「雑記帳 - 電子工作」の中でご紹介したのですが(2004/10/5と2004/10/31)、@niftyのサイトで「テルミンをとうとう作ってみた」という特集記事を見かけたことがきっかけで、自分でテルミンを作ってみることにしました。このページでは、パーツ調達、製作、チューニングの様子をご紹介します。
このページの内容:
作り方はpyaさんのサイトの「テルミンを作ろう!」というページを参考にしました。初心者でも自作に挑戦できるように、工具や部品の調達からハンダ付けの練習、実際製作する際の基板のパターン図(ユニバーサル基板を使用)、チューニングの仕方まで、非常に親切・丁寧に説明されています。
オリジナル作品のとおりに作ることもできますが、完成した後できるだけ手軽に使えるようにしたいと考えて、私なりの工夫を加えてみることにしました。
オリジナル作品ではヘッドホンやイヤホン聞くか外部のアンプなどに接続するようになっていますが、1台で気軽に楽しめるようにするため、低消費電流のパワーアンプIC(LM386)とスピーカーを内蔵することにしました。
オリジナル作品では9Vの角型電池(006P)を使っています。最近はほとんどがアルカリ電池タイプで値段が高いこと、アンプ内蔵にするので電池の消耗が早くなることなどから、ランニングコストを低く抑える目的でニッケル水素の充電電池を利用することにしました。幸い、電池込みで格安のキットが通販でも手に入ります。
そのほかの細かい改良として、pyaさんのサイトのBBSで「音量調整ボリュームのところにコンデンサを入れたほうが良い」という趣旨の書き込みを見つけましたので、そのアドバイスに従うことにします。また、電池の消耗を少しでも抑えるため、LEDと直列に入れる抵抗の値を大きくしました(手持ちの1.3KΩを利用して、LEDに流す電流を約5mAに落としました)。テルミンの回路で使っている1.1KΩを使ってもよいと思います。
ほとんどのパーツは通販で購入し、一部のパーツは手持ちのものを使いました。ケースは100円ショップでタッパーを購入することにしました。
ここでは、ユニバーサル基板、トランジスタ、バリキャップダイオード、コイル、抵抗、コンデンサ、ボリューム、スイッチなど、ほとんどのパーツを購入しました。抵抗やコンデンサは10本単位で買うことになりますが、単価が安いので余分が出てしまうことは気にしないことにします。
スピーカー(57mm角、8Ω、2W)もこの通販で税込\315で購入できました。このサイズですと0.5W程度の小出力のものが多いですが、音質を考えるとワット数の大きいものを買いたくなります。ちなみに、このページの執筆時点では、残念ながら同じ品物はWeb上のカタログから消えていました(品切れ?)。
パワーアンプIC LM386と、それに必要なコンデンサと抵抗もここで買いましたが、必要な電解コンデンサの種類が多く、10本単位の購入ではかなり無駄が出ます。下記の「秋月電子」でキットを購入できますので、その方がお勧めです。
トランスレスの充電器キット、プラスチックケース、006Pニッケル水素電池(定格8.4V、200mAh)がセットになってこの価格ですので、たいへんお買い得です。ただ、AC100Vを使いますので、初心者の方が製作するには危険かもしれません。
通常の3端子レギュレータより低い入力電圧で済むタイプです。入力側と出力側に接続するコンデンサ2本とデータ図面も付いてこの値段ですから、お買い得です。定格電圧がやや低めの充電電池を使うので(といっても満充電時は9V以上出ている)、これを使うことにしました。私は手持ちのヒートシンク(放熱器)を取り付けましたが、アンプの消費電流を含めても、極端な大音量を長時間鳴らし続けるのでない限り、ヒートシンクなしで大丈夫だろうと思います。
充電電池をテルミンのケース内に入れたままで充電できるようにするため、調達しました。電池をテルミンから外してきて充電するのであれば、不要です。
LM386のほか、ICソケット、必要な抵抗とコンデンサ、ボリューム調整用の半固定抵抗なども付いてこの値段です。もちろん回路図や製作説明書付きで、パターンをあらかじめ印刷した小さな基板も付属しています。
1枚の基板上にパワーアンプも同居させ、充電電池も基板上に固定できるようにしたいと思ったので、pyaさんのサイトに載せられているパターンどおりにパーツを取り付けるのではなく、プリントアウトした回路図を見ながら適当にパーツを取り付けていきました。多くの抵抗は立てて取り付けました。トランジスタ1石とその周辺パーツを1まとまりとして段階的に取り付け、配線し、チェックするという具合に、慎重に作業します。
なお、「2つのコイルはなるべく距離を離した方が良いですよ」というpyaさんのアドバイスに従って、発振回路2つは間を開けて配置しました。
写真は完成後に撮ったものですのでケースに入っていますが、実際の製作のときには、まず基板上にテルミンの回路だけを組み込んだ後、パワーアンプ回路を取り付ける前に、テストを行ないました。回路図と見比べて配線漏れなどがないことを確認し、外付けのボリュームなども接続してから、電池をつないでみます。さぁ、うまくいくかな? と思って音量ボリュームを調整したり、チューニング用の調整ボリュームや半固定抵抗を回したりするのですが、さぁ たいへん。音が出てくれません。かすかなホワイトノイズが「サー」と聞こえますので、全く動作していないわけではなさそうです。
さて、困った。まずは一休みして気持ちを落ち着け、再度よく配線をチェックしてみました。すると、何ということでしょう、1箇所、5V電源への配線を忘れていた箇所がありました。電子工作歴うん十年とか自称しておきながら、お恥ずかしい限りです…。そこをつなぎますと、元気よく音が鳴ってくれました。まずは、ひと安心!
続いて、パワーアンプICとその周辺パーツを取り付け、スピーカーに接続して鳴らしてみます。これは、問題なく成功しました。
さて次は、ケースの穴あけです。
この写真のように、ケース背面にはロッドアンテナ、イヤホンジャック、充電用ジャックを取り付けました。手持ちのロッドアンテナは左右に倒せるような金具が付いていましたので、金属製のネジ付きスペーサを挟んでケースに取り付けました。また、ジャックにイヤホンを挿すとスピーカーの音が出なくなるように配線しました(テルミン回路の出力とパワーアンプ回路の間にイヤホンジャックを接続)。
ケースの上面には、スピーカー、調整ボリューム、音量ボリューム、LED、電源スイッチを付けました。私はトグルスイッチを使ったので、LEDを省略してもよかったかもしれません。pyaさんの作品では電源スイッチにプッシュ式を使っておられたので、LEDを付けないとオン/オフがわかりにくいと思いますが。
スピーカー部分の穴あけがたいへんでしたが、頑張って加工しました。タッパーというのは、柔らかいので、ドリルの刃が結構滑りますね。センターポンチで十分に目印を付けておいたのですが、かなりずれてしまいました。それから、ドリルの刃が磨耗して鈍っていると、ぜんぜん穴が開きません。逆に、新品に近い刃ですと、手元が狂いそうになるほどアッという間に穴が開きます。
この写真は、充電器で充電している様子です。充電器のLEDは、充電電流が流れているときだけ光るようになっています。充電器の回路は、温度ヒューズやポリスイッチ(一定以上の電流が流れると切れる仕組みになっている、繰り返し利用可能な「ヒューズ」)で保護対策が施してあります。また、電池スナップの部分に高電圧がかからないように、ツェナーダイオードで電圧が制限されています。満充電まで16時間かかります。
ちなみに、私が購入したキットの説明書には「LEDは定格が40mAのものを使用。長時間使うには、並列に 100〜47Ω 1W 程度の抵抗を入れたほうが良いでしょう」と手書きで注釈が付記されていました。そこで、手持ちのパーツの中から 330Ω 1/4W を4本並列にして、LEDと並列につないでいます。この抵抗もキットに入れておいてくれるといいんですけれどねぇ…。LEDには充電電流約30mAがそのまま流れますので、定格ギリギリで破損しやすいということなのでしょう。
pyaさんのサイトに詳しい手順が書かれていますので、それに沿ってチューニングします。最終的には、外付けの調整ボリュームを回したとき「(3)音が低くなった後、一瞬途絶えて今度は高くなっていく」という状態になります。
私の作ったテルミンでは、音が「一瞬途絶える」ポイントがあることはあるのですが、なかなかその位置で固定できません。pyaさんに相談したところ、「音が途切れるポイントで止めるのは確かに難しいです。そのズレを見越して調節する必要があります。わざと音の途切れる手前で止めて、手を離した時に音が途切れるようにするとか。おそらくツマミを回す手もアンテナに反応しているのでしょう。ツマミとアンテナの距離を離してみるのも手ですね。いろいろ試してみてください」とのアドバイスをいただきました。
そのアドバイスに沿ってチャレンジしてみたところ、うまく勘を働かせると、音がとまる箇所が見つかるようになりました。電源を入れてしばらく時間を置き、回路が安定してきてからの方がうまくいくように思います。
楽器店などで販売されている「本物のテルミン」には、アンテナが2つ付いています。1つは音程を上下させるアンテナ、もう1つは音量を上下させるアンテナです。音量を調節できるようになると、いっそう楽器らしくなり、練習すればそれなりに演奏できるようになるのではないかと期待できます。
今回作ったテルミンには「音量を上下させるアンテナ」が付いていませんので、今後の課題は、そのアンテナと回路を増設することです。pyaさんが参考になさった自作テルミンを紹介しているサイト「Theremin」には、ボリューム調節用の回路も紹介されていますので(「制作資料」の中の「ver6回路図」の「ボリューム基板」)、それを利用させていただいてチャレンジしようと思っています。もしうまくいったら、またご報告しますね。
最後になりますが、興味深いページを公開してくださり、ご親切にアドバイスまでしてくださったpyaさん、そしてpyaさんが参考になさった「Theremin」サイトに回路図を公開してくださったサイト管理者の方に感謝をお伝えしたいと思います。ありがとうございました。
本文中で紹介したサイトも含め、テルミン関連のサイトへのリンクをここにまとめておきます。
→ このサイトの回路図から真空管テルミンを作ってみました。製作記はこちらです。
(公開: 2004/11/3)