現地調査日記
当事務所にご依頼のある案件は、クーリング・オフ期間はとっくに経過し、契約から半年、1年以上たっているものがほとんどと言ってよいでしょう。依頼人の方から事情を伺い、業者のその手口にあきれると同時に、毎回毎回、「この業者は今でも存在しているのだろうか?」と考えてしまいます。
悪質業者はその販売方法の悪質さゆえに、クレームを多発させ、行政からマークされ、結局は短期間のうちに廃業している場合も少なくないのです。そこで、登記簿を確かめ、現地に赴き、この眼で実際にその存在・所在を確認しなければご依頼を受けられないこともしばしばあるわけです。
例えば、地方の方が東京都内の業者についてこれをご自分でやろうと思ったら大変な費用がかかります。当事務所では、低価格で基本的な調査を代行しています。この現地調査・業者の所在調査を当事務所では「都内徘徊」と呼んでいますが、契約から時間がたった難易度の高い案件を確実に解決させるためには、欠かせないプロセスと考えています。
A社のケース(会員権商法二次勧誘)
B社のケース(内職商法)
C社のケース(デート商法)
D社のケース(パチンコ攻略法)
E社のケース(内職商法)
F業者のケース(パチンコ打ち子募集詐欺)
A社のケース(会員権商法二次勧誘)
この依頼者の方は、会員権商法の二次勧誘で宝飾品を売りつけられた方でした。
問題のある販売方法をしていたのは、その販売店がいくつか契約している販売代理店の一つでした。解約交渉は実際の売主である販売店と行なうことになります。
契約からかなり長期間が経過していましたので、現地調査しましたが、既に数ヶ月前に退去していました。このビルは都内M区にありましたが、次に不動産登記簿を調査し、家主を探すことにしました・・・。
契約書にある、販売代理店の所在地に実際に訪れるとそこは「私設私書箱」でした。ここは都内T区にありますが、警察庁の「その宛先は大丈夫ですか?(詐欺事件で使われる住所地のリスト)」に載っていたところですね。もっとも、現在は閉鎖されていると思います。
私は念のため従業員の女性に販売代理店について、身分を明かさずに何食わぬ顔をして尋ねてみましたが、やはり「知らない」の一点張りでした。
この販売代理店は同じ電話番号を用い、複数の違う業者の名称を名乗って詐欺的な勧誘を繰り返していたようですが(※ネットで電話番号を検索すればいくつもヒットしました)、まだつながるその販売代理店の電話番号に試しに電話してみたところ、最後まで「うちの会社はそこにある」とシラを切り続けていました。
この案件では私設私書箱を利用する業者の狡猾さをまざまざと見せつけられました。仕組みとはいえ「どうにかならんのか?」とため息が漏れます。とはいえ、案件自体は時間こそかかりましたが無事解決できました。やれやれといったところです・・・。
B社のケース(内職商法)
パソコン入力在宅ワークの内職商法を行なうこの業者は、現地調査に行くとタッチの差で既に退去していました。
もともと登記簿上の所在地と契約書にある実際の営業場所の所在地が合致していない業者でした。予め、ホームページで移転する旨も告知せず、いきなりの移転だったようです。依頼人の方も全く知らなかったようでした。
落胆しつつあった私は、たまたま倉庫から荷物を出し入れしている管理人と思しき男性に尋ねると、あっさりと移転先を教えてくれました。「直ぐそこだよ」って。(笑)場所は都内S区ですね。
すぐさまその転居先に行ってみると郵便受けに業者名がありました。偶然ですが、すぐに判明して一安心したのを覚えています。この案件も無事解決しましたが、在宅ワークの業者はやはり要注意だと思います。事務所の前に置かれたゴミの袋の中に、何に使っていたのか、個人情報満載のコピー紙が裁断もされずに入っているのが透けて見えてました。こういう悪質商法の業者は得てして個人情報の管理も杜撰なんですよね・・・。
C社のケース(デート商法)
この業者は契約した当時は他県に本店がありました。登記簿を取り寄せ、調べてみると、契約後商号を変え、都内S区に移転していました。クレームが多かったのかもしれませんが、時間がたつと商号変更や本店移転していることはよくあるんです。むしろないほうが珍しいですね。
なお、この場所はS区です。代表取締役も交代していたため、販売方法も変わっているかと思いきや、相変わらずアポイントメントセールスでデート商法をしているとのネット情報がありましたね。
こちらは女性販売員が依頼人に送った年賀状に書かれていたその業者の別の事務所が入っているはずのビルです。
手紙やメールを送って人間関係を良好にしておくことで解約を防ぐ、というのはデート商法ではよく見られる手口です。決して愛情からではありませんから、そこのところを勘違いしてはいけませんね。
契約した当時、実際に入居していたのかどうかまでは不明ですが、当然、現在は入居していませんでした。なお、この業者は依頼人からのヒアリングでは、長時間にわたる迷惑勧誘、クーリング・オフ妨害等の違法行為をしていたようです。しかし、同社の「お客様相談室」の社員はそれらの事実を依頼人に対して全て否定してのけ(=「アンタは嘘つきだ!」と自分らの顧客に言っているのと一緒ですよ)、「裁判するならやれ」「行政など怖くない」などと開き直っていたようでした。「あるまじき対応」との一言につきますね。怒りさえ覚えます。
この案件は依頼人が金額を譲り、一応、決着しました。
D社のケース(パチンコ攻略法)
この日は大晦日です。あと数時間で紅白が始まるな〜などと考えつつ、M区にあるその業者の所在調査に出かけました。
大晦日のオフィス街ですので、どの事業所も休みに入っています。一帯はしんと静まり、誰も歩いていませんでした。
攻略法販売業者は打ち子募集業者ほど極悪ではないにせよ、やはり信用できません。私設私書箱を借りている業者も一部ありますから、そこに実際にあるのか?と確認せずにはおられませんですね・・・。それにしても寒かった・・・。
業者の入居を確認し終えると、私は入り口階段に腰掛け、缶コーヒーを飲みながら休んでいました。すると、どこからか一匹のネコが現れ、私のそばに腰をおろしました。
いつもは誰かに食べ物をもらっているのでしょうか?からんとしたオフィス街で食べ物にありつけると期待して近づいてきたのでしょうね。腹減ったのか〜?だけどゴメンな〜。あいにく食べ物は持ってないのだよ〜・・・。
E社のケース(内職商法)
この業者はすでに警察沙汰になっていました。HP上の本店所在地(都内M区)に訪問するとタッチの差で移転したあとでした。ドアに貼られた紙には移転先の表示などなく、ああ、遅かったか・・・と。
よくあることですが、この業者も登記簿と実際の本店の所在が合致していませんでした。
私は念のため登記簿上の本店所在地に行ってみることにしました。支店単位の事業所が存在する可能性もあるためです。
その場所は都内S区にありました。同区画にはビルが3棟ほどありましたが、いずれにも同業者は入居しておらず、空振りに終わりました。すると次は登記簿を頼りに、代表取締役の住所地を調査することになるわけです。通知が届かなければ全く意味がありませんからね。
この業者の被害者は全国で数百名いるとの報道もあり、その後警察も動き代表者は逮捕されたようです。
F業者のケース(パチンコ打ち子募集詐欺)
いつも郵便受けはチェックします。チラシのたまり具合で人の出入り、つまり、そこが実際に営業の拠点かどうかが判断できるものなんです。
例によってロビーで探してみると・・・。おや!私設私書箱自体が閉鎖されており、郵便物転送先の表示がありました。この業者が私設私書箱を使っているらしいということは事前に知っていましたが、やはり実際に現地に赴かないと分かりませんね。管理人の方に尋ねると、数ヶ月前に警察の捜査が入ったのだとの説明がありました。
管理人さんにチップを渡して・・・ということはせず(TVじゃないので)、私は念のためにその私設私書箱業者が入居していた部屋を確認し、さらに別の部屋もチェックしました。
実はこの建物には閉鎖された私設私書箱のほかに、もう1つ別の私設私書箱業者が入居しており、やはり警察庁の「その宛先は大丈夫ですか?」に掲載されています。無駄だとは思いつつ何か情報が得られるかもしれないと、話をしてみようと思いました。はい、私は物好きです。(笑)
ドアには外出中の文字がありました。
私は一度建物から出ると、コーヒーを飲み、少々時間をつぶしました。再度訪れると、どうやら戻ってきているようでした。
ノックをすると女性が顔を出しました。話はしましたが、結果は空振り。まあ人生そんなものです・・・。
後になって判明しましたが、この打ち子募集業者は私書箱を借りる際にも偽造した書類を提出していたようですね。筋金入りの詐欺師といえるでしょう。
また、HPでは別の建物の写真を掲載し、あたかもその建物に入居しているかのように装っていました。しかし、実際に現地に行くとまるで似ても似つかぬ建物だったと。
打ち子募集系には私設私書箱や他人から買ってきた口座などを駆使し、詐欺を繰り返す輩って非常に多いのです。一度お金を支払ってしまうと、返金させることは大変困難と言えます。
なお、この場所は都内T区です。
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