国外移入種(外来種)

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タイリクバラタナゴ

タイリクバラタナゴ  今やタナゴというとタイリクバラタナゴを思い浮かべる方が一番多いことでしょう。汚染に強く繁殖力にも優れ、かろうじて首都圏でも見ることのできるタナゴです。二枚貝の生息に依存するためどこでも見られるというわけではありませんが、生息水域は比較的多いです。しかしどこも数は多くない印象で、タイリクバラタナゴすらこのような状況である関東の深刻さを実感させられます。
 光沢のある鮮やかな婚姻色を呈し、釣魚として人気があります。「オカメタナゴ」という愛称は本来ゼニタナゴにつけられていましたが、ゼニタナゴの壊滅的な状況の中、生息環境とともにすっかり奪ってしまいました。人気のある本種ですが、二枚貝の支配力に優れ在来タナゴに対する影響が大きく、水域によっては駆除が真剣に検討されるべき魚種のひとつです。一部の漁協では本種が漁業権魚種になっており、種苗放流は外来魚ということで行われてはいないようですが、産卵用二枚貝を放流しているという矛盾した状況にあります。
 また愛好家による善意放流や飼いきれなくなったものがむやみに放流されているようです。ある水系では、在来タナゴ類や二枚貝とともに高度経済成長期の水質汚染で絶滅したと考えられていましたが、近年本種が出現して、釣り人が釣りを楽しんでいる場所があります。二枚貝も再生産されているのを確認しました。おそらく二枚貝込みの意図的な放流が原因であると考えています。しかし放流は遺伝子汚染や生態系攪乱などの重大な問題が多く、加えて繁殖力の旺盛な外来魚であり、絶対にやめてくださるようお願いします。本来復活させるべきなのは在来魚種や二枚貝であり、それらの再生産を可能とする豊かな水辺環境だと思います。
タイリクバラタナゴ3 タイリクバラタナゴ4 タイリクバラタナゴ5
婚姻色の雄。7月。 左の背面 赤虫で釣れた雄。青色が美しいです。
タイリクバラタナゴ1 タイリクバラタナゴ2
2月。この水路では、タナゴ類はタイリクバラタナゴしか見られませんでした。

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オオタナゴ

オオタナゴ  霞ヶ浦で定着していると思われる外来タナゴです。2001年8月に日本淡水魚類愛護会の掲示板で初めて報告され、瞬く間に大勢力を誇るようになりました。聞き込みによると2000年には見られ始めていたようです。
 近年ショップでよく見かけるタナゴであり、業者により大量投棄された可能性が考えられます。オオタナゴの仲間はユーラシア大陸に広く分布していて、このタナゴがどの地域産であるかは分かりません。お分かりの方がいらっしゃいましたら、是非お教え下さい。  全長15cmにもなる大型のタナゴですが、婚姻色は顕著には現れず地味で、釣り人の評価は概して低いです。2002年の10月中頃に産卵管を延ばした雌が多く釣れたので、秋産卵型のタナゴと最初は思いましたが、2003年春には婚姻色の出た雄も雌も大量に捕獲され、卵も確認しました。日本淡水魚類愛護会の西村さんの推測どおり、タイリクバラタナゴの様に春から秋まで大変長い産卵期をもつタナゴの様です。新しいことが分かり次第また追記したいと思います。
 在来種、在来タナゴにとって大変な脅威になると懸念されます。在来タナゴに比べ二枚貝の支配力等で勝る可能性があります。現在繁栄している場所では以前在来タナゴが比較的見られましたが、現在は殆ど見られなくなってしまいました。水質汚濁、護岸による抽水植物帯の激減、ブラックバスやブルーギルの食害…。霞ヶ浦の在来タナゴにとって、あまりに酷い仕打ちばかりと言わざるを得ません。
 強調したいのは、ひとたび放流されてしまうと、その魚のいなかった元の状態に戻すことは極めて困難だと言うことです。放流した人間が自然に対して犯した罪は、あまりに重いと思います。このオオタナゴは第二のタイリクバラタナゴになりかねない状況であり、釣られても絶対に他水域に放流しないで下さいますよう、どうかお願いいたします。

オオタナゴ0 オオタナゴ1 オオタナゴ2
オオタナゴ3
背鰭、尻鰭の基底は長く、伸張します。これは全長6cmの若魚ですが、その特徴が既に出始めています。日本のタナゴではイタセンパラによく似ていると思います。 全長9cmの個体。

オオタナゴ4 オオタナゴ5 オオタナゴ6
2002年2月。釣れるのはこのオオタナゴばかりで、在来種は僅かにアカヒレタビラ1匹でした。 釣れたら食させていただくことにしました。皆様にもできれば処分をお願いしたいですが、ご無理な方は全然結構です。とにかく他所には絶対に放流しないでください…。 オオタナゴの甘露煮。はらわたの苦みは大したことありませんでした。冬場のせいかもしれません。
オオタナゴ7 オオタナゴ8 オオタナゴ9
鰓蓋の後方の青斑が目立ちます。全長6cm。2002年11月。 独特の光沢があります。光線の具合で体全面が輝きます。左は全長4cmの若魚。
オオタナゴ10 オオタナゴ11 オオタナゴ12
トップ写真の全長10cmの個体の背面。 体は扁平しています。

オオタナゴ13 オオタナゴ14 オオタナゴ15
婚姻色の雄。全長10cm。2003年5月。 お腹が黒くなり、尻鰭に黒縞が現れ白く縁どられます。背鰭の縁は黒くなり、伸張して丸みを帯びます。体全体がほのかにピンク色に染まります。 背面。
オオタナゴ16
入れ食いでした。全長6cm程度の個体も婚姻色が出ていました。
オオタナゴ17
全長10cmの雌。産卵管長は体長に及びます。異様な姿、その存在は在来種にとって脅威以外の何ものでもありません。
オオタナゴ18
まとわりつく産卵管の長さには度肝を抜かされました。
オオタナゴ19
まな板の上のオオタナゴ。お腹を押すとたくさんの卵が産卵管から出てきます。お腹の中にはさらにたくさんの卵が。全長10cmの雌で100個近くの卵を持っていました。みんな甘露煮にしました。


アメリカナマズ

アメリカナマズ  北アメリカ原産の外来ナマズです。霞ヶ浦では近年オオクチバスよりも本種が漁獲の多くを占め、大問題になっています。コイ釣りやヘラブナ釣り、オイカワ釣りでも本種が外道として多く釣れてしまう異常な状態です。
 ナマズの代用として各地で養殖されていますが、日本のナマズとは科レベルで違います。霞ヶ浦湖畔では養殖が盛んで、生け簀から漏出したのが起源とされています。霞ヶ浦では以前から成魚は時折確認されていたようですが、1999年に初めて稚魚がたくさん捕獲され、定着が確認されました。今では利根川水系で広く見られる魚となってしまったようです。
 英語名をチャンネルキャットフィッシュと言います。成魚は黒色が強いですが、若魚期は体に黒い斑点を散りばめ、スポッテドキャットと言われます。胸鰭と背鰭のトゲは大変鋭く頑強で、魚網に絡まったり手足を怪我したりと、大変嫌われています。
 2002年に茨城県の駆除対象魚に指定されました。しかしこうなる前に何とかならなかったのかと、後手後手の対応の常には暗澹たる気持ちになります。既に定着してしまった魚を駆除することは不可能に近いわけで、危険種の養殖禁止、養殖管理の徹底など、根元的な水際における予防が不可欠であると思わずにはいられません。

アメリカナマズ1 アメリカナマズ2 アメリカナマズ
夜釣りで入れ食いでした。全長33cmの個体。 胸鰭と背鰭の前縁のトゲは頑強です。 背面

アメリカナマズ4 アメリカナマズ5
蒲焼き。少し身が崩れてしまいましたが、さっぱりしていてとても美味しかったです。ヒレを支える骨格は大変頑丈で、おろすのには苦労します。 唐揚げ。下はビワヒガイ。アメリカナマズは美味しい魚ですが、生態系上位の魚ですので、水域によってはあまりお勧めはできません。


カダヤシ

カダヤシ  北アメリカ原産の外来種で、大正時代、マラリア対策として中間宿主のボウフラ駆除を目的に台湾経由で移入されました。更に高度経済成長期に水質浄化のためと称して全国にばらまかれたそうです。地方によっては今だに放流している所もあるそうですが、一刻も早くやめてくださるようにお願いします。
 首都圏では中川の低地帯や千葉県方面で多く見かけます。河川下流、池沼、用水路などの汚濁の進んだ止水域を好みます。流水には弱いと言われていますが、局所的に止水があれば秒速30cm程で流れる用水でも生息しているのを見かけます。
 汚染に強く、卵胎生で水草がなくても繁殖できることからメダカを駆逐していると言われています。都市化の進んだ水域ではメダカに取ってかわる条件が揃っていたわけです。性格は非常に攻撃的でメダカと一緒に飼っているとメダカの鰭がボロボロにされます。耐塩性にも優れており、運河などにも生息できるそうです。水域により体色の濃淡の変異が大きいような気がします。
 地域の方はメダカと誤解していることもあるようで、「ほら、メダカが泳いでいるよ」と母親が子供に話しかけている姿も見たことがあります。私が生まれたとき既にメダカは身の回りにはいなかったわけですが、このようにして日本の水域は意識の面からも失われていっているのでしょうか。

カダヤシ1 カダヤシ2 メダカ(参考)
春から秋にかけての繁殖期には雌の尻部に黒色斑が出ます。 カダヤシ(左)とメダカ(右)の背面比較。川で泳いでいる姿を上から見てもメダカと区別することは難しいのですが、よく見るとメダカには背面に暗色の縦条がありますが、本種には見られません。


ペヘレイ

ペヘレイ  アルゼンチンの国民魚で、最初に神奈川県で導入が図られ、相模川やダム湖、そして各地の河川などに放流されましたが、幸いと言うべきか定着はなかなか難しいようです。ルアーフィッシングの対象魚として釣り堀などにも放たれておりそれらが散逸したのか、はたまたひと昔前の試験放流の生き残りなのか、相模川以外の首都圏の水域でも希に見つかっているようです。
 霞ヶ浦で近年爆発的に増殖して大問題になりました。水産試験場の方にお伺いしたところ、どうも日本に移入されたペヘレイは汽水系のペヘレイだったようです。海跡湖である霞ヶ浦は淡水化が進んでいますが未だに塩分濃度は普通の水域よりは高く、またイサザアミなどの餌生物も豊富なため生息に適していたのかもしれません。成魚は強い魚食性を示し、沖合広く生息することから、沿岸性のブラックバス・ブルーギル以上にワカサギやシラウオなどの重要な水産資源に深刻な影響を与える危険性が指摘されています。
 食用として導入されたのですが、鱗が硬く捌くのが面倒なため、一部の地域を除いて顧みられることはありません。ブルーギルと言いテラピアと言い、いくら時代の状況を差し引いたとしても、場当たり的で無計画な水産行政を感じるのです。残るのは本能に従い増殖し、在来種のニッチを奪い食害して「害魚」呼ばわりされる肩書きだけ。本当に可哀想でなりません。
 霞ヶ浦のペヘレイの起源は分かっていないようです。1990年代後半に爆発的に増加して、1999年がピークで本種が漁獲量の6割以上を占め、ワカサギやシラウオが壊滅的な打撃を被る事態となりました。ところが2001年は大幅に減少しているそうです。激しい勢力変動の一コマなのか、それとも不安定な時期を過ぎ安定な定着期へと移行しつつあるのか。今後も注視してゆきたいと思います。
 茨城県内水面水産試験場の方にお仕事中色々教えていただきました。感謝いたします

ペヘレイ1 ペヘレイ2 ペヘレイ3
トロール漁の漁獲。ペヘレイは話に聞いていたほどは多くありませんでした。薄茶色の付着物はイサザアミ。2001年11月、霞ヶ浦。 捨てるならといただいたペヘレイを、天麩羅(左)とフライ(右)にして食しました。フライも素晴らしいですが、特に天麩羅は最高でした。白身でさっぱりしていて、歯ごたえもサクサクしていてそれでいてジューシー。天麩羅には最高の材料ではないかと思います。素材を生かす料理法の方が良さそうです。あまり見向かれても困りますが、漁師さんの収入の足しにもなればなあと思いました。ただしはらわたからは油とヘドロが出てきました。毎日は食べない方がいいかもしれません(^^;)。


オオクチバス

オオクチバス  生息数、生息域とも非常に多いです。止水域を好み、湖沼、大きな止水域を有する河川中流〜下流に数多く見られることがあります。
 いわゆる近年のブラックバスフィッシングの流行に伴い、多くの心ない人々の手によって無秩序に放流されてきました。その強い魚食性により、至るところで在来種に深刻な影響を与えているのは周知の事実です。
 小さな池沼では本種と次にあげるブルーギルばかりで、在来魚種がほとんど見られなくなってしまったところが大変多いです。また比較的大規模な水域で在来種が見られるところもありますが、その在来種とはオイカワやコイ、ヌマチチブなどごく一部の生存競争に優れた強健な魚種に限られ、本来あった生物多様性が大きく消失してしまっているところが多いのです。移入してしばらくは爆発的に増加して在来生物に大被害を与えたのち、餌が減ることにより個体数を減らすという移入種に典型的な現象が見られているようですが、その課程で生存基盤の脆弱な一部の在来種や水生生物に回復不可能な程の致命傷を与えてしまうのです。
 自然環境が極めて良好に保たれた湖沼ですら在来種に壊滅的な被害を及ぼしている数々の事例、そして最近次々と明らかにされているオオクチバスの生態的研究により、日本の水域で本種が在来種と健全に共存することは不可能だということがようやく科学的にも立証されてきました。長い歴史を経てできあがった日本固有の生物相という何にも代えることのできない財産を何とか次世代に残すために、次のブルーギルとともに積極的に駆除することが今の世代に求められていると思います。
 バスを釣られる方にもこの現実を直視していただきたく思います。そしてできるだけ再放流せずに処分して下さいますよう心よりお願いします。
オオクチバス1 オオクチバス2 オオクチバス3
全長36cmの雌。採捕したのは7月でしたが未成熟の卵塊をもっていました。この大きな口で小魚を丸飲みにします。 初夏、抽水植物帯にタモ網を入れて幼魚がたくさん採れたときの悲しさは言葉に表しようがありません。 肉質は白身で大変上質ですから、綺麗な水域の個体は食べてあげることも供養になるかもしれません。ムニエルにしたところ大変おいしく頂けました。

オオクチバス4 オオクチバス5
全長約10cmの若魚 流れの速い小河川の小規模な溜まりにいました。何でこんな所に?と思うようなところで見かけると、本当に残念で仕方がありません。


ブルーギル

ブルーギル  生息数、生息地域とも非常に多いです。池沼、大きな止水域を有する河川中流〜下流、及びそれにつながる用水路に数多く見られます。言うまでもなくオオクチバスとともに大きな問題になっている外来魚です。特に小規模な池沼では移入後数年で完全な優占種となってしまい、本種ばかりで在来の魚はほとんど見ることができない池が非常に多く深刻な問題になっています。私のふるさとの溜池は、フナ類とモツゴの楽園だったのですが、釣りでは本種しか釣れなくなりました。フナはいなくなり、かろうじてモツゴが僅かに見られるのみです。
 釣っても持ち帰り生ゴミとして処分するようにお願いします。
ブルーギル2 ブルーギル3 ブルーギル4
全長14cmの個体 左の背面 ブルーギルの顔
ブルーギル1 ブルーギル5
タモ網を入れるだけでこれだけ採れる水域が大変多いです。彼らは悪くないのですが…。1月。 夜、群れで水面下を漂っている3,4cmの幼魚の群れをひと網掬い。11月。



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