CDを聴く


残暑お見舞い申し上げます。
皆さまお元気にお過ごしでしょうか?
私はブレットさんがサンフランシスコに行ってしまったので何だか少し寂しい気分です。
この頃はこんなCD を聴いています。よろしかったらおつきあい下さい。



"do"(erstwhile)

Toshimaru Nakamura(no-input mixing board)
Sachiko M(sampler with sine wave)

ライヴでは最近はちょくちょく観ている2人ですが、共演アルバムを聴くのは初めて。ノーインプット・ミクシングボードもサインウェーヴも機器本来の使用目的とは違った使い方ですが、私は良い音の発見だと思います。こうして聴いていると、新しいことをやっているようで実は音を出すという行為の根源的な所に関わっているようにも感じられます。ラジカルなという表現が思い浮かんでこの言葉を使いたくなります。サイン波は自分の感覚になじむ心地よい音。今日の午後このCD をかけ始めたら外の蝉がサイン波に負けないような良い音を出そうと頑張っているみたいでしたが、CD の方の音はだんだん聴いているうちに秋の虫の声にシフトチェンジして行ってしまうみたいで面白かったです。昨年8月のDeluxe での録音を含む三つのセッションが収められています。

"dafeldecker/kurzmann/fennesz/o'rouke/drumn/siewert"(charhizma)

Werner Dafeldecker(electronics,bass)
Christof Kurzmann(G3,clarinet,theremin)
Christian Fennesz(G3)

Jim O'Rouke(G3)
Kevin Drumm(guitar)
Martin Siewert(guitar)

Dafeldecker+Kurzmann+Fennesz のトリオにO'Rouke、Drumm、Siewertが一曲ずつ加わるという構成で、最初がO'Rouke、最後がSiewert、中の三曲にKevin Drummが参加しています。コンピュータを使ったものとしてはとてもあいまいな感じがして、自分が今までに聴いた中ではベストかもしれません。ベースとクラリネットの生楽器の挿入の仕方もとても面白いと思います。ギターの2人はテーブルトップらしき音。聴き取れませんでしたがテルミンも入っているようです。全部で74分弱の捉え所のない音の連続ですが、自分には圧倒されるような革新的な面白さが感じられました。異次元に変容して行くような神秘的な感じもするような気がしました。

"The Contest of Pleasures"(potlatch)

John Butcher(tenor&soprano saxophones)
Xavier Charles(clarinet)
Axel Dorner(trumpet)

アルザスの南端にあるMulhouse という町で毎年ジャズフェスティヴァルが行われているそうで、このアルバムは昨年8月この町のサンジャン礼拝堂での録音です。サックスやクラリネットやトランペットなどの楽器は、ストレートに吹くだけでは洗練された音になりがちなので、フリーの領域ではかなり意識的に奏法なり何なりを開拓していかないと面白みを出すのは難しいように思います。Deluxe のインプロフェスティヴァルの時、ユタカワサキ(electronics)+吉田アミ(vo)+安永哲朗(electronics)の三人が同じような音を出すのがとても印象的だったのですが、Butcher+Charles+Dornerのトリオもそれぞれの楽器の本来の音を限りなくはく奪して行って、皆ができるだけ同じ音を出す方向に向かっているような感じがしました。このような作業は今の即興に特徴的なことなのかどうか、何を意味している作業なのか頭の隅に留めておいて考えて行きたいと思いました。

"Au Ni Kita"(potlatch)

Misere et Cordes
Pascal Battus(surrounded guitar)
Emmanuel Petit(acoustic guitar)
Dominique Repecaud(electric guitar)
Camel Zekri(classical guitar & electronics)

Au Ni Kita というのは「ギターのための音楽」という意味だそうです。グループ名 Misere et Cordes は「惨めな人々と弦楽器」というような意味か?変わったグループです。中身もアコースティック・ギターが2人エレクトリック・ギターが2人という変わった編成。とても混沌としていてとりとめがなくて統一感がなくてバラバラな印象です。こういう印象はフリーにとってはほめ言葉になるのでしょうか?新しい試みに出合うと自分の感性もバラバラにされてしまうようで、それが成功しているのかどうかすぐには判断できないようになります。クラシック・ギターの演奏の脇でエレキ・ギターがノイズを出しているところは少し違和感が感じられました。面白いと思いますが好きというところまでは行かないかもしれません。

表紙に戻る