ライヴを観る


2003年2月のLive Information

このライヴ情報は、とりあえず目についたものを取り上げています。実際に行ったライヴについては、下記にレポートしていきます。

2/1 ティム・バーンズ@代々木Off Site
ティム・バーンズ、秋山徹次、吉田アミ

2/7 絶対アンテナ vol.21@代々木Off Site
Sachiko.M sine wave solo/山内桂 sax solo/伊東篤宏 optron solo

2/9 FENNESZ Plays@shibuya NEST 詳細はこちら

2/12 two of us vol.55@高円寺ペンギンハウス
横川タダヒコ(guitar,violin vocal)+TAGOMAGO(electronics)
2/19と書きましたが間違いでした。すみません。

2/19 飛頭@入谷なってるハウス
ミドリトモヒデ(sax)、菊地雅晃(bass,electronics)、塚本真一(piano)、イトケン(drums)
飛頭は23日関内エアジンにも出演します。

2/20 deluxe concert series vol.32 大友良英プレゼンツ山内桂 in Tokyo@西麻布super deluxe
Filament:Sachiko M(sinewave)+大友良英(turntable)/山内桂ソロ(sax)/ 山内桂(sax)+大蔵雅彦(alto sax,bass clarinet)+宇波拓(electronics)+大友良英(turntable,electronics,guitar)
山内桂さんは大分市在住のサックス奏者。フリーの人らしいです。

2/28 Meeting at Off Site vol.29
Matthew Earle(emptied sampler)




2月7日(金)
絶対アンテナ vol.21@代々木Off Site
Sachiko.M sine wave solo/山内桂 sax solo/伊東篤宏 optron solo

音楽を聴きに行くのに必要以上の余計なことを感じなくてもいいはずなのに…、いつも通る高島屋の裏あたりの寂しさときたら…。線路の向こう側のビル群を眺めると真上には三日月がのぞいている。紀伊国屋の裏を通って、この時間人に出会うことのない吊り橋のような長い木の階段を降りて行く…。
最初に山内桂さんという方について、チラシのプロフィールを引用してご紹介したいと思います。
「1954年大分県別府市生まれ。松山での大学時代からサックスを始め、すぐにフリー・ジャズに傾倒。後に即興演奏に関心を持ち、内外のさまざまなミュージシャンと共演する他、作曲も行う。また平行して、ミルフォード・ グレイブス、ハン・ベニンク、デレク・ベイリー、トリスタン・ホンジンガー、ぺーター・ブロッツマンなどの来日公演の主催にも関わる。卒業後は会社に就職し、後に大分に転居してから昨年10月に退職するまでの通算23年半をサラリーマンとして過ごす傍ら自主的な音楽活動を行い、音楽シーンの殆どない地方都市で演奏場所を開拓しつつ、自身の音楽を磨く。現在も大分市在住で、ソロの他、ペナンペ、サルモバンド等のグループで活動中。主な共演者に高木元輝、近藤等則、土取利行、豊住芳三郎、バール・フィリップス、エルンスト・ライジガー、大友良英、ポール・ラザフォード、ハン・ベニンク、ジョー水城、ミシャ・メンゲルベルグ、サム・べネット、崔善倍、スティーブ・ベレスフォード、金大煥など」。
今日はその山内さんの東京での初ソロ。私にとっても初めての方でしたが、年齢が自分に近いことや音楽の趣味などから親近感を覚えました。地方にはこういう地道な活動をしている方もおられるのだなと思いました。ソロ演奏の方は20分くらいだったでしょうか、さほど長い時間ではなかったと思います。ブレス、指の動き共にかなり抑制を与えているような感じで、トーマス・アンカーシュミット?またはある時の大蔵雅彦さん?といったような感じも最初はしました。しかし、これだけではまだよくわからないというのが正直な感想でした。変なことを言うようですが、自分の中ではこういうサックスだったらどうしようというのがあって、そういうのではなかったのが良かったと思います。差し当たっては、20日のスーパー・デラックスでの演奏を楽しみにしたいと思います。48才にして本格的な演奏活動に乗り出す、それだけでも楽しくなるような話ではありませんか?

2月9日(日)
Fennesz Plays@渋谷Nest
Fennesz(from Austria/TOUCH/MEGO)/Oren Ambarchi(from Australia/TOUCH/STAUBGOLD/etc...)/Numb vs Christophe Charles(REVIRTH/RITORNELL)

ラップトップ・ミュージック、ノートPCを楽器として使った演奏は、自分の今までのライヴ体験からするとこんなものかという感じのものが多かったと思います。メカニカルだったり、もやもやっとしていたり。今日は違いました。こんなにも豊かな世界が広がっているのかという驚きがありました。それなりのボリュームで体験できたのも良かったと思います。
最初がナム&クリストフ・シャルルさんによるコラボレーション。50分ほどの長い演奏でした。ノートPCが2人で2台になっていることもあってか、想像力をさまざまに喚起する微妙な変化がありました。山あり谷あり熱帯雨林ありといった感じでした。オレン・アンバーチのギターを挟んで50分ほどの長い休憩の後、クリスチャン・フェネズの登場。のっけから「おおこれは!」といった感じがありました。ナム&クリストフ・シャルルさんによる演奏が、ラップトップによる音楽芸術を鑑賞しているといった感を免れないのに対して、こちらはより体感的なもろ音楽の世界(こんな言い方しかできないのですが)、ハイな気分、高揚感、生々しい官能性、恍惚感といったものを呼び覚ますように思われました。途中からアコースティック・ギターの音が聴こえてくると(もちろん生ギターではなくて、ラップトップの中に入っているギター音ですが)、聴衆の反応は一層熱くなるようでした。これは若い人には受けるだろうなあと思っていたら、隣の男の子たちからは「やばい、やばいよ、恍惚って感じ。来てよかったなあ」という声が聞かれました。私はというと、エレクトロニクス音の中から聴こえてきたギターは、チューブラー・ベルズのギターを聴いた時のような気分を喚起しました(それが直接的に似ているというわけではないと思いますが)。しかし、この気分にどっぷり浸かるには年をとり過ぎているというか、気分に浸かる必要性をさほど感じないところに自分の今の年齢を感じたりもしました。
フェネズはもともとはギタリストで、エレクトロニクスとアコースティックのセンシティヴな融合によって、ラップトップ・フォークなるものの先鞭をつけた人だそうです。私は先の演奏からするとフォークというよりもプログレといった感じがしました。それから、やはりエレクトロニクスとアコースティックが共存する演奏は面白いと思いましたが、先の演奏の場合、エレクトロニクス音の中にアコースティック・ギター音が少し挿入されているといった比率も興味深かったです。
オレン・アンバーチのギターは、ミニマルでパターン反復的なもの。それにエフェクターを使ってワワワーンと強力にハウリングといった感じでした。
帰りが遅くなりそうだったので、フェネズの演奏は最後まで観ずに帰宅しました。休憩時間は、DJの音楽に合わせて足を踏みならしていたら退屈しませんでした。しかし、立ち見はこのくらいの時間が限界かなと思いました。

追記
上記のエレクトロニクス音とアコースティック・ギター音の関係について、分かりにくいところがあるかと思うので補足をしておきます。両方の音が同時に並存するのではなくて、片方が片方にとって代わるという演奏で、アコースティック・ギター音の部分が少なかったという意味です。

2月19日(水)
飛頭@入谷なってるハウス
ミドリトモヒデ(sax)、菊地雅晃(bass,electronics)、塚本真一(piano)、イトケン(drums)

飛頭は今日はジャズ色が強かったかなと思います。ウェイン・ショーター/マイルスの曲、パット・メセニーの曲、「スノーピース」、「クランブリング・スティープル(でいいのか?)」、菊地さんの曲「ビーコン」、「夜の東京放射16号」、「8分の13」などをやりました。何度か聴いてきた「夜の東京放射16号」は、とても心地よい曲、名曲なんじゃないかなとやっと気付きました。最初にやったウェイン・ショーター/マイルスの曲は初めてのもの。静かにさざ波が立って行くような出だしで胸がキューンとなるような感じでした。メンバーは、ニュアンスのある微妙な表現も上手なので、バラードやスローな出だしには独特なものがあると思います。このところ自分なりにだんだん色々な音がよく見えてくる聴こえてくるようなところがあって、イトケンさんがスティックでシンバルを叩く時のキラキラと星が飛び出してくるような可愛い音、菊地さんの重厚な格調高い音、塚本さんの柔和で優しい音が、今日ははっきりと見えてくるような気がしました。それにしても、個性があってそれが表現できるというのは素晴らしいこと!卒のないそれなりの洗練されたテクニックだけで演奏をすることのつまらなさを感じます。最後の「8分の13」は、今までとは全く違うこのユニットならではの料理法。イトケンさんのチンチンという音から始まってスローなスローなイントロ、終わったかと思ったら本編のスローな始まりで徐々に早く早く…。…いろいろ冒険してみなくっちゃ面白くないですものねー。
寒風吹きすさぶ冷たい夜。入谷に行く前に買い物がてらアメ横に寄りました。ガードレール下の商店街を抜けようとしていたら良い音が聴こえてきました。何かと思って見上げると、天井のワイドな通風口?から出てくる風の音のようでした。自分はこんな音にも注意が向くようになったのかと思いました。また、アメリカ屋という皮ジャンやジーンズを売っている店の前を通ったら、聴こえてきたのは何とテレヴィジョンの「マーキームーン」。しばし足を留めて聴き惚れてしましました。

2月20日(木)
deluxe concert series vol.32 大友良英プレゼンツ山内桂 in Tokyo@西麻布super deluxe
Filament:Sachiko M(sinewaves,contact microphones)+大友良英(turntable)/山内桂ソロ(sax)/ 山内桂(sax)+大蔵雅彦(alto sax,bass clarinet)+宇波拓(electronics)+大友良英(turntable,electronics,guitar)

スーパーデラックスに行く前に世田谷美術館に寄った。山口市在住の松本晃弘さんと間章と親交のあった桑原敏郎さんの写真展。私は初対面の桑原さんに対して、写真に対する興味以上に間章のことを貪欲にたずねてしまった。桑原さんは近藤等則さんと同郷で、そこら辺から間章との繋がりを持ったとのこと。デレク・ベイリーを初めて招聘する以前に一緒にヨーロッパに会いに行ったほどの近しい人物。なのに青山真治監督の映画には登場してこない。桑原さんのところへはインタビューには来なかったそうである。昨年の12月12日の新潟での映画上映とライヴも主旨が分からないからという理由で行かなかったそうである。その代わりに高木元輝さんの葬儀には出席したそうで、間章が急死して一番ショックを受けたのは高木さんではなかったかという話。
私が12月12日の新潟でのことを書いた文章は、この催しに対する思い入れが感じられないクールな文章だと思うが、それというのも新潟まで出かける気になったのは、当時のメンバーとの共演で高木さんの演奏が聴きたいという思いが強かったからではなかったかと思う。そして誰もが、高木さんがいないことの理由の説明をしないこと、そして豊住さんによるクリスマスソングの演奏に何かしらの違和感と居心地の悪さを感じたのも事実だ。映画は予想以上に興味深い内容になっていたと思うが、インタビューを敢行すべき人物はもっといるのでは、またいたのではなかったかと思う。桑原さん、高木さん、小杉武久さん、そして故・辻邦生さん…。高木さん急逝の連絡は、小杉さんから桑原さんにあったそうである。小杉さんはいつも高木さんのことを気にかけていたらしい。偉くなっていなかったんだなーって思う。小杉さん。やっぱり。私はますます感じます。敬愛の念を。

***

さて、話は夜のスーパーデラックスへ。最初はお久しぶりのフィラメント。ツーという持続音はコンタクトマイクの音か?それにところどころ大友さんとのノイズの応酬が入るという感じでした。大友さんから山内さんの紹介があって、山内さんのソロ。アルトとソプラノをやりました。最後の4人での共演は、大友さんやっぱり上手いなあと思いました。デレク・ベイリー的なアコースティック・ギターの響きと、ターンテーブルとエレクトロニクスのノイズでセンス良く綺麗に音を組み立てているといった感じでした。今日は自分なりにやっていることが良く見えるような気がしました。大蔵さんのブカブカという音も印象的。山内さんは割と控え目だったでしょうか。宇波さんは、ラップトップの他に小道具を使って細かい音を出していました。金属をすり合わせて出る音。観てて面白かったのは、何枚かのコインが自動的にちょっと浮き上がってカチャンと落ちるところ。これ以上は説明できないなあ。このところどんどん大人っぽくなって成長著しい宇波さんです。
最後に山内さんと少しお話をする機会がありました。今日のような演奏は、今までやろうと思ってもやる場所がなかったとのこと。場所と聴衆がいればこういう音楽がやれる、即興は聴衆と共にある、聴衆が創っていくといったような話になりました。山内さんの本当の活動はこれからだと思います。7日そして今日の演奏を聴いてまがりなりにも私が好感を抱いたのは、上手く言えないのですが、聴衆の存在ということも含めて音を聴くということ、音を聴く存在がいるということをしっかりと頭に入れている姿勢が感じられたからなのかもしれません。

2月22日(土)
第2回中尾勘二SPレコードコレクション観賞会@代々木Off Site
出演 中尾勘二 細馬宏通 宇波拓

中尾勘二さん所有のSPレコードを観賞する会。野田さん、大谷さん、秋山さんらの顔も見えて、みんな本当に音楽が好きなんだなあ。1920年代から戦前くらいまでの?SPレコード。聴いたのはいろいろで、あんまりよく覚えてないです。有名なヴァレーズの「イオニザシオン」。レコーディング・データを鋭く質問する大谷さん。分からずじまいでしたけれど、何か粗野で荒削りな感じでした。
変わり種も多かったですが、国際連盟脱退時の?松岡大臣の演説。桜がどうのとか散り際がどうのとか…、桜っていうのは、日本人の死生観を象徴していた、今でもそういうところがあるのかなあと思いました。トフはあまりピンときませんが。
翌23日は大友さんと立花泰彦さんのalone together vol.4 。行くつもりだったのが、行けなくて残念。賛否両論のジャズユニットだそうです。24日は豊住さんとさちこママの「高木元輝に捧げるインプロヴァイズド・ミュージック」。こちらも悪天候の上やはり横浜までとなると足が遠のきます。ライヴは週に一度くらいの割合で観られるのが理想的です。観ない日が続くと寂しくて観始めるとあれもこれもと思うのですが、そうは足を運べないのが現実です。


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