ライヴを観る


2001年12月のLive Information
今月はあまり観に行けないと思うのでインフォメーションも控え目です。

12/1 Broyeuse de Chocolat Vol.0 / Filament : Sachiko M(sinewaves) & 大友良英(electronics)、広瀬淳二(self-made instruments solo)、杉本拓(electric guitar solo)@Space Velio 場所の詳細はこちら
チョコレートを粉砕して何かが始まるらしい。杉本さんのギター・ソロはとても貴重だ。

12/5 Meeting at Off Site Vol.17 / Sean G. Meehan(percussion)、中村としまる(no input mixing board)、秋山徹次(amplified acoustic guitar)
ショーン・G・ミーハンは牧原さんを通して知ったミュージシャンです。

12/20 近藤等則&DJ.Sahib/a.k.a. /YAMA@Con Brio 富士吉田市上吉田5335-11 Tel.0555-22-7676
コンブリオは'99年にサニー・マレイのライヴに出かけた所。「東京からわざわざ観に来てくれたのか」ととても喜んでくれました。レストランも兼ねた結構広くてきれいなお店です。昨年のスティーヴ・レイシーに続いて今回の案内のハガキが届きました。

12/23 古田マリ作品の世界@青山音楽記念館 (バロックザール) Tel.075-393-0011
記憶(2人のヴァイオリニストのための) / ヴァイオリン:松田美奈子・馬淵清香
ECHO(3人のギタリストのための) / ギター:杉本拓・中村としまる・秋山徹次
Crossing There(環境音と4人の打楽器演奏者のための) / Metagraph(2人の打楽器演奏者のための) / 眠る島(5人の打楽器演奏者のための) / パーカッション:P.A.N.KLANG(長田千草、上中あさみ、越川雅之、山内りいち)
青山音楽記念館は京都にあります。東京は青山あたりにあるのかなと思ってしまいましたが。

12/27 大友良英ギター・ソロ@キッド・アイラック・アート・ホール
Set 1 Songs
Set 2 Feedback & Abstract
キッド・アイラック・アート・ホールは音楽に向き合える素敵な場所。大友さんもソロ・レコーディングするのかしら。

12/29 no frame@Uplink Factory / win a sheep free(WEATHER)、テニスコーツ(majikick)、DJ Klock(clockwise rec.)、Kangaroo Paw(Shinkhai Records)、tujiko noriko(MEGO)、minamo(cubic music) and more....? 詳細はこちら
cubic music と UPLINK FACTORY 共同企画の「no frame」というシリーズは、今年で2度目の冬を迎えるそうですが、今の新しい音楽の動きを伝えるイベントのようです。過去に大友さん、杉本さんの出演や、キャンセルになりましたが Tim Barns の出演も予定されていたことがありました。一度も行ったことがなくて、全く知らないミュージシャンばかりのコンサート情報を載せるのは恐縮ですが。

12/29 Off Site composed music series vol.10 "The world of Taku Sugimoto"/ 杉本拓(guitar,radios)
Off Site でチラシをゲットしてきました。(^_^)



12月1日(金)
Broyeuse de Chocolat Vol.0@阿佐ヶ谷Space Velio
Filament : Sachiko M(sinewaves) & 大友良英(electronics)
広瀬淳二(self-made instruments solo)
杉本拓(electric guitar solo)

スペースべリオはレコーディング・スタジオのようで、こういった場所にあまり足を踏み入れることのない私は殺風景で無味乾燥な所だなと思いました。客席は会議室用のたためる椅子で、後ろの方だと演奏者や楽器がよく見えません。
最初が杉本さんのソロ。杉本さんは現在進行中の人なので、聴く度に断片的にいろんな思いが巡ってくるのではないかと思われます。昨年の今頃は「暖かい」と感じられた音が今日はとてもクールに聴こえるようなのでどうしたのかなと思いました。しかし自分はフリー・インプロヴィゼーションのギターに関しては、演奏についての様々な感想が浮かんでくるものの、音自体については「暖かい」とか「クール」とか感じることはあまりないので、音についてのそのような感想を抱かせる杉本さんのギターはやはり特別なのかなと思いました。それから今日の演奏はデタラメとかいう感じではなくて、意識的にかあるいは無意識的に全体が組み立ててあるかのように感じられました。音が立っていると表現できるような響きのよい長短の音、長い音にはゆらぎのようなわずかな変化が加えられていて、音と音の間には隙間があって、この隙間にはモートン・フェルドマンやクリスチャン・ウォルフなどの現代音楽に通じる何かがあるように今日は感じられました。
広瀬さんの自作楽器はもう無条件に大好きといった感じ。(^_^) バーベキュー用のテーブル?の上にいろいろな金属オブジェを設えたオリジナルなもの。客席から観て左側に自転車の車輪が一つあって、右側にコートハンガーを幾つかくっ付けてそれがクルクルと廻る仕掛けになっています。で、布や弦楽器用の弓やシンバルなどを使って音を出します。特に音楽の現場に関わってきたわけでもない自分がこんなことを言うのはおこがましいのですが、大友さんとの共演レコードの録音が'89年なのを考えると、時代が広瀬さんの音楽に追い付いてきているのではないかと思われました。
最後はフィラメント。余計な雑音が出てしまったようなところもあって、あまりうまくいかなかったようですが、自分は職人芸的なものを求めて観に行っているわけでは全然ないので、必ずしもいつも思うようにできない微妙なことをやっているんだということがよく分かってそれはそれで興味深かったです。そしてまた"Filament:29092000"は、こうした100回かそれ以上もの挑戦の中から生まれた一枚なのだと思うと感動する気持ちが込み上げてきます。
Broyeuse de Chocolat は次ぎに何が登場してくるのか期待したいと思います。

12月5日(水)
Meeting at Off Site Vol.17
Sean G.Meehan(precussion)
中村としまる(no input mixing board)
秋山徹次(amplified acoustic guitar)

ショーン・G・ミーハンについては、米国で共演経験のある牧原さんのエッセイをまずは読んでいただきたいと思います。生で観るのは初めての自分もまた神秘的とも言えるような不思議な感覚に捕われてしまったので、どうしてそのように感じたのかを言葉に表してみたいと思うのですが、うまくいくかどうか・・・まずは外堀から埋めていってみたいと思います。
ショーンのセットはいたってシンプルで、ひとつのスネアドラムの上にシンバルがひとつ置いてあります。で、中央に向けて隆起しているシンバルの坂に竹の細い棒(竹ひご?)を当てて両手の指を使って上から下に擦るというパフォーマンスをやりました。これはちょっとどこから音が出てくるのか分からないような感じでした。自分の記憶だと前半はこれの繰り返しでした。後半になるとフォークを2本持って両手でスネアドラムの表面を擦りました。また今度はシンバルを先ほどとは反対にひっくり返してスネアドラムの上に置きました。で、縁にアルミ缶の切れ端を乗せて、もう一方の端を両手に持ったマリンバで軽く叩くと切れ端がシンバルの上でわずかに震動して、その音を聴かせるということをやりました。それから、幾つもの吸盤から成り立っている丸いボール状のもの、投げると必ず接触面に吸い付くというおもちゃで、私も小さなサッカーボールを持っていますが、このボールをシンバルの上やドラムの下に吸い付かせて音を出したりしました。とまあ、こんな風にざっとやったことを書いてみても、おおよそ打楽器を演奏するという概念からはかけ離れたことばかりなので、あっけに取られるという感じもするのですが、目を凝らして観ていると不思議な感覚が湧き上がってきます。それは、ドラムの上にまるで異次元の世界が、別の宇宙が出現してくるような神秘的な感じで、観客はミニチュアの世界を観ているかのように丸ごと外からこの小宇宙を眺めているような感じなのです。これは驚きというか、とても奇妙な感覚でありました。ショーンは、まだ石油ストーブも入らない Off Site 冷たいコンクリートの床に裸足になってドラムに向かうのですが、その姿は何か未知のものを操る操り師のように見えてくるので、これもまたとても不思議な感じがしました。
こうしたショーンの演奏行為は、もちろん未知の音を生成するための方法なのだと思うのだけれど、初めて観たということもあってか、今日は視覚的なものに神経を奪われてしまうようなところがありました。で、改めてどういう音だったのか、今度は音だけを聴いてみたい気持ちになりました。秋山さんも日本刀を使ったりギターのボディにゴムをはめたりいろいろと小道具を使っていましたが、自分は秋山さんにも「固定観念がない」という意味での自由な精神性を強く感じるので、ショーンとの相性はとても良かったように思われました。それから、チラシによると、ショーンは前衛フラワーアレンジャーとの共演などもあるそうで、これは面白そうだなと思いました。

12月29日(土)
Off Site composed music series vol.10 "The World of Taku Sugimoto"
プログラム:radios 2 , episodes
杉本拓(guitar,radios)

29日は四ッ谷の北島亭で夫と昼食をとった後、夫は近くのジャズ喫茶「いーぐる」に寄ってから本屋を回ると言うので私は別行動をとって渋谷に向かうことにしました。15:00から始まるuplink factory の no frame をちょっと覗いてみたかったのです。早めに着いたuplink ではまだリハーサルが行われているようでした。しばらく音に耳を傾けていたら何となく敢えてライヴが観たいという気持ちが無くなってきてしまったので、タワーレコードに行ってみることにしました。渋谷にはめったに来ることがないので、タワーに寄るのも半年か一年ぶりくらいです。ここ渋谷のタワーは東京でもやはり品揃えが一番で、ジャズやクラシックのある上の階は人が少ないのでゆっくりとCD が見られます。アンビエントやエクスペリメンタルのあるフロアには、その他(others)というコーナーが結構広いスペースがとってあって興味深いCDが沢山並んでいました。自分としては珍しく何枚かのCDを買い求めました。それから面白かったのはジャズのフロア。東京新ジャズ事情というタイトルだったかな?日本の最先端のジャズグループのCDが試聴できるようになっていたので、かなり長い時間ヘッドフォンを占有して聴きまくりました。「渋さ知らズ」、「ティポグラフィカ」、「東京ザヴィヌルバッハ」、「デートコースペンタゴン・ロイヤルガーデン」などです。自分のジャズ体験はウェイン・ショーターやアーサー・ブライスあたりで止まっていて、今の年齢と個人的な音楽体験からすると特に新しいジャズに熱狂的に身を挺していくという感覚はないのですが、聴いているとそれでも結構楽しめるというか、昔ジャズ喫茶でジャズに熱狂した感覚がよみがえってくるようで、日本のジャズも最近はなかなか面白くなってきていると感心しました。アメリカのジャズを聴かなくなってから随分と月日が経つような気がしますが、なぜかビル・エバンスの"Explorations" と "Portrait in Jazz" だけは折に触れて聴き続けてきています。
さて、無駄話が多くなってしまいましたが、今日のライヴは"The World of Taku Sugimoto"。演奏を越えたところで(という言い方をしていいのかどうかわからないですが)音を発見する驚きを与えてくれた杉本さんはやっぱり凄いです。
前半はラジオを使った演奏が二つ。どうやってどういう音を出しているのか分からなかったのですが、ジーとかガーといった感じのノイズではなくて、シャシャーッというかシャワシャワみたいな感じの音で、最初の演奏は2台のラジオを使っていたようです。最初のラジオの音が終わって次ぎのラジオの音に代わる時に音の位相が変化する面白さがありました。次ぎはワインの空き瓶にコードを入れて何をやっていたんだろう?すご〜く微かな音が聴こえてきました。遠くの泉からこんこんと湧き出る水の音を聴いているような・・・。ただ単純に小さな音ではなくて、何かこう距離を感じさせる音。遥か遠くの音に耳を傾けているような感覚でした。
後半はギターの演奏。全体としても数えられるくらいの少ない音数で、音と音の間のスペースがかなり空いていました。小道具を使ったりして瞬発的なかなり強い音を出しましたが、まず最初の音が出てから次ぎの音が出るまでの時間がかなり長い。で、次ぎの音が出るまでの間、聴き手は待機して音をじっと待つ状態になるわけで、それでもってガツッとした音がいきなり飛び出してくると聴き手はかなりのインパクトを感じて音を受け止めざるを得ない状況が生まれてくるように思われました。これはとても興味深い発見でした。
今日の杉本さんは、時間と空間的なものをライヴに持ち込んでうまくコントロールしているように思われました。遠くに聴こえるサイレンの音や飛行機が飛ぶような音?やOff Site の横を通ってご丁寧にも入り口まで来てくれた「火の用〜心、カチカチ(拍子木)」という年末の歳時記の音の間をすり抜けて、音を発見するプチ・トリップに連れて行ってもらったようでした。私は後半の終わり近くにお腹が鳴る音がしてきてしまって、音を待つ間の静寂(しじま)にグーグーと音が鳴り響くのも嫌だったので、お腹に力を入れてジッと我慢して息を止めていたら苦しくなってしまいましたが、でもうん、やっぱり素晴らしかったです。

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