6/5 建築/electric acoustic landscape@江古田Buddy
Gene Coleman(bass clarinet)、中村明一(尺八)、内橋和久(guitar & daxophone)、杉本拓(guitar)、
中村としまる(no-input mixing board)
6/6 Gene Coleman & friends@麻布Deluxe
杉本拓(guitars)、中村としまる(no-input mixing board)、Sachiko・M(sampler with sine wave)、石川高(笙)、本橋文(篳篥)、笹本武志(龍笛) 、Gene Coleman(bass clarinet)
6/7 大友良英+田中泯@中野planB
6/9 副島輝人(映像)+大友良英(guitar)@入谷なってるハウス
6/10 一楽儀光フェスティヴァル@西荻窪Bin Spark
第一部/一楽儀光(symbals)、木下和重(violin)、宇波拓(lapsteel,computer)
第二部/一楽儀光ドラムソロ
6/12 composed music night@現代ハイツ
stay
作曲 杉本拓
演奏 杉本拓(guitar)、中村としまる(guitar)、秋山徹次(viola)
6/14 stay ?@代々木Off Site
作曲 杉本拓
ソロ・ヴォイス 吉田アミ
6/15 菊地雅晃(contrabass)+吉田アミ(voice)/伊東篤宏(optron)+安永哲郎(computer)@代々木Off Site
6/30 誰でも参加できるポータブルオーケストラの試み@中野planB
1部 ポータブルオーケストラ・メンバーによる演奏 家電&楽器編(大友良英作曲)
2部 講義&ワークショップ「聴取とノイズ」
都合がついたので予約をしました。2部はもう満員でしたが。こんなオーケストラが組織できるのは大友さんをおいて他にいない!?メンバーは適材適所に配置されるのだろうか(^_^)。楽しみ。
エレクトロ・アコースティックで多種楽器の構成、内橋さんと杉本さんのギターの共演、と今日は観どころが多かったと思うのですが、観客があまりにも少なくてがっかりしました。あのだだっ広いバディにチラホラくらいの少ない観客で、しかも空調の音がウンウン唸って幅をきかせている劣悪な環境に腹立たしさのようなものを感じました。しかし、当事者でもない私ががっかりしても仕方がないので、ここは内橋さんの名誉のためにどれだけ優れた内容だったかを声を大にして言いたいと思います。
演奏はオール・インプロだったようで、2〜3人ずつの組み合わせでやるという説明が内橋さんからありました。最初は内橋さんとジーン・コールマン。呼吸やリズムが感じられるインプロらしいインプロだったと思います。あと、すべての組み合わせと順序は覚えていないので、特に印象的だったことを書いてみますと、まずはジーン・コールマンと中村明一さん。とても美しい響きをたたえたバスクラと尺八の共演でした。驚いたのは尺八の演奏でした。正直言って自分は今まで尺八を特に面白いと思ったことがなかったで、今日のように尺八の音にサックスと同等の豊かさを感じたのは青天の霹靂のようでした。それから、エレキ・ギターとアコースティック・ギターを交互に使った、極端に音数の少ない杉本さんと中村としまるさんのデュオ、これにジーン・コールマンが加わったトリオはすご〜く今を感じさせました。中村さんがエレクトロニクスの低音の持続音を出して、そのリードについて行くような形でジーン・コールマンのバスクラが波動のように音を乗せていって、そこに杉本さんが少ない音数でぽつぽつと音を挿入していくといった感じでした。このトリオでのインプロは翌日6日のデラックスでもあったのですが、こちらは3人が均等にバラバラにそして同じくらいの分量の音を出しているという印象があって、バディの方が断然面白いと私は思いました。
最後は全員での演奏。数人以上でやるインプロは難しいと思いますが、経験やセンスが生きていました。力量が感じられました。美しいランドスケープが組み立てられたと思います。内橋さんと杉本さんのギターがどう絡むかも興味ありましたが、結局は絡まないということが分かりました。というのは、2人の共演は最後にしかなかったのですが、杉本さんは後ろの方で、前の演奏とは一線を画するような感じで自分の演奏に徹していたからです。それも音数が少なくて、次に何を使おうかと道具を選んでいる時間の方が長かったみたいだったんですから。こういう天の邪鬼な感じの人をどこかで観たことあるなあと思ったら思い出しました。Jamie Muir!昔のロック系グループのビデオで、前列の演奏とは全然関係ないみたいな感じで背中を向けて、オリジナルセットのパーカッションをガサゴソとやっていた人!マタギみたいな毛皮のチョッキを着て後ろの方でこそこそとやっていた人!
さて、翌朝私は5時過ぎに目を覚ますと、まどろみの中でジーン・コールマンのバスクラの波動が自分の周りにまだ漂っているような気がしました。それがとても心地よかったので、今日デラックスに行ったらバスクラのソロCDを買おうと思いました。
今日はジーン・コールマンの新しい作曲作品をメインにしたプログラムだったようで、最初と最後に全員でそれを演奏しました。譜面をどんどんめくって下に落としていくのですが、全員でワワワーンとやって、ぴたっと止まるような感じの構成で、現代音楽の超難曲を聴いているような感じでした。現代音楽方面に明るい人が聴いていたらもっと気の利いたコメントが書けるかもしれません。で、曲と曲の間に何人かずつの組み合わせのインプロがあったのですが、こういう場合演奏者はインプロへの切り替えが容易にできるものなのかどうか?インプロに関しては、私は昨日のバディの方が面白く感じられました。「即興の内橋」のインプロの呼吸が聴こえる所と聴こえない所で全体を引っ張っていったように感じられたのです。
ところで、ジーン・コールマンは、CDを持ってこなかったそうで残念なことでした。昨年鈴木さんから購入した"Momentum" は来日公演で聴かせるスースーといった空気を含んだような演奏や波動のような演奏とは違うので、そんな演奏をCDでも聴いてみたいと思ったのですが…。ジーンは'58年生まれで、大友さんとほぼ同世代。なのに、この人は知られざる芸術家なのか、どうも活動状況がはっきりと伝わってこないように思います。
5月に世田谷パブリックシアターで田中泯さんの独舞「脱臼童體」を観たばかりの私の今日の興味は、大友さんが何をどう持ってくるかでした。"静"でくるか"騒"とくるか…、開演前の大友さんは気合いを溜め込んでいるようなご様子でした。で、演奏は、ギターと弓を使った"静"から始まって"騒"に ─ 強烈なエレクトロニクス・ノイズ音に移行していくものでした。大友さんらしいダイナミズムがあって中弛みを少しも感じさせないものでした。が、しかし、'80年代の中頃から泯さんを観続けている私には、今の年齢の泯さんにはちょっと強すぎるかなという感じもしました。強すぎるというのは、音楽の方が強烈で主張が強いと感じられてしまうと、目を閉じてでも音について行きたいという気持になって、そして実際に時々目を閉じて聴くことに集中してしまうことです。私の個人的な体験だと音楽が少し弱いかなと思うくらいの方が、音楽が少し背景に退いていると感じられるくらいの方がダンスに目がいくと思います。勿論、ダンスと音楽が拮抗して"交感"する場合もあると思いますが。また、泯さんとの共演の場合、音楽は伴奏みたいな感じでダンスに奉仕することは全然求められていないと思いますが。
さて、今日は会場に入る前に近くのファミレスでお茶を飲んだのですが、その時隣の席で食事をしていた高校生くらいの人たち、「荒川修作とか'60年代が面白そうだ」などと会話していた若い人たちを会場でも見かけました。あと、会場には初老の方などもいらしていて、幅広い年代の人たちが集まるのはとても良いことだと思いました。音楽の世界にもこういう現象を呼び込めないものかなあと思いました。
昨年は offsite で杉本さんによるcomposed music series があって、私はいつでも観られるような気になって見逃してしまったものが幾つかありました。今年になってからは今のところ演奏に接する機会が多くはないので、そうなると一回でも見逃すのが惜しくてもったいない気持になります。
現代ハイツは全体がほの暗くて、灯りがスポットライト的に当たるので落ち着いた感じがします。意外にも、杉本さんと中村さんと秋山さんの3人の共演を観るのは今日が初めて。しかも今日は小道具を使ったりプリペアドしない演奏でした。音と音の間隔がかなり空けてあって沈黙の部分が長い。その分音数が少なくなっていました。演奏は、交互にやっているみたいに、一人ずつがボヨヨーン、ポロンとギターの音を、あるいはギーとヴィオラの音を挿入していくような感じのものでした。
ところで、沈黙の部分が長いと困った?現象が起きます。音に耳を傾けるために来ているのに、沈黙に行き当たってしまうと、耳はその間やり場に困ってしまうからです。その時耳は否が応でも周囲の雑音を聴き取ってしまうからです。そんなこんなで、張り詰めているようないないような奇妙な緊張関係が自分の中に生じてきたように思われました。そんな感覚を半ば楽しんでいると、演奏の最後の方、杉本さんのギターの音は、私を幸せな気持にさせてくれるあの暖かい音になっていました。
さて、大友さんの Core Anode も体力勝負で大変だと思いましたが、対極にあるような今日の演奏も、また別の意味で体力を消耗するのではないかと思われました。大変だなあ、ご苦労さまなことだなあと思いました。
アミさんのヴォイスは簡単には真似ができないと思う。帰り道電車の中で、家路をたどりながら自分でも密かに真似をしてみましたがダメでした。4月に観たヴォイス団Kuu、ああいったワークショップから生まれるヴォイス・パフォーマンスとはまるで性質が違うと思いました。そんなアミさんは、今結構引っぱりだこという感じではないでしょうか。
で、杉本さんの手に掛かった今日のアミさんは、ちょっとした戦慄のようなものを感じさせてくれました。それは新しい体験でした。ジーッと待っていると、突然ヴォイスがチョロチョロッと生起してくるような感じなのですが、それは例えば、広い空間をどんどん移動していくと、突然目の前に小さな裂け目や亀裂や歪みが生じてくるような不思議な体験でした。インプロのアミさんは、私はそれほど何回も観ていないので、簡単には言えないかもしれませんが、それでもインプロよりは面白くて、杉本さんらしい世界が組み立てられていたと思います。私は杉本さんの後ろにいたので前を覗き込んだら、何分何秒と記してある譜面が何枚も用意されているようでした。
飛頭は微妙さが魅力のジャズ風ユニット。イトケンさんのHPを訪れたら、その微妙さをお楽しみ下さいというようなことが書かれていました。今日は、ウェイン・ショーターとパット・メセニーの曲をやりました。前回よりはジャズっぽくなっていたような感じがします。菊地さんのオリジナル曲もなかなか良かったです。
しかし、帰りに私はちょっとばかしシュンとなってしまいました。「楽しめたけれど、グループとしての完成度はまだまだである」。「あそこでベースをエフェクターにかけるのは全然意味がない」と、一緒に観た連れ合いの感想はもっともらしいものだったからです。ちなみに、ベースをエフェクターにかけたのは、ある曲の中のベースのソロパートでのこと、途中からベースの音に震動が加わったら、イトケンさんがそれに反応して変なドラム音を入れました(^_^)。
今までにないこと、人がやらないことをやっても大方の反応が冷ややかなのは世の常ということでしょうか…。

ホッとするような脱力系の手書きのチラシ(^_^)。
今日は15:00からが1部のポータブルオーケストラの演奏で、19:00からが2部の講義&ワークショップだと勘違いしていました。で、15:00からの回を申し込んだ私は、演奏が終わった後、危うく帰ってしまうところでした。実はワークショップの参加希望者が多くて、2回に分けてやることになったのだそうです。
大友さんのお話を聴くのは初めてですがとても面白かったです。大友さんのように、何かの分野で本当の意味で創造的な仕事をなさってきた人の話というのは、耳を傾けるのに値するところがあると思います。ちょっと本筋を外れたエピソードがまた面白可笑しくて笑ってばかりいたので、思い出せなくなっている部分があったり、これから書こうとすることに不正確な点が生じるのはお赦し下さい。
さて、1部はポータブルオーケストラによる演奏。CD"Anode 2"を聴いた時のような感じがしましたが、ミュージシャンには4つの条件が課せられていたそうです。で、4つの条件というのが今はっきりと思い出せなくて困っているのですが、覚えていることだけを列挙してみると、
・相手の音、他の楽器の音に反応しないこと。
・ボキャブラリーを排すること。
・身体から出る音を出さないこと。
大体こんなようなことだったと思います。CD"Anode 2 "と多分ほぼ同じ条件に「身体から出る音を出さないこと」という条件が加わっていたのではないかと思います。
肝心な点は、なぜこうした条件を出すのかという意図だと思いますが、それは、音をむき出しの音そのものとして聴き取るためなのだそうです。そのむき出しの音をノイズと名付けるのかどうか、その辺の話は今はさておいて(plan B通信に大友さんのノイズ観が連載中です)、とても興味深かったのは、音楽には言語と同じようなボキャブラリーがあるというお話でした。で、人はそこからヒエラルキーを作ってしまうという話も。これは、なるほどと思うのと同時に、ちょっと考えてみると、よく分からなくなってしまうようなところがある話でした。
それから、「へえ!」と思ったのは、音の余韻が消えていく時、沈黙と一体化していくのがセクシーだという話。それは、今まで感じたことも考えたこともなかったことでした。
次回はいよいよ私たちの実践ということで、「余韻が出るもの」と「長い音が出るもの」を持ってくるよう指示がありました。その気になった私は、家に帰ってからさっそくそれらの音を出す道具を探してみました。「余韻が出るもの」はやはりお鈴かなと思ってチーンと叩いて音を確かめましたが、その後大発見!炊飯器の内釜をしゃもじで叩くとすごーくきれいな余韻が生じるのです。しかし困ったなー。次回8/3は、盆踊りの日で婦人部の役員になっていたことを思い出しましたから。
さて最後に、音楽は聴き手との関係で成立するという話があったことも是非書き留めておきたいと思います。私たち聴き手も頑張って音について行かなければと思いました。