音楽の番組だったと思います(この話を書こう、書こうと思いながら、ずいぶん遅くなってしまいました)。「次はドボルザークの交響曲第8番です」というアナウンスに続くオーケストラ名と指揮者を聞いたらとても意外な組み合わせなので興味を惹かれました。チョン・ミュンフン指揮/ウィーン・フィルだというのです。

そして、演奏を聴いてみたら、これまた驚きました。今まで聴いたことのない実に個性的な“ドボ8”なんです。これは面白い演奏だ。CDが手に入るのなら買っておきたいと思い、その日の夕方にNHKの番組表でCDの番号を調べ、アマゾンのサイトで調べてみると、すぐに見つかりました。「残り3枚」といった表示は出ていなかったので、ある程度の在庫は残っていたのだと思います。そこですぐに購入手続きをすればよかったのに、頭を冷やしてからなどと考えてしまい、翌日になって「やっぱり買おう!」と検索したらビックリ。もう品切れです。

NHKの番組の影響力は絶大ですね。この演奏を聴いて「面白い!」と感じたドボルザーク愛好家は日本中に大勢いて、おそらく当日中にCDは完売になってしまったのでしょう。納品まで4週間となっていましたが、とにかく注文しました。しかし、1か月ほど経ってようやく「納品まで1〜2週間」に変わり、その後ずっとその表示のままです。つまり、メーカー在庫切れの可能性「大」です。でも、注文数が多いのでアマゾン側は必死に探しているんでしょうね。

今ならマーケットプレイスで手に入りますので、関心のある方はお早めに:
ドボルザーク交響曲 第6番 & 第8番

私は、アマゾンのマーケットプレイスに中古品が出品された時に、今度は即購入しました。そして、じっくりと聴きなおしてみると、なぜ個性的で面白いと感じたのか、いろいろと見えてきましたので、個人的な感想を書きたいと思います。

“ドボ8”は「新世界」交響曲に次いでよく演奏されるドボルザークの交響曲だと思いますが、多くの指揮者やオーケストラではテンポよく元気に、そしていわゆる“泥くささ”全開というタイプの演奏になるように感じます。ところが、NHKのFM放送で聴いたこの演奏は、ひと味もふた味も違います。ウィーン・フィルの弦の音色やテンポ、そして音量がチョン氏の指揮棒に呼応して変幻自在、きしみを上げるような強奏から甘美で柔らかな弱奏まで、さすがウィーン・フィルの弦楽器群は音色のパレットにいろいろなカラーが満載ですね。また、標準的な演奏スタイルより金管楽器がおとなしめに綺麗な音を鳴らしているのも特徴的で、これも“泥くささ”を消すのに一役買っていると感じました。

そして、いちばん光っているのは、チョン氏がこの交響曲の中に埋もれている「美しいメロディー」を実に見事に際立たせていることです。“聴かせどころ”にくると、全体の音量を落とし、木管が奏でる美しい旋律、弦が醸し出す魅力的なハーモニーなどを、ゆったりとしたテンポで聴衆にアピールしてきます。標準的なスタイルの演奏では隠れている「この曲にはこんな綺麗なメロディーが埋もれていたのか!」という部分を、この交響曲全体を知り尽くしたチョン・ミュンフンが発掘して披露してくれたようだと感じ、感動するというわけです。

カップリングされている第6番の交響曲も珠玉の演奏だと思います。この曲を収めたCDは少ないでしょうが、私は20年近く前にこの曲をFM放送で聴いて気に入ったので、秋葉原のCD店を探し回って1枚手に入れたことがあります。その後、「バーツラフ・ノイマン指揮/チェコ・フィル」によるドボルザーク交響曲全集を購入したときにも、もちろん聴きました。この曲の標準的な演奏を形容する言葉としては、「爽やか」「清涼」「すがすがしい」「穏やか」といったところになると思います。ところが、チョン・ミュンフン/ウィーン・フィルの演奏は、そういった要素に「躍動感」「活気」、さらには「微妙な陰影」がプラスされているように感じました。この交響曲の魅力を十二分に引き出した名演だと私は思います。

このCD、ドボルザーク愛好家なら持っておきたい珠玉の1枚だと思います(→詳細・購入(Amazon))。

実は、このコンビによるドボルザークは、第7番と、滅多に演奏されることがないと思われる第3番をカップリングした演奏を収録したものが“第1弾”として先に録音・発売されています。初版は完売したようで、現在では廉価版が手に入るので嬉しいですね((→詳細・購入(Amazon)))。

第7番は、全体としてドラマチックに演奏しているところは標準的ですが、その中に埋もれている可憐で美しいメロディを巧みに際立たせているところが魅力的です。弦楽器群のきしみを上げる強奏や、艶やかで美しいハーモニーを奏でる弱奏まで、メリハリの聴いた演奏を楽しめます。

第3番はドボルザークが32歳頃のとき作曲した作品で、私が勝手に表題をつけるとしたら“青春”とでもしたいところですね。若々しく希望に満ちたメロディーが基調を成しており、その中に悩みや苦悩を表現したような物憂いメロディーが織り交ぜられています。この演奏も素晴らしいと感じました。

私個人としては、交響曲全集を聴いたときの印象から、初期の作品では第4番が秀逸だと感じています。第6番以降の後期の交響曲に通じるところがあり、ドボルザーク独特の曲想が随所に現われています。チョン・ミュンフン/ウィーン・フィルのコンビで次に録音するとしたら、この交響曲をぜひ含めてほしいところですが、さてカップリングする曲は何にするのか? 第9番を聴いてみたい気もしますが、若い頃の別の作品との組み合わせ(人目は引きそうもありませんが“愛好家のための1枚”としては魅力的!)も興味深そうです。さて、何が発売されるでしょうか?

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2007/7/20 - 新旧211アンプ聴き比べ

なっ、何なんだ、この音や響きの違いは!?

真空管は左右チャンネル各3本ずつ全く同一の球。
アンプ回路の抵抗やコンデンサ類の定数値も全く同一。
トランス類は、新品とはいえ、全く同一のS.E.L.製。

それなのに、ここまで音と響きが違うとは・・・

私も妻も全く同じ印象を持ち、素晴らしい響きにしばし聞き惚れていました。

新しい211シングルアンプ

これは、新しく製作した211(VT4C)シングル無帰還アンプを最初に鳴らしたときの正直な感想です。オーディオウィンズさんのシャーシのうち小型のほうを縦向きにして使いました。シャーシ加工もオーディオウィンズさんに依頼しました。これは「裏めにゅう」ということでご希望の皆さんに組立代行サービスを始めたアンプの最終試作品で、実際に皆さんにお届けするアンプでは、シャーシの一番後ろにある電源トランスが角型黒色のケース入りになり、底板には単純なゴム足ではなく、金色の「インシュレータ」を取り付けます。

今まで愛用していた
211シングルアンプ

アンプ回路の基本は、以前から我が家のメイン・システムとして素晴らしい音楽を奏でていた211シングル(モノラル構成)です。出力管の211はGE製の軍用NOS管(VT4C)、ドライバー管のKT88はJJ製、初段管は無帰還でもフルオーケストラの演奏を見事にこなすテレビ球12BZ7(GE)製となっています。

新しいアンプの音が今までのアンプとで大きく違うのは、一言で述べるとしたら「高い解像度と高域の輝き」といったところです。また「音のエネルギーが体全体に迫ってくる迫力」「音楽が体全体を包み込むような心地よさ」も、さらにアップしたように感じます。

解像度が高くなったと感じるのは、今までは大きな音の陰に隠れていたような小さな音までリアルに聴こえてるからだと思います。それに、雰囲気感が増し、響きの余韻が長く残ります。特に、高音楽器の音がよく聴こえるようになりましたね。小さく鳴らしているシンバル、可愛らしい音のトライアングル、ギターやアルパなどの弦を指ではじくときのちょっとした付随音、弦楽器を弓で弾くときの“きしみ”、そんな微妙な音が、音楽全体のボリュームを小さめにしても耳まで届いきます。そのようなことの総合的な結果として、楽器のリアルさがぐんとアップしたように感じるんだと思います。

全体的な印象は、ライブ録音を聴くと「その場に居合わせて聴いているような音と響き」、スタジオやホールなどでの録音であれば「スピーカーのところに音楽家たちが居て演奏しているかのような音と響き」という錯覚に陥ります。ボサノヴァやクラシックのヴォーカルのリアルさも見事なものです。私たち夫婦はどちらも、“生演奏のような音”や“美しく綺麗な響き”を好みますので、このアンプは見事にその欲求を満たしてくれ、しかも今までの“古いアンプ”を超える満足度となりました。

実は、古いほうの211アンプは、置き場所をうまく工夫することに成功したため、ちょっと暑い(熱い)のを我慢しながら作業部屋で聴いています。スピーカーは、数か月前に購入したONKYOの「D-308M」で、サラウンド・システムのリアスピーカーを主な用途とするスピーカーです。以前から実家でONKYOの少し高級なミニコンポの小型スピーカーの音は「なかなかイイ!」と感じていたことと、価格が安い(送料込み、2本で\15,745)ことから購入しました(この機種に決めた後、最安値の販売店を探したところ、ヤフオクで買うことになりました)。そうしたら、これがまたいい音で鳴ってくれるので驚きました。低域から高域までバランスよく、しかもどっしりと重心の座った迫力のある音です。「意外な逸品」コーナーに載せようかとも思いましたが、スピーカーについては私の知識があまりにも少ないので、やめておきました。でも、いい音です。

仕事場ではこれまで JB-2A3 の回路を借りて自作した2A3シングルを使っていて、これもご機嫌な音でしたが、211シングルに換えたところ、やはり楽器のリアリティーが向上して、そこに演奏家が居て楽器を鳴らしているかのような錯覚を覚えます。

というわけで・・・
  やはり211は直熱三極管の最高峰だ!

話をリビングのメイン・システムに戻します。今までの211シングルの音でも十二分に満足していたことは確かです。でも、ここまで違う音を聴いた今、あらためて思い起こしてみると、古い211シングルは「わずかに霞[かすみ]のかかったような」「すこしだけ音に曇りのあるような」「細かい音が分離していないような」感じがしていたかもしれない、と思い出しました。

たとえてみると、富士山が綺麗に見えていたので感激していたところ、かすかにかかっていた霞が晴れ、夏の富士山の山肌に微妙な色合いの違いがあるところまでくっきりと見えるようになり、「ここは、本当は、こんなによく富士山が見える場所だったのだ」と気付かされたようなものです。

古い211アンプと新しい211アンプの違いは、アンプ回路に使用したCRパーツの銘柄です。古いほうは、そのころDaleとかSpragueとか、そういったヴィンテージもののパーツの音を聴いてみたいという気持ちに傾いていた時期でしたので、Daleの金属皮膜抵抗や酸化金属抵抗、スプラグの銀タンタルコンデンサなどを使って作りました。

また、電源回路は、容量の大きい高耐圧電解コンデンサが安く手に入ったので、470μF 450Vを“3段直列”で耐圧を十分に上げて使っていました。でも、「管球王国」誌の2007年夏号(第44号)の「実験工房 = B電源・整流回路の音質を検証する」という記事をパラパラとめくって眺めていたら、「平滑用コンデンサーの値は、容量が大きければ良いわけではない」「ハムノイズは、容量を大きくすると減少するが、フィルター回路の性質上 数10μF以上になると効果は小さくなる」という記述が目に留まり、新しいアンプではむやみに大きい容量の平滑用コンデンサは使いませんでした。

アンプ回路の抵抗は、リケノームRKGシリーズをいくつかのショップで「在庫処分セール」をしていたので割安でまとめ買いしました。カソードのパスコンにはBlack Gate(ブラック・ゲート)ブランドの高性能FKシリーズを使いました。B電源の電圧降下抵抗は標準的なセメント抵抗ですが、カソード抵抗は高品質を求めて、Daleの酸化金属抵抗やMillsのオ−ディオグレ−ド巻き線型抵抗などを採用しました。このほか、出力トランスからスピーカー端子までの配線にモガミの「NEGLEX」シリーズから2515というワイヤを使いました。これは解像度が高いということで定評のあるワイヤーです。

というわけで、ヴィンテージ・パーツは、その銘柄に独特の味わいを楽しみたい方々には好まれるのでしょうが、現行品のオーディオグレードのパーツに比べると「やや鮮度が落ちることがあるのだろう」と考えれば、この聴き比べの結果に納得がいきます。NEGLEXケーブルの威力も発揮されたのかもしれません。

オーディオグレードのパーツを使用したといっても、超高級パーツではありませんので、アンプ部に使用した抵抗やコンデンサの価格は左右2組分で\16,000でした。これをもし標準グレードのパーツで買ったとすると\6,000という計算になります。なんと、1万円しか違わないんですよ、これが。その価格差でこんなに音が違うとは思いもよりませんでした(もちろん、標準パーツを使用した場合との音の聴き比べではありませんので、念のため)。

それにしても、いいアンプに仕上がりました。今取り組んでいるのは、長寿命化を目指してシャーシ内部の温度を下げる工夫です。小型・薄型で超静音のDCファンを入手しましたので、それをつかってシャーシ内部の温度を下げる実験をしているところです。ブラックゲートは「85℃」定格のパーツなので、夏場にシャーシ内部が高温になると、寿命が短くなるのが心配です。

7/20現在、既に2人のお客様からご予約をいただいており、昨日は1人のお客様から211の音に関して問い合わせがありました。音の素晴らしさは自信をもってお勧めできます。「爽やかでよく響く高域と美しい余韻」「ふくよかで表現力豊かな中音域」「ずしんと響き、弾むような低音」、そういった各音域のバランスが見事で、しかもクセのない音(=オーディオ・マニアというよりも、音楽そのものを楽しみたい人向け)、かつそれらが迫力満点のエネルギー感で再生されます。出力は8Wですが“体感出力”はその何倍もあるように感じます。このアンプを手に入れた皆さんは、もうそれ以外のアンプは要らないと感じるに違いないとさえ思っております(ちょっと誉めすぎかな、スミマセン・・・)

関心のある方は ⇒ 211シングル無帰還パワーアンプのご紹介

ちなみに、先日「山梨県」の方がNS装置を購入してくださいましたので、前回の話題で取りあげた「まだNS装置が“普及していない”県」は3つに減りました。

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2007/5/22 - 各地に広まるNS装置

今日「NS-1 Ver.2」を発送した相手のお客様は何と北海道の宗谷岬にお住まいの方でした。もちろん、NS工房を開業して以来 最北端の発送先です。

最南端はというと、2005年5月に沖縄県の石垣島に「NS-2」を発送したことがあります。そのお客様は北緯24度/東経124度という「差出人」名を使っておられました。ちなみに、最北端の宗谷岬を地図で調べると北緯42度/東経142度(概数)です。

いゃ〜、開業から約2年、いちおう日本中に各種のNS装置が広まっていきました。ちょうどよい機会なので調べてみたのですが、日本全国47都道府県のうち、NS装置の発送先は43都道府県でした。まだNS装置が“普及していない”のは「福井県/人口82万人」「山梨県/人口88万人」「島根県/人口74万人」「高知県/79万人」の4県だけということになります。人口比では2.5%です(平成17年/2005年のデータ)。もっとも、販売台数は各機種を合わせて262台ですから、まだまだ「普及」という言葉を使うには早すぎるかもしれませんね。

昨年からは、さらなるユーザーの獲得を目指して、各種オーディオ専門誌に広告を載せています。予算が限られていますので、毎号というわけにはいきませんが、今までに『Stereo Sound』『管球王国』『MJ』『Audio Accessory』の4誌に広告を掲載してもらい、試聴記事を2つ(NS-1 Ver.2 と NS-3)、新製品紹介の小記事を数件、載せてもらうことができました。

こうした雑誌に広告を載せるときは、広告代理店を通して申し込みや広告原稿の入稿を行ないます(もちろん初めての経験でした)。その担当者の方は、最初の広告を掲載するに当たって、東京からわざわざ鎌倉市の私の自宅マンション兼工房の部屋を訪問してくださいましたので、NS-1 Ver.2 の効果のほどを実際に聴いていただきました。“一聴瞭然”の効果があることはすぐにご理解くださいました。さらには、身を乗り出してリモコンでNSレベルを自分で変化させながら、色々な音楽ソースを聴いておられました。1時間くらいだったと思います。こうしたオーディオ・アクセサリーの類いには“眉唾物”も少なくないのが現実だろうと思いますが、その担当者は「NS装置は本物だ!」と実感なさったようです。その甲斐あって、各雑誌に初めて広告を載せる際には、何らかの紹介記事を載せてもらうよう手を尽くしてくださっています。ちなみに、6月には『analog』誌に広告を申し込んであります。

もっとも、NS装置やナチュラル・サウンドも、まだまだ「眉唾物」とみなされたり、「理論から判断すると効果があるはずない」と偏見を持たれたりしているというのが、残念な現状です。でも“百聞は一聴にしかず”。クラシックやジャズなど、アコースティク楽器の音楽ソースをNS装置を接続したオーディオ・システムで実際に聴いてみれば、音場に変化があることはすぐにお判りいただけるはずです(ミニコンポやiPod等で聴くことを前提に録音されたポップス系の音楽ソースでは、効果が出ないことが多いようです)。

あとは、その音/音場/ステレオ感/雰囲気感が「好みに合う」か「好みに合わないか」という、純然たる趣味の世界になります。「好みに合わない」とお感じになる方々に無理にお奨めすることはいたしません。でも、コンサート・ホールやライブ・ハウスの雰囲気感や臨場感を自宅でも再現したいという方々、左右スピーカーの中央に座らないでも、かなり広い範囲で自然なステレオ感で音楽を聴けることにメリットを感じる方々には、ぜひお奨めしたいアクセサリー装置です。NS装置がさらに普及していくことを願ってやみません。

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2007/5/17 - 各地に広まるナチュラル・サウンド

「真空管アンプ自作の醍醐味」の「意外な逸品」で「ナチュラル・サウンド復元法」をご紹介した2005年2月17日から2年3か月が経過した一昨日(5/14)、こんなメールが届きました。一部を引用いたします(ご本人の承諾を得てあります):

オークションのページでナチュラルサウンドのことを知りました。
私は … かれこれ30年以上、『音』を捜し求めております。若いころQUADのESLに出会ったのが、深い沼に嵌った始めのように思います。
週末皆さんのナチュラルサウンドを発見し、早速試してみました。今までに無いステレオの音を味会うことが出来ました。
中古とは言え、機器に金を掛けて来ましたが、皆さんのページを見ていると、馬鹿な恥ずかしいセンスの無い事を凝りもせずしていたとつくづく反省したわけであります。BTL接続をしておりまして、パワーの各片チャンネルにメインとサブを位相を変えただけの、実験装置で試したところ、 ふくよかなステレオに変身しました。今後可変抵抗か何かでサブのスピーカの音量を調整し、一層音質改善をしようと思っております。
目からウロコと言うくらすばらしい効果で、一言お礼を申し上げたく、失礼を省みず、連絡をさせていただきました。有難うございました。友人も早速宣伝したいと思っております。

長野県のK様から届いたこのメールを読んで、私もアラバマ大学の高橋教授から「サブスピーカー法」のことを教えていただき、最初に試したときの感激と興奮を思い出しました。まさに耳を疑うほどの経験でしたが、K様も同じ体験をなさったわけですね。

近年の半導体製アンプではアンプ内部で「BTL接続」をしている機種もあり、その場合にはサブスピーカー法を利用できません。ところが、この方がお使いになっている往年の銘パワーアンプはアンプ2台をBTL接続しているので、その接続を上手に変えるとサブスピーカー法と同じことを実現できるのだそうです。ご友人が上京すると聞き、さっそくサブスピーカー用のVRを購入してきてもらうと、返信メールに書いておられました。もしかしたら、今頃はVRの調整をなさっているかもしれません。

サブスピーカー法の場合、VRなしで接続したサブスピーカーからはメインスピーカーの半分の音量で音が出ます(サブとメインのインピーダンスが同じである場合)。多くの場合、この程度の音量で逆位相の信号を出すとステレオ感が十分に増強されますので、K様がVRなしで簡単に実験したとき、すぐに効果を実感できたのだと思います。

面白いのは、この方がナチュラル・サウンド復元法を“発見”なさった経路です。「オークションのページで … 知りました」とメールに書いてありますよね。NS工房の製品を広告する意味も込めてYahoo!オークションに「NS-1」と「NS-1 Ver.2」を出品しているのですが、そのページからリンクをたどって「ナチュラル・サウンド復元法を発見!」というわけです。今後は、この方のご友人の皆さんからさらに“口コミ”で各地に情報が広まっていくことと思います。

すでにナチュラル・サウンドを堪能なさっている皆さん、ぜひ友人・知人にも広めてくださいませ。もし「サブスピーカーの手持ちがない」「置く場所がない」「もっと簡単に実現したい」ということでしたら、安価なNS-2、リモコン付きのNS-1、真空管プリにNS回路を内蔵したNS-3など、NS装置のことも“口コミ”で知らせていただけるなら、NS工房の“工房主”としてこれ以上の喜びはございません。

また、このサイトをご覧いただいている皆さんの中に、まだサブスピーカー法もNS装置も試していないという方がおられましたら、ぜひ試してみることをお奨めします。臨場感豊かなステレオ音場を追い求めてきた方であれば「目からウロコ」「耳からウロコ」の体験をできること間違いなしです!

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2007/4/24 - NS装置はカーステレオでも効果を発揮

先日、NS-2の車載タイプを昨年と一昨年に1台ずつご購入いただいたお客様からメールが届きました。この方は、これまでもカー・オーディオで「より良い音楽を再生する」ために様々な工夫を凝らしてきたそうですが、NS-2をシステムに組み込んで初めて、自動車の中でも満足のいくステレオ再生を実現できたと喜んでおられました。

そこで、NS-2の効果が大きいことをカー・オーディオの音質向上を目指している同好の士に伝えるべく、自動車用のパーツ・レビューのサイトにNS-2の紹介文を投稿してくださいました。下記のページです:

http://minkara.carview.co.jp/userid/13003/car/23236/771931/parts.aspx
http://minkara.carview.co.jp/userid/13003/car/23236/251875/note.aspx

ナチュラル・サウンド復元法の興味深い“副産物”として、左右のスピーカーから等間隔の位置に居ないでも、つまり、左側のスピーカー寄り、右側のスピーカー寄りなど、かなり広い範囲でどんな位置に居ても明瞭なステレオ感を聴き取れるという効果があります。なぜそうなるのか「その理屈を説明せよ」と言われても私にはよく分かりません。ただ、実際に試してみると、何とも不思議なことに“どこでもステレオ”なんですね、これが。

この“副産物”がカー・オーディオに最適であることは、すぐにお分かりいただけると思います。右ハンドルの自動車であれば「運転席は右スピーカー寄り」「助手席は左スピーカー寄り」ですから、通常のステレオ装置ではどうしてもステレオ感が薄弱になってしまいます。そこにNS-2を入れると、問題解決! となるわけですね。

2006年に車載版NS-2をお買い上げいただいたお客様からも、「運転中にダッシュボードの向こう側にステージが展開するのは妙な感じでもあり、またとても面白いです」とのご感想が届いています。

実はNS工房の作業テーブルはベランダ側の窓のほうに向けて置いてあり、窓の左右の壁にしっかりした棚板を取り付けて小型スピーカーを内振りで配置し、ナチュラル・サウンドで音楽を聴きながら各種NS装置を手造りしています。ふと窓のほうを見ると、ちょうど自動車のフロントガラス越しにステージが広がっているように感じるのと同じ、不思議で面白い感覚を私自身も楽しんでいます。

本当ならメーカー純正のカー・ステレオにも、簡易で安価に製造できるこのNS回路を組み込んで欲しいところですよね。そうすれば、誰でも手軽にナチュラル・サウンドの恩恵にあずかれます。また、モノラル音源にも効果がありますので、道路情報やニュースなどが格段に聴き取りやすくなります。

そこで昨年の秋、国内の主要なカーステレオ・メーカー9社にNS回路の効用を紹介するプレゼンテーション資料をお送りし、評価用のテスト装置を無償でお送りしますと申し出たのですが、個人からの“売り込み”は真剣に検討してもらえないようで、門前払いや、不採用の返事ばかりでした。「論より証拠 ― 専門技術者の耳でお確かめください」という私からのメッセージは、知的財産管理部門どまりで現場の設計技術者たちには届かず、残念な思いをしました。

でも、効果は確かに絶大ですので、カー・ステレオ機器の設置や配線を「自分でできる」という皆さん、ぜひ車載版NS-2をご利用くださいませ。

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2007/4/14 - バランス入力付きNS-3を仕事部屋のサブ・システムにも導入

ある日、お客様から「バランス入力付きのNS-3を製作できないか」とのご依頼がありました。バランス入力は、私が自分用に製作した“上杉アンプ”「TAC2」の2号機に取り付けたことがありますので、それと同じ方法で「バランス⇒アンバランス変換」を行なう方法をご提案したところ、それで了承してくださいました。この方法では、タムラのマッチング・トランス「TK-10」を利用してバランス信号をアンバランス信号に変換します。

NS工房では、NS-3の「完成品」をご注文いただいた場合、10時間ほど音楽を流しながらエージングをした後で納品することにしています。そこで、完成した「バランス入力付きNS-3」に仕事部屋で使用しているサンスイのCDプレーヤーのバランス出力を接続してクラシック音楽を聴いたり、サンバレーのFMチューナー「SV-11 FM」の出力を普通のRCAライン入力に接続して音楽を聴いたりしながら、ほかの作業をしていました。パワーアンプは、サンバレーの「JB 2A3」の回路を拝借して製作した2A3シングル・パワーアンプです(雑記帳 2005/8/15)。

すると、NS-3と2A3シングルの相性が良いようで、とても私好みの音が鳴るんです。驚きました。今まで使用していた上杉氏設計によるプリアンプは、まろやかで柔らかなタッチの音が持ち味なので低域と高域は適度に減衰しています。それに対してNS-3は低域も高域も「だらだら下がり」の周波数特性なので、これをつないで鳴らしてみると、低域の力感が増し、2A3シングルに特有の爽やかな高域がいっそう強調され、雰囲気感やホールトーンが絶妙です。どちらも管球式とはいえ、プリアンプを換えるとこんなにも音の表現力に違いが生まれるものなんですね。

こうなると、私の“オーディオ魂”が燃えてきます。自分用にもバランス入力付きNS-3を製作したい!

というわけで、作ってしまいました。NS-3の在庫品はキットと完成品のどちらにも対応できるように、ケースにNS-1 Ver.2基板を取り付け、背面パネルには電源ソケットやRCAジャックなどを取り付けた「半完成状態」で用意してあります。これをバランス入力付きに変更するには、背面パネルにキャノンXLRコネクタ用の大きな穴を開ける必要がありますので、まだパーツを取り付けていない背面パネルにまず追加の穴を開け、そこにパーツを取り付けていくことになります。通常の完成品はNS-3のページにあるような外観になります。

前面パネルに入力ジャック

私の仕事部屋で使うには、完成した各種のNS装置をテストするために前面パネルに入力ジャックがあると便利なので、背面にバランス入力1系統と、RCAライン入力2系統を設置したほか、前面にRCAライン入力1系統を設置しました。

この雑記帳を書きながら聴いているのですが、真空管のエージングがまだ不足しているようで、高域がやや荒れています。このまま聴き続けていくと、刺激感のない爽やかな高音に変わっていくことと思います。実はリビングのメイン・システムには既に標準型(ポップレスに改造済み)のNS-3を組み入れており、211シングルのパワーアンプとの組み合わせで、室内楽からフルオーケストラまで何でもOKの見事な音楽を奏でてくれていたのですが、思わぬきっかけで改めてNS-3のプリアンプ部分の「良さ」を再認識し、サブシステムにまで組み込むに至ったというわけです。

蛇足ながら、個人事業の青色申告では、このような場合、自分用に製作した商品は「売上」として帳簿に付けることになっています。いわゆる「自家消費」です。これを帳簿に記載しないと、映画「マルサの女」でパチンコ店の経営者が狡猾な手段で行なっていたように「売上の一部を除外した」ということになり、税務上の不正になります。零細な個人事業主ですが、このあたりはきちんと処理している私であります。

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2007/3/29 - 残留ハム・ノイズ確認装置

残留ハム・ノイズ確認装置

右の写真は、NS装置のケース内に高性能のシールド材を装着するとき、どの位置にどの程度の大きさのものを取り付ければよいか確認するため、1か月ほど前に用意した装置です。スピーカーはウィンズさんの樽スピーカー、上に載っている装置は2年ほど前、まだオーディオ信号の発振装置などを買い揃えていなかった頃に、パソコンで様々な周波数のサイン波を生成してオーディオ機器の周波数特性などを測定する際に使っていたものです。今回は、この中にLM386というパワーアンプIC基板(電圧利得は 46dB = 200倍に設定)と、その前段にオペアンプによる増幅回路(電圧利得は 34dB = 50倍)を組み込んで、残留ハムノイズの大きさを耳で確認できるようにしました。

つまり、トータル・ゲイン 80dB = 1万倍という超ハイ・ゲインのパワーアンプでハムノイズを確認しているというわけです。

この装置に、サンスイのCDプレーヤー「CD-α717D EXTRA」(1989年発売)の出力を接続すると、小さいハム音が聞こえます。カタログを見ると、このCDプレーヤーは大き目のトランスを2台(アナログ回路用とデジタル回路用)を搭載していますので、その影響が出ているのではないかと思います。

また、ソニーのMDデッキ「MDS-S50」(2000年発売)の出力を接続すると、文字で表現するのが難しいのですが、「ギャー」「ジャー」という感じで、様々な音程の音が混じった鋭い音がかなりの音量で鳴ります。たぶんデジタル回路のノイズだと思います。

さらに、4年ほど前に購入したパイオニアのDVDプレーヤー「DV-353」の出力を接続すると、サンスイのCDプレーヤーより大きいハム音が聞こえます。

それに対して、NS-1 / NS-2 の場合は、このハム・ノイズ確認アンプでノイズを確認しながらシールド材の位置をいろいろ変えてみて、最もハム音が小さくなる位置にシールド材を取り付けると、かすかにハム音が聞こえる程度になります。機種によってはほとんど聞こえないものもあります。

ちなみに、NS装置をこのノイズ確認アンプに接続した状態で「ポップレス・タイプ」のNSオン/オフ・スイッチを切り換えても、全くノイズが出ません。完ぺきと言ってもよい“ポップレス”の証しですね!

いかがでしょう? ここまでノイズを軽減すれば「問題なし」ですよね!

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2007/3/4 - マジックナンバーを探せ! ― ポップレスでの音量差を最小に

発売当初のNS装置 NS-1(Ver.1 / Ver.2)と NS-2 はどれも、NSオン/オフ・スイッチが「ポップレス」でした。ところが、販売を続けていくうちに「NSオフからNSオンに切り換えると2dBほど音量が上がる」とお客様から指摘されるようになりました。

その指摘を受ける前まで私は、「NSオン」に切り換えるとファーッとステレオ感や雰囲気感が増すことを感じてNS回路の効果を実感していましたが、うかつにも音量差があることには気付いていませんでした。ところが、この状態では、NSオンに切り換えた際のステレオ感や雰囲気感の向上が“誇張されていた”というわけです。

そこで、いろいろ考えた挙句、2005/9/24以降の出荷分から別の方法で「NSオン/NSオフ」を切り換える方式にすべての機種を変更しました。ところが、その方式には「ポップノイズが発生する」という難点があり、NS装置を挿入接続する位置によっては、非常に大きなポップノイズになってしまい、事実上このスイッチを利用できないお客様もおられたことと思います。

そのことを分かっていながらも、ポップノイズを解消するいくつもの試行錯誤は徒労に終わり、半ば諦めて販売を続けていました。

そんな中、初期版のスイッチを搭載した NS-2 を購入したいというお客様から注文が入り、この際、すべての機種で「ポップレス・スイッチ」を復刻しようと踏ん切りがつきました。

まずは、NS-2 の旧版のプリント基板を発注し、この基板が最初にメーカーから届きました。現時点で NS-2 と NS-2DX は「ポップレス・タイプ」で製作できます。

次は、私自身がいちばん問題に感じていた NS-3 に内蔵する「NS-1 Ver.2」(NS-3用に、単体の NS-1 Ver.2 とは少し仕様を変えてあります)について、古いバージョンのプリント基板を少し手直して発注しました。その基板が金曜日に届いたのでさっそくパーツを半田付けして NS-3 に取り付けたところ、やはり“ポップレス”はいいですね! 「ボツッ」という大きな音が出ないので、躊躇なくNSオン/オフを切り換えられます。ただ、やはり難点はNSオンに切り換えたときの微妙な音量アップです。どうしても音場の変化が誇張されて聴こえてしまいます。

土曜日に2枚目の基板にパーツを半田付けしながら「何とかならないかなぁ」と頭をめぐらせていたところ、NSオン/オフ・スイッチ周辺の“ある位置”に抵抗を入れたら少しは良くなるかもしれないと気づきました(もっと早く気づけばよかったのですが…)。すべての条件下で「音量差なし」は無理ですが、よく使う範囲内で「音量差をできるだけ小さく」ということなら実現できそうです。

さっそく単純計算で最適と思える抵抗を“その位置”に入れ、オーディオ発振器からの出力を NS-3 に入力し、NS-3 の出力をACミリボルトメーターでチェックしてみると、NSオフ時とオン時の音量差が少し小さくなっていました。でも、まだ理想的とは言えません。この抵抗は入力インピーダンスと出力インピーダンスの両方に影響を与えるので、単純計算では駄目なんですね(入出力インピーダンスの変化がNSオン/オフ時の音量差の原因です)。

こうなると、試行錯誤で最適な抵抗値、いわば“マジックナンバー”を探すことになりますが、固定抵抗をいちいち付け替えるのは大変なので、VRを利用しました。VRのつまみを回しながら、NSオン時とNSオフ時の出力電圧を調べ、できるだけ音量差のない位置を慎重に探っていきました。すると、ありました! マジックナンバーの発見です。

その時点での抵抗値をテスターで測ると27KΩの固定抵抗を使えばよいことが分かりました。同じ試行錯誤を、ポップレスの NS-2 と NS-1 についても実施したところ、こちらは3.9KΩが最適値でした。この違いが生まれるのは、NS復元信号のレベルを調整するVRの全抵抗値が違うからです。

それにしても、この試行錯誤、3時間ほどの作業でしたが、非常に良い結果が得られて大満足でした。NS信号レベルのつまみが「11時〜2時」の位置で、音量VRのつまみが「8時〜3時」の位置のとき、NSオン/オフを切り換えた際の音量差が1dB未満に収まりました。よほど敏感な人でない限り、聴感上は音量差が分からないと思います。

これで、自信をもって「ポップレス・タイプ」のNS装置を販売できます。そして、今後はこのタイプを標準品として在庫を作りためていこうと思います。便宜上、今までの“ポップノイズあり”タイプを「標準タイプ」と命名してしまいましたが、「音量差なしタイプ」に改名することにします。そのタイプの注文が一定期間にわたって入らないようであれば、ゆくゆくは廃止することになると思います。

ちなみに、「音量差なし」を実現するのが難しいことの原因は、私がNS装置の設計に当たって「元のステレオ・システムの音質や表現力などの個性をできるだけ変化させないこと」を最重要な課題として掲げたからです。NS回路の最終段にオペアンプのバッファを入れれば「音量差なしのNSオン/オフ」は簡単に実現できます。でも、そのような設計にすると、最終段のオペアンプ・バッファの“個性”がNS装置の出力に混じってしまい、元々のステレオ・システムの個性を変化させたり衝突したりする恐れがあります。私はそれを避けたかったんです。

ソフトン社の Model 2 というD/Aコンバーターの音質や表現力などの個性は、アナログ回路の最終段にある真空管バッファ・アンプによって生み出されています。その証拠に、真空管の銘柄を変えると音質が大きく変化します。これは好みの問題ですが、私は真空管を別の銘柄に変えたときの音質が気に入ったので、その真空管を挿して愛用しています(2004/12/9の雑記帳を参照)。

Model 2 の場合は“その個性”を商品の特長として販売されています。でも、NS装置の場合は「音場のみ補正する」ことを特長とし、音質には個性を持たせず“透明”にして販売したかったというわけです。

長々と書いてしまいましたが、製品開発の大変さを実体験したように思います。会社規模のメーカーなら最初から“今の段階のNS装置”まで品質を高めてから発売するのでしょうね。でも、NS工房の場合は、個人事業ですし、日本の市場に出回っていないユニークな装置の販売でしたから、とにかく「使える」「効果を明瞭に実感できる」というレベルまで開発が進んだ時点で発売に踏み切りました。ナチュラル・サウンドの“理想響”を少しでも早く皆さんに体験していただきたという思いでした。ただ、逆に言えば、小ロット生産の個人事業のメリットは「方向転換」「仕様変更」が容易なところでしょうね。これからもお客様の声から教訓を学び取りながら、より良い製品を目指したいと思います。今後ともどうぞよろしく!

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2007/2/24 - NS-1/NS-2の残留ハム・ノイズ退治

NS工房で販売しているNS-1/NS-2シリーズでは、出力に僅かな残留ハム・ノイズがあるため、ノイズに敏感なオーディオ環境をお使いのお客様には、これまで電源の「ACアダプタ化オプション」をご利用いただいていました。

新機種「NS-2DX」

このたび、新機種「NS-2DX」を発売するにあたり、何とかシールドを強化して残留ハム・ノイズを退治できないものかと、色々なシールド素材を調査していたのですが、たいへん有望と思える厚さ0.12mmのシールド・シートがみつかりましたので、さっそく購入して試してみました。

残留ハムは、ごく微弱であるため、ACミリボルト・メーターの最小電圧レンジ(0.3mVフルスケール)で直接NS装置の出力を測定しても、バックグラウンド・ノイズに紛れて正確なノイズ・レベルを知るのが困難でした。

そこで、次のようなハム・ノイズ測定環境を使って、自分の耳でノイズの大小を調べることにしました:

NS装置 → プリアンプ TAC2 → プリアンプ TAC2 → パワーアンプ(2A3シングル)

プリアンプは、真空管のHPでご紹介している「音量リモコン付き真空管プリアンプ(TAC2の回路を拝借)」です。これを2台 直接に接続し、各アンプとも音量ボリュームを最大(増幅度 14dB)、トーンコントロールのBassを最大(+12dB)にします。そしてパワーアンプの音量ボリュームも最大にします。この状態では、プリアンプの残留ハムが少しだけ聴こえています。それにしても、ハム音を恐ろしいほど増幅する測定環境ですね!

この測定環境にNSシリーズの各機種を接続し、NS装置の電源をオフにしたときとオンにしたときのハム音の聴こえ具合を比較することで、ハム・ノイズの大きさを調べました。この環境で調べてみると、ACアダプタ化した場合にハム・ノイズが十分に軽減されることを確認できました(とりあえず、ひと安心…)

その後、各機種について「シールド材を、どの程度のサイズで、どの位置に配置するとハム音がいちばん小さくなるか」を調べていきました。その結果として分かったのは、ハム・ノイズの原因が電源トランスではなく、ケース内に入ってきている電源コードであるということです(これは意外でしたね)。また、シールド線の引き回しの長い「セレクタ付きNS-2」や、電源コードと出力RCAジャックがかなり近接している「NS-1“Ver.1”」で残留ノイズが大きいことも分かりました。

こうして、出力端子のうち電源コードに近い部分をシールド材でカバーすれば残留ハムが「ACアダプタ化」と同程度に軽減されることを確認できました。というわけで、今後のNSシリーズは、標準品でも残留ハムがごくごく微弱になりますので、ほとんどのお客様のオーディオ・システムでハム・ノイズのないクリアな音を楽しんでいただけることと思います。試聴機(NS-1 Ver.2)もシールド強化版にいたしますので、ノイズが心配な方は、試聴機の貸出し制度をご利用くださいませ。

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2007/1/7 - 印象深いニューイヤー・コンサート

クラシック音楽を愛好する皆さんは、毎年1月1日に衛星中継で放映されるウィーン・フィルのニューイヤー・コンサートを楽しみにしておられるのではないでしょうか。もちろん私もその1人です。

今年のNHKのBS2は完全な生中継ではなく、衛星中継を録画して“時差再生”する形でしたが、Bモード・ステレオの音質には十分に満足できますし、パソコンで録画してDVD化すると映像も非常に綺麗に再生できます。

今年は少々体調を崩してしまい、技術翻訳とNS工房の仕事を一時休業し、数か月間 自宅療養する予定です。そんなこともあり、録画したニューイヤー・コンサートを3回に分けて視聴したのですが、指揮者の個性が発揮されていて たいへん印象深いコンサートだと感じました。

まず、全体として落ち着いた、ゆったりとした雰囲気で、例年に増してリラックスした気分で楽しめました。おそらく、遅めのテンポの曲が多かったからだと思います。でも、軽快で楽しい曲も時おり挟まっており、その変化もリラックス気分を盛り上げてくれたように思います。

そして、何よりも印象深かったのは、どの曲も指揮者のズービン・メータ氏が細かいところまで気を配って楽団を統御しているなぁ、ということです。例年ですと指揮者もリラックス気分で、指揮者として役割を発揮するのは重要なポイントだけに絞り、あとは楽団に任せて“流す”ような演奏に感じます(少々語弊があるかもしれませんが)。ズービン・メータ氏はリラックスした様子でありながらも、テンポや強弱をかなり細かく指示してオーケストラを引っ張っていたように思います。そのことが「全体として落ち着いた、ゆったりとした雰囲気」という私の感じた印象を醸し出していたのでしょうね。

NHKの放送でコンサートの終了後に、N響の第一コンサート・マスター篠崎 史紀氏が「アンコール曲の定番「ワルツ『美しく青きドナウ』」で多くの指揮者が個性を発揮するが、今年もそうだった」という趣旨のことを語っていましたが、私も同感でした。こんなにゆったり悠然と流れるドナウ川は初めて聴いたように思います。

もちろん、毎年お決まりのユーモラスな趣向を凝らした演奏もあり、会場のなごやかな笑いを呼び起こしていました。さらに、これまたお決まりのラデツキー行進曲では“観客席への指揮が非常に細かい”というところにまで、今回のコンサート全体でズービン・メータ氏の発揮していた個性が表われていたことも印象に残りました。

皆さんはどんな感想をお持ちになったでしょうか?

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2006/11/04 - 自宅で大自然を満喫

10/27(金)に関東地方のNHKでお昼前に放送された「いっと6けん」という番組でジョー奥田さんという自然音録音家のことが取り上げられていた面白かったと妻から聞きました。山や川や浜辺などで聞こえる自然の音を「バイノーラル録音」という特殊な方法で録音する専門家です。CDも発売されていますので、あたかもその場にいるかのような体験を自宅で楽しめるというわけです。バイノーラル録音とその楽しみ方については、下記のサイトが参考になります:

参考サイト: バイノーラル録音とは?

上記のサイトにも書かれているとおり、バイノーラル録音された音源を聴くにはヘッドフォンを使うのが普通だそうです。さっそく購入したジョー奥田さんのCDで試してみましたが、ステレオ装置で普通にスピーカーから音を出すと、音が左右に分離してしまい、中央部分の音が極めて希薄になります。そのようなわけで、録音時の状況に最も近い(クロストークの発生しない)ヘッドフォンで聴く必要があるようです。

NS装置を利用すればスピーカーでバイノーラル録音の音場を正しく再現できる!

ところが、NS装置を組み込んだステレオ・システムでこのCDを再生すると、なんとスピーカーで聴いても、録音されたとおりの自然音を、正にその場にいるかのような臨場感で楽しめるのです! その理由は、もちろん、NS回路によって左右スピーカーから両耳に届くまでの間に発生するクロストークを解消できるからにほかなりません。ちなみに、NSレベルは音楽を再生するときよりも高めに設定すると良いようです。

今のところ、発売されているジョー奥田さんのCDは次のとおりです:

 ◇ AMAMI→詳細・購入(Amazon)
 ◇ Canoe Trip→詳細・購入(Amazon)
 ◇ Nagi→詳細・購入(Amazon)
 ◇ YAKUSHIMA→詳細・購入(Amazon)

このうち我が家でさっそく購入したのは「Canoe Trip」です。四万十川の上流から夜明け前にカヌーで出発し、川を下っていく様子が録音されています。カヌーを漕ぐ音、急流のざわめき、其処彼処から聞こえる様々な鳥の声、実にリアルです。まるで自分がそのカヌーに乗って川下りを楽しんでいるような気分に浸れます。

ちなみにジョー奥田さんは、このような自然音のことを「神が創った完璧に美しい音=God made sound」と呼ぶのだそうです。それに対して、音楽など、人間の作った音は「Man made sound」と呼んでいます。

皆さんも自宅で大自然を満喫してみるのはいかがでしょう?

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2006/10/22 - 同じ曲の別の演奏を聴きたくなるとき

クラシック音楽で好きな作曲家は? と尋ねられたら、私は真っ先にチャイコフスキーを挙げます。交響曲は第1番から第6番「悲愴」までCDを揃えていてどれも時おり聞きますし、いろいろな楽団/指揮者のCDや、BS放送を録画したDVDを持っています。その他、バレエ音楽の全曲、協奏曲、管弦楽曲の小品、組曲、弦楽四重奏など、オペラ以外はほとんどすべて集めました。

特に交響曲第6番「悲愴」はよく聴く曲の1つですが、指揮者や楽団ごとにいろいろな個性の醸し出された演奏があり、聴き比べると面白いですよね。そのときの気分や体調によって、無性に「あの演奏が聴きたい!」と思うこともあります。

20日の金曜日に無性に聴きたくなったのは、2004年11月24日、サントリーホールでのN響定期公演で演奏された「悲愴」交響曲です。指揮者はファビオ・ルイージでした。

この演奏を最初に聴いたのはFM放送で生中継されたときで、弦の響きの美しさ、オーケストラ全体の一体感の素晴らしさに感動しました。演奏そのものは、非常にダイナミックであるとか、深い哀愁を帯びたなどというよりも、ごくオーソドックスなのですが、盛り上がるべきところは適度に盛り上がり、適度な哀愁もあり、なぜか分かりませんが私の胸にグッと迫ってくるものがり、名演奏だと感じました。演奏終了後の解説者の論評でも「この演奏はN響のこれまでの演奏で5本の指に入るであろう名演だった」とのことで、私が感動したのも自然なことだったわけです。

その後、ライブ収録された演奏が衛星放送BS2で放送されましたので、パソコンにつないだTVチューナーで録画し、DVD化したものを「お気に入りの1枚」として保管してあります。そして、あの感動を思い出したくなると、取り出してきて視聴します。一昨日に聴いたときも、期待に反することなく感動がよみがえりました。そして前半のプログラム、ラフマニノフのピアノ協奏曲第2番も素晴らしい演奏でした。

いろいろな楽団や指揮者の個性溢れる演奏を聴き比べること、クラシック音楽を鑑賞する醍醐味はそんなところにあるのだなぁ、と再認識した1日でした。

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2006/9/29 - 心安らぐメロディー

8/28の雑記帳で「パッヘルベルのカノン / オン・パレード」(→詳細・購入(Amazon))というCDをご紹介しましたが、私はこれが手放せなくなりました。夜、寝つきが悪いときには、携帯CDプレーヤー + ヘッドフォンでこのCDを聴いていると、知らないうちに眠りにつくことができるんです。日によって違いますが、2曲目くらいまでしか記憶にないときや、4曲目まで覚えているときなど、いろいろです。眠りについたあともCDは様々な演奏形態の「カノン」を鳴らし続けているわけですが、翌朝の記憶には残っていません。でも、眠りが浅いうちは無意識でもリラックス効果が続いているのかもしれません。私にとって心安らぐメロディーです。

面白いことに、後から購入した「グリーンスリーブス」や「G線上のアリア」を寝つきの悪いときに聴いても、CDの最後まで聴き入ってしまい、寝付くことには役立たないことがわかりました。どちらも穏やかでゆったりしたメロディーですが、カノンのような効用がないとは、不思議なものですね。「オルゴール療法」でもパッヘルベルのカノンが使われており、低音から高音までまんべんなく音が出ているのがよいとされていることが関係しているのかもしれません。また、「カノン」が他の2曲に比べて速度や音程の変化が少なめなのも、心を静め、脳を睡眠へと導くのに役立つのかなぁ、という気もします。もちろん、人によって違うということも大いに考えられます。

音楽にはいろいろな効用があるということを改めて感じました。

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2006/9/6 - その後の「不思議な箱(真空管テルミン)」

昨年の夏に「不思議な箱」(2005/8/28)と題して紹介した真空管テルミンですが、苦労していた音量調節回路の部分が、色々と手を加えてもどうしてもうまく動いてくれません。このままお蔵入りというのも残念ですので、思い切って音量調節アンテナは諦めて、音程だけを調節できる簡易式テルミンに作り変えることにしました。作り変えるといっても、6本の真空管回路のうち3本分の回路を取り去り、例の“箱”を小さいサイズに切断するだけです。

こんな感じの片開きの箱になりました。

テルミンの外観

扉を開けるとアンテナ板と回路基板が姿を現します。

テルミンの扉を開けた様子

小型化したこともあり、6BM8によるパワーアンプとスピーカーを内蔵させることは諦めましたので、ライン出力を他のアンプに接続して音を鳴らします。我が家で愛用している“どこでも真空管アンプ”でOKです。トランジスタ式のテルミンよりずっと柔らかで暖かい音が出るところが嬉しいでね。

今、ちょっとした簡単なメロディーを演奏できるように練習しているところです。時間ができたら、製作記と一緒に音もご紹介しますね。

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2006/8/28 - 続・オルゴール

6/24の雑記帳でオルゴールがれっきとした生演奏であることなどを書きましたが、実はその後、我が家のオルゴールたちに少しの異動がありました。

手持ちのオルゴールを買い取ってくれるショップ(ハヤック21)が見つかったので、50弁のオルゴール(「四季」より「春」他)と、18弁の宝石箱型のオルゴール(月の光)を買い取ってもらい、代わりに72弁の「カノン」(パッヘルベル)と30弁の「月の光」(ドビュッシー)を購入しました。

さすがに72弁の演奏は圧巻ですね。音域が低音方向にも高音方向にも広がるため、実に見事な響きを聴かせてくれます。それに、弁数が多い分だけ1回転の時間が長くなり、演奏時間が延びるのも嬉しいことです。

また、18弁から30弁にアップすると、これまた想像以上に表現力が増し、演奏時間も長くなります。実は他に30弁のオルゴールが2台あるのですが、さほど複雑でない印象的なメロディーなので、30弁でも十二分に満足感のある演奏を楽しめるのがいいですね。

最近は「オルゴール療法」というものもあるそうで、お奨めの曲が「カノン」と書いてあったことが、今回の“異動”を決めた理由の1つです。本格的に治療として「カノン」のオルゴールを聴くと、色々な慢性病の症例が改善されたとそのサイトでは紹介されています。もっとも、かなり長時間にわたって、オルゴールに頭をくっつけて(間にタオルを挟みます)聴くなどする治療なので、今のところそこまでは実行していませんが、就寝前にぜんまいを完全に巻いた状態から9回転分を聴くだけでも、かなりのリラックス効果があります。

こんなことをしているうちに、「そういえばウチにはパッヘルベルのカノンのCDはなかったなぁ」と気付きまして、アマゾンで検索してみたところ、「パッヘルベルのカノン / オン・パレード」(→詳細・購入(Amazon))という面白そうなCDが見つかり、さっそく購入しました。聴いてみますと、実にバラエティーに富んだ演奏です。イ・ムジチ合奏団の標準的な演奏に始まり、シュトゥットガルト室内管弦楽団による重厚な演奏が聴こえたと思うと、今度はスイングル・シンガーズのスキャットによる演奏が続き、次には何とポール・モーリア・オーケストラの登場です。いゃ〜、楽しいですね。オルゴールを聴いた後、このCDをポータブルCDプレーヤー + ヘッドフォンで聴きながら就寝すると、リラックス効果が倍増する気がします。

この「オン・パレード」シリーズには他にもたくさん馴染みのメロディーのバージョンがあります(→詳細・購入(Amazon))。私は何枚か集めたくなりました。皆さんもいかがでしょう?

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2006/8/6 - こんな楽器でアニメ音楽?

我が家には若手のアルパ奏者・上松美香のCD/DVDがほとんど揃っているのですが、そんな関係で「アニパ」(→ 詳細・購入(Amazon))という新譜が発売されることを知り、さっそく購入してみました。南米のラテン音楽を奏でる小型のハープ「アルパ(インディアン・ハープ)」でアニメ曲を演奏するという異色の取り組みです。

アルパというのはなかなか面白い楽器で、音域はチェロの低音あたりからバイオリンの高音あたりまで鳴ります。当然両手で弦を弾きますので、ピアノのように低音部と高音部を同時に演奏することもでき、「これって1台で演奏しているの?」と錯覚することがあるほどです。

さて新譜の「アニパ」の感想ですが、じっくり聴くというよりも、BGM的に流すとピッタリかと思います。ラテン音楽を愛好する方々が聞くと「何でこんな曲を弾いているのか!」と眉をひそめられそうですが、アルパの音域の広さや演奏技巧をうまく使ってアニメ曲の雰囲気を上手に表現しています。そんな中で、時おりラテンのスパイスを少々効かせたような部分が混じっていて、なかなか面白いCDですね。アルパの幅広い可能性を追求している、といったところでしょうか。

ちなみに、もっとラテン色の濃い上松美香のCD/DVDでお奨めは、まず第1にDVD版の「! SALUD ! (サルー!) 」(→ 詳細・購入(Amazon)です。この人の魅力の1つは実に楽しそうに笑顔で演奏するところなのですが、このDVDではその演奏風景を楽しめると同時に、共演者の見事な演奏技巧も見事です。CDでは、ファーストアルバムの「INOCENCIA」(→ 詳細・購入(Amazon)や3枚目の「PASION」(→ 詳細・購入(Amazon)がラテン色の濃い演奏だと思います(もっとも、本当にラテン派の人は「この人の演奏はラテン色が薄い」と感じるようですが…)

アニメ曲を意外な楽器で演奏しているCDで私が以前から持っているのは、チェロ奏者・藤原真理の「風」シリーズの2枚です。初版CDはもう絶版ですが、最近 安く再販されています。1枚目「風 ― ナウシカの思い出に捧げる」(→ 詳細・購入(Amazon)のナウシカ組曲5曲(原曲の作曲者・久石譲氏による編曲)は、私のお気に入りです。時おり思い出したように引っ張り出してきて聴きますが、各曲ともアニメ版「ナウシカ」の色々なシーンを彷彿とさせる名曲・名演奏で、ジーンと胸に迫ってくるものがあります。その他の曲もピアノ伴奏による演奏で、なかなか楽しめます。

話がそれますが、“宮崎アニメ”は「もののけ姫」あたりから趣きが随分と変わってきましたよね。でも、宮崎駿氏の頭の中にある世界は実はこれが本当のものなんだろうと思います。私は「風の谷のナウシカ」の原作コミック全7巻を持っているのですが、そこに描かれている世界はアニメ版ナウシカよりもっとドロドロとして混沌とした「これが宮崎駿ワールドなんだろうなぁ」という作品です。

話を戻します。2枚目「風のメッセージ」(→ 詳細・購入(Amazon)には「となりのトトロ」のテーマ曲が2バージョン収録されています。こちらは、チェロのバックがシンセサイザーによるポップス調の伴奏なので、1枚目のクラシカルな雰囲気とは対照的です。

実は「風」シリーズには3枚目「風のかたみ 〜 宮澤賢治へのオマージュ」(→ 詳細・購入(Amazon)というCDもあるのですが、私はこれを持っていません。そのうち購入しようかと思っています。

クラシカルな楽器でのアニメ音楽、なかなか楽しめますね。

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2006/7/2 - NS回路はヤングの干渉を解消する!

このHP内の各所でこれまで「これは特許になりうる事柄なので」などとぼかして言及していた内容がありましたが、米国アラバマ大学の高橋教授から「公開してよい」とのお許しが出ましたので、第一報としてこの雑記帳で概要を皆さまに公表します。

高橋教授が発見なさった重要な知見は「NS回路のように -kR と -kL を利用してクロストーク打ち消しを行なう手法では、クロストーク打ち消し信号をμ秒単位で僅かに遅延させると、今まで不可避と考えられていたヤングの干渉をかなりの程度まで解消できる」という事実です(その遅延量の具体的な数値は“企業秘密”に属する内容ですので、非公開とさせていただきます)。

「ヤングの干渉」ってなに? 実は私も初耳でした。オーディオ理論に詳しい方々であれば、ヤングという人名をつけないまでも、2台のスピーカーを使うステレオ再生では「干渉が起きる」ということをお聞きになったことがあるかもしれません。

「ヤングの干渉」とは元々、光が波の性質を持つことを証明する現象として発見されたものですが、オーディオ装置で聞く音も波ですので、同じ現象が起きます。それは「2箇所の異なる位置から発生した波がぶつかる箇所で激しい凹凸のある波が発生する」という現象です。これをオーディオ分野に当てはめると、ステレオ再生の2台のスピーカーから出た音が聴取者の耳の位置でぶつかると、元々の音楽ソースには含まれていない高音域の音や歪みが発生し、音が濁ってしまうと言い換えることができるでしょう。

無風状態で波のない池や湖を想像してみてください。異なる2箇所に小石を落とすと、波が円形を描きながら四方八方に広がっていきます。その2組の波がぶつかる部分で何が起きるか思い描いてみてください。いかにも「ぐちゃぐちゃ」な状態が起きそうですよね。これがヤングの干渉です。NS装置を使うと、この「ぐちゃぐちゃ」の発生が解消されるので、何かシャリシャリした濁ったような音だったものが、滑らかで心地よい音に変化するわけです(ユーザーの声で、この種の感想を書いておられる方が何人かおられますよね)。逆に、その高音域のざわめきのようなものが消えるので、NS装置を通すと「音の鮮度が落ちる」と感じて購入を諦めた試聴のお客様も何人かおられますが、私はそれは「鮮度が落ちる」のではなく「無駄な濁りが消える」のではないかと考えています。とはいえ、オーディオはれっきとした趣味の世界、自分の好みの音を自由に追求してよいのですから、私はNSの音を全員が好ましいと感じてくださるとは毛頭思っておりません。この音が好ましいと感じる方も大勢おられますから、今後もそのような方々にこの“理想郷”を体験していただきたいと願っております。

ではなぜNS回路でμ秒単位の遅延が発生しているのか、またその遅延があるとなぜヤングの干渉を解消できるのか、そのあたりのことを説明しようとすると、色々な学問分野の知見を持ち出してくる必要がありますので、できるだけ早い機会に別個のページを作成して、なるべく詳細かつ平易にご説明したいと思っています。何しろこのテーマに関しては、高橋教授と何十通ものメールをやり取りし、物理学や音響学はもちろん、耳の構造に関する生理学や、鼓膜を震わせた音が脳でどのように知覚されるかという脳の生理学・心理学的な内容に至るまで、非常にたくさんの科学的な知見を教えていただきました。私自身もまだすべては理解できていない状態ですので、過去にいただいたの資料を読み返し、頭を整理してから、皆さまにお知らせしようと思います。

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2006/6/24 - 自宅で手軽に生演奏を聴く 〜 オルゴール

自宅で楽器の生演奏を聴くとなると、家族の誰かがピアノなどの楽器を弾ける場合でない限り、ほとんど聴く機会はありませんよね。ヨーロッパの貴族の豪邸には現代でも、室内楽を演奏する音楽家たちが常駐していたりするんでしょうかねぇ?

でも、少しの出費でとても癒し系の生演奏を楽しめるものがあります。それが今日のテーマ、オルゴールです。

オルゴールがアナログ系の生演奏だということは「オルゴール屋ドットコム」の店主が語っておられます。このページで説明されているとおり、オルゴールといっても簡易なものから複雑なものまでたくさんの種類があります。いちばん安価なのはさまざまな観光地でお土産として売っているような「18弁」のもので、つまりは18通りの音程を鳴らせるということです。この程度ですと、メロディーを奏でる1音と、伴奏を奏でる1音を鳴らすのがやっとですが、それなりに綺麗な音がしますよね。

ところが、「50弁」とかそれ以上のオルゴールになりますと、値段は高くなりますが、これが実に見事な生演奏を聴かせてくれます。オルゴールの音は長いものから短いものまで順に並んだ金属の「弁」を、シリンダーに取り付けられた突起で はじくことで出ているのですが、手の混んだオルゴールになりますと、シリンダーが1回転するたびにシリンダーが横にずれて、3回転で1つの長い曲を演奏したり、3曲まで複数の曲を演奏したりできるようになります。

ことの始まりは、妻が東京の自由が丘にあるオルゴール店に友人と出かけて、50弁や72弁のオルゴールのなんとも形容しがたい優雅な響きに魅了され、大感激したことです。その時は、さすがに数万円も支払って50弁のオルゴールを買うことには抵抗を感じ、数千円で購入できる18弁の「月の光(ドビュッシー)」で我慢したそうです。それでも、けっこう綺麗な生演奏を楽しめます。妻いわく「この音を聴いて、あの50弁の見事な響きを思い出せればそれで十分」。

購入したオルゴールの写真

しかし、弁数の多いオルゴールの音にすっかり魅了されてしまった妻は、できれば50弁あたりのオルゴールを何とか手に入れたいと思うようになり、お得意のGoogle検索で色々なオルゴール通販店を見つけ出し、破格のお買い得品に出会うこととなります。それが「音工房 すずらん」の「お買い得品」コーナーに「残り2台」と載っていたオルゴールでした。このオルゴールは何かの「ワケあり」で通常価格の1万円引きで購入できました。収録曲はビバルディの四季より「春」(シリンダー2回転分)と、バッハの「主よ、人の望みの喜びよ」です。

どちらもバロックの室内管弦楽曲ですから、50弁でも十分に見事な生演奏を披露してくれます。主旋律、伴奏、装飾旋律など、複雑な響きが実に見事で、3万円弱を支払ったのは決して高い買い物ではなかったと二人で喜んでいます。今のところ1日に2回以上は生演奏させて酔いしれています。

この通販サイトでは、もっと弁数の多いものを含め、色々と試聴できるようになっています(もちろん圧縮された音源ファイルですが)。興味をお持ちの方はアクセスしてみてください。試聴するには「リアルプレイヤー」というソフトが必要ですが、無償版はこちらのページからダウンロードできます。

また、オルゴール・ムーブメントの供給元である日本電産サンキョー商事(株)の直営サイト「おるごーる本舗」でも、多数の楽曲を試聴できます。中でも、まだ数少ない100弁のオルゴールは圧巻です。ビアノ曲が主体ですが、ピアノの楽譜にあるすべての音をオルゴールの弁で鳴らしているようです。

オルゴールの弁をはじくと、ちょうど音叉のように、かなり正弦波に近い音が出るようで、この音を聴いていると頭の芯がフワァーッと和らいでくるような、癒しの気分を味わえます。

ただ、いくら手軽に自宅で生演奏を楽しめるといっても、50弁以上のオルゴールを何台も購入するのは現実には無理な話ですよね。しかし! なんとも頼もしい商品があります。ちょうど演奏会に何度も足を運ぶ時間や資金がない場合にお気に入りの楽団のお気に入りの曲を収録したCDを買うのと同じように、50弁以上のオルゴールの主要曲を収録したCDを購入できるんです。Amazonで販売されている主なものは下記のとおりです:

  ◇ 50弁オルゴール オルフェウス名曲アルバム クラシック編
  ◇ 50弁オルゴール オルフェウス名曲アルバム ポピュラー編
  ◇ オルフェウス名曲アルバムI
  ◇ オルフェウス名曲アルバムII

購入してみて分かったのですが、後半の2枚は、何とディスクタイプの80弁オルゴールの演奏を収録したものでした。これでモルダウなど聴きますと、フルオーケストラの曲を見事に編曲して、原曲とはまた違った感動を、オルゴールのあの癒し系の音で楽しめます。また、ポピュラー音楽のほうがオルゴールで聴いてもクラシックの管弦楽曲より違和感が少ないとも感じました。ポップスは元々色々な編曲で普段から耳に入ってくるからだと思います。クラシックの管弦楽曲では、音数を大幅に減らして編曲しますので、少々無理があるのかもしれません。

我が家では上記のうち上の3枚を購入しました。生演奏には劣るとはいえ、NS-3(製品版1号機は、帳簿上、自分で購入したことにしてさっそく愛用しています) + SV-2(2003)モノラル版(真空管はGE 211/VT4C 1943年モノ)で再生しますと、なんともいえない響きを楽しめます。

皆さまも、時にはオルゴール本体の響きや、CDに収録された響きを楽しんでみられてはいかがでしょうか。

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2006/6/13 - 製品版NS-3の1号機が完成!

日曜日からNS工房のHPでご紹介しているとおり、ようやくNS-3の製品版1号機が完成しました。生みの苦しみを味わいながらの長い道のりでした。

NS-3の写真

製品に使用するケースを正式に発注しましたので、まずは6/23頃までに試聴機を2台ほど完成させた後、製品を発売する予定です。キットの組み立て説明書の制作に時間が掛かりそうですので、発売は6月末頃になると思います。特長や仕様などをNS工房のサイトで公開していますので、関心をお持ちの方はこちらをご覧ください。

デザインは相変わらずイマイチかもしれませんが、音のほうは自信を持って皆さまに推薦できます。特に、真空管パワーアンプにCDプレーヤー等を直結して聴いておられる方は、真空管プリを追加することで「これぞ真空管アンプ!」という温かで柔らかで良い響きのするオーディオを楽しめると思います。この真空管プリの特長はNS装置との相性が抜群で、両者が協調して真空管パワーアンプの力を存分に引き出してくれるはずです。

もちろんオーディオは趣味の世界、音の好みが十人十色であることは重々承知しておりますので、試聴記の貸出制度も遠慮なくご利用ください。

このところNS-3の開発に全力投球状態だったため、雑記帳の内容もその話題ばかりでしたが、近日中に全く毛色の違う話題を提供しようと思っています。お楽しみに。

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