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井の頭・自然のできごと


11/8(日) 晴れ

始めることと、やめないこと

発表スライド・表紙  私は自然観察者であって研究者ではないので学会なるものとは無縁だったのですが、今日初めて「学会発表」をしました。日本獣医生命科学大学で6日から今日まで開かれた野生生物保護学会第15回大会の、テーマセッション「餌づけ問題を考える」で、井の頭池のエサやり自粛キャンペーンについて報告したのです。

 発表の依頼は、「餌付け問題メーリングリスト」に加入している仲間経由で、今回の発表者の一人であるHさんからいただきました。全国的にも珍しいらしい、都市公園でエサやり自粛を成功させるまでの経緯や苦心したことなどを詳しく聞かせてほしいとのことでした。

テーマセッション「餌づけ問題を考える」の内容は次のようなものでした。

□発表
 ・K氏 「餌づけ問題とは何か」 (20分間)
 ・H氏 「給餌・餌づけの効果と問題点」 (20分間)
 ・私  「井の頭池のエサやり自粛キャンペーン 〜実現までの経緯とその後〜」 (30分間)
□討論
 実名を書いても問題ないと思うのですが、確認を取っていないので略称にしておきます。K氏は関東のK大学の先生で、北海道の野生動物の研究をされているそうです。餌付け(エサやり)に関しては明確な反対意見をお持ちです。Hさんは北海道の鳥類研究者で、餌付け問題にも熱心に取り組まれているようです。K先生とHさんが餌付け問題の概要を解説し、私がケーススタディとして井の頭の活動事例を具体的に紹介しました。

 下の写真は発表に使用したスライドのうちの二枚で、左はキャンペーン開始前(2005年11月5日)の七井橋のようす、下右は昨日の同じ場所のようすです。劇的にエサやりが減少したのが分かると思います。

エサやりが激しかったころの七井橋 エサやりがなくなった七井橋
 話を聞いてくれたのが11人だけだったので、私としては少し残念だったのですが、餌付け問題をなんとかしたいと考えている研究者がいるのが分かったのは嬉しいことでした。ただ、具体的に動いている研究者はまだほとんどいないようで、討論にはならず質問だけでした。直接聞き取り結果を元にエサやりをする人を4グループに分類し、それぞれに有効と思われる対策をまとめた、私の「エサやり人分析」にK先生は興味を示されていました。餌付けをする人の研究や、どうすれば餌付けを減らせるかの研究はまだほとんど行われていないそうです。

 活動のモデルにしたものが何かありましたか、という質問がHさんからありました。ありません、まったくの手探りでした、と答えました。井の頭池の成功には、「よみがえれ!!井の頭池!」運動が始まったことや、所管事務所の当時の所長が前例のないことでも決断できる人だったことなど、いくつかの幸運があったのですが、それがなくても成功したと思いますか、という鋭い質問をくれた人もいました。成功しなかったと思います、というか、そもそも活動を始めなかったと思います。「よみがえれ!!井の頭池!」シンポジウムのポスターを見て光を感じ活動を開始したのですから。でも今の私ならそういう幸運がなくても活動を始めるでしょうし、成功させることができると思っています。我々が現在、エサやり問題よりずっと難しい外来魚問題に取り組んでいるのは、間違いなく、自分たちのエサやり自粛の活動がモデルになっています。

 発表の最後に「活動で最も大事な二つのポイント」を挙げました。第一は「始めること」、第二は「やめないこと」です。うまくいっていない活動はどちらかができていないものです。始めるとは、単に意見を述べることではなく、状況を本気で変えようと行動を開始することです。始めたことをやめないで続けるのはもっと難しいです。しかも単に同じことを繰り返すだけでは不十分です。状況が思うように進まなかったら、新たな手を考えて実行することが重要です。現在の自分たちの力を超えていることでも選択肢から外す必要はありません。活動が正しいものである限り、必ず協力者や支援者が現れて、力になってもらえます。

 私の発表がきっかけになって実際に行動を開始する研究者が現れれば、とても嬉しいのですが。

エサやりがない池の楽しみ方

 上記のテーマセッションでは、「カモがいなくなってしまったじゃないか!」という苦情はありませんかとの質問もありました。確かにそういう苦情は少なからずあったようですし、私も言われたことがあります。下の二枚の写真(6日撮影)を見ても分かるように、エサやり自粛のため、井の頭池で冬を越すカモの数は激減しました。しかしながら、それで池がつまらなくなったと言うのは間違いです。

カモが少ないお茶の水池 カモが少ない七井橋周辺

 以前は数百羽も来ていたオナガガモと2百羽ほど来ていたキンクロハジロは確かに激減したのですが、その他のカモは激減と言えるほどは減っていません。激減した二種もまだ数十羽は来ています。たまに姿を見せる種類はエサやりとは無縁です。ですから、池で見られるカモの数は減りましたが、種類は減っていないのです。

 下左の写真のハシビロガモがそれほど減っていないのは、人からのエサに頼らなくても食べるものがあるからです。彼らは大きなくちばしで水中のプランクトンを濾しとって食べる特技を持っています。(それはつまり、井の頭池が多くの人が目指しているような澄み切った池=プランクトンが少ない池になったら、彼らは来なくなるということです。) 

プランクトンを漉しとるハシビロガモ 水面に落ちた種子を食べるオナガガモ
 オナガガモはエサやりの有無に最も敏感に反応するカモなのでたちまち激減しましたが、今も数十羽は留まっています。そういう個体は、上右の写真のように、種子などを丹念に探して食べています。(分園の白鳥池でハクチョウとガンのエサをくすねているものもいますけどね。)

 キンクロハジロは朝暗いうちに池に飛来して暗くなると再びどこかへ飛び去っていきます。エサやりがなくなってもすぐには減らなかったので、私は他の目的(安全確保など)もあるのかと思ったのですが、最近では来る数がかなり少なくなったので、やはりエサやりが目的だったことが分かりました。池にいるとき彼らが得意技の潜水採食をするのをしばしば見かけるようになりました。

 年中いるカルガモは、池と、もっと自然の食べ物が豊富な神田川などの間を行き来して暮らしているので、数はあまり変わっていません。

コガモ  右の写真は浮島にいたコガモです(1日撮影)。コガモは50年ほど前までは5百羽以上が来ていたそうですが、今はほとんどまったく来なくなりました。その理由は第一には池の環境がコガモが暮らすのに適さなくなってしまったから(水草の消失など)ですが、オナガガモやキンクロハジロが増えて池が騒々しくなり、臆病なコガモには居づらくなったのも理由のひとつだと私は考えています。現在は池のすぐ下流の神田川に毎年10羽前後が来ていて、時々池までやって来ます。最近その頻度が増えているのは、エサやり自粛でカモが減ったからではないかと思っています。まだ合格点をもらえていませんが、池の環境がもっと良くなれば、口笛のような鳴き声を出しながら求愛行動をするコガモの群れが井の頭池で再び見られるようになるでしょう。(たぶんそのときはキンクロハジロは来なくなっていると思います。)

 以上のように、エサやりがない池では、カモの種類ごとに異なる本来の暮らしぶりをはっきりと見ることができます。それは投げるエサに殺到するカモを眺めるよりはるかに興味深いことで、自然にとっても人間的にも豊かなことだと思います。カモの数ではなく、それぞれの特徴と暮らしぶりを楽しみましょう。


11/6(金) 晴れ

マリーに会ったら

マルガモ・マリー  午後4時過ぎに七井橋を通ったら、久しぶりにマルガモのマリーに会いました。彼女は独りでした。9月20日の記事に載せたカルガモの彼氏とはどうも別れたようです。

 カモはカップルになるとオスとメスが常に一緒に行動しますが、子育てをするのはメスだけなので、メスが巣作りを始めるとカップルを解消し、次の冬に越冬地で新たな相手を見つけると言われています。しかし、渡りをしないカルガモにはかなりの例外があるようで、一緒に行動しているカップルを一年中何組も見かけます。マリーもあの彼氏と年越しをするのかと思っていたのに、秋になってから別れてしまったのは何があったのでしょうか。もっとも、私はカルガモの個体識別ができないので、あの彼氏が今年一緒に子育てをしたカルガモなのかの確証はありません。

 マリーは今後新たな相手を見つけることになるでしょう。個体識別可能なオス、すなわちマルガモのオスとカップルになってもらうと観察が楽で助かるのですが、さてどうなりますか。


10/27(火) 晴れ

クロがいない・・・

シロ  午後3時半ごろ弁天橋近くにいたシロです。ではクロはというと、見当たらないのです。先月までは確かにいたのですが、その後私は彼を見ていません。どうも、井の頭池からいなくなってしまったようです。

 9月30日のこと、家でデスクワークをしているとき仲間から電話がありました。お茶の水池にカイツブリが3羽いて、仲良く鳴き交わしているというのです。ちょっと信じられない話です。何年もカイツブリを観察していますが、カップルの両方が侵入者と仲良くしているところなど見たことがないからです。(オスが侵入メスに好意を示したりメスが侵入オスを許容したりするケースはけっこうあります。) 唯一あり得るかもしれないのは今年生れの子供が戻ってきたことぐらいですが、カイツブリが5ヶ月ぶりに会う子供を覚えているものかどうか・・・。期限の迫っている仕事を放り出して真相を確かめに池に駆けつけようか迷いましたが、思いとどまりました。

 その判断は社会人としてはまっとうだったと思うのですが、自然観察人としては完全に間違いでした。理由が分からないままクロがいなくなってしまったからです。私は14日までシロも見なかったのですが、その間も井の頭バードリサーチの観察情報にはカイツブリが入っていたので、十分観察時間を取れなかった私が単に会えなかっただけだと思います。すなわちクロが10月1日以降も池にいた可能性もあるのですが、現在いないのはほぼ確実です。池に里帰りした子供(?)に連れられてどこかへ去っていったのでしょうか?

 クロは私が最初に個体識別できるようになったカイツブリです。その2002年には子育てをしていましたから、彼は2001年以前の生まれで、今年で8歳かそれ以上ということになります。近頃は見ていてやや衰えを感じるようになり、魚を獲る能力はシロに劣っていますが、飛んでいる虫をハッシとくわえ捕るなど空中での運動神経は健在だったので、まだまだ元気で井の頭池にいてくれるものと思っていたのですが、虫、とくに彼らが頼みの綱にしているユスリカが秋にはほとんど発生しないため、腹ペコだったのかもしれません。外来魚のせいで激減したモツゴやエビをなんとか復活させて彼らの生活を楽にしてやりたかったのですが、間に合わなかったのは残念です。クロがどこか在来水生物が豊富なところに避難していて、また井の頭池に戻ってくることを祈るばかりです。

 独りぼっちになったシロはどうするのでしょうか。彼女はいまのところなんとか食べ物を確保できているようです。しかし、何度も何度も潜ってやっと獲物を1匹という厳しさで、いつ井の頭池を見限ってもおかしくない状況です。我々は来年は今年以上の数の在来水生物が誕生し生存できるように、今年は昨年の1.5倍のブルーギルを駆除することを目指して活動しています。期待通りの結果が出るかどうかはまだ分かりませんが、春になれば稚魚や稚エビがたくさん誕生して、カイツブリの生活はかなり楽になるはずです。それ以前も、11月末になれば水温がぐんと下がり、今までは捕れなかったブルーギルの稚魚が捕れるようになるでしょう。なんとかもう少しの間辛抱してもらいたいものです。誕生日まで知っているシロに私は特別の愛着があるし、観察対象としても重要だと思っています。

勝手違い

カマキリをくわえたシロ  4時15分ごろ弁天橋に戻ると、シロが何かをくわえて橋に向かって水上を走ってきました。

 彼女がくわえていたのは、卵でお腹が膨らんだ大きなカマキリでした。久々のご馳走をカモに盗られないように逃げ回っていたのです。きっと、水上に張り出した枝にいたのを捕まえたのでしょう。井の頭池のカイツブリは岸辺の枝や草をしょっちゅうチェックして回っていて、そこにいる虫をよく捕まえます。

 横取りしようと迫ってくる何羽ものカモを潜ったり駆けたりしてかわした後、シロは岸辺の木陰に入り、そこで獲物を食べ始めました。

カマキリがつかえたシロ  ところが、すぐに左の写真のような状況で固まってしまいました。カマキリをお尻のほうから呑み込もうとしたら、開いた翅が顔につっかえてしまったのです。カマキリの翅はここまでしか開かないんですね。シロは困惑したようすでこの格好を5分間以上も続けていましたが、結局吐き出して、さらにつつき回して脚などを取った後、頭から呑み込んだようでした(遠く離れていたので、はっきりとは確認できませんでした。)。

 カイツブリは、魚は頭から、エビはしっぽから丸呑みします。逆だと、魚はヒレが引っかかるし、エビの場合は脚や身体のトゲが引っかかるからです。シロがカマキリをお尻から呑みこもうとしたのは、脚が生えている点などがエビと同じだと思ったからではないでしょうか。シロがトンボを呑みこむのを見たことがありますが、やはりお尻からでした。トンボの翅は頭の方まで動くので邪魔にはならないようです。

 シロがカマキリで難儀したのは、それを食べるのが初めてだったからだと思います。次のときは経験を生かして苦労せず食べることができるのか知りたいところですが、カイツブリがカマキリをゲットできる幸運はそうは訪れないでしょうね。


9/20(日) 晴れ

のべつまくなし

巣で休む3羽のヒナ  今日の水生物館カイツブリのヒナたちです。

 と言っても、水生物館ペアのことは7月24日までしか書いていないので、何がなんだか分からないと思います。あの擬卵に混じった卵はダメになってしまい、私は7月28日以降8月いっぱい水生物館に行きませんでした。9月1日に久しぶりに行ったところ、ペアはまた卵を抱いていました。その卵が孵ったのがこの3羽のヒナというわけです。

 今日は日曜かつ大型連休期間とあって、水生物館には多くの人が来ていました。ヒナたちは初めて見る人には相変わらず大人気でしたが、初めてヒナが誕生したとき熱心に通ってきていた常連の人たちはもう飽きたようで、ほとんど姿がありませんでした。私ももう十分という気がしていました。

交尾  ところが、私が見始めて間もなく、巣にいたキキ(♀)が首を前へ出して伏せ、チャチャがその後ろの水面で首を伸ばしてウロウロしだしたので驚きました。それは交尾が行われる直前の行動だからです。カメラを構えて見守っていると、はたして右の写真のように、チャチャがキキの背中に跳び乗り交尾が行われました。つまり、ペアは次の子育てを始めているのです。こうなると、飽きたを通り越して呆れたという感じがしないでもありません。

 野生のカイツブリと違って、彼らは食べ物を探し回らなくてよいし、天敵から逃れる努力も不要だし、縄張りを守るために巡回する必要もありません。チャチャの家庭内暴力も収まって、夫婦仲も良いようです。ほかにすることもないから子育てでもするか、となるのはいたしかたないのかもしれません。次の世代を残すのが生き物の最も重要な仕事ですから。彼らは今後、のべつ幕なしに子育てを繰り返すことになるのでしょうか??

 冬になれば彼らの繁殖意欲も止まるのではないかと思うかもしれませんが、冷暖房完備の館内では季節を感じにくいでしょうし、そもそもカイツブリの体内カレンダーはかなりルーズ、あるい融通が利くようです。カルガモはある時期に一斉に羽が抜け落ちて一気に換羽しますが、カイツブリの換羽は徐々に進行し、その時期は各個体の気分(繁殖意欲)によってずいぶん変わります。なにしろ、井の頭池でも蠍座のヒナが誕生したりバレンタインデーにヒナが孵ったりしたのですから、水生物館で真冬に子育てしたとしても少しも不思議ではないと思います。

 彼らのやる気を止めるには強制別居しかない気がしますが、ちょっとかわいそうです。今後ペアと水生物館がどうするのか、新たな観察テーマができました。

帰還

 14日の夕方、神田川でマルガモのマリーを見つけました(下の写真は今日のものです)。8月10日の記事に書いたように、風切羽が抜けて飛べないときに大雨が降り姿が見えなくなったので、流されてもしかすると溺れ死んでしまったかもと心配していたので、安心しました。

マルガモ・マリー マリーと連れ合い
 頻繁に神田川をチェックしていたわけではないので、いつ戻ってきたのか正確には分かりませんが、あの大雨以降の長い間、神田川でも井の頭池でも姿を見ませんでしたから、下流へ流されたのは間違いないと思います。それでも成鳥の場合は簡単に溺れ死んだりはしないのですね。それはつまり、翼の風切羽は一気に抜けるので飛べなくなるけれど、体の羽毛は徐々に生え変わり水を弾く機能が低下する時期はないということだと思います。当たり前といえば当たり前ですが、よくできていると思います。

 上右の写真で下側(手前)に写っているオスのカルガモは彼女の連れ合いで、8月6日(8月10日に載せた写真)にも一緒にいたカルガモだと思います。その時点では彼の風切羽は抜けていませんでしたが、激流に流されていく彼女に付き添って一緒に下流へと下り、たぶん両者の換羽が完了してから、井の頭へ一緒に飛んで戻ってきたのではないでしょうか。


9/9(水) 曇り

厳しい池

 ボート池での外来魚捕獲作業中のことです。池にパンくずを投げている夫婦らしき二人連れがいて、数羽のカルガモと1羽のカイツブリが集まっていたので、エサやりをやめるようお願いに行きました。二人が去るとカルガモたちはすぐにいなくなりましたが、カイツブリはその場に留まり、今度は私がエサをくれないかと、下左の写真のごとく、しきりににこちらを見つめるのでした。そうとう空腹なようです。

エサを期待するカイツブリ ブルーギルをくわえたカイツブリ
 ちょっと思いついて、獲ってバケツに入れていたブルーギルの稚魚の中から少し弱っているものを1匹選び、カイツブリの近くに投げてみました。すると、カイツブリはその稚魚を追いかけて潜り、捕まえて食べました。もう1匹投げてみると、カイツブリはまたも水中でそれを捕まえて浮上してきました。上右の写真がそのときのもので、ブレていて分かりませんが、ギルをくわえています。そしてカイツブリはそれを食べました。池で獲った魚とはいえエサやりには違いないので、「後は自分で捕りなさい。」と言ってそれでやめたのですが、そのカイツブリが元気なブルーギルを自力で捕れないのは明らかです。池にいくらでもいるギル稚魚を捕まえられるなら、腹ペコになるはずがないからです。

 カイツブリがギル稚魚を食べないのは背びれの鋭い棘のせいだという説がありますが、正しくありません。カイツブリは、モツゴに比べるとずっと敏捷なギル稚魚を捕まえられないので食べられないのです。それは今日の実験でも明らかですし、今年の冬にはクロとシロは小さなギルをどんどん捕まえて子育てまでしました。水温が下がる冬には変温動物の魚は動きが鈍くなるため、捕まえられるようになるのです。

 今日のカイツブリは私には見覚えがない個体でした。こんな空腹状態を長く続けることはできないでしょうから、最近この池にやって来たのだと思います。今の井の頭池で暮らしていくには、クロやシロのように、魚やエビが捕れない分を小さな虫を丹念に拾って補う技が必要です。このカイツブリは間もなく井の頭池を去っていくことになると思います。

 我々が昨年たくさんの外来魚を捕獲した効果がたぶん現れて、今年は獲れるモツゴとエビの数が昨年よりかなり増えました。とくに6月と7月には嬉しくなるほど多くのモツゴが網に入りました。しかし最近は獲れるモツゴの数がめっきり減っています。成長にともない習性が変化して網に入りにくくなるということもあるのかもしれませんが、数が減少したのは間違いないと思います。その中にはオオクチバスに捕食されたものがたくさんある一方、カイツブリのシロとクロが食べたものも少なくないと思います。水生物館の展示によると、そこのカイツブリは1日に1羽がモツゴを百匹前後食べるそうです。池のカイツブリはモツゴだけを食べるわけではないので、仮に1日50匹のモツゴを食べるとすると、4ヵ月で6千匹、2羽だと1万2千匹ほども数が減る計算になります。一年なら二羽でじつに3万6千5百匹です。もちろん、それだけ食べられても次の繁殖期に再び数を回復できるだけの余裕がモツゴに必要です。現状ではまったく足りません。

 ましてや、以前のように複数カップルが子育てをし、そのヒナたちが栄養不足にならずに育つためには、今のギルほどの数のモツゴがいなければならないのだと思います。カイツブリたちにとって厳しい池の状況はまだまだ続きそうです。


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2003/7/20(日)

始めました

 都市公園の自然の面白さと貴重さをお伝えするのが目的です。

 以前の「マイフィールド情報」-「井の頭公園」と基本的には何も違いません。今度はサボらないでしっかり更新しようという決意を込めて、新タイトルにしました (^^;


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