7/2(土) Acousmatic Live by Bernard Parmegiani(ベルナール・パルメジャーニ/アクースモニウム・ライヴ)@浜離宮朝日ホール
24チャンネルのスピーカー・オーケストラ・システム「アクースモニウム」による、ミュージック・コンクレートの現在形「アクースマティック・ミュージック」については、私は2月のアクースマティック・ライヴ at 青山cayで一部ですが体験しております。この時はアクースマティック音楽の作曲家であると同時にアクースモニウム演奏家でもある若きジョナサン・プラジェ。そして今日は、ベルナール・パルメジャーニ。たまたま両方を観る機会を得たことになりますが、同じシステムによっても随分と違いが感じられることが分かったので、自分にとっては興味深かったです。
最初に前者について。青山cayでは客席、といってもゴザを敷いて周りに丸椅子を並べただけの簡素なものですが、その周りを取り囲むようにスピーカーが配置されていました。そして、ジョナサンの演奏する曲がロックっぽいもので、正にミキシング・ボードを楽器のように扱って演奏している感じがあって、とてもアクティヴで体感的なライヴ感があったと思います。また時を同じくして聴いたzakさんでは、狭い客席を取り囲むスピーカーのサークルが小さいせいもあってか、常に頭上でクルクルと音が滞留しているような快感があったと思います。
一方、パルメジャーニの方は、きちんとしたホールで緻密に完成された作品を鑑賞するコンサートといった感じがしました。スピーカーはほとんどが前方に置かれ、横と後ろに少しだったと思います。ありとあらゆるジャンクな?音を聴いてしまった現在(いま)では音はおとなしめに感じられて、あるところではこれは田舎のカエルの合唱だなーなどと思いながら楽しみました。私はprogramAのみで失礼したのですが、夜の演目「世界の創造」は、宇宙をめぐって音響的なイマジネーションをふくらませていった73分の大作だそうで、やはりこちらも観ておけばよかったと少し後悔しました。久しぶりに野々村さんにお会いしたので、帰りがけに少しお話させていただいて感想などを聞いていただきました。
行く時は築地から歩いて浜離宮朝日ホールへ。帰りは銀座に出てみましたが、ちょうどバーゲンが始まっていて人が大勢出ていて、みんなこんなに買い物をするのかと驚いてしまいました。
shelter の本間さんの日記によると、間章の映画「AA」がついに完成したそうである。未編集だが7時間に及ぶテープ。是非とも全部を観てみたいと思う。近藤等則さん、高橋巌さん、灰野敬二さんあたりの話が面白いそうであるが。
サックスのインプロ、インプロのサックスというと、今個人的に聴いて面白いと思うのは山内桂さんと松本健一さんです。山内さんの場合は、演奏が上手くいったと感じられる時には、内奥にまで届くような深い響きを味わうことができるし、松本さんはというと、サックス表現の多彩な側面を掘り起こしていると思うからです。というわけで、今日はA・N・U・Tというユニットを観に行ってみました。PAを通さない「アコースティック・インプロヴィゼーション」。「アコースティック・ノイズ」を追求するユニットだそうですが、細かい音を掘り起こしている、細かい音が次々に出てくるような感じで面白かったです。"音響"=音を長く響かせる、音の質を重視する(これは相対的意見に過ぎない?)というのとは対極にあるような感じの演奏だったと言っていいのでしょうか。松本さんはサックスのマウスピースを外してサックスを擦ったり、東さんもトロンボーンの一部を取り外したり、口でむにゃむにゃ言ったり、関根さんは大きな壷を叩いたりもしました。加藤さんのギターはお琴のような弾き方で短くカッカッカッと・・・分かるかなー?ペンペンペンかなー?ともかくフレーズとか音響とかではなくて、細かい音が絶えず生起してきては変化するという感じだったと思います。特に第2部の演奏は、弛みのない感じでインプロとしては優れたものだと思われました。演奏の最後、加藤さんが足元に置いていたステンレスのボールやカップを蹴ってカーンと音を立てたのも秀逸。ただ惜しむらくは、第1部はインプロ的な形式が少し見えてしまったかな−ということです。インプロ的な形式というのは、ギャヴィン・ブライヤーズが言っていることですが、私がインプロを聴いて一番気になるのも実はこの点で、こういう曲線が感じられるとちょっと古臭さを感じてしまいます。
「ー前略ー
あまりにも多くの即興演奏をするプレイヤーが、いわゆるコール・アンド・レスポンス式の演奏をするようになったが、私は魅力を感じなかったね。演奏の展開はいつも同じで、まずは手探りのようにはじまり、まんなかで盛り上がり、静かにおわる。この曲線がかならずついてまわる。これ以上の形式がないとしたらまったく空疎としかいいようがない。この批判は特定の即興演奏家、特定のインプロヴィゼーションにしか当てはまらないかもしれないが」(『インプロヴィゼーション』デレク・ベイリー著236p)。
話は15日から続くのですが、ギャヴィン・ブライヤーズの発言を探して『インプロヴィゼーション』をめくっていたら興味深い発見が。周知のように、ギャヴィンはベーシストとしてデレク・ベイリーの「ジョゼフ・ホルブルック」に参加していますが、'65年には既にジャズには興味がなくなっていてクラシック/現代音楽に赴いたとか。ケージの「サイレンス」に強力な影響を受け、メシアンの研究に没頭し"l'ascension"「キリストの昇天」をピアノとベース用に編曲してクラブで演奏したこともあるのだそうです。うーむ、雅晃さんには先達がいたのか・・・しかしこの"l'ascension"、サックスでやるのには息が苦しいのだそうです(ミドリさん曰く)。で、今日はドラムがイトケンさんから木村さんに変わってwho's crazy+飛頭。やはりドラムひとつでこんなにも印象が変わるものかと思いました。木村さんは、結構騒々しいというか音量が大きいドラムだと思いました。イトケンさんはいないものの、その他の飛頭のメンバーが久しぶりになってるハウスに集まったので、私はなってる時代の飛頭を少し懐かしい感じで思い出したりしました。でも、今日の演奏は気合いの入った素晴らしいものだったので、ミドリさんは最初から上手かった?のかもしれませんが、塚本さんや菊地さんが本当に成長してきているのだなというのが肌で感じられるようでとても嬉しくなりました。こう言うと僭越かもしれませんが、もうずっとずっと観てきたのですからこのくらいのこと、そして好きなこと言ってもいいですよねー。"body & soul"を菊地さんがアナログシンセだけでやるのも面白くて、こういう風にアナログシンセを受け入れることができるようになった私も少しは成長したのでしょうか?
先週は15日、16日となってるハウスを訪れましたが、私は単に楽しいと思う以上に満足し、そしてまた充実した気持にさせられました。それは、こういう場所でお客さんが多い少ないにかかわらず、真剣に何かを追求するミュージシャンの姿に心を打たれたからだと思います。