ライヴを観る


2002年4月のLive Information

ここに載せるすべてのライヴを観に行かなくて、また行けなくて申し訳ありませんです。3月はたくさんありましたが、今月は今のところ少ないです。全部行けるかな?

4/6 Meeting at Off Site Vol.21@代々木Off Site
Tim Barnes(perc)+中村としまる(no-input mixing board)+秋山徹次(guitar)

4/12 "bject" 公開レコーディング/大蔵雅彦(as,bcl)+秋山徹次(tt)+ユタ川崎(synth)@代々木Off Site

4/23 水玉消防団21/天鼓(vo)、三輪貴生(b)、高橋結子(ds)
Core Anode/大友良英(g,tt)、イトケン(ds)、植村昌弘(ds)
ヴォイス団Kuu@吉祥寺マンダラ2
"Anode" については、まだまだ体験できていないような気がする。書き足りないことがあるような気がする。例えば、形式と自由についてとか。そんなこんなしていたら、Anode Small Version のライヴがあったらしい。で、今回それが観られるかと思ったら、もっとちっちゃなCore Anode になってしまったようだ(^_^;)。進行が早すぎまするーッ!これで終わってしまうのかなあ。
Core Anode は別名「大友良英パンク・プロジェクト」だそうです。もーわかりませんです(^_^;)。観てのお楽しみです。

4/26 絶対アンテナVol.19@代々木Off Site
itokenn(電子楽器)+DJ Peaky(synthesizer)
今井和雄(stoneboard,brass board,springs,stainlesssteelball,woodenblock,chain,eggcutter,superballs,etc,,)+伊東篤宏(optron and home electronics)



4月5日(金)
no frame-Quake again!!!! issue-@Uplink Factory
Tim Barnes(perc)+菊地雅晃(bass)
Tsuki no wa / ティムスコーツ / minamo

ティム・バーンズは、ジム・オルーク・バンドのドラマーとして名前を知っていた人。観るのも聴くのも初めてですが、チラシによると、サウンド・デザイナー、パーカッショニスト、コンポーザー、アーカイヴィスト、レーベルオーナーという多くの肩書きを持つ人であるそうです。コントラバスの菊地さんも初めての方。ティムさんの希望でお二人のセッションが実現するそうで、何となく行ってみたくなりました。
アプリンク・ファクトリーは、渋谷のビルの5階にあるのだけれど、こんなに窓がたくさんあったんだったかしら。客席の正面、ミュージシャンの後ろが3つくらい繋がった窓になっていて夜景が見えます。タワーがひとつ見えて暗い森が見えます。渋谷とは思えない風景です。森は代々木公園だろうか?見なれない風景が目の前に広がると知らない街にやってきたような開放感があります。
出口まで人がいっぱいの超満員の中で演奏が始まりました。ティムスコーツ、Tsuki no wa とそれぞれにティムさんが途中から何曲か加わりました。巧みなブラシワークの人だなと思いました。ティムスコーツ、Tsuki no wa は何と表現したらいいんだろう。いわゆるバンド演奏なんですが、自分の若い頃にはこういう音楽はあっただろうか?アクやクセがなくてふわーっとしている気持の良い音楽。心地よい眠りに誘われるような感じでしばし休ませてもらいました。
さて、お待ちかねのインプロヴァイズド・フリー・ミュージックになると、例によって、とたんにパッと目が覚める私でした。まずは先ほど書いた窓、この窓を使ったちょっとしたパフォーマンスから始まりました。ティムさんと菊地さんが、突然窓を開けて、菊地さんが窓枠に飛び乗ったのです。で、それから音楽に移行していきました。途中また窓を閉めるパフォーマンスをやりましたが…。ティムさんは体格がいい人で、躍動的にテクニカルにドラムを操ります。とてもエネルギッシュでスポンタネアスで、ずっと同じテンションで演奏が続いていく感じです。セットは、上下に2つくっついたシンバルと、大小の太鼓が幾つも離れたところに置いてないでくっ付けるようにして並べてあるのですが、その上を絶えず移動しながら流れるような巧みな手の動きで、絶え間なく次々にノイズを繰り出していくような感じです。最初はブラシを使って、後でスティックも使いましたが、灰皿のようなシンバルをひとつ出してきたり、もっと小さな小皿のようなシンバルを2つ使ったりもしました。視覚的にもかなり面白くて目を奪うようなパフォーマンスです。菊地さんは、割と考えながらやっているようだったかな?コントラバスの世界にもエレクトロニクスが入ってきているのかと驚きましたが、最初はエレクトロニクスのつまみをひねってノイズを出して、それからベースを演奏しました。しばらくはこれが交互に続きました。ベースは小道具を使ったりプリペアドはしないで、手と弓だけで演奏するのですが、時々エフェクターにかけるらしくて、そのスイッチを何度かオンオフして切り替えていたようでした。演奏の最後に、何という題名だったかな?sometime I wonder why I spend the lonely night…と始まるスタンダード曲のイントロを引用しました。既成のフレーズを引用するのは余り好みではありませんが、菊地さんは真摯な姿勢が感じられて好感が持てました。二人の共演は、この日この場の出合いを大切にして、精一杯の演奏行為を生きているように思われました。お客さんの反応もとても良かったです。自分も同じ場所と時間を共有する喜びを感じました。帰宅時間を考えて、最後のグループ minamo は観ずに帰りました。

4月12日(金)
"bject"公開レコーディンング@Off Site
大蔵雅彦(alto sax,bass clarinet)
秋山徹次(turntable)
ユタカワサキ(synthesizer)


4月13日(土)
John Lely and Seymour Wright appears from matchlessrecordings UK@Off Site
John Lely (computer)
Seymour Wright(saxophone)
伊東篤宏(optron)
ユタカワサキ(synthesizer)
吉田アミ(voice)
安永哲郎(computer)

12,13日とOff Site に出向いたので、今日は続けて印象を書き記してみたいと思います。お手本の無い自由な音楽の世界で、しかも若手の新しい試みに接する場合、人によって受ける印象が様々になってしまうのは仕方のないことだと思います。その人の年齢や音楽体験や最近どんな音楽に接しているかなどによって、賛否が同時に生まれるような両極端な感想が生じてしまうのはむしろ当然のことかもしれません。
さて、"bject" の方は、私が聴くところでは、秋山さんや大蔵さんに経験やセンスが感じられて、それが何かしら新しさを感じさせる印象に結びつくように思われました。一方13日の演奏は、音に対する印象に演奏者の若さのようなものが露呈してしまっているように感じられました。
12日は、秋山さん幾つかの試みをやりましたが、それが具体的な音の変化になっていてよかったと思います。床に置いたシンバルにエレクトロニクスに繋がった黒い小さなパッドを置いて震動音を生じさせたり、ノズルを付けたスプレー缶を噴射させてスースーという音を生じさせたり、ラジオの音を挿入したりしました。大蔵さんも普通のサックス以外に、マウスピースに蛇腹ホースを繋いだものを使いました。で、吹きながらホースの先端を紙片のようなもので開閉したりしました。あともうひとつ、マウスピースと先端のラッパの部分をホースで繋いだものも使ったと思います。
13日は、ジョンさんとセイモアさんのデュオから始まりました。セイモアさんは'76年生まれ。ジョンさんも20代くらいの方のようです。セイモアさんのサックスはもうほとんど演奏を放棄しているといった感じ。小道具を使ってボディーをガーっとやったり、ブカブカやったり…。20代くらいの若手の人たちは、もう楽器が普通に演奏できないのではないかと思わせるくらい演奏を放棄してしまっている場合がほとんどと言っていいのかもしれません。楽器を音響/ノイズ発声装置のよう使うのがもう常套のように思われます。ジョンさんは、もともとはピアノをやる人だそうですが、今日は弓やおもちゃのようなジャンク楽器を少し使ったエレクトロニクス。昔観たスティーヴ・ベレスフォードの規模をかなり小さく何十分の一くらいに縮小したような感じでした。次ぎは全員での演奏。これくらいの人数以上でやる演奏は難しいと思いますが、何か単調な音の羅列、音の寄せ集めのような感じで終わってしまったように思われました。例えば、もう少し演奏性の高いフリー・インプロヴィゼーションでしたら、予測できない未知のサウンドスケープが出現する瞬間が待望できると思うのですが…。また、これだけ演奏を放棄してしまった後には何が残るのだろうかという考えも少し頭に浮かびました。センスだろうか?経験だろうか?センスは経験を積むことによって磨かれていくものなのだろうか?それともやはり何かの企みこそが必要なのだろうか…。そんなことを考えました。

追記
伊東さんのオプトロンは、今日は蛍光灯が机の上に置いてあるタイプ。音も轟音というよりはかなりソフトになっていました。26日はベテランの今井さんとの共演があるので、早くも緊張気味?余裕があったら、これからも若い方たちの演奏にも接していきたいと思います。

4月23日(火)
ヴォイス集団Kuu
Core Anode/大友良英(g)、イトケン(ds)、植村昌弘(ds)
水玉消防団21/天鼓(vo)、三輪貴生(b)、高橋結子(ds)@吉祥寺マンダラ2

Core Anode は"Anode" の Anode1 とそのVariation の演奏を3人に絞ったものであるらしい。実は私はこの部分が一番ライヴで観たいと思っていました。とにかくスピードが速い。そして最初から最後まで、同じスピードとテンションの高さを維持しながら推移する演奏に圧倒されます。このスピードは、いろいろな音楽的要素─という言葉を使っていいのかどうか、今他に言葉が思いつかないのですが─を払拭していくパワーを持っていると思う。音楽的要素と書いたは、フレーズやリズムや起承転結といったこと。もっと具体的に言うなら、「これはロックのギターだな」とか「これはインプロ的展開だな」という風に感じる何かのことです。これはもう何と名付ければよいのか、そもそも名付けたり分類する作業をしようとすること自体が、最早現在(いま)の新しい音楽の実体に追い付いていないのではないかという考えさえもが頭に浮かんできます。ともかくもそういった音楽的要素から解放された─自分が自由だと感じたのはこのへんの感覚だと思うのですが─むき出しの音群が全力疾走で迫ってくるといった感じがします。打楽器が2台でその特性を存分に生かした演奏も素晴らしい。大友さんのフィードバック・ギターも凄かったです。次回は Core Anode のロング・バージョンを計画しているとのこと。このプロジェクトでは、ミュージシャンは音楽機械のようになることを余儀なくされるんじゃないかなあと思う。そうなると、ミュージシャンへの負荷も大変なものになると思います。
ところで、今私は"解体的交感"を聴きながらこれを書いているのですが、自分が接した大友さんの演奏、大友さんにはいろいろな演奏があるのでそのほんの一部なのですが、CD とライヴを含めての幾つかの演奏/作品の出だしを聴くと、いつも"解体的交感"の出だしが思い浮かびます。なぜそうなのか、自分の中では決して他の音楽ではなくて"解体的交感"なのです。

訂正
Core Anode は、CD"Anode"の一曲目のAnode1をハードコア化したものだそうです。

***

話が前後しますが、最初のヴォイス団Kuuは、10人くらいの人たちがステージに上がって、ソロ、デュオ、トリオなどでヴォイスによるフリー・インプロヴィゼーションを展開するグループ。天鼓さんは、実は'80年代の終わり頃に何度か観てそれ以来だったのですが、当時はちょっと神秘的な前衛ヴォーカリストという印象だったと思います。水玉消防団はまた別のプロジェクトなのか、カジュアルなロックバンドといった感じでした。

4月26日(金)
絶対アンテナVol.19@代々木Off Site
itokenn(電子楽器)+DJ Peaky(synthesizer)
今井和雄(stoneboard,brassboard,springs,stainlesssteelball,woodenblock,chain,eggcutter,superballs,etc,,)+伊東篤宏(optron and home electronics)

私は今日はリラックスした楽しい夕べでした。伊東さんの好企画だったと思います。Off Site に行く前は、たいてい高島屋の隣の紀伊国屋書店を少し覗いてから、この時間はほとんど人に出合わない吊り橋のような長い木の暗い階段を降りてOff Site に向かうのだけれど…その時引き返したくなるような言い知れぬ孤独を感じることもあるのだけれど…でもやっぱりこういう夕べが過ごせる場所があることに感謝したいと思います。
最初は伊東さんと今井さんの初共演。今井さんの経験と伊東さんのユニークさがドッキングして、なかなかおもしろい展開になったと思います。伊東さん今日はオプトロンとラジオを使ったエレクトロニクスの2本立て。音の層に厚みが増したようでよかったです。新型オプトロンを観るのは2度目ですが、前よりもプカプカとした音になっているのが反っていいかなと思います。何をやっているのかなあと思ったのですが、小型ラジオにテレビのリモコンを向けて操作したり、電動消しゴム(こんな道具があるのは初めて知りましたが)を近づけたりして、ラジオのノイズにちょっとしたコントロールを加えていたみたいでした。今井さんはいろいろな道具を使って次々に音を立てていくのだけれど、新しい扉がどんどん開けていくようでワクワクしました。ビオラダガンバの演奏がしっかり入っているのもベテランらしい。演奏時間が短いと持って来たすべての道具を使いきれないみたいです。
23日のCore Anode でお疲れさまのイトケンさんとDJ Peakyさんは、Off Site の2階で行われている円盤・円卓・電卓シリーズのコンビ。上手く言えないのですが、何かとても変なんです(^_^)。終わった後、その場が何だか和やかな雰囲気になって、そこに集まったみんなで「ウッフッフッ…」と笑ってしまうような感じなんです。
ところで、家に帰ってから伊東さんの真似をしてラジオにリモコンを向けてみたけれど、自分でやるとおもしろくも何ともなかったなあー。

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