ふと10月のピットインのスケジュールを見ると、高橋悠治さんが頑張っているではありませんか。
インプロものもあります。
トップページの画像も秋色の柿色に変えたというのに、後の祭りとはこのことを言うのでしょうか。青山ブックセンター本店にたどり着いた時にはもう演奏は終了していたのでした。六本木から青山まで夜の街を駆け抜けた私。もちろん電車で。そう、先月と同じだと勘違い、青山ブックセンター六本木店の方へ行ってしまったのでした。ちゃんとライヴ情報を見ているはずなのに。このところ、編み物と毛糸のことで頭がいっぱい。で、見ているようで見ていない、きっと。この日もここへ来る前にユザワヤの毛糸売り場へ。今シーズンは何をどう編もうかと頭を悩ましています。セーターのような大物に取り組むのは中学生以来、もう編み方もすっかり忘れてしまって、果たして着られるものが編めるかどうかも分からないのに外国の高価な美しい毛糸に心惹かれてしまう私です。イギリスはrowan社の美しい色彩の毛糸の数々。"stormy night"とか"driftwood"とか名前のついた毛糸。おお、"嵐が丘"か"トーマス・ハーディー"か!こんな素敵な糸できちんとした作品が編めるのはいつの日になることでしょうか。
で、到着してみると店員さんがエレクトロニクスのセットの周りで物珍し気。書棚を背景にしたスペースは落ち着きがありますが、六本木店に比べると人が少なくて図書館のようでもあります。しかし、聞いたところではこちらは音が行き渡るような感じであったとか。でもやっぱり何か変な感じがしました。終った後のその場所に私がただいるだけというのは。
で、イトケンさんにはお会いできて飛頭のCD進行状況などを。いろいろあるけれど、こうして顔を見るとやっぱり私が頑張らなければなーと思います。応援してくれる人もいることだし。
もうー「くやしいけれど」って言葉が何で出てくるのか分かりませんが、「よかった」というところから一歩踏み込んで、今聴きたい、そして聴きたかったと思うのはこんなモノという感じ。高橋悠治さんとATAKというラップトップのデュオ・ユニットの共演。ATAKは一部で絶大な支持を得ている気鋭の人たちだそうです。私が一番興味を感じたのは、ラップトップが3台でどうなる?というところだったのですが、非常に豊かで多彩な音の世界が広がっていたと思います。で、そのラップトップ3台に渋谷さんのキーボードと高橋さんのピアノが部分的に時々入ることによって、また私の好きなエレクトロ・アコースティックになっていくのですが、色々な音が次々に出来事のように生起してくるといった感じがすると思いました。音の掛け合い、ぶつけ合いみたいになってしまうのではなくて。で、ここで「色々な音が次々に出来事のように生起してくる」というようなことを確かアネッタ・クレプスと杉本拓さんの共演のところで書いた覚えがあるのですが、この2人は"インプロにおいて"こういうことを成し遂げたと感じたところに私は凄さを感じたのではないかと今思い起こしてみたりしています。
で、休憩を挟んで後半は、所々に高橋さんのポエトリー・リーディングも入ったりして、さらに豊かさが加わってくるといった感じがしました。どなたの詩でしょうか?記憶に残っているところを一部ご紹介してみますと、少年の頃、猫が家にやってきたのですが、そのうちいなくなってしまって何10年後かのおじいさんになって死ぬ時に「あの猫どうした」と言った、というような詩です。
今日は若い人が大勢詰め掛けていて、シュトックハウゼンの時もそうでしたが、エレクトロニカというのは現在若者にこんなにも熱狂的に受け入れられているのかと私などは驚いてしまいます。
本間さんのサイトによると青山真治監督による間章のドキュメンタリー映画「AA」が遂に完成。今週末都内のどこかで完成披露試写会があるそうです。
私は信州の実家へ行くので残念ながら観られませんが、というかどこで試写会が行われるのか知る由もありませんが。
行ってしまいました、またまた3人で。またまた観てしまいました、坪口トリオ。坪口さん、もう気合いが入っていて、そうですよね、こんなに大勢の人たちに聴いていただくのですから。で、トリオでの最初の3曲は今まで聴いたことのないものだったので「アレ?」と思ったのですが、3曲とも坪口さんのオリジナルの新曲。それから「parisian thoroughfare」は、3人が別々のリズムで演奏するポリ・スイング。菊地さんのベースが魅力的な「reggae」。と、あれよあれよという間に終ってしまいました。今日は他のユニットも出るのでちょっと短くて残念。いつものように第2部があったらスタンダードがもっと聴けるのにと思いました。でも今日は"夢にまで見た"アンコールがあって、「このトリオを結成して以来毎回演奏している・・・」というお言葉があったので、「おお、くるかspeak like a child!」と思ったら「very early」の方。で、そのことを話したら3人ともそう思ったそうで、こんな会話が交わせるのも毎回ご一緒しているメンバーならではです。「ピアノにエフェクトを使う」とか「ポリ・リズムで演奏する」とか、坪口さんが言葉で説明する場面があったりして、やはりジャズのライヴでは、まだまだこのような新しい表現を観ている人は少ないのかしらと思いました。あと、今日は最前列の席、それも藤井さんのドラムの真ん前だったので、ドラムの音と演奏に一同感激しました。
最初のユニットが、やはり藤井さん参加のジュリエッタ・マシーン。確かもう一人エレキベースの方がいましたが、お名前失念してしまいました。ちょっとボサノバ風の感じのところもあって、軽やかな感じがすると思いました。ピアノの江藤さんは飾り気のない素敵な感じの方だと思いました。quartz-head conversation 02は、アナログシンセとsax+electronics の藤原さんのデュオで、太い音とリズムの波という感じで、ダンサブルなクラブ・ジャズってこういうのかしら?と私は思いました。
JAZZ TODAYの翌日は新宿ピットインへ。CD発売記念ライヴだそうで、私はてっきりインプロかと思ったのですが、そうではなくて曲を演奏するユニット。ちょっと残念だなーと思う気持はどこからやってくるのでしょうか?しかし、どう演奏するかというのはかなり自由なんだそうです。脱ジャンル的な演奏をするとでも言えばいいのでしょうか。冨樫雅彦さんの繊細な感じのする曲が確か3曲。アストル・ピアソラとリシャール・ガリアーノの曲、それから黒田さんや翠川さんの曲もありました。ピアノとヴァイオリンとチェロというアコースティックなので、聴き易くて曲も情感がある感じがしました。特に注意して拾って行かなければならない音がないと、私は気持よくなってしまって、心地よい眠気に身を任せたくなります。で、「眠かった」とか書くと、また「面白くなかった」とか「退屈だった」という風な否定的な感じで受け取られてしまうんでしょうね。ホント、難しいと思います、こういうところでニュアンスまで伝えるのは。「どんな楽しみ方や聴き方をしてもいいよ。同じ時間を共有したんだから」って思ってくれたらいいのになー。
で、曲に関しては、ひねくれ者の私は翠川さんのジャズっぽい曲がむしろ面白かったです。チェロをベースのように使って、リズムはあるけれどドラムレスで、意外性というところまでは行かないですが、ちょっと変則的な感じがして面白い。
『音楽の天才エリック・サティは、彼の不遇な生涯を終える前日に、彼の友に言った「Cher ami ! 最後まで譲ってはならない」』(北園克衛詩集 思潮社 p112)
北園克衛が愛したサティということで、高橋悠治さんが弾くサティ、やっぱり綺麗でしたねー。最初に高橋さんがピアノで何曲か弾いてから、次はラップトップに向かって、その中から詩の朗読とサティの音楽を合わせたものを出しているようでした。後ろの席でよく見えなかったので推測です。で、確かそれで前半は終了。今こうして2日前のことを書いているのに事実関係の記憶が曖昧です。で、後半は渋谷さんがベースとドラムのトリオでサティを演奏するという趣向。ジャズっぽくアレンジしてあるかと思ったのですが、そうではなくて譜面を見ながら普通に演奏。で、渋谷さんがピアノを弾き始めてしばらくしてから外山さんの音が少しづつ入ってきたのですが、サティの音楽に合わせて叩く!?うーん、面白かったですねー。一度聴いただけでは何をやっているか把握できないような感じで、複雑なリズムがあるような無いような・・・とても自由な感じでしたが、かといってノイズになってしまうのではなくて、きちんと音を立てているという感じでした。
で、この後は、高橋さんも加わってインプロに突入。といってもサティの後だけに?ジャズのように相手の音に反応し合ってジャンプするというような感じではなくて、やはりどこかしら並列的な感じもしなくもなくて、ピアノとkorgのキーボードを高橋さんと渋谷さんが交代で弾いたり、高橋さんのコンピュータ音楽も入ったりしました。高橋さんの音楽は、とても明晰で輪郭がはっきりしていると思いました。こういう機会もあまりないので、もっとサティのピアノ演奏を聴いてみたかったと思いました。
31日はミドリさん密着デーを決め込んで、昼間ピットインでT.T.T.A.Tを観た後、夜はなってるハウスへ。ピットインで一生懸命聴いたので耳が疲れていたのか、また、最近はこういうのに触れる機会がなかったせいか、全員で演った演奏は、色々な音が数量共に膨大に感じられて、休む間もなくとにかく空間を埋め尽くしていくような感じだったので圧倒されてしまいました。ホントみんなフリーの猛者という感じで、これは現代のフリージャズと言っていいのかどうか。しかし「フリーマインド」溢れる演奏。なってるハウス通信に「フリーマインド」という表現があって、これは言い得て妙だと思いました。そういった意味でキャリアのある山崎さんが、現在こういうユニットで活躍する場を持っておられるのもいい事だと思います。加藤さん、こういうインプロだと手が素早くて、エレクトロニクスも使ったりして次々に色々な表現を繰り出してくるという感じがします。