今回初めてアクセル・ドゥナーを観る機会を得ました。ベルリン・リダクショニストの中心的人物、いわゆる音響派のインプロヴァイザーのひとりという解釈でいいのでしょうか。実は、あるものを名指すのが苦手で、故に、例えば「音響」といっても思い浮かぶのは、明らかに音響的な中村さんとSachiko Mさんくらいの私ですが・・・しかし、初日の演奏、特に中村さんとのデュオを聴いて、自分は初めて音響的即興というのはこういうものかと納得しまた感心もさせられました。30〜35分位の演奏だったと思います。未知の何かが開けたと思います。 ***
気がついたことは、音がしっかりと決まっていたこと。無駄と感じられる音がなかったこと。小手先で演奏しているのではなく、集中力と意志の力で音を手中に納め思い通りにコントロールしていること、などです。そう!実際に観ていると、いわゆる演奏をしているというよりも音をコントロールしているという風に感じられました。で、少しづつ音に変化が加わっていって何かがズレて変わっていくようなおもしろさがありました。
アクセルはトランペットの奏法に大胆な拡張を加えた人らしいですが、例えば、トランペットに小さなマイクを取り付けて、軽く息を吹きかける音なども自然に取り込んだりするのも興味深く観させていただきました。
2日目はジャズ!前の方にテーブルが並べられ、キャンドルも置かれてちょっといいムードが演出されていました。ポピュラーなスタンダードやモンクの曲などをやりました。にわか作りのユニットのようで、全体としては未完成なところや硬さも見受けられましたが、皆の共演がうれしくて楽しませていただきました。自分としては、あんまりリラックスした感じにはなりませんでしたが。
今日で2回目になりますが、この「ループラインジャズフェスティバル」は、手垢のついていないジャズ?が味わえるとてもいい企画だと思いました。
ループラインでは、若手の演奏家と組んで音響的な即興とジャズを披露したアクセル・ドゥナーですが、今日はもう少し上の世代、ちょうど私の世代のインプロヴァイザーとの共演が実現しました。今井さんがアクセルに声を掛けたら、ちょうど時間が空いていたそうです。実にいい演奏家ですね、アクセルは。このメンバーのインプロヴァイズド・ミュージックに見事に溶け込んで、ユニットに厚みを加えていたと思います。とにかく吹きまくるという感じで自分を解放する一方ではなくて、観ているとむしろクールな感じで真直ぐ前を向いてひたすら音に集中していくような感じでした。音響的な要素、奏法の新しい側面も所々に取り入れているところに新鮮さを感じました。とにかくセンスがいい!ずっと吹きっ放しではなく、3人の演奏の中に所々割り込んでくる感じでしたが、タイミングとかバランスが絶妙で、何よりも音が決まっているのが見事だなと思いました。 ***
井野さんと千野さんと今井さんは、日頃共演しているメンバーなので、そういう場合だとやはり完成度が高い演奏になると思いました。アコースティックで、音のバランスがいいと思いました。今井さんのギターも久しぶりに聴きました。特に左手ですが、ものすごく細かく手を動かしているのですが、その割りには音がきつく突出してこなくて柔らかい感じがしました。
今日のような演奏を観ると、私はもう特にこれがインプロだと思うことはなくなりました。ひたすら、ああいいい音楽だなーと思うばかりです。海外からミュージシャンが来日するからといって、期待で胸が踊るようなことはほとんどなくなりましたが、世代を越えたインプロヴァイザーと共演できるアクセルの演奏を体験できたことは喜びでありました。アクセルも今日の演奏に満足したのか、終了後には笑みがこぼれました。
13日はジョン・ラッセルさんと豊住芳三郎さんのなってるハウスでの最終日でしたね。行くつもりで家を出たものの、途中立ち寄った所で足留めされたため行けずに残念でした。24日はどうしましょうか?前から観たいと思っていた今井さんと伊東篤宏さんと鈴 木學さんのトリオがなってるハウスでありますが、下北沢で菊地雅晃さんも観たい気がします。
八丁堀七針で「蝉印象派」"SEMI-IMPRESSIONISM" CD リリース・パーティがありました。観客は20人くらいはいたでしょうか。どのライヴもこの程度の人が集まると理想的なのですが。
前回来た時とは違って、中はとても明るく綺麗になっていました。壁や天井が白く塗られており、アート作品の展示もありました。照明なども工夫されていて、狭いながらもアーティスティックな空間になっていたと思います。
実はこの2人の共演は、日本ではありそうで無かったようですが、CDはヨーロッパツアーでの録音だそうです。「蝉」の一文字が大きく真ん中に書かれた海外で興味を引くようなジャケットです。で、その「蝉」はどこにいるのかと思ったのですが、やはり中村さんの音が蝉なのかなーと思いました。この「蝉」はなかなか大変なようで、配線にとても時間がかかるというのを小耳に挟みました。そういえば機材からはかなりの数の線が垂れ下がっていましたね。
今年はお二人の演奏を聴く機会が度々あったので、特筆することもなくなっているのですが、敢えて感想を述べるなら、秋山さんは秋山さんの演奏をし、中村さんは中村さんの演奏をし、それが同時に行われていると思いました。当たり前のことだとは思いますが。
実は、あまり同じ方を続けて観ないようにしている傾向が自分にはあるかもしれません。特にギターとかになると、演奏に聴き慣れてしまうとそれが「スタイル」のように感じられてしまうことがあると思うので。
帰りは珍しく迷ってしまい、最寄りの駅にたどり着くまで20分もかかってしましました。
してやられたという感じです。ほとんど同じひとつの音を出しているように聴こえるのに構造がなかなかつかめない・・・同じ曲を2度繰り返したにもかかわらず・・・。
自分が分かることだけを書いてみたいと思います。それでも多少の間違いがあるかもしれませんがお許し下さい。「13と14」という曲を前半と後半で2回演奏しました。最初は響きに注意がいっていたのですが、次ぎに曲の構造をつかもうという働きが生じました。しかし、これがなかなか難しい・・・音の出るタイミングがなかなか分からない・・・曲が終る最後の最後までそんな感じでした。
終った後、どうしても気になったので譜面を見せていただきました。譜面といっても数字が書かれただけのもので、このようなものでした。あくまでも例で実際のものとは違いますが・・・。
244635・・・
6拍子が1つの単位になっていて、数字はその中で音を出す位置を指示しているようでした。後で考えてみたのですが、この「6」以内の数字がランダムに並べてあって、これを聴き分けるというのは案外難しいということなんでしょうね。前半は秋山さんと杉本さんのお互いの音を聴いてやったそうで、後半はメトロノーム?みたいな音が聴こえてきました。同じ譜面なのに両者の音の出るタイミングが違うのは何故なのか?相手の音を聴いて1テンポずらしてやったってことなんでしょうか?単純な音の連続なのに非常にわかりにくいところがあって、これは私が音楽をやらないから分かりにくいのかしらとも思いました。でも、こういう「わからなさ」があるというのはとても面白いことだと思いました。
聴くことによって、分からないものを聴き取ろうとすることによって普段使わない脳の部分が刺激されたのか、翌朝は早朝に覚醒していましました。24日もライヴに行くつもりでしたが、インパクトがあるものを体験して刺激が強かったので、控えることにしました。