◆ クーリング・オフ期間経過後の解約通知の構成例
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当事務所ではクーリング・オフ期間内のご相談よりも、期間を過ぎているものの方が圧倒的に多いのが現状です。以前、消費者センターの相談員の方とお話をしたときも「期間を過ぎてしまっているがどうすればよいか?」という相談はかなり多いと伺っています。
クーリング・オフ期間はことのほか短いですから、うかうかしていればあっという間に過ぎてしまいます。たとえ不適正な販売方法であったとしても、クーリング・オフ期間を過ぎた後は契約を取りやめにし、代金支払いの拘束から逃れるのは必ずしも簡単なことではありません。ましてや時間が相当経っていたり、代金が全額支払い済みだった場合はなおさらのことです。
クーリング・オフは無条件・無理由で行使できますから、期間内であれば別ページに掲載している見本のように定型的なものでも差し支えはありません。しかし、期限が過ぎてしまった場合には、契約を取リやめるにつき、それを正当ならしめる法律的な根拠の提示や詳細な状況説明などが不可欠となります。また、その内容もケース・バイ・ケースとなりますから、当然定型的なものはなく、どのように書けばよいかといった参考になるような記載例は少ないように思われます。
ただ、文面の「構成のしかた」「記載の順序」については、ある程度決まったスタイルのものは組み立てることはできます。ここではご相談が最も多い、「勧誘トークに問題のある場合」を例に、当事務所ではどのように通知書を構成しているかを順序にしたがって解説いたします。
あくまでもひとつの例にすぎませんが、業者側に解約通知を送りたいがクーリング・オフ期間を過ぎているといった方は参考にしてみてください。
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タイトル(例:通知書)と書き出しの文(例:私は下記の経緯により御社と次の売買契約を締結いたしました)の次に書きます。
記載するべき内容は下記のとおりですが、いつ頃のどんな内容の契約なのかが業者側にわかればよいので、形式にとらわれる必要はないと思います。 |
| @ |
契約締結の年月日 |
契約書をみて記載します。 |
| A |
商品・権利・役務名 |
これも契約書をみて記載します。例えば「床下工事」とか「ダイヤモンド・ネックレス」とか購入したものが何かがわかればよいのです。 |
| B |
販売代理店がある場合はその表示 |
@)販売代理店とは、法律的には「代理商」のことです。これは販売店に代わって勧誘し、販売店と顧客との売買契約を締結させるという内容の契約を販売店と交わしている販売店とは別個の法人等です。契約を成立させることで販売代理店に一定の報酬が入る仕組みになっています。
A)契約締結の効果は本人である販売店に帰属しますから、解約通知の送り先は原則として販売店になります。
販売店によっては販売代理店が複数あることがありますから、社内的な調査をスムーズに行なえるよう記載します。契約書に記載されていますから、所在地・名称・電話番号をそのまま書き写せばよいでしょう。 |
| C |
契約担当者氏名 |
顧客とのトラブルが多い会社は従業員の定着も悪いように感じます。すでに退職している場合もあります。やはり社内的な調査をスムーズに行なえるよう記載します。 |
| D |
代金、クレジット支払総額 |
クレジットがあれば、クレジットの申込書・契約書に商品代金やクレジット手数料、支払総額が記載されています。商品代金とクレジット支払総額を記載しておけば十分でしょう。 |
例えば、いつ頃にどのような内容の連絡が誰からあって、どこでどのようなトークで勧誘されたかなどを時系列にしたがって書き出します。
時間が経つと記憶が薄れてくるものですが、この部分に業者の不適正な行為が記載されることになるわけですから、営業マンから渡された名刺やご自分の手帳、業者が説明時に書いたメモなどを再度チェックするなりしてなるべく詳細に書くようにしたほうがよいと思います。 |
契約までの経緯で現れた行為が、どの法律のどの部分に抵触して違法となり、それに対してどのようなペナルティがあるかを指摘しておきます。(※この部分はご自分で本を買うなりして調べるのもよいですが、専門家のアドバイスを得たほうが手っ取り早いかもしれません)
例えば、訪問販売であれば商品の効能等に嘘があれば不実告知となりますし、怒鳴りつけて困惑させるなどの行為は威迫となります。いずれも2年以下の懲役または300万円以下の罰金に処せられ、指示や業務停止の対象ともなります。あるいは夜遅くまで勧誘されれば迷惑勧誘にあたり、指示や業務停止となる場合もあります。
当事務所にご依頼のあった案件ですが、契約書の販売代理店所在地には私設私書箱しかなかったという事例もあります。これは法定書面の不備記載であり上記と同様に100万円以下の罰金に処せられるという罰則の適用があるものです。
このように違反行為を指摘し、どのようなペナルティがあるかを示してゆきます。業者に違法行為を認識させ、キチンと交渉のテーブルにつかせるという狙いがあります。 |
この部分もある程度の法律の知識が必要となる部分です。民法や消費者契約法、特商法の取消事由や解除事由等に該当すればこれを根拠にその意思を表明します。なお、取消しには相手の同意などは必要ではなく、一方的な意思表示で足ります
ただ、「勧誘トーク」のみに取消し事由があった場合は「言った言わない」の水掛論になりがちですから、録音などがあれば格別ですが、ネット情報を補足的な参考資料として準備しておいたほうがよいかもしれません。 |
返金や返品(現状回復)に関してどのようなスケジュールで手続きを進めるかを提案します。
あくまで一方的な「要望」となりますが、期限を切ってスケジュールについての案を示します。クレジットがある場合には信販会社が絡みますから、必ずしも提案したスケジュール通りに進むわけではありませんが、業者をある程度リードしておくことも必要であろうと思います。
返金のための口座を指定しておき、返金確認後に返品するといったスケジュールを提示するのが妥当だと思います。なお、不当に返金を遅延するのも特商法違反となりますが、この旨も念のためにつけ加えるとよいかもしれません。 |
業者側にも言い分があったり、稟議を通すなど社内的な準備に時間がかかるといった場合等、顧客との連絡がどうしても必要となる局面は少なくありません。
会話で誘導されやすいと自覚される方や業者と電話でやり取りすることに抵抗感がある方は、連絡方法を郵便・ファックスなど「文章」で行なうようにあらかじめ指定したほうがよいかもしれません。(※反面、解決まで時間はかかります)このような方法を指定したにもかかわらず、お構いなしに電話をかけてくる業者もありますが、対応が不満であればその旨はきちっと表明するべきでしょう。
なお、特に電話では窓口となる者は相手側も自分側も1人に絞るのが鉄則です。例えば、ある時は夫が電話に出て、次は妻が電話にでるなど、窓口を複数にすると情報が錯綜し、解決までに時間がかかる結果となりかねません。また、明らかに事実と異なることを話す担当者もありますが、信頼するに値しないと判断されるなら担当者の交代をすぐさま要求するべきでしょう。 |
「御社が〜しなかった場合、私は〜します」といった書き方になります。これも業者にキチンと解決交渉のテーブルにつかせるために入れておく一種の「警告」です。
例えば、「法的手段を検討する」とか「刑事告訴をいたします」といったように記載しておきます。悪質かつ誠意の見られない対応に終始する業者に対しては、しかるべき対策をとらなければならないのは言うまでもありません。
上記(1)から(7)までを網羅し、構成した文例は次のとおりとなりますが、実際にはケース・バイ・ケースですから、専門家等の助言を受け、アレンジすることをお勧めします。 |
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私は御社と下記の経緯により次の売買契約を締結いたしました。
※(1)契約の表示
| 契約年月日 |
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平成○年○月○日 |
| 商品名 |
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○○士試験テキスト○冊、ビデオ○巻 |
| 契約担当者 |
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○田○男 |
| 商品代金 |
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金○円 |
| クレジット支払総額 |
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金○円 |
※(2)契約締結までの経緯
平成○年○月頃、自宅に御社の営業マンである○田○男氏より「当社の合格率の高さをアピールするためにモニターを探している」「試験は簡単で勉強は1日10分程度でよい」「費用は一切かからないからやらないか」といった内容の電話がありました。
私は資格の勉強をする気はないため、すぐさま「いらない」と断わると「費用は一切かからないのになぜやらないのか」などと問い詰め、「うちの会社は有名だから」「誰でも合格できるから」などと長時間にわたり勧誘し続けてきました。その日は電話を一方的に切りましたが、翌日から毎日のように電話が自宅にかかって来るようになりました。
私は根負けし、契約しなければ今後もしつこく勧誘されかねないと考え、上記の契約を締結することにしました。すると最初は無料と告げていたはずなのに教材と一緒にクレジットの契約書が送付されてきました。
※(3)違法行為の法律的な根拠
上記の経緯を鑑みると御社は下記の法律違反行為が見られます。
当該取引は電話勧誘販売として特定商取引に関する法律(以下、「特商法」という)の規制を受ける取引形態であります。
上記のとおり私は説明を受けると、勉強する気はないからと明確に契約の締結をしない旨を表明しています。しかし、○田氏はさらに電話を切ることなく勧誘し続け、その後も数回にわたって勧誘の電話をかけてきました。
この行為は特商法第17条に違反し、同法第22条により主務大臣の指示及び同法23条により業務停止の対象となります。
※(4)契約取消しの意思表示の通知
私は当該契約締結にかかる勧誘に不実告知(特商法第21条第1項)があると判断し、本日、特商法第24条の2第1項第1号の規定に基づき上記教材購入契約の意思表示を取消すものといたします。
※(5)返金・返品のスケジュール
なお、受領した教材の一部は使用されておりますので、契約締結後の支払済代金から使用した教材の代金を差し引いた金○○円の返還を御社に請求するとともに、返金を確認したうえで直ちに教材を一括して御社に送付する案を提案いたします。
※(6)連絡方法の指定
上記提案に同意されるか否か及び返金についての日程について、書面にて○月○日までに到着するようにご回答下さいませ。なお、返金される場合については下記口座に振り込まれるようお願いいたします。
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金融機関 ○○銀行○○支店
種目・口座番号 普通○○○○○○○
口座名義人 ○川○子 |
※(7)注意文
なお、ご回答が全くなされない場合、返金を拒否される場合には法的手段を検討致しますことを念のため申し添えます。
平成○年○月○日
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○県○市○町○丁目○番○号
株式会社○○
代表取締役 ○山○夫殿 |
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