
2008年11月11日更新
古い書物に出てくるトビケラのことについて聞かれ、調べ始めました。たいへんなことを引き受けたと思いながらWebの検索をしていくと、古書の画像データを提供している図書館や、所蔵図書に該当項目があるかどうか調べて電子ファイルを作成してくださる図書館などが見つかり感激しました。公共の財産ともいえる古文書をこのような形で提供してくださる各図書館に感謝するとともに、今後ますますこのようなサービスが広がれば良いなと思います。
とはいえ、調査はまだまだ不十分です。Web上で検索するだけでも、各地の図書館や博物館にトビケラが隠れていそうな古文書が所蔵されていることが分かりました。古文書めぐりができる日が来るかどうか分かりませんが、楽しみの一つに取っておこうと思います。
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トビケラに関する記述や図のある古文書
(旧字体による文字化けをできるだけ避けるため、解説中の一部の文字を(新字体)または画像で示しました。)
本草綱目 李時珍 (1596)![]() |
石 もう少し大きな画像はこちら (長野電波技術研究所附属図書館蔵) |
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石 ”セムシ”と呼ばれ、瀬に生息する青黒い虫で、釣り餌に使うことなどからヒゲナガカワトビケラ属が思い浮かぶ。もちろん瀬に棲むトビケラ幼虫の総称として理解するのが正しいであろうが。 (中村学園図書館蔵) |
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石 中程にある”石 (長野電波技術研究所附属図書館蔵) |
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■ ”いさごむし”は、現在でも通用するトビケラ幼虫の古名であるが、ここに描かれているのは、「扁平で甲羅を持ちその下の翅で飛ぶことができる、狐か鬼のような顔を持った”虫”」で、トビケラとはほど遠い。この” 同じ書物で”石蚕 セムシ”としてトビケラ幼虫が正しく認識されていることから、この虫をトビケラ幼虫の仲間と考えたわけではないと思える。 当時はこの虫のことを”いさごむし”と呼んだが、その後トビケラ幼虫のことを呼ぶようになったのか?それとも当時からトビケラ幼虫には”せむし”のほかに”いさごむし”の呼び名もあったのに、この虫にも同じ呼び名を付けてしまったのだろうか? いずれにせよ、この漢字[ 図の部分の拡大はこちら (長野電波技術研究所附属図書館蔵) |
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石 文頭に豆州(伊豆)とあるが、八代郡右左口とあるので、現在の山梨県東八代郡中道町右左口(うばぐち)の渓流で採集されたトビケラ幼虫を描いたようだ。四角い筒の巣を持って歩く姿はまさにカクツツトビケラ属の幼虫である。文中に石屑で巣を作っているように書いてあるが、雲母などを用いていたのだろうか。 もう少し大きな画像はこちら (国立国会図書館蔵) |
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石 中程上にある砂粒で作った円筒形の巣は、ホタルトビケラ幼虫のものと思いたいが、私の思い入れが強すぎるだろうか。 明和4年丁亥3月の採集という。 石 (国立国会図書館蔵) |
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石 これは、文章を読むまでもなくヘビトンボの幼虫(孫太郎虫)であるが、石蚕の1種と考えていたことが分かるので掲載した。別のページにもタイトルも孫太郎虫とした図が掲載されている。 もう少し大きな画像はこちら (国立国会図書館蔵) |
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ツマグロトビケラのようだ。 (国立国会図書館蔵) |
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これはエグリトビケラに間違いない。 著者は、有名な本草家で、尾張藩の広大な薬園の監守を務めるほか自宅にも植物園を持っていたということなので、そこの池にはこれら止水性のトビケラが生息していたのだろう。うらやましいかぎりだ。 (国立国会図書館蔵) |
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蜉蝣(アサツユムシ) タイトルや本文(省略)から見れば、カゲロウを描こうとしたことは明らかである。しかし、触角が長く、後翅が前翅なみに大きいこと、翅脈の形態、腹部の太さなどはどうみてもトビケラだ。ただ、右下の個体に描かれた長い尾毛はトビケラにはないもので、カゲロウのものだろう。 野外で観察したカゲロウの群飛を描く際に、同じ場所で捕ったトビケラを見ながら翅などの詳細を描いたのだろうか? 虫の拡大図はこちら (国立国会図書館蔵) |
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渋海川さかべったう: 初編下之巻 この虫の正体については、カゲロウ説とトビケラ説がある。 説明には、この川のさかべっとうは石蚕の親であることが書かれているので、トビケラと考えるべきだろうが、大量に発生して遡上飛行するカゲロウを混同していた可能性も大いにある。分類の問題はさておき、たくさんの虫が川面を遡上する行動を観察し楽しむ文化を持っていたということがうれしい。 (長野電波技術研究所附属図書館蔵) |
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渋海川奇蝶之図 前掲のさかべっとうが川面を集団でさかのぼる光景を花見のように見物している図。 伝聞を想像して描いたのであろうが、こんなことがあれば楽しいだろう。 (長野電波技術研究所附属図書館蔵) |
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岩国の名産が書かれたページの中央に人形石が描かれている(右は表紙)。これより古い記録に「岩国土産落噺」(1928)があるそうだが、当時からこのような自然の造形を楽しむ心があったこと、そしてその文化がいまも続いていることがうれしい。 ニンギョウトビケラの和名はこの石人形に因む。 現代の石人形作家馬鹿石さんがこの石人形(七福神)を模して作った作品はこちら。 (岩国石人形資料館所蔵) |
「データベース分類別検索」から以下の画像を見ることができます。
(本ページに他の図書館等から転載した図譜類は省略しました。)
図譜類の書誌情報(調べればもっと分かるのかもしれませんが・・)