ライヴを観る


8月13日(木)
中村としまる(ノー・インプット・ミキシングボード)、広瀬淳二(セルフメイド・インストゥルメンタルSST4-2)@入谷なってるハウス

中村さんのなってるハウス初出演は、広瀬さんの自作楽器との共演。
広瀬さんの自作楽器は、ドライヤーのでかいのみたいなモノで、筒状のモノやエアコンのホースに風を送るやつと、もうひとつ、自転車のホイールを利用したもの。タイヤを外したホイールを2つ並べて据え付けて、ふき掃除をするみたいに金属のモノでクルクル擦るというもの。
どちらも「音響」というのが話題になる以前からやっていた言ってみれば音響的なものだと思いますが、音響という言葉だけではで片付けられないような人間臭さがあるような感じがして、ちょっと懐かしいような感じもあり・・・観ていて楽しい手作業でした。音的には自転車のホイールのがまろやかないい音!なかなかこういういい音は発見できないだろう、というくらいいい音だと思いました。で、それがまたとても新鮮にも感じられたのですが、中村さんの音と一緒に聴くから新鮮に感じられるのか、あるいは単独でもそのように感じられるのか、ちょっと考えてしまいました。
聴くことによって、自分でも思ってもみないような考えが浮かんできたりします。相手の音を引き立て合うようなデュオってあるのかしらと思いました。で、その相手の中村さんですが、こういう演奏も久しぶりというか、私が聴くのは初めてなのか、大きな音で以前より演奏の幅が増しているように感じられました。「なってる」は存分に音が出せるのでエレクトロニクスにも向いていると思いました。

8月14日(金)
gnu:大蔵雅彦(alto sax,bass clarinet)、塚本真一(keyboards)、種石幸也(electric bass)、熊田央(drums)、イトケン(drums)
hibari quartet(last concert):宇波拓(guitar)、上江州佑布子(harp)、千葉広樹(bass)、イトケン(drums)@千駄ヶ谷loop-line

お盆は、お墓参りさえ済ませてしまえばあとは自由。昨日、今日と聴きたい音楽があって出かけるところがあるというのは喜ばしいことです。久しぶりのgnu、とても楽しみでした。
最初は宇波さんのヒバリ・カルテット。宇波さんもジャズですか?っていうのは、最初の曲のちょっと長いインプロヴィゼーションが終ってメロディーが現われてきて初めて分ったのですが、この出だしはおもしろいですね。オリジナル曲でしょうか、明るくてすっきりしていて、いい意味で清潔で上品な感じがすると思いました。ハープの方が留学されるそうで、わずか3回でラスト・コンサートになったそうです。
続いてはgnu。10月に発売される5枚目のアルバムの中から何曲か披露しました。
私は過去においてライヴを観る度に最高のバンドだと書いてきましたが、今日久しぶりに観て増々その感を強くしました。音楽の新しい可能性を感じます。
何でも、シーケンサ−による打ち込みで作曲をしているそうで、こうして作られた極めて複雑な楽曲を緻密なアンサンブルで実現しています。実際にライヴで観てみると、大蔵さんの綿密なコンダクト=ディレクションの下に、メンバーは技量と共に相当な集中力を必要とされているように見受けられます。寡黙な印象の大蔵さんですが、このバンドのhistoryの中で音楽的なことがきちんと語られていたので、大変興味深く読ませていただきまた勉強にもなりました。初期はアドリブ中心だったというのも興味深いです。音楽をより遠くへやるには、やはり作曲が必要かと。
オーネットの「the shape of jazz to come」をもじって「the shape of music to come」と言おうとして、端折って「来るべき音楽!超モダン!」と思わず言ってしまった私です。いいものに出会うとまた生きる力が湧いてきます。

8月23日(日)
フリー・インプロヴィゼーション、もうひとつの展望 vol.9@吉祥寺Sound Cafe dzumi
出演:藤井郷子(without piano)、河合拓始(without piano)

普段はピアニストとして高度な演奏をされている方が2人 cafe dzumi に揃いました。よくよく見ると、本当に小さなささやかなスペースですね。特にテーブル。トイピアノが乗るくらいの小さなテーブル!河合さんが裸足でその前に座っていました。テーブルの上には、トイピアノの他に小さな棒や玉があって、工作でもするのかしらといったような印象です。藤井さんは、河合さんとは違って、テーブルの前に座ると袋の中から色々なモノを取り出しました。最初はレジ袋でガサガサとやって、あとは音の出るおもちゃなどでした。
私はきっとくるくる巻いて持ち運びができる鍵盤を持ってくるに違いないと思ってたのですが、それはなくて、その代わりと言っていいのかどうか2人とも鍵盤ハーモニカを持ってきました。藤井さんは、スポンタネアスで結構大胆。河合さんはやることがすごーく細かくて、きっとこれをやるにあたって、同じことの繰り返しにならないようにと色々と考えてきたんだろーなという感じでした。ブックエンドを糸で吊して、その糸を擦って音を出したり・・・即興のナレーションもありました。
ただ、ちょっと思ったのですが、小物の音というのはそのままですとやはり小物の音で、それほど深い音、鋭い音とはいえないところがあるので、聴いているうちに部屋の熱気も手伝ってちょっとトロリとしてしまった時間もありました。
まだまだ夏の湿気が残るものの、季節は確実に秋へ。先月来た時とは違って、夕方の美しい時間は失せていました。7時だというのに外はもう真っ暗。秋の日はつるべ落としです。
河合さんは、10月には高橋悠治さんのピアノ曲を演奏します。


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