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トビケラはこんな昆虫です
和名: トビケラ目(毛翅目) 学名: Trichoptera 英名: Caddisfly
トビケラ目は,昆虫の中では比較的小さなグループで,中生代の初期三畳紀(約2億年前)に,チョウ目(チョウやガ)との共通の祖先から分かれ,幼虫が水中生活に適応したと考えられています。成虫は蛾に似ていますが,翅(はね)には隣粉ではなく短い毛 が密生していて,これが旧和名「毛翅目」や学名「tricos: 毛,pteron: 翅」の由来となっています。現在までに世界で13,000種以上(化石種含む),日本から450種以上が記録されていますが,毎年のように新種が発見・公表される状況で,研究が進めば日本産だけで1,000種近くになるのではないかと考えています。
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| アカギマルツツトビケラ成虫 トビケラの成虫はガの仲間に似ているが,翅に毛が生えていることや細長い触角を前方に伸ばしてとまっている姿から,慣れると容易に区別できる。 |
ウルマーシマトビケラ幼虫 トビケラの幼虫の体型はイモムシ型。胸部に3対の肢を持つほか,腹部末端にも1対の尾肢を持つ。腹部に気管鰓があるものも多い。 |
幼虫は,ごく一部の陸生種を除いて水生で,河川や湖沼を始め水の滴るようなごく小さ な流れや一時的な水たまりにも生息します。またニュージーランド周辺では海産のト
ビケラも発見されています。
幼虫の体型は基本的にイモムシ型で,カゲロウ目幼虫のように生息環境に合わせた大きな変化は見られません。それなのに,より多くの種類がさまざまな水域を利用できるのには,幼虫の吐く絹糸の利用が関係していると考えられています。絹糸で張った網を持つ住家や,砂粒や植物片をつづり合わせて作った筒巣を持つことによって,流れてくる餌を利用できたり捕食者から逃れたりできるからです。また,筒巣の中で体をうねらすこ
とにより,水を効率よく体表面に通すことができるため,渓流のような流水域だけでなく,池沼などの止水にも進出できたと考えられています。
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| コガタシマトビケラの捕獲網 幼虫は石の表面に,前面に網を張った住かを作り,網にかかった流れの中の粒子状の有機物を食べる。 |
様々な材料で作られた筒巣 巣材と形の多様性は他の生物に類を見ない。 左からニンギョウトビケラ,アオヒゲナガトビケラ,コバントビケラ |
幼虫の餌は,種類によってさまざまですが,石の表面の藻,陸上から入ってくる落ち葉,そしてほかの水生昆虫などの小動物がよく利用されます。中には,ほかの動物があまり食べないコケの仲間を食べる変わり者もいます。
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| カワトビケラ属の1種の特殊な巣室 そのまま飲めるようなきれいな石清水をストッキング様の巣でこし取り,微細な有機物を食べる。幼虫はこの袋の中。 |
コケを食べるタニオオハラツツトビケラ コケを食べる動物は少ないが,ヒメトビケラやカクスイトビケラの仲間には蘚苔類だけを食べる種もいる。 |
蛹もほとんどの種類は水生で,筒巣を持つ種はふたをしたその中で蛹になり,筒巣を持たない種は水中の石の裏などに砂粒などでドーム状の囲いを作りその中で蛹になります。成虫になるときはそのふたやまゆを破り,多くは水中を泳ぎ上がって水面や水面上に突き出た石の上などで 羽化します。
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| ヒゲナガカワトビケラの蛹室(左) 石の裏に固着したドーム状の部屋の中で蛹になる。 |
ヒゲナガカワトビケラの蛹の抜け殻 蛹室を脱出して泳ぎ上がった蛹は,水面で脱皮するとそのまま飛び去り,抜け殻だけが水面を漂う。 |
成虫は,地味で夜行性のものが多いためあまり目立ちませんが,夕暮れ時に川岸などで大きな蚊柱のような群飛をしていたり,街灯や自動販売機の灯りに飛んでくるのを見
ることができます。とまるとき,翅を屋根形に畳み,細長い触角を前方に伸ばしていますので分かります。また,ヨツメトビケラやゴマフトビケラのように目立つ翅を持
ち,昼間飛ぶ種類もいます。毒を持つ蛾などに擬態しているのかもしれません。
成虫の餌は,大顎が退化してしているため液状のものしか摂ることができませんが,樹液や花蜜,そしてアブラムシの甘露などを摂取する事例が知られています。
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| ヨツメトビケラ(黄斑型) チョウのようなきれいな翅を持ち,昼間ゆったりと飛翔する。ほかに白斑や灰斑または無斑の個体もいる。 |
クロモンエグリトビケラ 翅に明瞭な黒い紋様を持つ。 |
卵は,大きく分けると水中の石の表面などにきれいに並べて産み付ける平面卵塊と,ゼラチン状の物質の中にたくさんの卵の入ったゼラチン卵塊になります。平面卵塊は,雌が水中に潜って石の裏などに一粒ずつ産み付けられ,ゼラチン卵塊は,雌が腹端につけた卵塊を流れの中やときには陸上に産み付けます。
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| ヒゲナガカワトビケラの平面卵塊 雌は水中に潜り,一粒ずつていねいに産み付ける。 (田代忠之氏提供) |
ホタルトビケラのゼラチン卵塊 川岸の草陰に産み付けられた卵塊の中で幼虫がふ化し,その後雨とともに流れに移動する。 |
水生昆虫学入門書等
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