Billy Bang / Shoji Hano Japan Tourより。
5/3(月) ビリー・バング@西麻布super deluxe
ビリー・バング(violin)、太田恵資(violin)、勝井裕二(violin)
5/11(火)〜18(火) パク・チャンス日本公演。
パク・チャンスさんは、どういう方なんでしょうか?私は全く存じ上げませんが...
ビリー・バング@スーパーデラックスの2日目。今日はソロがあるので、ちょっと聴いてみたいと思ったのでした。最初に珍しくマイクさんからお話があって、ビリーさんのレコードやCDに親しんできたので、そのビリーさんにここスーパーデラックスで演奏してもらうのがとても嬉しいというようなことを...。マイクさん、相当思い入れをお持ちのようでした。演奏の方は、割と短かめで全体を通しても1時間ちょっとくらいだったと思います。目一杯やるテンションが高い演奏だったので、あれよあれよという間に終わってしまったという感じです。お客さんからも掛け声や歓声が上がって、ここスパデラで私がこういう反応を観るのは初めてでした。
第1部はソロということで、生西康典さんの映像を写しながらの演奏。最初の曲は、演奏する前にドン・チェリーという言葉が聴き取れて、次はオーネット・コールマンの"ロンリー・ウーマン"だと聴いて分かりました。とてもしっくりくる"ロンリー・ウーマン"。ダイナミックでグルーヴィーでワイルドでスピリチュアルな感じとでも言えばいいのでしょうか。偏見になってしまうかもしれませんが、トフなんかこういうの聴くと、やはりアフリカ系アメリカ人の人にしかできない表現ではないかと思ってしまいます。
第2部は太田さん、勝井さんが加わってヴァイオリン3人での演奏。ストリングスの演奏というと、巷に溢れていて、否応無く耳に入ってきてしまう甘っちょろいのはもう沢山で御免こうむりたいといつも思っているので、そういうのを蹴散らすような演奏が聴けて良かったと思います。何セットかやりましたが、大まかなところは決めてあったのかどうか、最初のセットは、ビリーさんがヴァイオリンをウクレレのように弾いてリズムを取りながら始まったのが印象的でした。太田さんとは、あうんの呼吸みたいのが生まれて、太田さんはこういうの上手いなーと思いました。3人が弓だけを使った演奏は、確か最後のセットだけだったと思いますが、勝井さんがヴァイオリン・インプロヴィゼーションとしての持てる力を全開、といった感じがしました。アンコールは、デューク・エリントンの"Cジャム・ブルース"でした。
家に帰ったら、オーネット・コールマンのヴァイオリンが無性に聴いてみたくなりました。
「2014年のエチュード」というイベントの3日目。今日は「7/9-11に開催される即興音楽ワークショップ「アルジャーノンに即興を」の講師陣による、プレビュー特別ライブ」だそうです。自分にとっては、とてもいいものがあったと思うのですが、それを言葉に表わすのが難しくて、ここ何日か自分の体験を反芻したりしていました。まずは会場について、駒場小空間は、非常に天井が高くて開放感を感じさせる場所。吹き抜けのようになっていて、天井桟敷に通路があります。チラシによると、舞台美術は、東京芸術大学先端芸術表現科の有志によるメンバーと東京大学の協力によって設営されたそうで、会場は、イベントの会期中日替わりで出演される沢山のアーティストの方の表現力によって様々な表情を見せる事になるのだそうです。で、どんな舞台美術なのかを説明するのもまた難しいのですが、観客は最初に会場内にある通路を通ります。それは木でできた階段で、何段か上がって舞台?を通ってまた階段を降りるという形の通路なのですが、その右側に垂れ幕が下ろしてあります。で、その通路を通ってそこから右へ曲がって行くと、先ほどの垂れ幕を背にミュージシャンの位置がセットされているという感じです。私たち観客の席は、垂れ幕の正面の少し高い位置にあって舞台を見下ろすような感じになっていました。そう、ミュージシャンの後ろに長ーい垂れ幕があって、その背後に先ほど通ってきた木の通路があって、人が通るとその姿が影絵のようになって垂れ幕に映るという仕掛けです。分かるかなー?
4時から開演ということで、ギリギリに会場に飛び込んだのですが、ミュージシャンの方がセッティング中だったり、まだ姿を見せてなかったり。でも、もうそのあたりからパフォーマンスが始まっているといった感じでした。誰と誰がデュオでやるとかトリオでやるといった説明も一切なくて、横川さん、菊地さん、外山さんで自由に音を出して行くという感じでした。とても柔らかくて自然体といった感じでした。気負いがあったりや奇をてらうところもないと思ったのですが、音響的にそれほど刺激のある音を発するといった感じでもなかったので、最初の方、ちょっと退屈に感じられた人もいたかもしれません。横川さんのお人柄なんでしょうか、ヴァイオリンやギターやラップトップは、穏やかで自然な感じがしました。菊地さんは、ベースやアナログシンセですが、この空間を自由に使うということで天井桟敷の通路へ行って、金属の手すりを木片で叩いたりしました。急に変な音がするなーと思ったのですが、それがどこからくるのかすぐには特定できなかったのでした。外山さんのドラムは、とてもいいんですが、何て言ったらいいのか今のところちょっと分からないといった感じです。5時過ぎくらいに、「遅れてすみません」と倉地さんがいらして、4人でのパフォーマンスが始まりました。倉地さんは、個性があって面白かったです。裸足になってギターを弾いて、エフェクトを使って、短いポエトリー・リーディングも入れたりしました。垂れ幕をじっと見つめていたかと思いと、その後ろに行って飛び跳ねて、ご自身が影絵になったりしました。
これはとても不思議な感覚だったのですが、そんなこんなでパフォーマンスが始まって2時間くらいを経過した、ちょうど6時過ぎたあたりになると私は俄然おもしろい!と感じてきたのでした。自由というのは、こういうもんじゃないかなという感覚に襲われたのでした。何かすごいものを見せようとするのでもなければ、何かを追求しようとするのでもない、必要以上に強い刺激を与えるのでもなければ、インパクトのある出来事が起こるわけでもない、ふーっとごく自然に何かがわき上がってくるような感じ。いみじくも菊地さんが「いいですねー、この散漫な音楽状況は」とパフォーマンスの中で言ったそんな感じ。
本当にいろいろな即興があって、それを言葉にするのは難しくて、自分がこんなことを書くのにも、個人的な体験以外に何の意味も見出せないと思うこともしょっちゅうですが、私は、今日の即興を敢えて名付けるならば、人間性の回復&復権のための即興のように思われました。そして、こういうパフォーマンスは、知性がないとなかなかできないのではないかと思われて、そういったところでもまた素晴らしさを感じました。"自由"を感じさせたパフォーマンスの幾つかをランダムに上げてみますと、菊地さんは、トランペットを吹いたり、音や音楽についてのちょっとした話をしたり、外山さんは、サックスを吹いたり、アフリカ製の?木のマリンバを途中から持ち出してきたり、携帯電話を持ちながら会場をぐるぐる回ったり、横川さんは、菊地さんの話した言葉をサンプリングしたりしました。それから、このイベントに携わっている人たちなのでしょうか、何人かが声を出したり動いたり、何かを叩いたり、ちょっとしたパフォーマンスで参加しました。休憩を挟んで一番最後のセットは、私たち観客も加わって、横川さんの指示に従って声を出しました。
トフはもう、自分の中では「夕飯食ってからまたやろうぜ!」みたいな気分になっていたのですが、イベントは、7時過ぎくらいに終了しました。その場の成り行きで、ほとんどのミュージシャンが後片付けをして、荷物を持って会場を後にする時刻までいたので、ガラーンとして跡形もなくなってしまった会場を観ることにもなりました。真っ暗になった大学の構内は、ちょっとした迷路。たどり着いた出口は、入った正門ではなくて裏口のようでした。見知らぬ大通りを勘に従って進んでいくと、渋谷の松濤美術館の近くらしい。そこからちょっと人に道を尋ねて歩いて渋谷駅まで。このくらいは歩いても何のことはない距離でした。家に帰ってから、江比間あさりとほうれんそうのスパゲッティでパスタ料理作りました。
今日は沢井一恵さんが急病のため出演をキャンセル。急きょ今井さんと入間川さんに来ていただいたそうです。最初に千野さんから「アコースティックによる演奏です」という説明があって、パク・チャンス・ピアノ四重奏団が急きょ誕生といったところか?ピアノ+ベース+チェロ+ギターという楽器編成もあってか、インプロでありながら、同時に現代音楽の超難曲を聴いているような感じもして面白かったです。徹さんと今井さんのベテランは、ヴォキャブラリーがものすごーく豊かですねー。入間川さんのチェロは、小道具とかは一切使わないで指を沢山動かす演奏性が高いものなのですが、途中でチェロを支える道具が壊れて演奏できなくなってしまったのか?何かすごーく悲しいような切ないような顔をされて、結局は途中退席されました。私は少しお気の毒になって「そんなに気にしなくてもいいのに」と心の中で思いました。パクさんのピアノは、フリーのピアノということで・・・そうですねー、何と言ったらいいのか・・・よく弾けていると思いましたが、今日の演奏だけではまだよく分からないと思いました。
千野さんは、今日は世話役としていらしたのか、出演予定ではなかったのですが、休憩時間の終わり頃からパクさんと連弾を始めました。私は「おまけ」が観られて嬉しいと思ったのですが、第2部はピアニストが交代して、今度は千野秀一・ピアノ四重奏団が誕生!チェロも何とか支えられるようになって、何かみんな、むちゃくちゃ手や指を動かすので、これをビデオに撮って(実際に撮影していたのかな?)早送りしたら、猛スピードの演奏になると思ったりしました。でも、その割りには音に刺激がなくて、しかもアコースティックというのは、始終何かやってないといけないので大変だなーと思いました。千野さんと入間川さんはそういう演奏だったのか、指を動かす割りにはクリアにしっかりと音を出さない感じの演奏だったと思います。
ここ門仲天井ホールに来るのは、冨樫雅彦さんの演奏以来。演奏性の高いものは、こういう綺麗な小ホールだといいですねー。ここはまた8階にあって、ぐるりと周りを見渡せる窓があるので遠くの高層ビルなどの夜景が見えます。今日のように雨模様だったりすると、風情も感じられたりします。帰る時、出口でパクさんと向かい合わせになったので、日本語で「さようなら」と。で、お顔を見つめたまま「韓国語でさようならって何て言うのかなー」と私。結局、これ以上は何もお話ができなくて情けない思いをしました。
兵庫県明石市からいらした稲田誠さんのスペシャル・ライヴ。稲田さんは、5、6年前に観て以来なのですが、その時の面影が全然なくて、こういう感じの人だったかしらと思いました。最初にベースソロ。弦を使った静かな演奏は、ウェルナー・ダーフェルデッカーのような感じ?少し休憩してからトリオでの演奏。稲田さんがせっせとベースを弾いて、イトケンさんとDJ Peakyさんが自由に音を作っていくという感じで面白かったですが、いかんせんベースの音があまり聴こえてこない・・・後で稲田さんにお聞きしたところ、スリムなボディのこのベースは練習用だそうで、オフサイトの場所を考慮して音が出ないこちらを使用したみたいでした。トフとしては、もう少ししっかりと音が聴こえてきてもいいのにと思いました。イトケンさんは、小物が得意だそうですが、今回は鉛筆や同じくらいの大きさのステンレスの棒?やカリンバやトライアングルやピアニカを使った音作り。いつもながら、アイデアとそれを形にするセンスに感心します。お忙しいらしく、何か疲れた顔をしていましたねー。DJ Peaky さんのターンテーブルは、私はちょっと見えない位置にいたので、後で側に行ってみました。「'98年にマルタン(テトロー)を観て、6年経った今、やっとやっていたことが分かった」というようなお話も聞けたりして、以前"ストーリー"というようなことを書きましたが、それぞれがみな、いろいろなものを糧に自分の音を作ってきているんだなーというのが分かってとても楽しかったです。今日はまた、千野さんも観にいらしてました。
今日は天鼓さんがオフサイト初出演。期待に違わず素晴らしかったと思います。その場その場でどういう音を出すかというのが、とてもこなれていると思いました。休憩を挟んでトリオで2セット。場所柄大きな音は出せませんでしたが、2セット目の方が幾らか音量が大きかったかなという気もします。大雑把な書き方になってしまいますが、伊東さんのオプトロンがノイズで、天鼓さんが肉声で、aenさんのラップトップからは、割と澄んだ乾いた音が聴こえてきたりして、異なった相に位置する音が重ねて聴こえてくるようなところがあると思いました。で、その相の重なりからは深みが生まれてくるような感じがして、こういう気持良さは、秋山さんのsatanic abandoned rock'n 'roll societyにも通じる所もあるのではと思いました。
それから今日は、伊東さんが使ったおもちゃのプレイヤーに目を奪われてしまいました。これは15センチ四方くらいの小さなモノですが、ちょうどMDくらい大きさのお皿が乗るターンテーブルになっています。で、これ専用のディスクがあって、それはレコード・プレイヤーとは穴の規格が違うのだそうですが、今日はわざと昔のソノシートを切り取って使ったのだそうです。またプレイヤーからアウトプットのラインを付けたそうで、そうすると小さいのに一人前にターンテーブルらしい立派な?ノイズが出るので、何かとても可愛いなーと思いました。「音は可愛くないですが」と伊東さんはおっしゃっていましたが。また、久しぶりに観たオプトロンも今日はとても面白く感じられて、蛍光灯が点灯する度に天鼓さんの姿が浮かび上がるのもいい感じ。で、先に書いた秋山さんのユニットや大友さんのcore anodeなど、オプトロンは、色々なものとの組み合わせでひらめきが生まれる!と思いました。
天鼓さんと伊東さんは、6/28(月)にスーパー・デラックスで、今度は大音量でやるそうで、こちらも期待できるのではと思いました。