ライヴを観る


2003年9月のLive Information

9月は、いろいろとアップしてしまったので、この中からセレクトして行くと思います。全部観られなくてすみません。The Rest Of Life は、青山真治監督が「ライヴに行けなくて残念だった」と日誌か何かに書いていたユニット。トフは、今回行けるかなという感じです。そしたら、23日はイトケンシリーズにしましょうか。

9/9(火) 第二回 The Rest Of Life Show@渋谷青い部屋

9/15(月) 浦辺雅祥(a.sax)・風巻隆(perc)DUO@大磯すとれんじふるうつ

9/17(水) 飛頭@入谷なってるハウス

9/20(土) Phill Nibrock with Thomas Ankersmit/Toshiya Tunoda@西麻布super deluxe 詳細はこちら

9/23(火) Radio-Acoustic@六本木Pit-Inn 詳細はこちら

9/23(火) Harpy/Win A Sheep Free/Saitto Elettrico Good Sound@三軒茶屋grapefruit moon 詳細はこちら

9/27(土) 山内桂(sax)+千野秀一(p)@新宿Pit-Inn(昼の部)

9/27(土) 風巻隆 ソロ・パカッション「SKETCH」@明大前キッド・アイラック・アート・ホール

9/28(日) extreme horn trio@下北沢レディージェーン
山内桂(sax)+中尾勘二(reeds,tb)+江崎将史(tp)



9月9日(火)
第二回 The Rest Of Life Show@渋谷青い部屋
西岡由美子(vocal,guitar)、岡田裕二 (guitar)、菊地雅晃 (contrabass,electronics)、岸野雄一(syn,sampler,effect)、大谷昌功 (drums)
共演:湯浅湾

さて、今日はめったにというかほとんど行くことのないロックのライヴということで、何をどう書いたらいいのかという感じもしますが、基本的には自分にとっては「ヤバイな」という感じです。というのは、ついこの間サウンドアートに絡めて、ある種の音は自分を覚醒させてくれるというようなことを書いたばかりだというのに、今度は全く逆のことを、つまり忘我の状態にさせてくれるのもまた快楽だと告白しなければならないからです。
The Rest Of Life、なかなか見事な演奏ぶりだったと思います。コチコチの固い感じがしないのがとても良かったです。クールさと陶酔感が同居しているような感じとでも言えばいいのか、不思議と私がロックに対して抱いているイメージとどこかしら重なると思わせる何かも備えていたと思います。歌詞の方はあまり聴きとれなくて「敵への愛」というあたりしか覚えていないのですが、楽器だけの演奏に突入していくとエクスタシーを感じました。ギター、特にエレキギターというと、未だにやはりロックというイメージを抱いている私ですが、やはりこの楽器が官能性を最も発揮するのはロックではないかなと思いました。菊地さん、今日はエレクトリック・ベースで、この効果もあったのでしょうか。ウッドベースの場合と聴き比べてみたいと思いました。
帰り、家の近くで月がやけに大きくくっきり見えると思ったのですが、火星もちっちゃく見えたようで、翌朝新聞で「9日夜、南東の夜空で月と火星が大接近して見える天体ショーが演じられた」と報じられていました。


友よ

まだ見ぬ友よ
青空の彼方からやってくる友よ
限りない宇宙の中の
同じ惑星
同じ時間に生きる友よ

その姿は
輝く天体の星の光のように
何万光年も前に生きた時の
姿かもしれない

ニュートリノが地球を通過するように
君の思考が私を通過する時
青空の彼方からやってくる友よ
私の生と君の生とが
非時(ときじく)を隔てて
激しく混じり合う

(雅文)


9月15日(月)
ticklow@下北沢cave-be
Live
mas:ヤマダタツヤ(laptop,electronics)、大谷能生(sax)、キヨミ(胡弓)、外間正己(bass/trumpet)、久野義憲(drums)
feep:大島輝之(guitar)、大谷能生(sax)、BUCHI(trumpet)、沼直也(drums)、福田亮(bass) + ゲスト:ヤマダタツヤ(dubmix from mas)
zuppa di pesce piccolo:イトケン、西村浩介、掘越和子、マヒマヒ
二階堂和美
DJ : モノリス

ticklow というイベントに出かけてみました。すべてが未見のバンドだったのですが、好むと好まざるとにかかわらず現在(いま)を伝えるいいラインナップだったと思います。クラブでスタンディングということが予め分かっていたら多分出かけなかったと思いますが。
最初がzuppa di pesce piccolo。4人のシンセサイザーがピッコロってるイトケンさんらしいユニット。いいですねー。洗練されていないところが。と思わず書いてしまいますが、こういうの聴くとテクニックや洗練に流れないことで失われない何かいいものがあると思ってしまいます。おまけでいただいたCD-Rの方がきちんとした合奏になっていたかな。mas は、feepにゲスト出演した山田達也さんという方がリーダーのバンドで大谷能生さんも参加しています。胡弓とコンピュータが入っていて、コンピュータの調子がいまいちだったみたいですが、いろいろな要素がてんこ盛りといった感じで、自分としてはもう少し聴いてみないと分からないと思いました。大島輝之さんのfeepは、なかなかいいユニットだと思いました。楽器のバランスが良くて完成度も高いと思いました。ちょっとここはと気になるところも無かったし、何よりもダサイと感じるところが少しも無かったというか、そう!トフ的には日本のジャズ=ダサイというイメージを打破するところがあると感じたのが良かったと思います。ただ、全く矛盾することを書くようですが、こういう音楽は、トフ的にはダンスミュージックと解釈されるところもあると感じるところもあると思うのですが。そう!身体が自然に動いてしまうので。feepは、ファーストアルバムをリリースしたばかりだそうで、宣伝のチラシなどを見ると、レーベルとしての活動歴のあるところからリリースされているし、批評家やミュージシャンの方の推薦文などもいただいたりしていて、一方、これからCDを出そうとする自分のことを考えてみると、何の活動歴もなくてこういう業界とは繋がりもない私にCDを宣伝して売る力があるのかどうか、少し自信を失いかけるところもありました。最後の二階堂さんは、声がおもしろいの。ギターを弾きながら歌を歌うのですが、のびーのあるいい声が高ーく高ーーく舞い上がっていって天井を突き抜けていってしまうような・・・。イトケンさんや大谷さんがゲストに加わった最後もいい感じでした。

9月20日(土)
Phill Nibrock with Thomas Ankersmit@西麻布super deluxe
Toshiya Tunoda/asuna

私は今日は、非常に想像力が刺激される楽しい一夜でした。やはり、こういう体験ができるのはライヴならではだなと思いました。以下、そんな私のパーソナルな体験を綴ってみたいと思います。いろいろとあること無いことが飛び出してくるかもしれませんが、それはイコール音楽ではなくて、あくまでもそういったイメージを喚起させるという次元に留まるものです。
最初がasuna。「電動のリードオルガンを使用した静謐で美しいサウンドスケープで注目を集める新鋭」(チラシ)だそうです。おきあがりこぼしみたいなおもちゃがカランコロリンと鳴ってオルガンの演奏が始まりました。最初私は、昔タンジェリン・ドリームを聴いた時の気分が蘇ってきましたが、それに続く展開は割とシンプルだったでしょうか。次の角田俊也さんは、「音の知覚やフィールド・レコーディングを糸口として、日常の体験に現れる空間の在り方を問う作品を制作」(チラシ)している方だそうで、ライヴ・パフォーマンスを披露するのは珍しいそうです。最初はちょっと素人っぽいかなと思ったのですが、聴いていくうちにだんだん引き込まれていきました。この人と次ぎのトーマス・アンカーシュミットは、自分にとっては"耳のための映画"といった趣きがありました。どちらも、空間をどこまでも移動していくようなイメージがあって、とても自由な開放感に浸ることができました。しかもそれらは、正反対のイメージを喚起したのがとてもおもしろかったです。角田さんのはどんどん異次元に異空間に侵入していくような感じでした。『2001年宇宙の旅』だったか?宇宙船がサイケデリックな空間にさまよい込んでいくような、あるいはスティーブン・キングの『ランゴリアーズ』みたいな。一方、トーマス・アンカーシュミットは、最初に重層的な音のラップトップをやって、次にミニマルなサックスをやってそれをディレイにかけていたのかな?彼のこの強靱なサックスの響きを聴きながら、私は未だ観てもいない映画、ジャック・ペラン監督の『WATARIDORI』のことを考えていました。それは、鳥たちと一緒に飛ぶ映画。鳥たちの翼は多分こんな風に強靱で、海の上のどこまでも広がる大きな空をどこまでも一緒に飛んでいくようなイメージが湧き上がってきました。そう、喚起されたのは異空間ではなくて、現実の空のイメージでした。
最後は孤高のミニマリスト(とチラシに書いてある)フィル・ニブロックのラップトップ。最初トーマス・アンカーシュミットがサックスで加わりました。ミニマル・ドローンといった感じで、私はトニー・コンラッドを思い出しました。それから何曲か続けてやったのか、自分には全部が一続きの曲のように思われておそろしく長く感じられました。「反復は別の次元を生み出す」だったか、この手のものはやはり長くやらないと効果を発揮しないんだろうなと思いました。フィル・ニブロックは、オーディオ&ヴィジュアル・アーティストでもあるそうなので、多分ご本人の作品だと思いますが、演奏中2ケ所の大きなスクリーンで、港や田園での労働風景のドキュメンタリータッチの映像が上映されました。

9月23日(火)
Harpy/Win A Sheep Free/Saitto Elettrico Good Sound@三軒茶屋grapefruit moon

今日はイトケンシリーズの第2戦。イトケンさん関連の3バンドが出演するというイベントです。ここグレープフルーツムーンを訪れるのは2度目。太子堂中央街に入ってからの距離がやけに長くて、やっとたどり着いたといった感じでした。既に行列が出来ていて、それは多分おまけのCD-Rをゲットせんがための行列で、その様子にイトケンさんも嬉しそう。
演奏は、Saitto Elettrico Good Sound、Win A Sheep FreeHarpyの順で、自分としては、最初のバンドはあれよあれよといううちに終わってしまって、次ぎのは強烈な眠気に襲われて、最後はパッと目が覚めるといったパターンでした。最初の2バンドには、本当に若いメンバーがいて、そういう人たちをイトケンさんがサポートしているといった感じでした。Harpyは、10周年を迎えるというイトケンさんのリーダーバンド。短い曲をキュッと締ったメリハリのある感じでこなすので、本当に目が覚めてしまったのがおもしろかったです。何か日本ばなれしたようなセンスも感じられて、さすがにイトケンさんだなーと思いました。きょうこさんですか、ヴォーカルの方の声がまたとてもチャーミングだと思いました。
イトケンさん、今日は3バンドでとても気持良さそうにドラムを叩いていて、こういうのを観てしまうとむしろ飛頭で「チェルシー・ブリッジ」や「ピース」などのバラードをやっている方が不思議なくらいで、ジャズのバラードを魅力的に聴かせるというのは実は非常に難しいことだと思うので、飛頭では結構ご苦労も多いのかしらと思いました。

9月27日(土)
山内桂(sax)+千野秀一(p)@新宿Pit-Inn(昼の部)

山内さんは、2月に観て以来2度目の方。最初は、まだよく分からないという感じもしましたが、今日はよく分かると思いました。とてもいいサックスで、こういう風に聴いていて感動するというのも久しぶりだと思いました。音が表面的、小手先ではなくて、深い深ーいところから湧き上がってくるような感じがして、その深い深ーいところから湧き上がってくる響きは、とてもいい響きだなと思いました。独創性も十分に感じられました。演奏の方は結構長くて、前半が50分くらいぶっ続けで、後半は2曲、やはり全体で50分くらいだったでしょうか、力量がないとこのくらい長い演奏はできないだろうなと思いました。
山内さんは、中央の音楽シーンから離れた場所で自分の音楽を磨いてきたそうで、現在も大分在住だそうです。そちらには音楽シーンらしきものは殆ど無いらしいのですが、今日のような演奏を聴くと、私などは、そもそも音楽シーンというのは一体何を指しているのかといった疑問が湧いてきたりします。音楽のトレンド?先端ミュージック?皆が皆同じようなことをやっていること?だとしたら、シーンなどという言い方は、何も指していない実体のない漠然としたものに過ぎなくて、音楽というのは実に個的なもので、実際には一人一人が違った個人としての表現をやっているのがこういう音楽の世界だと思ったりします。よしんば、シーンと名付ける何かが存在するとして、例えば東京にはそれがあって、地方にはそれが無いにしても。
さて、今日は自分の失敗談を一つ。今日は、たまたま承諾を得ないで黙って録音してしまってひじょーにまずかったという感じでした。そういう気は全く無いのですが、録音物を売って商売にすると思う人も中にはいるのだなと思いました。自分に非があるとはいえ、すっかりめげてしまった私でした。

9月29日(月)
イマイアキノブ(vocal,guitar)+坂本弘道(cello,electronics)@大泉学園in"F"

前回坂本さんを観た時には、チェロを逆さまにして上から火花が飛び出したので、本当にびっくりしてしまいました。そんな火花バチバチは、今日は出ず終い。観たい時には飛び出さないのが人生の常か?こういうすれ違いはよくあることと自分に言い聞かせなければいけません。しかし、坂本さんは演奏に入ってからの集中力がすごいですね。ディレイにプリペアド、チェロの持ち方も様々で観ていても聴いていても飽きさせることがありません。
最初がイマイさんの歌とギター。自分は歌ものはあまり聴かないのですが、存在感の強いとてもいい声で、ご自分の歌を歌っていたのかな?フォーク・ロックのような感じでしたでしょうか。次ぎが坂本さんのソロだったはずのようですが、ディジュリドゥとダンスの方が一緒に出演することになりました。お名前わからなくてすみません。そういえば、ディジュリドゥを観るのは初めてで、銀色の野球のバットを長くしたような感じでした。
休憩を挟んで後半は、イマイさんと坂本さん。イマイさんがいっぱい歌を歌って、坂本さんがチェロをギターみたいに弾いたり、ノコギリを演奏したりしてイマイさんをサポートしているといった感じでした。最後はインプロだったのかな。ロックっぽいインプロみたいな感じで、だんだんと妙ーな境地に入っていくような感じがしておもしろかったです。坂本さんは、チェロを膝に乗せて何やらカタカタコトコトやりだしたり、チェロの足にシンバルを付けたりしていました。イマイさんは、ヴォイス・パフォーマンスを見せたり、何だったか忘れてしまいましたが短い言葉を繰り返し発したりしていました。自分はむしろ歌よりもこういった実験的な場面の方が好みなのか、これはなかなかいいと思いました。
ところで、イマイさんは画家でもあるらしいのですが、豊かなイマジネーションとそれを形にする造形力のある個性溢れる絵にまたびっくりしてしまいました。モノクロのものは、版画にしても素晴らしいと思います。ギャラリーを是非ご覧になってみて下さいませ。

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