前号でツバメのカラスに対する必死の抵抗に触れた。その光景は、僕にとって、
忘れようもない記憶である。
それにつけても、鳩の習性の不思議さ、よ。鳩は、群れているが、猫やカラスが襲っても、知らん顔である。
僕は、鳩の飛んでいる、その飛行の軌跡を撮るため日比谷公園に早朝通ったことがある(ホーペー1号から17号にのせてある)。
襲われるのは、多分病んだ鳩だろう。カラスの成功例は目撃していないが、猫の成功例には、二度出会った。
猫は、鳩を咥えて背の高い草の植わっている花壇に飛び込んだ。花壇の緑が騒いだ。
襲われたとき、周りの鳩は、ちょこっと飛び上がるのもいるし、盛大に旋回飛行して帰ってくるも、いる。
ただそれだけ、だ。
これは、「鳩の習性」、か。それならば、鳩の習性の不思議さと言う前言は、撤回するべきだろう。
個々の生き物が備えている習性に、不思議もへったくれも、ない。
しかし、鳩を平和の象徴とした、人間という生き物の習性は、どうゆうものだろう。<48号>
鳩を平和の象徴にした、あるいは鳩に「平和の意味」を見出した
そのようなことを言い出した人は
鳩の、あのような習性を目撃するにつけ、かなり「微妙な」人らしい。
あるいは、かなり「奥の深い人」らしい。
「らしい」というのは、僕には、断定できないからだ。
「知らん顔」の鳩を目撃し、なお「知らん顔」ではあっても、
鳩に「平和の意味」を見出しているのだろうか。
あるいは、彼の目は全くの節穴で、「知らん顔」を目撃しても、気がつかないのか。
そうであれば、彼は「微妙な」「奥の深い」人であるとは、言えない。<49号>
ツバメは、どうやら今年は無事4羽か5羽全員巣立ったらしい。
ここ数年近所のマンションのツバメには、気をかけてきたが、
全員無事とは、初めて、だ(47号にツバメを狙うカラスとツバメの反撃目撃談)。
多分日曜日か月曜日に巣立ったようだ。今年は、巣立ちのときを、僕は見逃した。
巣立ちのとき、といっても、幼鳥すべてが、いっせいに巣立てるのではない。
発育の差が出て、一週間くらいの遅・早がでてしまう。
ところが、今年は全員がほぼ同時期に、巣立った。
月曜日(27日)のあさ10時ころ、巣は裳抜けの殻だった。
そして地上にツバメの、血糊のついた羽や羽毛は、見つからなかった。
しかし、彼らは、どこに行ったのか。
巣立った、その日は、ちょこちょこ彼ら若ツバメは古巣に帰ってくる。というよりも、古巣に立ち寄る。
しかし今日30日、親鳥は帰ってくる、あるいは立ち寄るのに、若ツバメの姿は、もう見られない。
チラッとどこかで読んだ気がするが、ツバメは2かい卵を生む。
しかし、この赤坂ツバメは、一回しか子供を育てない。
しかし、今日見た、あの彼ら二羽の動作は、どうだ。
あれは、古巣改修の、動作じゃないか。
羽をばたつかせながら、彼らは、垂直の壁に爪をかけ、
あるいは地上数十センチの低さで飛行している。
改修用の物資調達のための、低空飛行を、彼らは、見せた。
今日はそこまでの動作は見られなかったが、地上に降り立つこともある。
もう一度卵を生んで子を育てるのか、どうか。
地上に降りたつ姿が見られたら、ほぼ決まりだ。
今日は、僕は見ていない。<5月31日、午前3時><50号>
古巣改修では、なかった。何と、豪勢に、どどーんと新築だ
実は前50号をアップロードしたのが31日午前3時。
その日の朝9時ごろ、例のツバメマンションに寄ってみた。
2羽が垂直の壁にしっかり爪を掛け、
口から何やら黒っぽいものを吐き出して壁に塗りつけている。
巣、つまり建造物の基礎を彼らは工事しているのだ。
結果として、彼らは一軒建てた。基礎工事だけで放置された建設現場が5,6箇所ある。
いくつかの疑問が、ある
あの古巣の持ち主と今回の建て主は同一か、どうか。
多分、違うのだろうが、そうすると、ツバメの世界では、借家という観念はないのだろう
古巣の持ち主は、どこへ行ったのだ。
今回の建て主と古巣の所有者の関係は、どんなものか。
あるいは、31日に僕が見た二羽が二箇所の基礎工事をしていた、その二羽と今回の建て主は、同じかどうか。
次から次へと、疑問が湧いてくるのだ。
僕は寅年生まれなので、猫の判別はできる。
しかしツバメ年ではないので、ツバメの判別ができない。あのツバメもこのツバメも、どれも、同じに見えてしまう。
寅年という属性を返上して、この際、ツバメ年の属性を獲得できないものか。残念なことだ。
ともあれ、7日現在、完成真近だ。
彼らは地上に降りて、盛んに、資材を調達している。
地上の姿を見ると、彼らの身長が、意外に小さいのだ。
飛行しているときの三分の二の、あるいはひょっとしたら五分の三の、大きさだろう。
ツバメが降りれば、猫が来る。招き猫ならぬ招きツバメ、近所のとら猫が、のそのそやって来た。
二羽は、ピイピイ、ピイピイ鳴き交わしながら、忙しく飛び回る。<6月8日24時><51号>
更新が遅れましたが、これは愚図な僕のこと。ツバメは、もう卵を抱いて暖めている。
それにしても、惜しいことだ。基礎工事だけで、
ついに未完成に終わった跡が5,6ヵ所ある。
ツバメ団地ができるところだったのに。
それにしても、今度は何羽生まれてくるんだろう。そして、この間の巣立ちのように、
カラスのご馳走にならず、全員飛び立てるだろうか。

<<4枚ともに6月5日朝の写真。ツバメが建設材調達のため地上に降り立つので、近所の猫が姿を現した(前51号)。左一枚目は、建設完了近いツバメ屋敷。この写真では、一羽が屋内にいて、もう一羽が外出から帰ってきたところだが、二羽そろって外出するときもある。この家の対面に、古巣がある。>><52号>
ここ数日梅雨空の天気で鬱陶しい、今日21日のように晴れれば、蒸し暑くて、これまた鬱陶しい。
赤坂ツバメの世界では、日々24時間抱卵に余念がない。
ツバメには、「鬱陶しい」などという雑念は、ない。
巣立ちのとき、カラスが狙えば、仲間を集めてツバメは、カラスに突っ込む(47号)。
巣立ちの近い幼鳥には親はトンボを丸ごと一匹、子の口に放り込む。
カラスとツバメ、ツバメの親と子。トンボとツバメの親、子。彼らに雑念は、ない。
生きトンボを親から与えられた子は、すぐには呑み込めず、二度三度首を前後させる。
人は、つまり僕は、これを見て、腹を抱えて笑い転げ、あいつ眼を白黒させてやがる、などと言う。
雨が降れば、俺の寝ているときに降ってくれと言い、
晴れれば、暑くて敵わねーとボヤキ、
などと、これらは全て雑念だ。
そして今現在の、最大の雑念が、サッカーだ。
もっと正確に言えば、サッカーを巡って展開される、人の動きだ。
また、ムネオの逮捕理由の、不可解さ、だ。
また、個人情報、有事などの法案をめぐる動き、だ。
また、防衛庁の、リスト作成、だ。<22日ご前0時半><53号>
昨日27日朝例のツバメ屋敷に行ったところ、半欠けの卵が一つ落ちていた。
今回は、一つ。前回つまり今シーズン一回目は、卵落ちはゼロ。
確か去年か一昨年は、少なくとも三個の卵が落ちた。
三つ卵が落ちても、孵化した雛は5羽いた。どうも、4,5羽が標準らしい。
ツバメの尻尾は、巣からはみ出ている。
その向きがあっちを向いたり、こっちを向いたりする。
多分、抱いている卵の温度が、バラつかない様、体を入れ替えているのだろう。
あるいは、人間が姿勢を代えるように、ツバメも筋肉疲労が一ヵ所に集中しない様、
体の向きを換えているのか。
卵は落ちたのか、卵をツバメは落としたのか。
どっちの理由にせよ、体の向きを換えたとき、つい卵を蹴っ飛ばしてしまったのか、
それとも、訳あって、ツバメは卵を落としたのか。
窪んでいるという巣の構造からいっても、
ツバメの体入れ替え目撃例からいっても、ツバメの卵蹴飛ばしは、その可能性は低い。
ツバメは、孵化の可能性を、抱卵しながら、探っているのではないか。
孵化しないと見極めた卵を、ツバメは落とすのではないか。<29日午前4時半><54号>
すでに昨日(きのう)4日、卵が割れて、雛が孵っていた。何日(いつ)、何時(なんどき)に生まれたのだろう。
異変が起きている。賑やかになったのだ。
今まで、つまり今年の一番子(荷物を運びにきた運送屋の運ちゃんが、そういう言い方をしていた。だから今度の雛は、二番子と言うのだろうか。それとも留子とめこ、とでも言うのだろうか。)まで、両親2羽だけの、過疎のツバメ屋敷であった。
ところが、昨日、今日(きょう)と客人2羽が盛んに旋回・反転飛行し、あるいは電線に止まる。
もしかしたらこの二羽は、古巣の持ち主ではないのか。
もしかしたら、古巣の子、つまり今年の一番子ではないか。
もしかしたら、昆虫採集に協力しているのではないか。
なにしろ、こちらはとら属だからツバメを見れば、どれもこれも同じツバメに見えてしまう。
それにしても、ツバメの飛行は、旋回・反転・上昇・下降・突っ込み・滑空を緩急自在に演じて、華々しい。
客人2羽、親2羽の4羽が、一斉にツバメの舞を舞うこともある。
ツバメの運動会と形容してもよい。
だから多分、この4羽は、非常に近い間柄なのではないか。
その彼らに仲間が生まれ、育っている。
4羽の飛行は、祝いの舞であり、無事健勝を祈り願う力技=運動会だ。
しかし、お目出度い雰囲気のツバメ屋敷にも、一点の黒雲がある。
猫だ。ツバメには申し訳ないが、僕の親戚だ。
しかも今度は野良の黒猫ときた。野良という点では、僕と同じだ。52号の三毛猫は、飼い猫で、その後、姿を見せない。
野良黒が飼い三毛を追い払ったのだろう。
しかし、今度の野良は常駐している。ツバメマンションの電源箱のようなものの上に寝そべっている。
頭をあっちに向けて巣に尻を向け「わたしゃツバメのことなんか知りませんよ」と尻は言っている。
3日(水)、5日(金)とこの黒はツバメの雛が落ちるのを、待っている(そうか、ツバメの生まれた日は、もしかしたら3日かもしれない)。
昨日4日は、どうした。昨日は、太陽が出て、あの場所での待機は、できない。
どこかで、黒は、眼を光らせていたはずだ。<7月5日、24時> <55号>
ツバメの雛は3羽いた。誕生日は、野良黒に敬意を表して02年7月3日朝にする。
今は、多少の時間(ひま)もあるので、どうせ撮るならしっかり撮ってやろう。
幸いといっていいのか、ツバメは、軒下どころか家の土間にまで入り込んで巣をつくる。カメラには、すぐ馴れてくれるはずだ。
今日14日、5日のネガを良く見て驚いた。
3日誕生で、5日親はトンボを丸ごと与えている。
53号で「巣立ちの近い雛にトンボを丸ごと・・・」としたけれど、とんでもない間違いだった。
雛ツバメの消化力は、親の消化力に匹敵するのだろう。
もしトンボがもっと沢山いたら、親は雛ツバメに、誕生したその日から、与えるのだろうか。
ただ、こういうことは言える。親は、昆虫の受け渡しに配慮している。幼い雛には、親は雛の口中深く、食べ物を送り込んでいる。だから、雛の口の中に入ったトンボの羽はトンボの胴体と平行する。育った雛には、トンボのグリグリ目玉のついた頭を、その口中に放りこむ。雛の口からは、トンボの長い胴体と羽が両側に、はみ出ている。初めてこの光景に出くわしたとき、雛ツバメが泥鰌ひげを生やしているように、僕には見えた。12日、こいうことがあった。親がトンボを持ってきた。1羽目の雛が、トンボの受け取りに失敗。親は隣の雛にトンボを差し向けるが、これも失敗。結局、3番目の雛も失敗した。たしか、親は、もう1度同じ動作をしたが、どうも上手くいかない。親は、ツバメマンションの庭を2回ほど旋回して、再びトンボの受け渡しを試み、今度は成功した。親ツバメは、人間の言うところの、間を置いたのだ。
13日(土)早朝から9時半ころまで、つばめ屋敷を訪問。2羽、4羽、ときには6羽が、飛び回る。親は、巣の、子供らの直前で、ややホバリング気味に飛ぶ(ホバリングの達人は、鳩。ツバメのホバリングは、自分の身体が移動している)。
もうじき巣立つ。近寄って撮るのは、12日で打ち止めにしよう。彼ら幼鳥の正面に、僕は居てはいけない。<14日、午前2時>
14日10時ころ、14時ころ、16時半ころ屋敷伺い。3羽いる。2回目の訪問のとき、向かいのマンションの屋上に烏影を一つ、見つける。こいつも、向こうを向いて尻尾をツバメの巣に向けている。人間も含めて、動物は、対象物に、背を向ける癖があるようだ。このカラス野郎は、物見か。赤坂は飲食店が多いので、カラスも多い。道路脇の自然ごみも、カラスに突つかれている。
しかし5日に撮り出してから、昨日13日まで、カア、カアという声は聞こえても、カラスの姿は見なかった。猫の野良黒は、追い払った。
いよいよ、巣立ちが、真近いのか。〈ツバメ日記は、これで一区切りをつけます。14日、18時〉<56号>
57号は、前のページの写真だけです。
ツバメ日記tales of swallow's family

上・巣にぶら下がって羽ばたく子ツバメ
左・体長は成鳥並だが、保温用の白い羽は、まだ産毛。
右・電線は揺れるし、巣のような爪の引っかかりがないので、おっとっと。人が平均台の上でやる動作と同じ。

そうか、そうか。そんなに、ここが気に入ったか、いいぞいいぞ。
だけど、食い物探すのって、大変だぞ。権利金も敷金も家賃もいらネーよ、追い出されねーよ−に、白い・・こも俺が始末してやるからな、食う方は、自分で何とかしろよ。近くに池や神社あるぞ、
何、知ってるのか、この間、雌のローソクトンボ飛んでたぞ、
何、もうガキの口に押し込んだ、
何、俺見てただと、ああそうか、このあいだ、トンボの受け渡しをみせてくれたよな、あん時のトンボは赤だぞ、黄色じゃねーぞ、
何、トンボはトンボだと、そうか、ツバメは、人種差別しねーのか、
それにしても何だな、うんまよそうか、
何、言っちまえだと、なら言うぞ、気い悪くすんなよ、その何だな、下手だったな、
何、何が下手だと、言っていいのか、じゃはっきり言うぞ、トンボだよトンボ、
何、分かっただと、
何、俺が見てるからだと、あのガキそんなこと言ってるのか、そうか、恥ずかしいのか、そうか、大きくなったもんだな、
何、俺の日記読んだ、
何、泥鰌ひげのところ、読んだのか。
何、あのおじちゃん嫌いだと、あのガキそんなこと言ってんのか、
何、見たのか、全部見ただと、いま読んだって言ったじゃねーか
あ、そーか分かった、写真見たのか、何だな、あのガキが大口あけてるところなんざ、可愛いいよな、あんな写真とったのに、あのガキども俺のこと嫌いだって言うのか・・・
何、・・ちの写真も見た、何だ、・・ちじゃ、わかんねーぞ、
あ、分かった、・・このことだな。そんなこと言ったてえ、お前(おめえ)、あのガキどもすぐ落とすじゃねえか、食っちゃ落とし食っちゃ落としじゃねえか、
何、趣味が悪いだと、
何、そんなに人柄を落とすんじゃねえだと。
人はツバメに教わり、でした。お粗末さま。
17日朝10時から10時半ころにかけて、相次いで三羽は飛び立ちました。巣立ったけれど、今現在、親から飛行と昆虫採集の特訓を受けている。
ツバメ日記、時々ずっこけた内容になりました。読んでいただき、ありがとうございました。<59号>〈終わり,31日02時〉